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2009年8月23日 社説
■2009総選挙■
来年5月18日以降、国民投票にかける憲法改正原案の国会提出と改正発議が、可能になる。
今回の衆院選はその意味で、任期中に改正原案を審議し、憲法改正を発議することになるかもしれない議員を選ぶ選挙である。私たちの国の将来に極めて重い意味を持つ選挙と言っていい。
有権者である私たちはまず、そのことを肝に銘じておきたい。
政権を目指す各政党が憲法改正問題をどう考え、どうしようとしているのか。「この国のかたち」と「生き方」を方向づける憲法の論議は、有権者がこの国の将来をどの政党に託すのかという重要な「選択の柱」でもあるはずだ。
にもかかわらず、論戦は低調だ。護憲を明確にしている共産、社民両党以外は、与野党とも憲法問題を積極的に選挙の争点にしようとはしていない。
景気対策や税制改正、子育て支援や年金、医療・介護など暮らしに直結する政策課題に比べると、いますぐ解決しなければならないという切迫した問題ではないからかもしれない。
もちろん与党の自民、公明両党も、政権交代を掲げる民主党も、マニフェスト(政権公約)には「憲法をどうするか」について触れている。
自民党は、衆参両院に設置された「憲法審査会」を早期に始動させて精力的に憲法論議を進め、2005年に公表した党の「新憲法草案」に基づく早期の憲法改正を実現する~と「自主憲法」の制定を掲げている。
憲法改正を目指した安倍晋三政権下の2年前の参院選では「新憲法制定の推進」を重点公約に挙げた。今回も憲法改正の早期実現を掲げてはいるが、あえて争点化する姿勢は感じられない。
自衛軍保持を明記し集団的自衛権行使に道を開く新憲法草案に、与党として選挙協力をたのむ公明党に異論があることが大きい。草案に基づく改正というだけで、現行憲法のどこをどう変えるのか、改憲の中身については具体的に言及していない。
公明党も「憲法と現実の乖離(かいり)」を検証するため「現行憲法を点検する国民的作業」の必要性を指摘するにとどめ、立場を明確に打ち出していない。
民主党は「現行憲法に足らざる点があれば補い、改める点があれば改める」とする一方で、「国民の多くが改正を求め、国会内の広範かつ円滑な合意形成ができる事項があるかどうか」を憲法論議の前提条件としている。
民主、公明両党は憲法改正論議を拒むものではないが、明確に改憲を打ち出している自民党に今回選挙で論争を挑んだり、目指す憲法の違いを打ち出す姿勢はみられない。
しかし、衆院選後に自公、民主いずれの勢力が政権に就こうと、政権与党だけで憲法改正発議に必要な衆参両院の3分の2以上の賛成を得るのは不可能だ。逆に言えば、この3党が合意すれば、国民投票法が施行される来年5月18日以降、改正発議はいつでも可能だ。
そのためにも、どんな憲法を目指すのか、「戦争放棄(9条)」や「国民の権利・義務」を定めた条項をどう変えようとしているのか。3党はこの選挙で具体的に語るべきだ。それがなければ、国の将来を託すというもっとも大きな選択肢を有権者から奪うことになる。
=2009/08/23付 西日本新聞朝刊=
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