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AXIOM80 の先駆けとなった英SOUNDSALES社のスピーカー
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/448.html
投稿者 中川隆 日時 2013 年 9 月 02 日 14:55:46: 3bF/xW6Ehzs4I
 

(回答先: ラジカセでクラシックを聴いている清貧の音楽ファンには音楽はわからない 投稿者 富山誠 日時 2013 年 6 月 20 日 20:12:07)

Soundsales スピーカー Goodmans AXIOM 80 似 25センチ


大変珍しい英国Soundsalesのスピーカーです。

50〜60年代くらいのものです。

写真にある通り特長的な構造のスピーカです。

Goodmans AXIOM80などに見られるようにコーン紙のエッジをベークの薄い板でサポートしています。

AXIOM80と異なるのはサポート板の数と固定方法です。 自転車のスポークの様にはられたベーク板は14枚でマグネットのセンターから突き出たロッドに固定されています。 ベークのサポートに若干の不均一性が有るようですが入手時からです。

センターのネジを緩めて調整可能かもしれませんが当方ではそのままで使用しましたが特に問題は無いようです。コーン紙のエッジはフレームには固定されていません。エッジ周りとフレームの間に布がはられています。

可動部直径24.5センチ、取り付け穴間隔28.7センチ。 実測DCRは13.3オームと13.0オームです。
http://aucview.aucfan.com/yahoo/140525939/


英SOUNDSALES社スピーカシステム 2013年05月16日

英SOUNDSALES社のスピーカを聴かずして、英国の音の何たるかを語ることなかれ。

 その音を一度でも聴いてしまったら、英国を代表するといわれる TANNOY や QUAD がポピュリズムの精神で製作されたものであり、深英国(英国人のこころの奥にある音楽への深い傾倒)とは縁遠いものであることをたちどころに理解させられます。

それほどの音が出るスピーカユニットなのです。

音楽へ食い込んでいき、その実像を目の当たりに顕してくれる作品であります。

 タフで狂喜を内に秘めたエンジニアにより作り上げられた傑作、それがSOUNDSALES社のデュアル・サスペンション・ユニットです。 

わが国ではこれまでほとんど知られることはありませんでした。 なぜならこのユニットのほとんどはボイスコイルの断線、あるいはコーン紙の破損などにより、まともに鳴ったのを聴いた方はそうはいないはずですから。


SOUNDSALES社の略歴

わかる範囲で書いてみます。 まず言っておかなければならないことは英国のオーディオ人たちは米国とは違い自分のことをアピールすることをしません。 そのために英国の技術者たちの顔ははっきり見えてはこないのです。 

1930年 R.N.ウェリントンにより設立、1935年より主にアンプリファイアなどの機材をB.B.Cに多数納入して業績を伸ばしていきます。 


SOUNDSALES社1956年のラインアップ


本品であるデュアル・サスペンション・ムーヴィングコイル・ユニットは1937年から開発されました。 同社のAZシリーズのアンプリファイアとシステムを組むことを前提とした音作りがなされ、1945年Phase Inverterキャビネットに収納されてロングセラーとなりました。

キャビネットは“Baffling Problem”(指向特性のアバレ)を解消すべく1945年に考案され、ユニット開口部に3本のイコライジング拡散フィンが取り付けられており周波数特性は30-13,000 c.p.s. でした。 

このモデルは1959年仕様よりステレオ対応となり、ユニット名もデュアル・サスペンション・オーディトリウム・ユニットと変更されました。 ユニットに見る外見上の違いは巨大なマグネットからポールピース型になったこと、アルミダイキャストシャシの径がわずかに縮小されたこと、コーン紙が軽量になったこと等。 

アンプリファイアのダンピングファクターが増大していったため旧型の大マグネットでは過制動による問題に対処し、音が詰まり気味になる問題を解消するために変更したのでしょう。 

もうひとつ紹介したいスピーカーシステムはSOUNDSALES社のフラッグシップモデルTRI-CHANNEL です。 

なかなかの意欲作です。 これも1937以来発案改良されてきたラビリンス型式の大型システムで、3台のデュアル・サスペンション・ユニットとツィータにはエレクトロスタティック式が採用されており周波数帯域は25-27,000 c.p.s、専用アンプリファイアとセットで発売されました。 

マルチアンプ方式に準ずる再生方式という凝りに凝ったシステムだけに、たとえ現存しているにしても発売当時の再生音にまで復帰させるレストアは困難を極めることになりましょう。

1960年代前半になると、オーディオ・レコード雑誌への広告も見かけられなくなり、新製品評なども途絶えていますので、SOUNDSALES社はその頃に活動を停止したと判断します。

http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/52055883.html


試聴と試作の繰り返し 2011年06月20日

工業製品としてスピーカーキャビネットを均一の品質で大量に生産するのと、町のキャビネット工場で寸法どおりに製造するのと、趣味性の高いものを1台1台意思をもって製作するのとでは、おのずと違う。

このところ英国製の趣味性の高いスピーカーユニットを取り付けたシステムを少しずつ作り出している。 ユニット自体凝りに凝った構造のものばかりで、もちろんメーカー推奨キャビネットなどは存在しない。 ユニットをにらみ、音を聴き込み、それから組み込むエンクロージャの構想を練っていく。
 
エンクロージャはぱっと見て、あ、これは、というものが、やはりいい音がする。

 カタチとしてのバランス、質感、品性などからくる見映え、立ち姿がすっとしているものが、良いということ。

英SOUND SALES社製のユニットでモノーラルシステムを試作している。

T氏がユニットを聴き、意思をもって板を選び、素材の秋冬、春夏の方向を見て、木口の角度を削り、ネジの材質とネジ頭の大きさと長さを選び、板を叩きながら組み上げていく。 出来上がる前からユニットが彼の頭のなかでは動作している。 出来上がったばかりのエンクロージャをT氏がオフィスに持ち込んだ時、素人の僕でさえ、『もう、鳴っている』と感じてしまう。

たった2個のユニットのために4つのエンクロージャに4個の異なるイコライザーを作る。 一見無駄なように見えて、実は僕等にとっては全然ムダではない。 聴きわけなけらなならないのは、ソノリティだから。 

真ん中の支柱からベークライトのカンチレバーが何本も出てコーン紙を支持しているエッジレススピーカーで、今回は1930年代製造の初期モデルを取り付けていろいろ始めて半年になる。 

見かけはAXIOM80の叔父さんのようでもあるが、ユニットを裸で聴いて、『タダモノでは無い』と直感したから、ここまで入れ込んで作っているのは確か。

ユニットそのものが持つエネルギー、周波数特性はもちろん、音色やボディと影の割合などが、ひとつひとつのユニットで性格が異なるので、それにあわせてエンクロージャをカスタマイズしていく。 今月に入って、スピーカーの前面に嵌め込むイコライザー(三本の縦方向の桟)をいろいろとやっている。 

T氏が作り、二人で聴き、率直に正直に意見を交換して、やり直す。 
それが今回で4回目のイコライザーになる。 

これが無いと、このユニットは音が拡散されてまとまらず、旨みがでないまま音を放り出している状態で聴くことになる。 もっとも、それでも、大概のスピーカーでは太刀打ちできない音質を具えているが。 

T氏が今回作ってきたものは、ユニット前面の音の飽和感が消えて音場が静かになって、音源に焦点が合い、音色をふんだんにまとって、スッと立ってに再生されている。 よりエロティックな音になってきている。 

イコライザーは音をコントロールしすぎてもいけないし、ユニットの素の音ばかりが透過されていてもいけない。 イコライザーをこしらえてきたT氏に、僕はこれまで3回ほど難癖をつけてきた。 その度にT氏は涼しい顔をして違うものをこしらえて持ってくる。 
『これで、キマリ』と僕は満足して言った。 そしたら、『まだ気に入らねえ』とT氏は5種類目のイコライザーを作るつもりで帰っていった。 思ったとおりに出来れば苦労はしない。 やり始めたら、気に入るまで、徹底的にやる。 出来上がってからが本番だ。

『職人は結果がすべて』というのがT氏の口癖。

PYE HF5/8 (5Watt EL90 Push pull) で試聴
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51901988.html


英SOUNDSALES社製モノーラルシステム試聴できます 2011年10月23日

モノーラルのレコードは英SOUNDSALES社のアンプリファイア(1950-3年製)とスピーカー(1930年代末製)の組み合わせで聴いて頂けるようになりました。

 皆様にモノーラルレコードに刻まれている音の色、ソノリティ、クオードでもタンノイでもない、レコードからスピーカーの先の空気まで反応していくブリティッシュサウンドが実感できます。

メインアンプはBBCでも使用されたもので、出力は10W足らず、出力管はMullard社製EL37。 
ネガティヴフィードバックはゼロ。 

ただ、この組み合わせのキモはなんといってもA-Z TONE COLOUR UNIT と刻まれたコントロールユニットでしょう。 

これのおかげで放送局の音に陥ることなく、情念の深い音でオフィスの空気を震わせてくれるのです。 

実はTONE COLOUR UNITの箱の中には真空管が1本もありません。 DECCA XMSはもちろん、TANNOY VARI‐TWIN はたまたSHURE M44 を接続してもらくらくとスピーカーを鳴らしてしまうのです。 

実は十数年前に英国の老コレクターから入手して、しばらくグレイリストを書くのに試聴用に使用していました。 情念、歌、心に触れる音の肌合い、そしてイマジネイション・・・。 随分といろんなことをレコードから教えてもらいました。 

ダイナミクスしか再生できない装置、原音再生をめざすのも良いでしょう。 
音楽を語れず、音ばかりが先行してしまうから、音のことしか語れない、そういう装置ではどうも、という方も中にはいらっしゃいましょう。 ソノリティ、トーンカラーが泉のように湧き出る再生装置。 そのひとつであるSOUNDSALES のシステムを一度聴きにお越しください。 スピーカーも絶好調です。

T氏が製作したキャビネットに収納された英Connoisseur社製プレイヤーでお聴きください。
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51948911.html


SOUNDSALESスピーカーシステム 2011年12月10日

英SOUNDSALES社製スピーカーシステム完成

RIMG0240前回のDUODE社製システム同様、T氏が一年近くかけて製作したキャビネットに組み込んだもので、内部は変則バスレフ、前面にデフューザーを取り付けている。 

底面裏側にも工夫があり、真ん中の四角い筒は回転させて響きを整えるようになっている(これが結構きくのです)。 

いずれにしろ、こうした英国製のスピーカーは、米国ユニットと違い、理論どおりに仕上げてもうまくいくわけがないのです。 試聴しながら、経験と推測で何度もやりなおしてやっと、透明感のある、バスレフの臭みのない、音楽の肌触りのする音がする。 


出てくる音楽は

SOUNDSALES社製アンプリファイアーと接続して、空気を自然に震わせて。

一つのスピーカーによるモノーラル再生は、こういう風に片隅に置くと、音場が自然に部屋を満たして拡がり、わざわざスピーカーを意識することなく音楽に入り込んでいける。 輻射熱であたたまるように。

気持ちがほぐれる音の肌触り。 

湧いてこぼれる音の色。

そろそろ集中とか定位とかから開放されたくなってきた方に。

TANNOYは英国風の音かもしれないが、これは英国の音。
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51965264.html


英SOUNDSALES社スピーカシステム 2 2013年05月18日

スピーカユニット仕様の変遷

SOUNDSALES社製造スピーカユニットはいまのところ確認できているのはデュアル・サスペンション・ユニットだけでした。 どうやらこの会社最初から最後までこのユニットをメインとして通していたようです。 

1937年より考案製造され1960年代前半まで製造ラインにあったとすれば、78回転時代からステレオ全盛期まで活躍していたわけですから、当然時代に従ってユニットの仕様は変わってきます。 

グレイにストックされているのは旧型(ムーヴィング・コイル 1939年頃製造)と後期型(オーディトリウム 1950年代末製造)であり、両者の音を聴き比べてみると同じ名称のユニットとは思えないほどに異なるのです。 

旧型の太くたくましい音、新型は軽さと明るい音色。 
聴くものを戸惑わせるほど違います。 

たしかに新型はステレオ再生を意識していますから、78回転様式の旧型と同じであっては困るのです。 たまたま旧型と新型があるので言えるわけですが、マグネットを比較するとその形式と大きさがあまりにも違いすぎるのです。 つまり、旧型から新型に至るまでの20年間あまりの間に数多くの中間ヴァージョンが製造されたのではないかと推測されます。 

また旧型に比べ新型はアルミ鋳物製フレームの外径寸法が約1cmほど小さくなるので旧型と新型を交換するときは取り付け穴を開け直さなければなりません。  
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/52055911.html


英SOUNDSALES社スピーカシステム 3 2013年05月20日

デュアル・サスペンション・ユニットの構造

ユニットの最大の特長は14本のベークライト板でコーン紙を支持しているところにあります。 

これはマグネットのセンター・ポールピースから伸びる長いボルトの先とコーン紙の間に渡されています。 
横から見てボルトを中心として二等辺三角形を二つ合わせた構造になっています。

 通常のスピーカユニットとは違い、布製エッジはコーン紙を支持する役目にはあらず、適当にコーン紙とフレームの間をふさいでいるだけなのです。 ボルトの先のナットを回してコーン紙のダンピングとボイスコイルのマグネットへの挿入深度をコントロールします。 

この技術力は大したものです。 何しろベークライト製の薄い板のテンションによりコーン紙をダンプしてエッジの代わりを果たしているのですから。 仮にこのうちの一本でも狂うと再生音に歪みが発生してしまいます。 それが70年以上たった今でも狂いがなく、妙なる音色で音楽を奏でているのです。 

コーン紙の基部は蝶ダンパーにより支持されています。 

もうお分かりとは思いますが、この構造はGOODMANS AXIOM80型の先駆けとなったデザインであり、このユニットが存在しなければAXIOM80があの形で登場したかどうか、はなはだ疑わしいのです。 わが国ではAXIOM80を独創的なユニットと賞讃されていますが、このユニットの存在が明らかになった今、その評価は改められなければなりません。
 
現在確認したコーン紙の種類は茶灰色ノンコルゲーション紙と赤茶色コルゲーション入り紙の2つがあります。 

赤灰色は太く厚いハーモニクスを有しボーカルのリアルさ人間臭さ濃厚さに優れ、赤茶色の方はより爽やかに伸びていますが音の厚みという面ではそれほど強調することはありませんし細部の分解能に優れています。 他にもヴァリエイションがあると思います、何しろ英国製ですから、ないはずが無いのです。 
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/52055916.html


英SOUNDSALES社スピーカシステム4 2013年05月24日

デュアル・サスペンション・ユニットの周波数レインジ

旧タイプ(ムーヴィング・コイル・ユニット型)は25‐13500 c.p.s
新タイプ(オーディトリウム・ユニット型)は30‐13500 c.p.s 

となっています。 しかし、この数値はそのまま受け止めてはいけません。 50年代英国製オーディオ機器のスペックには米国のスペックとは異なり、数値からは機器の再生能力が判断してはいけないのです。 

ではこの30‐13500という数値をどう読み解くのでしょう。 

今まで英国製ユニットをいろいろ扱った経験からして、この数値はたとえ多少の不具合があるエンクロージャに取り付けてもこのくらいの周波数は出ます、というSOUND SALES社の最低保証といえましょう。 しかし、実際に試聴してみると、高域不足は感じられません。 つまり、低域30c.p.s以下と高域13,500以上はユニットのユーザの腕次第だということです。 

ユニットが活きるか死ぬかは最終的にはユーザにかかって入るのです。 
なにもこのユニットに限ったことではなく、1960年以前に製造された英国製品というものは総じて性能を控えめに公表する傾向がありました。 英GRAMOPHONのオーディオ批評家はたとえ同じ性能であったとしても、米国製品は英国製品よりも30パーセント上乗せしている、と明言しているくらいです。 そして、これこそが英国ヴィンテージ時代の本質です。 

私たちはオーディオ製品とははじめから完成度が高くかつ量産されたものであると思い込んでいますが、この時代の英国製品は本質的に作品に近いものです。 つまり、私たちがこれまで抱いていた概念とは異なるモチベーションに従って彼らは製作に従事していたのです。 それゆえ1台1台個体差があっても気にしない、というより同じものを大量につくること自体が服に体を合わせるようなものであり、服は体に合わせて作るものだと、いうのが彼らの基本だった。 つまり、テイラーメイドです。 

個人個人が音楽再生において自らの願望を実現しようとするならば、製品を買って音較べをするよりも自分にあった音をあつらえるのが一番の近道である。 こうした思想があるから、英国製品の性能数値をあてにしてはならないのです。 

たしかに英国製品はひっきりなしに仕様が変更されるの常であり(作品であるなら当然)、同じものがそう多くはありませんし、またたくさんあっては作品とはいいづらくなります。 しかしこうして製作された作品たちは商品や製品には及びもつかない強力な音楽再生力と音楽含有量の多さを誇ります。 デュアル・サスペンションユニットもそうした資質を充分に備えているのです。
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/52056965.html

英SOUNDSALES社スピーカシステム5 2013年05月26日

デュアル・サスペンションユニット用エンクロージャ

デュアル・サスペンション・ユニットはその形からは想像できないほど再生音そのものには変な癖もピークもありません。 適当な箱に入れてもそれなりには鳴るのです。 

しかしこれではグレイの考えるニュー・ヴィンテージではありません。 
今までにない音を出すからニュー・ヴィンテージなのです。 
まずタタキ台として仮のエンクロージャを作り、このユニットがどんな性質を持っているのか確かめます。 

そこで1950年代SOUNDSALES社により製造されたPhase Inverterエンクロージャを参考にして試作品を作ってみました。 

実はこのエンクロージャでは新型ユニット(オーディウム型)の倍ほどエネルギーが強い旧型ユニット(ムーヴィングコイル型)には容積が小さすぎて内部の音圧に負けてしまうのは自明なので、大きめに作りバスレフ開口面積もやや広げてみることにして、試作エンクロージャの寸法はワーフェデール社創始者A.G.ブリッグス氏が設計したものを参考にしました。

最終的に完成したのはバスレフ型とラビリンス(音響迷路)型の二種類です。 

実はT氏は数十箇所に上る工夫をキャビネットに施しているのだけれど、それは作品を作り上げるためのノウハウであるため、割愛した。


下記(2011年12月)もご参照のほど。
英SOUNDSALES社スピーカシステム完成
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51965264.html


T氏製作エンクロージャ(左) 1959年製オリジナルエンクロージャ(右)

サランネットは半世紀経った今でも同じ材質(紙こより!!)、同じ織り方で英国で製造されているからすごい。
オリジナルは経年により茶色に変色している。
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/52057039.html

英SOUNDSALES社スピーカシステム6 2013年05月28日

専用エンクロージャの試聴

バスレフ型、ラビリンス型ともに半年がかりで仕上げ、その後のエイジング期間を取ったのですが、それでも塗装がしっかり乾き、本当の音が出るようになるにはもう一冬過ぎないと駄目でした。 試聴したのは作成後一年以上経ってからでした。 
ます、バスレス型の音の印象について。 

粘り強くタフな音が特徴であり、ドラマチックな表現に長けています。
 
しかし、どんなプログラムソースでも良く鳴るというわけではありません。 
ユニットそのものが深英国そのものの音を体現しているからでしょう。 

したがって反射神経的ジャズ再生は本質的に合いません。
 
またこのシステムはびっくりする再生をしたりもするのです。
たとえばエルヴィス。 『好きにならずにいられない』をかけると、ハワイの青空ではなく風荒れ狂うヒースの丘が出現する。 

はたまたフランス盤のボブ・ディランの『風に吹かれて』、歌い手の人間としての貧乏くささをイヤというほど露わにする。
 
そしてデル・モナコ、『誰も寝てはならぬ』を聴き給え。 
デュアル・サスペンション・ユニットはすさまじい表現力を発揮します。 
若き日のテノールが眼前で真っ赤な血を吐いてのけぞって歌っているのが見えています。 
リアルさ・生々しさのケタが違うのです。 様相ではなく本質が示されているからです。 
この音でこの声を一度でも聴いてしまったら、聴き手のこころに音楽の永遠がしっかりと刻印されます。 

オーケストラをかければハイファイ的な音はまず出てきません。
 
音楽そのものが顕されて、エンクロージャのイコライザフィンの効果で音の飛び具合が顕著であり、これまでのモノーラル再生音と著しく乖離しています。 

正面でなくとも横で聴いても良く、60cmでも6m離れても聴いても音質にそれほどの違いはないのです。 

たしかにこのシステム、多量の毒も含んでいます。 
オーディオ再生音におだやかななぐさみを求める方にはまず向きません。 
いま、ここで音楽と一緒に行きたい人のためのシステムなのでしょう。

今回出来上がったラビリンス(音響迷路)型エンクロージャはバスレフ型よりも低域レインジがわずかに広くとられており、マッシヴな迫力ではバスレフに劣りますが、そのかわり幅広くフラットな特性が得られました。 プログラムソースによってもポーク感がきわめて少ないのです。 

それゆえバスレフ型よりもおおらかで、ゆったりと聴くことが出来ます。 
ラビリンス型はリリカルなのです。 
それでも他のスピーカに較べると味の濃い音が出ます。 

ここまで書いてくると、このユニットの特長が見えてきます。 

デュアル・サスペンション・ユニットは音楽の魂を得ようとした人が、飽くなき美への衝動に突き動かされて生み出した作品なのです。 したがって気軽に英国的な音楽表現を楽しむならばタンノイやクオードを聴いている方がずっと良いのであり、このユニットは音楽の内にある何かを掴もうとする愛好家のためのものです。

 こうして聴いていても明日が無くても今この音と音楽があれば良いと思えてしまうから不思議なスピーカです。 

Dual Suspeinsion unit エンクロージャ(ラビリンス型)
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/52057064.html

英SOUNDSALES社スピーカシステム 7 2013年05月30日

サウンドセールス社のA‐Zアンプリファイアー

サウンドセールス社製A-Z(ADD ZEST)型アンプリファイアは英国オーディオに興味がある方であれば一度はその名を聞いたことがおありでしょう。でも、実物となると滅多にお目に掛れる代物ではありません。 ましてきちんと動作している品は皆無でしょう。 

78回転時代のものはその後LP時代に改造されてしまっていることが多く、物によってはもはや元の回路がどのようなものであったかわからなくなってしまっています。 それゆえオリジナルの姿をとどめているものは、たとえガラクタ同然でもかなり高価である。 

また、サウンドセールス社アンプリファイアはBBCに納入されたこともあるためか、ヨーロッパのヴィンテージマニアの間では取り合いになってはいますがこの様なことに騙されてはいけません。 およそプロ側が何かしら新しい機材を求める場合、ただ優秀だから求めるわけではない。 諸々のしがらみでもあるし、それなりの事情もあるからです。

 こうした都市伝説等に惑わされることなく、現物を聴いて自分にふさわしいかどうかを判断すれば良いのです。
 
どこに納入されようが、誰が使っていようがダメなものはダメ、良いものは良い。
紹介する品は、改造の危機を乗り越えて生き残ったたぐいまれな逸品です。 

LP時代最初期に作られたもので、LP用に改造する必要がなかったからです。 
当時のLPカートリッジは今日よりずっと出力が大きかった。 
従ってそのままではクリスタル型あるいはセラミック、よほどがんばってバリレラ型かDECCAのゲンコツぐらいしか使えません。 そこで無理を言ってシュアーM44が使えるくらいゲインを上げてもらいました。 

コントロールユニット部は、真空管を使っていない球無しプリです。
球を使わずどうしてゲインを稼ぐのか、さっぱり判りません。
 
パワーアンプ部はEL37無帰還プッシュプル、公称出力は12W。 

LPが登場した1948〜50年ごろに製作された品であると推測されますが、このくらい古いとさすがに一回のレストではなかなか直らない。 本品も何処にも不具合のない状態にするのに十数年の歳月と三度の長期間レストアを経ねばなりませんでした。 

仕上げに専用パネルを製作して取り付けてみると、低域が6㏈ほど上がってしまった。 
トーンコントロールではコントロール出来る範囲を超えている。
 
仕方なくレストアした方に尋ねてみた所、昔のアンプには良くあることで内部の部品がコントロールユニットのシャシーの自らの振動によって影響を受けリバーブがかかったようになってしまうのだそうです。 

そこでコントロールユニットを空中に浮かしてみたら、というアイデアが浮かびました。 
取付けボルトを金属ではなく、プラスティック製のものに変え、さらにコイルバネとゴムで極力パネルから振動アイソレートすることにしました。 こうなるとどうしてもコントロールユニットの重みに耐えられない。 そこでコトロールユニット底部に5mm厚のゴム板をかませてみました。 コイルバネのテンションとゴム厚を調整して裸の状態に近いところまでもっていくことが出来ました。

A-Z Amplifier + Dual Suspension Moving Coil unit in Phase Invertor Systemの試聴

A-Z型の特長である無帰還アンプのダンピングファクターによらない伸び伸びとした音が出てきました。 ゆったりした堂々たる音の中にきびきびとした反応力を示します。 

バスレフ型エンクロジャーシステムはすでにコニサーの手元に売れておりますが、あとに完成したラビリンス型のものはオフィスにありますので、今でしたら試聴していただけます。 これをトルクの強力な英GOODSELL社製MA20型アンプで鳴らしても何の破綻もきたさない。 

これが意味する所は使用しているプレイヤーがThorens TD124EmporiumとConnoisseur Type-Aであることです。 

つまりデュアル・サスペンション・ユニットを充分反応させるには何より特上のレコードプレイヤーが最低必要条件なのです。 その他の品となると、これはもうCollaro社製デッキしかない。 

カートリッジは標準的にはシュアーM44ですが、TANNOY社製Vari-Twinも良い結果が得られましたし、Pierre Clement社EB25またはL7Bも申し分ありません。 

ただしTANNOYの場合TD124とType-Aとでは正反対の音になる。 
TD124では音は明確さを保ちながら音色がコントロールされて出てきます。

 Connoisseur Type-Aは、まず音色が先に出て、音の構成感は明確に示されない。 音の姿を現したと同時にすぐに他の音へすり替わってしまうからです。


以前書いた印象も参照のこと

英SOUNDSALES社製モノーラルシステム試聴できます
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51948911.html

http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/52057447.html

英SOUNDSALES社スピーカシステム 最終回 2013年06月02日

サウンドセールス社がやりたかったこと

サウンドセールス社の製品(作品と言い変えたほうが良い)、1950年代の中ごろまでの品は一般庶民が所有できるものではありませんでした。 それなりの身分の人が持つことを許される品。  そう感じられる音なのです。 

しかもかなり変態な音なのです。 
堂々たる変態、音楽には正論など存在しないと宣言しているようです。

SOUNDSALES社の装置から再生される変態の音が紛れもなく高貴な響きで空間に散らばって行く。 

誰も寝てはならぬ、ではなく寝ている場合ではないのです。
 
今ここでこの音を聴いている時こそお前が本当に生きている証であると宣言している様な音である。 堂々たる高貴な音であり、それゆえ私はサウンドセールス社のデュアル・サスペンションユニットを英国のプリンスとこころでは呼んでいるのです。 

レコードから常に現在を引き出す、それこそがサウンドセールス社の本質ではないかと、考えているのです。 


SOUNDSALES Phase Invertor キャビネット(バスレフ)
SOUNDSALES Phase Invertor キャビネット(ラビリンス)
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/52057448.html
 

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