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http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20090914/181079/
先日の総選挙公示後の選挙運動期間中、自宅のポストを見て驚いた人も多いのではないだろうか。自民党本部が制作した民主党攻撃のパンフレットである。わたしのところには、ピンク色と紺色の2種類が投函されていた。 党本部から自民党の候補者に配布されたのだそうだが、候補者によって選挙区内に配った人もいれば配らなかった人もいたという。 その内容はといえば、当の自民党代議士の平沢勝栄氏が「怪文書」と呼んだ代物である。あまりのすさまじさにわたしは驚いて、後世までこれを記録・保存しておきたいと思ったほどだ。 本来、与党が総選挙において主張すべきなのは、この4年間、自分たちはこういう努力をして、こういう結果を残した、だから引き続き自分たちに任せてほしいということだろう。ところが、この2つのパンフレットには、そうしたことは一言も触れられていない。ただひたすら、民主党を攻撃しているだけなのだ。しかも、その中身がまともではない。 人は、追い詰められると本性を出すものである。昔話でも、人間に化けた怪物や化け物が、追い詰められてその正体を現すというストーリーはよくある。まさにこの「怪文書」は、選挙終盤になって追い詰められた自民党が、その本性をむき出しにしたものだと、わたしには思えるのだ。 「在日米軍は現状維持、日米地位協定も堅持」という本音 たとえば、ピンク色の「知ってドッキリ民主党 これが本性だ!!」というパンフレットである。「第3章 日本人尊厳喪失進行中」というタイトルも大仰だが、中身も尋常ではない。
「『対等な日米関係』の罠」として、外交防衛・安全保障の点に触れた点を紹介しよう。ここでは、民主党のマニフェストにある「緊密で対等な日米関係を築く。日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で望む」という部分を引用して、「ここがコワイ!!」と反論している。 では、何が「コワイ」のかというと、こんな具合である。「安易に米軍による抑止力を低下させ、わが国の防衛力を後退させるなど、常軌を逸しているとしか思えません。日教組の偏った考えの言いなりになって、国民の生命、財産、領土、資源を危機にさらす思想であることに、民主党は気づかないのでしょうか。国を売っても政権をとるということでしょうか」。 これを読んだ人は、民主党の政策に不安を抱く前に、「なるほど、これが自民党の本音だったのか!」と納得したに違いない。自民党政権のもとで、米軍基地を移転・縮小するとか、独自の防衛戦略を築くなどと言っていたのは、みなウソだったのだ。その本音は、在日米軍をそのままにして、日米地位協定も堅持するというものだったのである。 このページでは、続けて「コレが民主党の本性だ!」として、次のようにまとめている。「民主党政権が実現すれば『日本』や『日本人』が消滅の危機に直面してしまうに違いありません」ーー。 ここまでくると、チープな右翼団体のビラのようだが、これを自民党の本部がつくったというのだから驚きである。選挙直前に追い詰められて、ぎりぎりになって悲痛な叫び声をあげた結果、ぽろっと本音が出たというのが正直なところだろう。このビラに書かれたことこそが自民党の本音なのである。 「労働者が嫌い、労働者は信用できない」という本音 民主党の「子ども手当」に対しては、「第1章 民主党と労働組合の革命計画」という大層なタイトルのもと、「『子ども手当』支給の罠」として批判している。 だが、その論理の展開たるや、支離滅裂としかいいようがない。冒頭から、「民主党は『子ども手当』や農家への『戸別所得補償制度』などを主張していますが、支給は市区町村を通じて行われるため、市役所・役場の担当者が増員されることになります」と決めつけている。この決めつけにも驚くが、それはまだ序の口である。続きがすごい。 「しかし、国家公務員の改革を叫ぶ民主党も、地方公務員改革や地方行革については一切触れていません。改革の行われていない地方自治体の公務員を増やせば、労働組合の勢力を拡大させ、勤務時間内の違法な組合活動や政治活動が横行します」 つまり、こういう三段論法である。「子ども手当」を支給することで、地方公務員の担当者が増員される。地方公務員が増えれば、違法な組合活動や政治活動が横行する、というわけだ。ここまで飛躍した論理も珍しい。 これを読んでわたしは、「ああ、自民党は労働者が嫌いなんだな」ということがよく分かった。しかも、自民党は労働者を嫌っているだけでなく、労働者をまったく信用していない。 それが分かるのは、もう1つの紺色のパンフレットである。「知ってビックリ民主党 これが実態だ!!」というそのパンフレットには、「労働組合が日本を侵略する日 民主党にだまされるな!」とサブタイトルがついており、これを読むと自民党がとことん労働者を嫌っていることがはっきり理解できる。
このパンフレットで、まず槍玉に上げているのが、民主党の「民主党政策集INDEX2009」にある公開会社法制定である。この法律制定を目指す民主党の主張は、次のようなものだ。株式を公開している会社は、投資家、取引先、労働者、地域など、さまざまなステークホルダー(利害関係者)への責任を果たすことが求められるとして、情報開示や会計監査などを強化して、健全なガバナンス(企業統治)を担保するというのである。 株式会社が情報公開をするのは当然のことであり、極めてまっとうな主張だと思うのだが、これ対して自民党のパンフレットは「ここがコワイ!!」とかみついている。 「民主党は、政権につけば『公開会社法』を制定し、上場企業(=公開企業)の監査役・監査委員会に従業員代表を加えることを義務づけることにしています。この法律により、経営陣が会社を救うために人員整理や事業売却というギリギリの決断をしても、本来経営責任を負わない労働組合がその決定を差し止めることが可能となり、その結果経営危機を招いたり、最悪の場合、倒産に至ることもあります」 この自民党の主張を裏返せば、経営者は労働者の意見など聞かずに、バンバン人員整理や事業売却をしたいのだということが分かる。しかし、ステークホルダーの中に従業員が含まれているのも確かであり、会社は従業員のためのものでもあるのだ。従業員が意見を言うのは当たり前だとわたしは思うのだが、いかがだろうか。 いまどき、自分の会社がつぶれてもいいという従業員はいない。それを、一方的な首切りや事業売却ができないから会社が倒産すると主張する経営者がいるとしたら、その経営者は無能だといわれてもしかたがないだろう。 このままでは、2大政党の1つとして残るのも難しい 小選挙区制のもと、健全な民主主義を維持するためには、2大政党の切磋琢磨が不可欠である。だが、こうした本音を読むにつけ、現在の自民党には、もうそうした能力を失いつつあるのではないかと思える。 自民党のうちでも民主主義的な考え方をする人は、すでにほとんどが脱藩して民主党に移籍してしまったのかもしれない。純粋な保守勢力というにも極端すぎる。これでは、良識的な保守派にも支持されないだろう。 となると、今後出現するかもしれない新しい2大政党に道を譲り、極右政党として生きていくのが一番いいのではないかとさえ思うのである。そう考えると、このパンフレットがチープな右翼のビラに近いのも納得できる。 もちろん、自民党の候補者でも、このパンフレットにあきれた人は多いようだ。わたしが出演した『テレビタックル』に登場した自民党候補者は、冒頭で述べた平沢勝栄氏のほか、下村博文氏、河野太郎氏も「こんなもの配らねえよ」と吐き捨てるように言っていた。そして、その3人は見事に小選挙区で当選したのである。 誰が考えたのかは知らないが、自民党敗北を最終的に決定づけたのは、このパンフレットではないかとも思うのだ。「貧すれば鈍す」とはよく言ったものである。これで、日本の賢い有権者が共感すると思ったのだろうか。 ここには、これまで4年間の実績や総括といった内容は1つもない。ただ、有権者に対して、「民主党に任せていては日本人は消滅する」「政権交代したら取り返しのつかないことになる」と脅しているだけなのだ。 最後にもう一つ、「教育は“現場の判断”」の罠という項目を紹介しよう。 「日教組は、自分たちの思想を子供たちに徹底的に教えこんで、人格形成の一環で洗脳していくのです」として、例によって日の丸・君が代問題を持ち出して批判しているのだが、続いてこんな驚くべき記述がある。 「また、“子供の主体性”を曲解した過度な性教育で、『いつ誰と性交するかは、親や教師ではなく自分で決めること』と教えていれば、性行為の低年齢化や援助交際を促しているようなものです」 どうやら自民党の性に対する考え方は、「いつ誰と性交するかは、自分で決めずに親や教師に相談すべき」というもののようだ。自民党の議員や職員で、そんなことを教師に相談していた人がいるのだろうか。 |
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