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(回答先: 小沢発言をmilitary.comが報じる 【スパイク通信員の軍事評論】2009.02.26 投稿者 きすぐれ真一 日時 2009 年 3 月 14 日 11:44:08)
http://www.kamiura.com/new2_2k9.html
政府・自民党幹部 小沢代表批判相次ぐ
在日米軍削減論で
(毎日 2月27日 朝刊)
[概要]民主党の小沢代表が25日に記者団に対して、「米国のプレゼンスは必要だが、おおむね第7艦隊の存在で十分だ。日本の防衛に関することは日本が責任を果たせばいい」と述べた在日米軍削減論の発言をめぐって、26日、政府・自民党から批判が相次いだ。
麻生首相は記者団に一般論と断りつつも、「防衛に少なからぬ知識がある人は、そういう発言はされないんじゃないか」と強調。民主党の政権担当能力に疑問を投げかけた。河村官房長官も26日の記者会見で、「非現実的だ。政権交代を標ぼうする民主党代表の考えとしてはいかがか」と皮肉った。
自民党・町村前官房長官も26日の町村派総会で、「暴論以外の何ものでもない」と厳しく批判。自民党の伊吹元幹事長も「日本の軍事増強でカバーする発想なら、共産党や社民党がよく一緒に行動している」など、疑問を呈する声が続いた。
[コメント]今日の朝刊各紙で小沢氏の発言(この欄の2月25日の件)に対する自民党の批判を報じている。その各紙の記事を読んだ感想は、巌流島で佐々木小次郎と決闘した宮本武蔵の言葉を思い出した。刀の鞘(さや)を投げ捨てた小次郎に、武蔵が「小次郎、敗れたり」と叫んだあの言葉である。
昨日(26日)、小沢発言に批判を浴びせた自民党幹部の言葉に、武蔵の「自民党、敗れたり」という言葉が重なった。自民党幹部が米軍再編の意味をまったく理解していないからだ。明らかに小沢氏の論が日米の安全保障を知り尽くした軍事論を感じる。
小沢氏の発言は在日米軍の削減論ではない。米軍の兵器技術の進歩や戦略環境の変化で、もっとも効率的な運用に転換するための米軍再編なのである。陸軍・空軍・海兵隊を日本から撤退させることは、米国こそが日本に求めている21世紀型の戦略転換なのである。
そんなことも知らない自民党幹部の発言に唖然とした。自民党に正論を語れる軍師はいないのか。まさに責任政党として末期症状である。もう米ソ冷戦時代のカビ臭い思考では通用しない。
私は2日前のこの欄で、小沢氏のこの発言は民主党内の安全保障論を一本化できると書いたが、社民党や共産党も全否定は出来ない現実的な論理なのである。むちろん自衛隊員もこの小沢発言に好感を持つと思う。
自民党はなぜ小沢発言が在日米軍の削減案ではないのか、その辺りの基礎から軍事問題を勉強し直すことをお勧めする。また民主党内で安全保障通と自称する人も、なぜ自民党幹部の考えが通用しないか考えて欲しい。民主党内の安全保障論議で右だ左だと言うこと自体が間違いなのである。
冷戦時代ではあるまいし、日本の現実的な平和論に右や左はない。近い将来の日米安保同盟関係は、第7艦隊だけが日本に常駐配備される米軍体制しかないのだ。
2月28日
[コメント]「日本には第7艦隊以外に米軍のプレゼンスは必要ない」とした小沢氏の発言をめぐって、日本の防衛費が4〜5倍になるとか、小沢氏が自衛隊を巨大化させる確証という批判がでています。
これらは米軍再編の本質をしらない乱暴なデマです。そのことを本日の「メールにお返事」に書きました。もし小沢発言に関心のある方は、本日の「メールにお返事」をお読みください。
また、北朝鮮のミサイルを撃墜するという勇ましいことをいう人がいますが、日本が宣戦布告していない北朝鮮の人工衛星発射を、どの段階で、どのような理由で撃墜できるのか、そのあたりの説明をして欲しいと思います。(日本のMDでは撃墜できないという技術論ではありません)。
もし北朝鮮が日本(あるいはアメリカ)を狙ってミサイルを発射したという判断はどの段階ですると思いますか。
北朝鮮がたとえ人工衛星発射と強弁しても、北朝鮮の核実験再開と、核の運搬手段(弾道ミサイル)の発射を禁じた国連安保理決議1718(06年10月)に違反し、北朝鮮が国際社会から制裁を受けることは避けようがありません。
それ以上に、北朝鮮のミサイル発射を日本が撃墜できる根拠を教えてください。また、MDでは撃墜できないとなると、先制攻撃で北朝鮮のミサイル基地を日本が攻撃することも可能だと思っているのでしょうか。それをアメリカが許すのでしょうか。日本はいつからその様な乱暴な国になったのですか。
本日の「メールにお返事」2月28日
http://www.kamiura.com/mail.html
本当にお久しぶりです。軍事通信員のときはお世話になりました。元自衛官の意見というのは大事なものと考えていました。今こそ、自衛官の正直な意見を述べる時期だと思っています。
本日(28日)も朝刊各紙に小沢発言で政界が騒然という記事が掲載されています。その中で気になったのは、在日米軍(第7艦隊を除く)が日本から撤退すれば、日本の防衛費が急増すると書いていることです。
在日米軍が撤退すれば、単純にその役割を自衛隊が担うと考えての発想と思います。さらに米軍撤退で自衛隊が巨大化すると指摘する記事もあります。本当はその逆ですよ。軍事通を自称する新聞でも、そんな基礎的な間違いを平気でするのですから、ミサイル防衛(MD)で間違っていることに気がつかないのでしょう。
米軍が日本から撤退しても、米空軍は極東有事には、数日で日本に数百機の規模で緊急移駐してくる能力と体制を整えます。米陸軍もストライカー旅団のように空中機動部隊化して、短時間で緊急移駐してきます。これからは無駄な常駐体制をとる必要がないということと、逆に有事には強力な火力や機動力を持った部隊が投入できることになります。
自衛隊の役割は専守防衛に徹すれば、平時には緊急移駐してくる米軍の基地を整え、米軍と共同訓練の機会を増やし、兵器の互換性を高めておけば、日本有事の戦争抑止力は向上することになります。ですから防衛費は逆に今より削減することが可能になります。
これが現代の軍事常識で、米軍再編の狙いもここにあります。今回は日本の政界やメディアに軍事知識の欠如を感じるのは久しぶりです。おそらく98年に北朝鮮がテポドン1を発射(失敗)した時、日本の政界とメディアがバカ騒ぎをして北朝鮮を喜ばせた時以来です。
とにかく、在日米軍(第7艦隊を除く)が去れば、日本の防衛費が4〜5倍に膨らんで、自衛隊が巨大化するという様ないい加減ことは言わないで欲しいですね。これは健全な自衛隊に対する悪質なデマです。
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