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(回答先: 「神話・伝説」の中に…は見られぬ相撲の起源 投稿者 新世紀人 日時 2009 年 1 月 28 日 13:37:08)
http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~tsubota/shis/ss01.html
「相撲」起源?
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「すもう」は動詞「すまふ」の連用形「すまひ」が名詞化したものを元とする語で、いつしか転訛して「すまふ」→「すもう」になった。或は「何時の頃よりか動詞の形のまゝでスマフといひなされるに至つた」(一味清風)とも言う。彦山光三のように「「すまひ」が転訛して「すもう」になる場合の仮名書きは、音便の法則からして「すまう」が正しく「すまふ」は誤りである」という説もあるにはあるが、「すまふ」が主流で「すまう」とも書くというから、「すまひ」が転訛した際の表記は「すまふ」で発音が「すもう」、音が「すもう」であるから「すまう」と記しても通用した、というほどのことではないか。
「相撲」は「あいうつ」とでも訓むことになろう、格闘を意味する漢語である。その意味ゆえに、「すまひ」という訓を宛てられた。「すまひ」は他に「角力」「角抵」「角觝」があるが、「角」は「比べること・競うこと」、「抵・觝」は「うつこと・あたること・ふれること」を意味することから、「角力」は「力を比べること」、「角抵」「角觝」は「力や技を競うこと」を意味する語であり、格闘や技芸を普く指す漢語であった。彦山光三の言「「土ずまう」は、「角力」であつて、「相撲」ではない」(相撲道綜鑑)などは、世迷言であろう。また、「素舞」などの表記もあるが、音が同じであることから通用したものであろうと考えられる。
「相撲」の語がもともと「格闘」を意味する以上、相撲という語を用いて呼んでいる競技(「モンゴル相撲」など)は、現在我々が見ている「(日本の)相撲」とは同じからざることが多い(「モンゴル相撲」も「モンゴル式格闘技」というほどの意味)。抑々現在の相撲が確立したのも、無論世界各地の格闘技の形態が固まったのも、各々の文化圏における習俗によるところが大である。つまり偶然の作用といえる。だいたい、「格闘」つまり相手をひっ掴んで組み合う、若しくは倒すというのは、人間の本能であるというくらいでもあり、「此世に人間といふ横着者が二人以上対立した時が相撲の抑もの始まりならん」(一味清風)、つまり、何らかの対立(広く取って力の比較までも含めて良かろう)の決着をみるべく、人間の本能および身体機能に則って格闘を行うのは何ら不思議なことではなく、その格闘から発達を始めた「格闘競技」が世界中の至るところに自然発生的に多発するのも、寧ろ自然なことである。バビロニア・エジプト・中国などにおける出土品にも、「相撲」に似た格闘技のさまが描かれている。日本でも組み打ち姿の埴輪や土偶が見られる。世界のどこであれ同じ「人間」という動物が行う競技であるから、伝播・接触(融合)などを経ない相異なる格闘競技の間によく似た部分が見られても、全然おかしな話ではない。裏を返せば、表向きの競技形態が似ているからとて、「一方が他方の起源だ」という話にすぐさま持っていってしまうのは、あまりに早計であるということになる(格闘技術の系統分類は、まだ知見が少ないために、殆ど為されていないという)。また、競技者の恰好または所作、さらには「舞台装置」とも言うべき装飾が互いに似ている場合も、各々の文化が近い関係にあることによるのが普通であろう。現状において、「(日本の)相撲の起源」を辿ることは不可能事といえようし、まだ早いと言わざるを得ない。というよりも、「日本相撲発祥の地」などというものはないのだろう。時代を遡って(つまり、原型たる「格闘」に還元して)みると、「日本相撲」も何もなく、世界中いずこも同じ格闘になってしまうのだろうから。
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坪田 敦緒 / tsubota@ep.sci.hokudai.ac.jp
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