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http://mainichi.jp/select/opinion/kaneko/news/20090521dde012070036000c.html
早い話が:院政でなく「参院政」=金子秀敏
民主党の代表を鳩山由紀夫氏と岡田克也氏が争った。小沢一郎前代表を支えてきた鳩山氏が29票差で勝った。
予想以上に差がついたのは参議院議員が鳩山支持でまとまったからだという。参院民主党は小沢氏の影響力が強い。小沢氏の力が証明された。
代表を辞任した小沢氏は、代表代行に就任した。山田孝男専門編集委員は「小沢院政」と見る(「風知草」18日朝刊)が見立て違いだろう。小沢氏は後衛に引いて院政をするようなタイプではない。政権交代戦略の前衛を突っ走る、桶狭間の信長だ。
総選挙が近づいた。与党は負けるだろう。なぜなら、次の総選挙に限っては、与党と野党では勝敗ラインが大きく違うからだ。この点がポイントだ。
野党の民主党は、他の野党の議席を合わせて過半数の241議席をとれば勝ちだ。民主党中心の連立政権ができ、衆参のねじれも解消する。
ところが自民党はどうか。公明党と合わせて3分の2超の321議席をとれなければ敗北だ。ねじれ国会だからである。たとえ衆院で過半数をとったとしても、現在の「3分の2」による衆院再議決が不可能になるから、政権はもたない。世論調査では321議席はとても無理な情勢だ。
選挙の結果は「与党が勝つ」か「野党が勝つ」かだ。ところが、ねじれ国会の総選挙は「与党が勝つ」と「野党が勝つ」のほかに、「参院多数党が勝つ」という第三の結果が起こりうる。自民党が比較第1党の座を守ったとしても、3分の2を割れば結局、民主党に大連立を呼びかけなければ政権運営ができない。民主党が拒否すれば大連立はできないのだから、民主党は首相ポストを要求するだろう。連立の死命を制するのは衆院より参院の多数党だ。
では、民主党が総選挙で単独過半数ならどうなるか。自民党は来年の参院選で民主党優位を崩そうとする。参院が自民党優位に逆転すれば、いまと正反対のねじれ国会となる。民主党の政権運営は行き詰まり、こんどは民主党が自民に大連立を呼びかける番だ。
総選挙で民主党政権ができても、その直後から来年の参院選を目指して各政党は走り出す。政権交代のプロセスは来年の参院選まで休みなく続く。小沢氏はそのために選挙の全権を握ったのだ。永田町の権力抗争は、先の先を読むオセロゲームだ。小沢氏は院政ではない、参院を基盤にする参院政だ。(専門編集委員)
毎日新聞 2009年5月21日 東京夕刊
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