★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK61 > 618.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(回答先: 歴史に学べ!!裁判員制度―澪標 (みおつくし)(大阪日日新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 4 月 14 日 14:58:16)
http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/miotukusi/2009/01/miotukusi090120.html
澪標 ―みおつくし―
言語考古学・法制史研究家
寺脇 純一
2009/01/20
裁判員制度には憲法改正必要
昨年九月二十三日付「私の視点」で、裁判員法に基づく「裁判員の徴用」が奴隷(タコ部屋)的拘束ではないにしろ、現憲法第一八条の「苦役」に該当することを述べました。なお、米国も陪審員のように憲法で定める場合を除いては、不任意の労役を合衆国憲法で禁止しています。
今回は、もう一つの裁判員法の憲法上の問題点を述べます。
国民が裁判の分野に直接参加する方式には、選出された一般国民だけで審議する独立性の強い「陪審員制度」と裁判官とともに裁判に参加する「参審員(裁判員)制度」とに大別されます。
憲法第七六条第三項では「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律のみに拘束される」と規定しています。
この「裁判員制度」で、国民の中から選ばれた「非常勤の裁判所職員」である「裁判員」が裁判官と合同で審理し評決権まで行使することは、明らかにこの第七六条第三項に規定する裁判官の独立性を侵すことになると思います。
実は、明治憲法にはこの「独立してその職権を行い」のような規定はなかったのですが、大正デモクラシーの時代に、裁判官による裁判を国是とする憲法の趣旨から「参審員」制度が憲法に触れる恐れがあるとの理由で、裁判官からの独立性の強い「陪審法」(大正十二年四月制定)の方を選択したのです。
現憲法下では前述のような明確な規定があるので、「参審員(裁判員)制度」の憲法抵触の程度はさらに大きいといえます。
しかし、平成十六年五月「裁判員法」は、不思議なことに、ほぼ全党賛成で割とすんなり制定されました。選挙で「陪審・参審員制度」の是非(民意)を問うた国会議員も一人もいませんでした。
戦前の「陪審法」の場合は、護憲意識が高かった大正デモクラシーという時代背景もあり、司法の独立を侵すという意見の政治家が多く、多年の論議を重ねわが国独特の、言ってみれば裁判官優位の陪審制度に落ち着いたのです。
そして昭和三年から実施されましたが、昭和十八年「大東亜戦争終了後の再施行」を規定する戦時立法で陪審裁判の実施が停止されたのです。この戦後の再施行を予測し「裁判所法」第三条ではずっと陪審制度を認めていたのです。
▽自衛隊に徴用
この裁判員への徴用方法が憲法違反でないのなら、警察官や自衛官の志願者が減少した場合、必要人員充足のためと称して、法律(警察法や自衛隊法)だけを改正して、期限付きの選抜徴用ができることになります。政治家の皆さん、それで良いのでしょうか。
私は国民の司法参加に水を差すつもりはありませんが、憲法制定時の趣旨に反する裁判員制度を実施するなら、合衆国憲法に規定する「陪審裁判」のように、まず憲法に「裁判員条項」を設けてからにすべきだと思います。
(てらわき・じゅんいち 大阪市阿倍野区)
※昭和九年萬朝社発行『日本国民誌』の「陪審制度・司法省刑事局編」ほかを参考にしました。
<< 「澪標」トップページへ
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK61掲示板
フォローアップ: