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「ガダルカナル」化する特捜捜査(郷原 信郎)
http://www.asyura2.com/09/senkyo60/msg/347.html
投稿者 外野 日時 2009 年 3 月 17 日 08:11:58: XZP4hFjFHTtWY
 


 元東京地検特捜部出身の法律家が、今の東京地検特捜部の様態はガダルカナル戦の陸軍に、新聞・テレビの報道は──こちらは当時も今も変わらぬ皆様の──大本営発表によく似ていると語る、今回の「ダーティー・トリックス」の内容の理解に欠かせない記事。

 記事は全部で5ページあるので、続きはWebサイトのほうで読んでください。
 それにしても、新聞・テレビのなりふりかまわぬ悪質な情報操作、ブレーキのない列車のような「暴走」には驚きを禁じえない。小沢民主党が政権をとれば、世界に名だたる悪弊システムの「記者クラブ」でもなくなるのだろうか。それとも再販制度の見直しでもある?(小沢一郎氏は田中康夫元長野県知事のような脱「記者クラブ」派だというような記事も少し前にあったので…)
 「記者クラブ」がないと新聞・テレビは経営的に苦しくなるという(逆にいえば、それだけ新聞・テレビは官庁などにオンブにダッコされているわけだが)。インターネットが台頭する前からそう言われているのだ。そして、新聞・テレビは自らの利権のことになると暴力団顔負けの集団になるというようなことを、たしか前に新聞社出身である政治家の誰かが言っていた。
 フム…。いずれにしろ、驚くべき集団。


【ニュースを斬る】
「ガダルカナル」化する特捜捜査:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090315/189047/

2009年3月17日(火)
「ガダルカナル」化する特捜捜査
「大本営発表」に惑わされてはならない

* 郷原 信郎 【プロフィール】
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桐蔭横浜大学法科大学院教授
コンプライアンス研究センター長

郷原信郎 1955年島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事などを経て、2005年から現職。「不二家問題」(信頼回復対策会議議長)、「和歌山県談合事件」(公共調達検討委員会委員長)など、官庁や企業の不祥事に関与。主な著書に『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)のほか、不二家問題から事故米不正転売問題まで食品不祥事を幅広く取り上げた『食の不祥事を考える』(季刊コーポレートコンプライアンスVol.16)など。近著には『思考停止社会〜「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)がある
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 民主党小沢代表の公設第一秘書の大久保氏が東京地検特捜部に、政治資金規正法違反(政治資金収支報告書の虚偽記載罪)の容疑で逮捕されてからおよそ2週間。衆議院議員総選挙を控え、極めて重大な政治的影響が生じるこの時期に、比較的軽微な政治資金規正法違反の事件で強制捜査に着手した検察側の意図、捜査の実情、今後予想される展開が、おぼろげながら見えてきた。


捜査は当初から想定された展開ではない

 この時期に検察があえて強制捜査に着手したことについて、「国策捜査」などの見方もあったが、どうやら、今回の検察の強制捜査着手は、これ程までに大きな政治的影響が生じることを認識したうえで行われたのではなく、むしろ、検察側の政治的影響の「過小評価」が現在の混乱を招いているように思える。

 その推測の根拠は、今回の強制捜査着手後に、東京地検の特捜部以外の他の部のみならず、全国の地検から検事の応援派遣を受けて行われている事実だ(3月8日付毎日)。

 検事の異動の大半は、定期異動で行われる。全検事のうちの3分の1近くが一斉に異動する年度末を控えたこの時期、事件の引き継ぎの準備を行いながら、捜査・公判の日常業務を処理しなければならない全国の地検はただでさえ多忙だ。そのような時期の応援検事派遣には検察部内でも相当な抵抗があるはずである。

 ましてや、今年5月には裁判員制度の施行を控えており、検察は、この制度を円滑に立ち上げることに組織を挙げて取り組んできたはずだ。この時期、定期異動に伴う繁忙を克服して、裁判員制度開始に向けての総仕上げを行うことが、裁判員制度導入の中心となってきた樋渡利秋検事総長の下の検察にとって、何はさておいても優先させなければならない事柄だったはずだ。

 そのような時期に、今回の特捜捜査に大規模な戦力投入が行われていることで、検察の他の業務に重大な影響が生じていると思われる。特捜部が担当する脱税事件、証券関係の事件の捜査処理の遅延だけではなく、裁判員制度の対象となる一般刑事事件を扱う検察の現場も相当な影響を受けているであろう。

 今そういう事情がありながら、あえて応援検事派遣も含む捜査体制の増強を行ったのであれば、よほどの事情があるからであろう。それは、強制捜査に着手したところ、民主党サイドの猛反発、強烈な検察批判などによって、予想外に大きな政治的・社会的影響が生じてしまったことに驚愕し、批判をかわすため、泥縄式に捜査の戦線を拡大しているということではないか。当初から、他地検への応援要請が必要と考えていたのであれば、強制捜査着手を別の時期に設定していたはずだ。

 民主党サイドだけへの偏頗な捜査と言われないように自民党議員にも捜査対象を拡大させる一方、小沢氏側に対しても、何かもっと大きな容疑事実をあぶり出すか、秘書の逮捕事実が特に悪質であることを根拠づけることが不可欠となり、その捜査のために膨大な人員を投入しているというのが実情だろうと思われる。


「大本営発表」を垂れ流す新聞、テレビ

 では、このような東京地検特捜部の捜査は、果たしてうまくいくのであろうか。

 3月11日の記事でも述べたように、今回、逮捕容疑の政治資金規正法違反事件には、「寄附者」をどう認定するかという点に関して重大な問題がある。献金の名義とされた西松建設のOBが代表を務める政治団体の実体が全くないということでなければ、大久保容疑者が西松建設の資金による献金だと認識していても収支報告書の虚偽記載罪は成立しない。そして、政治団体には実体が存在するかどうか疑わしいものが無数に存在するのであり、新聞では報じられていないが、この政治団体には事務所も存在し、代表者のOBが常駐し、一応活動の実態もあったという情報もある。団体としての実体が全くなかったことの立証は容易ではなさそうだ。

 もちろん、資金の拠出者の企業名を隠して行われる政治献金が、政治資金の透明化という法の趣旨に反することは明らかだが、そのことと犯罪の成否とは別の問題だ。とりわけ、政治に関する事件の処罰は厳格な法解釈の制約内で行わなければ、検察の不当な政治介入を招くことになる。

 それに加え、自民党サイドへの捜査も、逮捕事実の悪質性を根拠づけるための捜査も順調に進んでいるとは到底思えない。特捜部の捜査は、戦略目的も定まらないまま、兵力を逐次投入して、米国軍の十字砲火の中に白兵銃剣突撃を繰り返して膨大な戦死者を出し、太平洋戦争の戦局悪化への転換点となったガダルカナル戦に似た様相を呈している。

 こうした状況の下で、新聞各紙は連日、1面トップで、今回の事件の捜査の展開や見通しを報じている。従来は、特捜事件に関する報道が「検察リーク」によるものと批判されてきたこともあって、記事は、「関係者によると」としたうえで、被疑者側の犯罪性や悪性に関する事実が述べられ、そこには「東京地検特捜部もこの事実を把握しているもよう」とつけ加えられるというのが、一つのお決まりのパターンだった。捜査機関側ではなく、被疑者側などの関係者への独自取材によって事実を把握し、その事実を捜査当局が把握していることも関係者側から聞いた、という前提の記事だ。被疑者側が自らに不利なことをベラベラしゃべり、また、それを特捜部側が把握していることまで教えてくれるということは考えにくいことだが、こうすれば一応外形的には「検察リーク」が否定できる。

 ところが、今回の事件の報道はやや雰囲気が異なる。新聞、テレビの特捜捜査報道では、「特捜部は…の調べを進めるとみられる」「特捜部は…と見ているもようだ」というような表現が目立つ。特捜部の捜査の意図・目的を推測しているような表現だが、何を根拠に推測しているのかはよく分からない。単なる憶測では記事にはならないはずであり、記事にするだけの根拠があるとすれば特捜部側に何らかの確認を取っていると考えるべきであろう。まさに「なりふり構わず」という感じで、検察当局側からの情報が垂れ流されているようだ。

 このような報道は、ある意味では捜査の動きを国民に伝えることにつながっていることも確かであり、捜査の動きが全く報じられないよりはましと言えなくもない。しかし、質問・疑問に答えることも、批判・反論を受けることもないという点では、捜査機関側の会見などの正式な広報対応に基づく報道とは決定的に異なる。当局にとって都合の良い情報だけが一方的に報じられるという点で、むしろ、戦時中の「大本営発表」とよく似ていると言うべきであろう。


捜査の現状と見通しを検証することが必要

 太平洋戦争中の日本では、連日、「大本営発表」によって、帝国陸海軍の戦果ばかりが報じられた。ミッドウェー海戦での海軍の大敗、ガダルカナル戦での陸軍の大敗を機に戦局が急速に悪化していることは全く報じられなかった。

 そして、大本営発表による華々しい戦果ばかりを聞かされていた日本の国民は、戦況を客観的に認識することもできず、「帝国陸海軍の不敗神話」を信じ破滅的な敗戦に巻き込まれていった。

 日本は、その敗戦から復興し、奇跡の経済成長を遂げ、世界第2位の経済大国となったが、昨年秋以来の未曽有の経済危機によって、経済の基盤が根底から揺らぐ深刻な事態に陥っている。そうした中で行われている今回の特捜捜査は、経済対策を主導すべき政治の世界を大混乱に陥れているだけでなく、バブル経済崩壊後の最安値を更新した証券市場の下落などの経済問題から国民の目をそらす結果にもなっている。

 政治の世界の透明化を目的とする政治資金規正法違反の事件の捜査を、重大な政治的影響を与えつつ行っているのだから、捜査機関の側にも可能な限り透明化、説明責任を果たすことが求められるのが当然だ。しかし、残念ながら、現在まで検察はその責任を全く果たしておらず、その代わりに行われているのが、捜査の成果を一方的に報じる「大本営発表」だ。そうであるのなら、その「大本営発表」を客観的に分析し、捜査の現状と見通しを可能な限り検証してみることが必要であろう。

 (続きはサイトで…)
 

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