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来月30日投票の衆院選挙で政権奪取を目指す民主党は27日、政権公約(マニフェスト)を公表した。「鳩山
政権の政権構想」と名づけられたマニフェストは、官僚政治から脱却し、ヨコ型の絆社会を目指すための
「5原則」とそれを具体化した「5策」を骨格としている。肉付けは数百項目から成る「政策各論」だ。
「5策」では事務次官会議の廃止や天下り、渡りの全面禁止など徹頭徹尾、官僚の既得権益の打破を掲げ
ている。
「このマニフェストで政権獲得を目指して戦う。国民の皆様が主役になる政治。この一点に集中する……」。
鳩山代表はマニフェストにかける強い意気込みを表した。
民主党マニフェストの発表は当初12時から党本部ホールで行う予定だったが、5時間繰り下げられ場所も都内
の一流ホテルに変更された。夕方のテレビニュース枠を考えてのことだ。“次期政権党”が有力視されている政
党のマニフェスト発表を、民放各社はライブ中継した。
「(官僚政治の打破によって)国民の税金がムダにされている体質を改めることができる。それによって国民
の生活が第一の政治を作りあげていくことができる。これが私の唱える『友愛社会の建設』です」。
「母子加算が4月で打ち切られ、高校に行きたくてもいけないお嬢ちゃん。修学旅行に行けない高校生」「病
気になっても病院に行けないお爺ちゃん、お婆ちゃん」「子供を作りたくても作れない夫婦」…・・・鳩山代表は
言葉を噛み締めるようにして語りかけた。
小泉政権が導入した市場原理主義の下、ほんの一握りの富裕層はさらに豊かになったが、かつて大多数を占め
ていた中流と中流以下は貧困に叩き落とされた。一度貧困生活に陥ると這い上がるのは至難の業である。「格差
社会とは貧困の固定化」であることを市場原理主義は教えてくれた。
「冨の再配分」という政治本来の役目と「社会の絆の尊重」という保守政治の哲学を捨て去ったのが小泉政治
だった。鳩山政権構想の精神は、小泉政権以後続いた自民党の改革路線で痛んだ弱者や地方に光を当てるものだ。
4 年前の衆院選挙で郵政民営化を掲げる「小泉自民党」に対して明確な対立軸を示さなかった「岡田民主党」
は惨敗した。自民党は小泉改革の行き過ぎを見直してはいるが、「地方の疲弊」、「ワーキングプアの増大」、
「福祉切捨て」など傷はあまりにも深くて大きい。今回の民主党マニフェストは、すでに十分明確な対立軸を
示していると言えよう。
与党が指摘する財源については、予算の全面組み替えや無駄遣いの根絶によって生み出す、としている。
2013年度には16兆8千億円の節約が目標だ。国と地方の二重行政、天下りなどで湯水を垂れ流すがごとく無駄
遣いを続けてきたのが、これまでの政治だ。それを見直すことは、評価して然るべきではないだろうか。
「一度やらせてみよう」「ダメだったら(政権政党を)変えればいい」。これが街の声である。
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