>>2 追記 新都銀行池袋支店の新支店長・沖野一郎(椎名桔平)はあいさつ回りで料亭の女将・奈美(芦名星)と知り合う。奈美は30そこそこながら立派な経営者で絶世の美女。おまけに未亡人だ。沖野はひと目で心を奪われる。奈美の期待に応えるべく、沖野は料亭増築に必要な融資をゴリ押しする。そして彼女の元に足しげく通い、次第に距離を縮めていく。 奈美との不倫関係が進展していく一方で、妻・蓉子(有森也実)との関係は冷え切っていた。蓉子の父親からは早く子どもを作れと矢のように催促されているが、日頃からの激務でそれもままならない。この状況には蓉子も心身ともに疲れていた。そんな家庭内のいざこざを振り払うように沖野はさらに奈美にのめり込んでいく。 ある日、沖野のもとに桑山(石黒賢)がやってきた。桑山は沖野と大学の同期だが新都銀行の常務。出世のために頭取の娘婿になりながらも女性の影が絶えず、沖野も幾度となく後処理に借り出されていた。そんな折、奈美が融資の相談に来たと報告が。桑山が彼女に興味を示したため、沖野は仕方なく奈美に桑山を引き合わせる。数日後、再び沖野のもとにやってきた桑山は奈美と3人で熱海へドライブに行こうともちかける。翌日、熱海の高級旅館にやってきた桑山は沖野の目の前で公然と奈美を口説き・・・。 それ以来、奈美は沖野の電話に出ず会うことも出来ない。そんな沖野に追い討ちをかけるように不幸が続く。妻・蓉子が救急車で運ばれ、自らも群馬の支店への異動辞令が出たのだ。異動は明らかに桑山による左遷だ。失意のどん底で沖野は伊牟田(笹野高史)という探偵や群馬で知り合った総会屋・福光(中尾彬)の手を借りて、桑山と奈美への復讐を誓う。 (公式HPより) では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
新都銀行の支店長である沖野は、料亭の女将・奈美と出会った。 その魅力の虜となった沖野は、奈美と不倫の関係となり、彼女の求めに応じ助力を惜しまなかった。 当然、妻である蓉子との関係は断絶状態に。 奈美に便宜を図り続ける沖野だったが、奈美と常務である桑山を引き合わせたことから状況が激変する。 桑山は奈美に興味を抱き、奈美もまた沖野を捨て、より大きな力を持つ桑山に乗り換えてしまう。 奈美を諦めきれない沖野は奈美に執着。 これに対し、桑山は沖野を左遷することで応じる。 桑山への復讐を胸に誓った沖野。 探偵の伊牟田に桑山と奈美の関係を調べさせる。 数日後、桑山たちの密会日時を記録した報告書が届けられる。 それはあまりに頻繁なものであった。 嫉妬に駆られた沖野は伊牟田に依頼し、証拠の写真を手に入れさせる。 その写真を持って、沖野は総会屋の重鎮・福光に掛け合う。 写真をネタに桑山を追い込むように依頼する沖野。 了承する福光だったが……。 後日、沖野は福光に呼びつけられる。 どうやら、怒っているようだ。 沖野を呼びつけた福光は、証拠資料がすべて捏造であったと主張。 沖野が伊牟田に騙されたのだと告げる。 さらに、このことで恥をかいたと謝罪と金を要求する。 伊牟田に騙されたと考えた沖野はこれに応じざるを得ない……。 「あの野郎、騙したな!!」 伊牟田への怒りを胸に探偵事務所へ駆け込む沖野。 だが、伊牟田は探偵を辞めていた。 怒りの矛先を失った沖野は虚脱する。 幾日か経過した。 ある晩、銀行の大口客である久保田の紹介で岩上仁吉と引き合わされた沖野。 岩上は暴力団の組長であった。 桑山から依頼を受けていた岩上は沖野に「これ以上、手を出さないように」と脅迫する。 これまた、沖野は応じざるを得なかった。 さらに幾日か経過して……ある日、沖野のもとへ伊牟田から手紙が届く。 どうやら、沖野が捜していたことを聞きつけ連絡を寄越したようだ。 探偵を辞めた伊牟田は中古車のセールスマンになっていた。 「騙された!!」との怒りを抱き、伊牟田を問い詰めた沖野。 だが、伊牟田は自身の調査が正確であることを主張。 福光が写真をネタに桑山から金を受け取り、寝返ったのだろうと語る。 伊牟田は桑山と奈美の不倫現場写真を他にも複数所持していた。 それは間違いなく、不倫の証拠である。 自身の調査が正確であったことを証明した伊牟田は、桑山の姦計により調査の正当性を汚されたと憤慨。 全力で沖野に協力することを約束する。 心強い味方を得た沖野。 その帰路、沖野は桑山の愛車を思い出す。 これを利用することを思いついた沖野。 桑山は88年式のジャガーを愛車としていた。 そして、伊牟田は中古車を商っている。 伊牟田の協力を得て、桑山のジャガーを同型の別の車にすり替え、窃盗罪の現行犯で逮捕されればどうなるか。 しかもそのとき、桑山の隣に奈美が乗っていれば……。 2人の不倫は露見し、これを皮切りに桑山の不正や奈美の脱税が明らかになるのではないか!! こうして、伊牟田の助力を得た沖野は桑山のジャガーを別の車とこっそり交換。 交換された車自体に盗難届を出しておいたことで、沖野の狙い通り桑山と奈美は窃盗罪で連行される。 だが……。 数日後、桑山は自身のオフィスで電話を架けていた。 「変な噂が立ちましたがね。所詮は噂ですから。車ですか?売ってしまったんですよ。いやぁ、またゴルフ行きましょう」 電話口の相手に笑いかける桑山、彼の地位は不動である。 奈美は奈美で新しいパトロンを見つけていた。 「国税の件は任せてくれたまえ」 口にする男は政務官であった。 彼らは何も変わらない。 沖野乾坤一擲の復讐は何も生まなかったのである。 沖野はと言えば、網走支店に飛ばされることになった。 明らかな報復人事であった―――エンド。 <感想> 原作は松本清張著『寒流』(新潮社刊『黒い画集』収録)。 過去記事にてネタバレ書評(レビュー)がありますね。 ・『寒流』(松本清張著、新潮社刊『黒い画集』収録)ネタバレ書評(レビュー) ラストと車交換の件以外は、割と原作に正確にドラマ化されていましたね。 それだけに、よもやラストに捻りを加えて来るとは思わなかった。 まさか、ここで「強者には結局、勝てない」との結論にするとは……虚しいなぁ。 原作ラストはやや現実味に欠け、すっきり解決したとは言えないものの、あそこで終わるから救われる点もあるのだし、この改変には批判的になるかなぁ……。 奈美はともかく、流石にあの状態から頭取の娘婿である桑山が無傷はあり得ないと思うのだが。 仮に地位は保たれたとしても、スキャンダルの影響は残ると思うけどなぁ。 反頭取派の人間も居るだろうし、これ幸いと頭取含む桑山の追い落としを謀ることもありそうだが。 リアル路線に拘ったのだろうか。 仮にリアル路線に拘るのならば、沖野は桑山に奈美の件で恩を着せるなり、それをネタに地位を要求する手もあった。 そうでなくとも、行内の反頭取派の人間に証拠を渡せばそれで良かった筈。 それが駄目でも、マスコミに匿名で証拠を送りつけることも出来た。 現に、作中で桑山は沖野に対し様々な手で圧力をかけている。 それだけ、沖野の存在を怖れていたことにも繋がる筈。 沖野は表に出る必要が無い。 ところが、あのラスト。 あれだけ自由に出来るのだったら、桑山は沖野に圧力をかける必要がないような……。 そこらは変えずに、ラストを変えるのは納得いかないなぁ。 もっとも、そこまで改変してしまうと原作を遥に逸脱してしまうワケだが……。 管理人は原作も合わなかったんだけど、ドラマ版も合わないなぁ。 どうにも、ラストの改変に納得出来ない。 改変と言えば、車の件もそうですね。 原作だと交換ではなく、奈美との逢瀬を終えた桑山に車で移動したと勘違いさせ別の車に乗せる方法でした。 今回よりはスマートだと思います。 流石に交換してしまうのはリスクが高いし、より犯罪性が高まるし。 原作だと、あくまで「勝手に置いておいた車がたまたま桑山の愛車とそっくりだったので勘違いした」と言い抜け出来る人間らしさを活かした方法でした。 やっぱり、原作の方法が優れているように思います。 成功する可能性もほどほどですが、失敗しても特に不安はないワケだし。 ドラマの方法は危険すぎます。 全般的に改変点には不満が残りました。 ただ、ドラマの持つ雰囲気自体はなかなかだったように思います。 キャストも良かった。 それにしても、石黒賢さんがあの役を演じるとは……。 「奥さん、寒いんです。奥さ〜〜〜ん」には衝撃を受けた。 土曜ワイド劇場「温泉(秘)大作戦(12)」の「財布」に続く衝撃でした。 2013年1月16日追記: 1日経過し冷静に振り返ってみて「本作は格差社会を描いた作品だったんだなぁ」と気付きました。 社会的地位の高い者たち「暖流」とそれ以外の「寒流」の対立だったのでしょうね。 それと幾つか疑問点があるように思います。 コメントにてご質問を頂いたこともあり、省略部分が原作から特に改変されていないこと前提で、疑問点を解消して行きたく思います。 Q1.誰が味方で誰が敵だったのか? A1.沖野側に伊牟田、桑山側に福光ですね。 原作では、福光に関して後に桑山に買収されていたことを明示する描写がありました。 確か、岩上を桑山に紹介したのが福光だった筈です。 「暖流」「寒流」でいえば分かり易いかも。 「暖流」が桑山、福光。 「寒流」が沖野、伊牟田。 Q2.桑山は何処まで知っていた? A2.伊牟田が沖野側である以上、窃盗罪に問う復讐の内容については桑山は何も知らないと考えられます。 だからこそ、罠に嵌ったのです。 Q3.じゃぁ、なんで桑山も奈美もピンピンしてるの? A3.これがドラマオリジナル要素。 原作は桑山たちが罠に嵌った時点で完結しています。 ここからは推測となりますが、おそらく政治力で事実を捻じ伏せたのでしょう。 ただ、これに対する不満点は前述の感想で述べた通り。 それと、原作とドラマ版では罠の内容が異なっています。 詳しくは感想にもある『寒流』ネタバレ書評(レビュー)をご覧ください。 Q4.ジャガーのキーはどうしたの?別物なんだからそもそも桑山は乗車出来ないのでは? A4.これこそ、原作とドラマ版で罠の内容を変更したことの弊害だと思うのですが。 これまた推測となりますが、桑山と奈美が料亭「諫早」での逢瀬中に隙を見て伊牟田がキーを摩り替えたのでしょう。 これでご納得頂けない場合ですが、おそらく触れてはいけないことなので触れないように。 本作はどちらかと言えば、厳密性よりも「暖流」「寒流」の人間模様を描くことに重きを置いた作品というポジションなのかもしれませんね。 http://mysterytuusinn.seesaa.net/article/308350615.html
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