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http://www.amakiblog.com/archives/2009/03/23/#001372
日米同盟の正体を明かした外務省OB 3月22日メルマガ第0113号要旨
驚愕の本がまたひとつ出た。元駐イラン大使であり現防衛大学校教授の孫崎享氏の手による「日米同盟の正体 迷走する安全保障」(講談社現代新書)という近刊書である。
この本の何が驚愕なのか。それは、日本を守ってくれているはずの日米安保体制(日米同盟)が、国民の知らない間に、完全に米国の戦争協力の道具に変えられてしまっている現実を白日の下にさらしたからだ。
この本の何が驚愕なのか。それは、国会承認条約である日米安保条約が、2005年10月29日の「日米同盟:未来のための変革と再編」という一片の行政合意で、いとも簡単に否定されてしまった事を国民に教えたからだ。法秩序の下克上だ。
この本の何が驚愕なのか。それはもはや米国にとっての唯一、最大の脅威は、中東の「テロ」であり、これからの日米同盟とは、米国の「テロ」との戦いに日本がどうやって協力させられていくかという事でしかない、その事を明らかにしたからだ。
この本を書いた孫崎氏はキャリア外交官として任期をまっとうした元外交官だ。国際情報局長という幹部職を経歴し、駐イラン大使を最後に退官した後は、防衛大学校へ天下って今日に至っている人物である。その経歴を考えるとまさしく権力側に身を置いて、権力側について飯を食ってきた要人である。日本政府の安全保障政策を担ってきた一人である。その彼が、日本の国是である日米安保体制の正体を明らかにし、もはや日米同盟は空洞化していると公に宣言したのだ。これを驚愕と言わずして何と言うのか。
おりしも今日3月23日の各紙は、22日に神奈川県横須賀市で開かれた防衛大学校の卒業式の模様を報じている。そこで麻生首相は、相も変わらず日米同盟の強化を訴えている。その光景を報じる写真の中に、あのブッシュの戦争を支持し、この国をブッシュの戦争に差し出し小泉元首相の姿がある。おまけに来年2010年には日米安保条約改定50周年記念を迎え、政府、外務省の手によって盛大な日米同盟万歳の合唱が繰り返されようとしている。
壮大な茶番劇である。この本をきっかけに、日米同盟見直しの論議が起こらないとウソだ。対米従属から永久に逃れられない。この国に将来はない。
■関連記事:<孫崎享著「日米同盟の正体」(講談社現代新書)を書評する>
(* 天木直人メルマガ有料―においてこの本の書評が書かれた。本の要旨のみ転載させていただく)
1.日米安保条約は、2005年10月29日の日米外務・国防大臣間の合意
(日米同盟:未来のための変革と再編)によってとって代わられた。しかし
政府・外務省は、国民には、何も変わらない、といい続けてきた。
2.日米同盟関係というが、実態は、守屋元防衛次官が認めているように、
米国が一方的に決めたものを日本が従うだけの関係である。そもそも自主、
自立した安全保障政策を持たない日本なのだから、「共通の戦略」などあろう
はずはない。米国の戦略に従うほかはない。
3.日本に国際貢献を求める米国の狙いは、政治的に受け入れやすいものから
はじめて、最後は軍事協力に行かざるをえない状況にもっていくことである。
PKOや人道支援、文民協力を言い出し始めたのはその戦略のあらわれだ。
4.日本人は安全保障問題を軍事的、戦略的に考える事ができないので、経済
を絡ませて説得すればいい、と米国は考えている。石油に依存する日本は中東
問題に貢献しなければならない、などというのがその好例である。
5.危険の分担は求める。しかし自立した抑止力は決して持たせない。これが
米国の一貫した対日安全保障政策である。
6.米国の重要な外交は謀略でつくりだされてきた。南北戦争も真珠湾攻撃も
9・11も、それをきっかけに国民を戦争に駆り立てる謀略だった。米国は
北方領土問題でみずからの立場をわざと曖昧にし、日本とロシアを永久に
争わせる、それが米国の戦略だった。
7.日米同盟を唱える者たちは、米国の戦略が正しいと思ってそう言っている
のではない。損得勘定で得だと考えたからだ。「議論で勝って(正しい政策を
主張して)、人事で飛ばされる」、それが組織で生き残る知恵だ。なんと
寂しいセリフだろう。
8.いまの米国の安全保障政策の要は中東政策である。その米国と軍事的一体化
を進める日米同盟強化が、国益なのか。日本国民のためなのか。
9.日本ではいま、ミサイル防衛が国防の柱になりつつある。しかしそれは有効
ではない。ミサイルが真に怖いのは核弾頭を搭載した場合である。
そしてそのミサイル攻撃に最も脆弱なのは日本なのだ。日本はミサイル戦争
をしてはならない国である。
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