「マランツ#7型プリアンプの製作(1)〜(3)」(「ラジオ技術」1998年/11月、12月、翌年1月)氏家高明やまちゃんのオーディオブログ マニアなら知っておきたいオーディオ雑誌のお宝記事6 ネガティブフィードバック(NF)を用いたアンプ 投稿日:2015年2月12日 更新日:2017年10月15日 http://www.audio-blog.jp/2015/02/12/audio-magazine-part6/ 対象とすると、スピーカのコーンの動きを制御対象にするか(モーションフィードバック)、その前のアンプの出力を制御対象にするかは、さておき、 まずそもそも、
@入力信号の出力電圧レベルと、帰還信号のレベルを合わせないといけないし、 (それにより、初めて制御といえるものになる。) Aそれだけではなまくらで、応答が非常に遅い制御系となるので、 速度フィードバックなどを加える。 それにより初めて、まともにネガティブフィードバックが機能し始める。 だから、「化粧程度に6dbネガティブフィードバックをかけました」という記事を見ると、違和感を感じる。 「耳派」を歌うライターの先生方からすると、いくら試行錯誤して部品定数を変えても、 そういう理論がなしにして、ネガティブフィードバックがよくないという結論以外にたどりつけないだろうし、ネガティブフィードバックのアンプがもっさりしていて当たり前ではないか、思えてくる。 上記の通り、ネガティブフィードバックを理論的に、解析した記事は少なく、 電源を合わせて、球を変えて、作ってみましたという記事が多いが、 ラジオ技術の、氏家高明先生、D-NFBの野呂真一先生と、石塚俊先生の記事は、非常に精神性あふれる記事で役に立つように思う。 氏家先生は、マランツ#7について詳細に解説されている(あくまで感覚的にではあるが)。 先生の言う、「内部が半分ポジティブフィードバックがかかり、発振前の緊張した状態で、反応が速い」というのは、ようするに制御対象が不安定系で(例えば戦闘機のように尾翼が下にあり、俊敏な制御がしやすい) しっかり制御がかかり、即応性がよいということなのだろうと推測する。 また、管球王国のウェスタン91Bのアンプの完全コピーの記事には、「ぷりぷりしたエナジー」とある。91Bには、20dB以上のネガティブフィードバックがかかっているが、要するに立ち上がりが速くないと、ぷりぷりしたようにはなりえない。 というわけで、ネガティブフィードバックについては、以下の記事を読んでおくべきだと思う。 @「マランツ#7型プリアンプの製作(1)〜(3)」(「ラジオ技術」1998年/11月、12月、翌年1月)氏家高明 ・マランツ7の精神性を理解したうえで、肝となるフォノイコライザ部分の完全コピーの方法が説明されている。お勧め! ・フォノアンプのイコライザや、cd用のプリアンプに使える。 ・なお、回路定数の1つについては、後の記事で訂正されている。 A「高帰還300Bシングルアンプの製作(1)〜(3)」(「ラジオ技術」1999年/4月、5月、6月)氏家高明 ・本家、本来の3段の91Bアンプについて解説されている。 B「管球アンプキットを組む愉しみ W.S.I91type」(管球王国vol22 2001年秋) ・巷の2段増幅ではなくて、本家、本来の3段の91Bアンプを完全にコピーするべく挑むもので、ウェスタンの流儀について解説がある。配線の仕方も、忠実にコピー。 B−2「WE-91Bパワー・アンプの製作」(「ラジオ技術」2001年7月)新 忠篤 ・本家、本来の3段の91Bアンプ、多大なブリーダ電流を流す点も、回路図上の忠実なコピー。 ・配線の仕方は、コピーされていない。 C「D−NFB(NFB for Distortion only)の実験-6GB8(S)で1/400の低減率を達成!!」(「ラジオ技術」2000年/7月p44)野呂伸一 ・ポジティブフィードバックを使って、ひずみを劇的に減少する。 ・ただ単にひずみ低減というのではなくて、「透明感とハイスピード感」という記事内容に着目したい。 D「40KG6ASEPP OTLによるD−NFB実用アンプの製作」(「ラジオ技術」2001年/10月p42)野呂伸一 ・上記Cの応用記事。 Eその他、無線と実験の松並先生の記事で、 「ネガティブフィードバックの量を変えると、目を見張るような変化がある」。 ラジオ技術の新先生の記事で「ボジティブフィードバックを入れると活き活きする」というのがあったが、いつの号だったかは忘れた。 http://www.audio-blog.jp/2015/02/12/audio-magazine-part6/ ▲△▽▼ 氏家式マランツ#7(イコライザ部分)ほぼ完成! 投稿日:2015年8月24日 更新日:2019年5月4日 https://www.audio-blog.jp/2015/08/24/making-marantz7s-equalizer-part-uzike-method/ 念願かなって、ようやく氏家式マランツ#7を作りました。 2度目のチャレンジです。1度目は、材料の曲げ加工などで疲れてしまい、いつの間にかやる気を失っていました。今はなきタンゴトランスは長らく使わずにしまっていました。 PA0_0020.JPG PA0_0023.JPG このアンプは、プリアンプでして、過去記事の「マニアなら知っておきたいオーディオ雑誌のお宝記事6 ネガティブフィードバック(NF)を用いたアンプ」でご紹介した「ラジオ技術」1998年/11月、12月、翌年1月)氏家高明先生の記事に基づいて作りました。 イコライザ部分にネガティブフィードバックに特徴があり、高度な回路技術により、過渡応答の追従性能が高いアンプとされています。 <2015年9月2日追記> 上の図では、ネガティブフィードバックの配線を忘れていました。 150902_0027~01.jpg 主要部品は、すでに持っているトランスと真空管を除き2万円3万5千円程度でした。過去記事の「部品購入サイトの部品のセットを記録し、再現する方法」をフル活用して、慎重に2つのサイトで注文しました 。 しかし、主要部品は、2万といえども、やれ穴開け加工だとか、工具だとか配線とか、足場のラグとかを追加購入し、また、ホームセンターを5回以上通って制作したので、かなりの道具代などを追加で使ってしまいました。 また、温度調整機能付きはんだコテを買い、過去記事の「単線の配線材を試す。ウェスタン電話線、銀メッキ1.0mm単線ジュンフロン、47研究所0.4mm 単線」で紹介した、銀メッキ線を100m大人買いをしてしまいました。 <9月2日追記> 最初の発注による購入は、慎重に慎重を重ね2万円ほどでしたが、追加した手持ちの22000μFのコンデンサ、シールド線、エンパイヤチューブ、配線材、足場のラグ、無線と実験で音のよいとされたはんだ、電源フィルタのコイル芯、WAGOの接続端子、ホールソー、ドリル等の加工工具などなどの追加を考えると、到底2万ではできませんでした。また、サブ基板の9ピン周り、入出力線のシールド線の処理などは、かなりの手間でしたから、2万円で入手できるわけではありません。 シャーシーを加工中に気付いたのですが、誤って、上下逆向きになってしまいました。 PA0_0022.JPG 誤りに気付いた時には、かなりのショックでしたが、 箱は市販品を用いたので氏家先生のものと違い、底が開くタイプではなく、この配置のほうが部品に手が届きやすいのではないか、記事の中で徹底コピーを奨励する氏家先生でしたが逆向けでも、コピーの内容は同じではないかと気を取り直して、そのまま続行することにしました。機械加工で後戻りするのは、もう気力が残っていません。 当方のアンプは、アンプのサブブロックは、部品は異なれど実体配線図通りに作りました。 PA0_0021.JPG ただし、アンプのサブブロックは、以下の点が氏家式オリジナルと違います。 氏家式マランツ7は、リケンの抵抗、ASCのフィルムコン、電界コンはチュウブラですが、 当方は、リケンの抵抗がもうすでになく高いということから、管球王国で高評価だったタクマンの音響用抵抗を使いました。酸金を主体に数値がない場合にはカーボンを使いました。プレート抵抗などは、カーボンのワット数が大きいものを使いました。音決めの出力段の510Ωは、巻線抵抗が勧められていますが、ここもカーボンのワット数が大きいものを使いました。フィルムはASCですが、250μfの電解コンは、アトムにしました。また、チューブラの電解コンの一部は、せんごくさんで入手した東信の音響用のチューブラでないものを使っています。 さらに、後に真空管v1のアースは、直接B電源へ返すように短絡する改造をしました。 電源はオリジナルがセレンの半波整流、氏家先生のものが「オリジナルに執着しません」とあり、オリジナリティがある程度認められると判断して、少々のデフォルメを行いました。PA0_0016.JPGPA0_0015.JPG 電源基板の表側には、主にB電源を、裏側には、主にフィラメント電源を配置しました。 氏家式マランツ7では、フィラメント電源、B電源ともに、ニチコンの高価なCEW?(4、5千円)が使われていますが、コストダウンのため、基板用部品を使いました。フィラメント電源には、とくに信頼性が高い長寿命の、前身がOSコンのサンコン製(「おやぢラボ オーディオ製作記」に詳しい)。なお、後でフィラメント電源には、CEWを追加しました(後に述)。また、B電源用には600V5Aのローム製SICのダイオードを2つ直列で使いました。 それから、B電源は回路や実態配線図をなるべく踏襲し、Cもほぼ回路図通りとしましたが、まず、チューブラはネット上でウニコンはいまいちと調べ、22μはF&T、33μはRUBY GOLDを使いました。B、フィラメント電源とも「「自作コイルによる音質の改善」(「無線と実験」2013年/3月p65 沼口眞一)鉛筆に銅線を巻きつけた、空芯式のチョークインプット(沼口式チョーク)を採用しました(過去記事「マニアなら知っておきたいオーディオ雑誌のお宝記事1 簡易定インピーダンスアッテネータ ノイズ対策」)。 それから、電源としては、「@「バイボーラトランジスタの使い方を考える」という一連の記事」(過去記事「マニアなら知っておきたいオーディオ雑誌のお宝記事8 トランスの作り方」参照。)の石塚俊先生の一連の記事から、@両波整流の電圧を同じにするべく、抵抗を入れる、Aブリーダを91Bにならって、必要電流の1/3流す を実践しました。Bには、必要電流の10倍の10mAを流すべく、部リーダ抵抗は43kとし、フィラメントは、18.3vに70Ω程度のブリーダ抵抗を突っ込んでいます。そのため電圧調整のためにR005はΩ数を下げました。 さらに、AC電源としては、(「無線と実験」2013年3月号p50〜「音で判別するノイズ対策」安井章)に掲載の安井式の音響用電源フィルタを入れました。 PA0_0017.JPG また、配線材としては、銀メッキ1.0mm単線ジュンフロンを使い、その上にエンパイヤチューブをかぶせて色分けをしました。4色程度しか市販されていないので、電圧に応じて深い色とし、赤はB、緑は、V1、V2のB、黄色がフィラメントとしました。このアンプでは、この配線材の音が色濃く出ているようにも思います。 さらに、電源基板を容易に外せるよう、WAGO(露光機の検討、「fppr感光剤による露光の準備の検討4 露光機の検討の続き」で使った)の2端子を使った。PA0_0018.JPG さらに、出力インピーダンスは、50k以上にすべきとなっており、 しょうがないので、手持ちのコーアのSPR(「koaの抵抗のSPR5は、最高だ!」)の43kを出力に直列して付けました。 <2015年9月2日追記> ちなみに、ノイズ対策の途中で、パワーアンプの入力インピーダンス(プリアンプに負荷すべき出力インピーダンス43k)が高く、ノイズの影響を問題視して、氏家先生の記事を当たったところ、 氏家先生のその一連の記事では、 そのイコライザアンプに好適なコントロールアンプも発表されており、 その記事を見ると、50kΩの固定抵抗と、100kΩのボリュームとが、 負荷として直列に配列されていることに気付きました。 真空管は、v1、v2がフィリップスの高信頼管、V3がソブテックの12AX7WXTです。 以上を前提に、音を聞くと、 一言で言うと、強靭で迫力があり、低域が非常に重く低く、分厚いサウンドですね。 オーケストラなどが素晴らしいです。 強靭というためには、過渡応答が素早くないとできないはずです。 当初は分厚すぎて、音像が拡大しているのか、もっと解像度がほしいと思いましたが、 パワーアンプだけに戻すと、透明だけど薄いと思える。 聞きこんでいくと、ラッパなどが非常に実体感を帯びて聞こえる。 高域はこの抵抗の直列のせいか、パワーアンプの入力トランスとの整合か、 低域の迫力が大きいからなのか、よくわかりませんが、 早めにロールオフしているというようにも思え、聞くに堪えなかったバイオリン協奏曲などが聞きやすくなりました。 <2015年9月2日追記> 上の図では、ネガティブフィードバックの配線を追加すると、 ノイズもかなり削減され、周波数帯域が広がり、音像の拡大は少し減り、 しかし、速度の速い様子は変わりませんでした。 以前ノンネガティブフィードバックの状態で速度が遅くないと感じたのも、 パワーアンプのせいかもしれません。 次は、この氏家式マランツ7につき、 当初50mAもあったノイズを、2mAへ修正していった、調整過程を 説明しようと思います。 https://www.audio-blog.jp/2015/08/24/making-marantz7s-equalizer-part-uzike-method/ ▲△▽▼ 氏家式マランツ#7アンプにつき、トランスについて補足 投稿日:2015年8月25日 更新日:2019年5月4日 https://www.audio-blog.jp/2015/08/25/explaining-trans-of-marantz7-uzike-method/ 氏家式マランツ#7アンプ(過去記事の「氏家式マランツ#7(イコライザ部分)ほぼ完成!」)につき、トランスについて補足すると、 氏家先生のマランツ7の記事では、今は亡きタンゴトランスのEV−3Sを使っていますが、 代替品としては、橋本トランスのPT−60というのがあります。 電圧もすべて同じですが、(製作に関係がない巻線の5V(EV−3S)が、橋本トランスでは6.3Vとなっています。訂正します。) 15vの巻線はタンゴトランスが1.5A、橋本トランスが2Aなので、 フィラメント電圧を調整する必要が出てくるかもしれません。コンデンサ間の10Ωの抵抗の値です。 その他、春日変圧器さんへ特注する手もあります。その方が安いかもしれません。 特注する場合には、トランスの「最大容量」の半分のみしか使えないと心得てください。30wの電力が必要なら、60wクラスのトランスが必要になります。過去記事の「マニアなら知っておきたいオーディオ雑誌のお宝記事8 トランスの作り方」にあるラジオ技術の石塚俊先生の一連の記事は、電源に関して造詣が深く、電源については、全部読んでおくべきですね。そこでは繰り返し「まず電源トランスの磁束密度を下げろ」というのが出てきます。そのためには、より大きい容量のトランスを使えということです。これにより、鉄くさい、なまった音を回避できるということです。 それから、石塚先生は、「両派整流やppトランスの巻線を厳密にそろえるべき」とも繰り返しおっしゃっていますね。その巻線のバランスも、ラジオ技術を見て、特注してもいいかもしれません。その他、「イシノラボどっとこむ」さんの「店長のブログ」の「新開発“Xカレント回路”とは!(詳細説明)」に、リップル分とスピーカからのリターン電流で、混変調現象を起こすとあり、その辺も電源の考え方につき参考になりますね。 さらに、フィラメントの15v巻線をもう少し高くして特注すると、後で、定電流回路を仕込むことが出来ます(後述のとおり5V巻線を直列して利用できます。)。石塚先生によると、「ラジオ技術」2010年8月p117「球アンプは定電流点火すべし」などによると、「真空管の個性はエミッションの揺れの個性であり、フィラメントは定電流点火がよく、定電圧点火はだめ、定電流にすると6CA7が、音の純度が高い古典管のようになる、現在の球は、ダルエミッタさえ使っていないので、ノイズが大きいが、定電流点火によるとエミッションの揺れの個性を抑えられる」という趣旨ですから、大電流を流せる「Nチャンネル JFETトランジスタ, 500 mA, 3-pin TO-92」RS品番 806-1747((J105、フェアチャイルド製))等を使って、定電流点火するのが、音質向上の選択肢になりますが、後々の課題ですね。jFETは、電流ノイズが小さい特性があります。 それから、トランスの大きさも、EV−3Sとは異なるので、注意が必要です。 私は、タカチのCU−16Nを使いましたが、もしかすると入らないかもしれません。 ちなみに、EV−3Sは、内部をあけると、シリコンか蝋のような半透明の樹脂で固められていました。 上記JFET(J105、フェアチャイルド製)の定電流点火について、さらに調べました。 まず、上記5v巻線は余りで使いませんから、 特注しなくても、直列の巻線にすれば、JFETの電圧降下分を賄えます。 12AX7は、フィラメントの中点に端子があり、 その中点から電流を流すとパラレルとなり300mA、6.3Vです。 直列すると、12.6V、150mAとなります。 上記JFETでは、VGS=−0.5vのとき、 VDS>4.5Vで、300mAほぼ一定の電流がなかれますから、 0.5/0.3=5/3Ω(0.15w)の抵抗をぶら下げると, つまり5Ωを3本並列につなげると、定電流回路の完成です。 jfet.jpg <9月2日訂正>回路図は、抵抗の定数以外はあっているのですが、 特性シートが新旧2つあるようで、 入手して実測してみると、旧版は実質とあっていないように思え、 新版の左の図がある程度あっているようにも思えます。 放熱板がない場合には、許容されるプレート損失が0.625Wしかないので、 300mAも流すと、燃えてしまいますので危険です。 実際150mA流して、じりじり〜〜と燃えてしまいました。
また、特性図からすると、VGSを-1.2v程度に調整すれば、 <9月2日訂正>VDG=7V、VGS=−3.6〜3.8V、RGS=27〜30Ωとすれば、 150mA流れるようですから、JFETを2本パラレル用意して、 それぞれ定電流とすることも可能です。 その場合、上記抵抗は、1.2/0.15=8Ω27Ω程度へ変更することとなります。 なお、以上は計算上にすぎず、 必ずダミー抵抗などで、定電流特性を確認してからにしてください。 また、計算や接続に誤りがあるかもしれません。 <9月2日訂正> 実測してみると、VDG=7V前後、VGS=−3.6〜3.8V、RGS=27〜30Ωとすれば、 VDS=3.4V前後となり、150mA程度流せます。 温度によっても変わるので、放熱板など、さらに調整が必要です。 5V巻線を直列にすれば、+7V程度となる予定です。 定電流の特性がよいかどうかも、VGSに掛ける電圧と、抵抗値とに関係します。 12AX7の片側は、42Ω(=6.3V/0.15mA)ですから、 43Ωを3個直列して、129Ωとし、それに適切な高抵抗6.2kΩを直列して126Ωとし、 ダミー抵抗とすることを考えています。 https://www.audio-blog.jp/2015/08/25/explaining-trans-of-marantz7-uzike-method/ ▲△▽▼ 氏家式マランツ#7、真空管アンプの調整 投稿日:2015年8月25日 更新日:2019年5月4日 https://www.audio-blog.jp/2015/08/25/marantz7-by-uzike-method-adjustment-of-triode-amplifier/ まず、前回の記事に追記しましたので、それをご覧ください。 5V巻線を利用し、直列にすれば、特注しなくても、定電流回路を構成可能です。 今日の本題に入ります。 真空管アンプの調整は、以下のとおりします。 1.まずフィラメント、B電源とも、トランスへは接続するものの、 アンプの信号回路へは接続せず、電圧を測定する。 このとき、電源回路のほうにブリーダ抵抗を接続していないと、 電荷がコンデンサへ残ってしまい、放電するには火花が散ることになるので、 必ずブリーダ抵抗で、電源オフとともに、電荷を流す。 そのために、ブリーダ抵抗は、必ず電源回路ブロックのほうに設ける。 2.次に、フィラメントだけを点火すべく、 フィラメント電源だけをアンプブロックへ接続し、 フィラメントの確認をするとともに、フィラメントの電圧を測定する。 ここで、今回のマランツ7アンプでは、いきなりトラブル発生!! いったんは電源ランプがともるものの、数秒後ヒューズが飛ぶ(汗汗;)。2回やったが同じ。 ブリーダ抵抗に流れる電流が大きかったのかと考え、 とりあえず、B電源をトランスから外し、B電源の電圧を0にしてみると、 真空管3つのうち、2つしか点灯しない。 そこで確認すると、フィラメントの配線が間違っていました。 氏家先生の記事では、12AX7の9ピンのうち、 9ピンが省略されている実体配線図があり、 9ピンから数えると、1つずれてしまうのですね。この辺は注意が必要です。 ピン番号のいくつかを、ソケットにマジックで書いておくべきですし、 実体配線図にも、誤りを防ぐべく、追記しておくべきです。 以上の通り、真空管にB電源を通さず、試したので、 安全を期することが出来、よかったです。 3.次にフィラメントの電圧を測定します。 設定すべきフィラメントの電圧は、18.9V(直列12.6Vx2+並列6.3V)±5%となっており、 18.9V300mAです。5%の範囲にないと、寿命が著しく低下するおそれがあります。 氏家先生の回路図では、18.3Vとなっております。 電圧が異なる場合には、1000μFと22000μFの間の抵抗10Ωを 修正することになります。 この電圧は、ブリーダー抵抗によるブリーダー電流の量や、コンデンサの容量によっても変わってきます。 当初、オリジナルが3000μFであったこと、22000μFが高かったこと、 「コンデンサの容量を大きくすると、必ずしも良くない。ブリーダ抵抗で必要量の1/3を流すべき。」という前回紹介した一連の石塚先生の記事から、2200μFを3000μFとし、ブリーダに300mA流していたところ、電流供給が厳しくなったのか、供給電圧が下がったので、上記10Ωを修正しました。 PA0_0015.JPG 上記で緑がKOAのブリーダ抵抗、黒いのが巻線の10Ω。後に10Ωには並列に抵抗を入れました。 4.次に、懸案のB電源のチェックをします。 フューズが繰り返し飛ぶので、おかしいと思い、 許容電流が大きな5Aのヒューズにしてみると、 電源ランプ(上記フィラメント電源から定電流素子を介して供給)は付くものの、 煙+におい+シューという音+電圧がマイナス5V!?となり、 あわてて電源を切ると、ダイオードを逆接続していたことが分かりました。 シューというのは、電解コンを逆接続すると、そうなります。 普通のダイオードは、マイナス側に棒線が入っていて間違うわけないのですが、 ここで使ったダイオードは、ロームのSICを使ったもので、 パッケージは、足の数以外トランジスタと変わりないのですが、 仕様書の説明図が、表裏のどちらを示しているのか分かりにくく、誤ってしまったようです。 rohm.jpg (上記の丸内、3角法では、描かないはずの線が描かれているので、混乱した。) そこで、ダイオードを外そうとしたところ、外れないので、 からげていた部分をちょん切ることにしました。 初めから長くないダイオードの足がさらに短くなり、そのままでは足場へ接続できません。 そういうことも考え、初めから、ユニットごとに足場を設けていました。 ダイオードが気に入らないときや交換するときは、全部交換できるようにということです。 しかし、ここでは、SICのダイオードの値が高く、簡単にポイ捨てというわけにいかないので、 ダイオードの足に、平行に電線をはんだ付けして、 さらに、細いエナメル線を巻いたのち、熱収縮チューブで固めました。 PA0_0017.JPG 今思えばエナメル線では、はんだの乗りが悪く、無メッキ線を使うべきでした。 5.B電源ユニットのみを、トランスに接続し、信号回路のサブユニットへの電源供給はしない状態にします 300v程度。おかしくないので、次に移ります。 7.一応、信号部の配線をチェックします。 製作時には、チェックしながら進めていますが、 上記の通り、フィラメントの配線の誤りがあったので、再確認です。 8.B電源をいよいよ、信号回路の信号部へ供給します。 氏家先生の回路図の電圧と比較し、1ボルト程度の誤差でした。 夜間だと、電力会社がトランスを入れ替えたりするので、電圧が変わってきます。 7.パワーアンプをつないで、音を聞いてみます。 本来は、測定をするのでしょうが。。。 8.あれ?・・・音が鳴りません。?? セレクタ入力を、信号が入らない位置に、間違えていました。 前示した、オンキョーの929(過去記事「自作MCカートリッジ蝶の視聴4」)でも、間違えましたが、また間違えました。 9.いきなり音楽が鳴り始めました。 PCからですと、イヤホン端子をRCAへ変換するケーブルでつなぎます。 この接続ですと、耐入力が大きくないようですね。入力段のカソード、グリッド管の電圧が小さく、 ちょっと大きくすると、音がサチリ、ノイズが出ます。 後、ノイズが大きい。ハムと、ジーという音。 4.7kΩ入力のフラットアンプのセレクタ入力に切り替えると、 10Ω+4.7kのセレクタ入力よりも、ノイズが大きくなり、かつ耐入力も小さくなります。 次回はようやく、ノイズ対策について、触れていきます。 https://www.audio-blog.jp/2015/08/25/marantz7-by-uzike-method-adjustment-of-triode-amplifier/ ▲△▽▼ 氏家式マランツ#7アンプのノイズ対策1(ハムノイズについて) 投稿日:2015年8月27日 更新日:2019年5月4日 https://www.audio-blog.jp/2015/08/27/fixing-noise-of-marantz7-by-uzike-method/ アンプのノイズとしては、思いつくところ、4種類ぐらいあり、 @ブーン(ハム)、 Aジー(高インピーダンスラインで、電波などの飛びつきを拾う。)、 Bちりちり(連続)、 Cボン(不定期)、またはちりちりちりー(不定期) が考えられる。 今回は、@A、特にAが盛大に聞こえた。オシロで測ってみると50mVを超えた。 (ちなみに、Bは、はんだ付け不良、Cは電解コンデンサの寿命であると考えられる。) 「@ブーン(ハム)」の要因は、 (あ)電源のリップル、(い)アースループ(アースの取り方が1点でない) が挙げられる。 今回のアンプでは、氏家先生の記事(過去記事「氏家式マランツ#7(イコライザ部分)ほぼ完成!」参照)をほぼ踏襲して作ると(ただしブリーダ抵抗は43k、10mAのブリーダ)、B電源のノイズは2mVしかなく、 それにもかかわらずノイズが50mVもあるとなると、 出力に混入したノイズか、入力に混入したノイズがアンプで増幅されたか、となると見当をつけた。 ハムノイズも少し聞こえる。 1000μf+300mAのブリーダ+4Ω程度+3000μFでは、0.5v/18Vのリップルとなる。 試しに22000μFを追加すると、リップルは50mA程度となるが、ノイズはほとんど変わらない。 (ただし、音色の面でよりしっかりした傾向になったので、底面に穴をあけ、結束バンドで固定することとした。) 結局電源には問題ない。とすると、アースループが怪しいとなる。 「ゴロピカ工房」さんの「イコライザーアンプとラインアンプ」によれば、トランスをそのままシャーシーに固定しては、巨大なアースループが出来上がるとのことで、それは製作時に知って、警戒していたので、信号サブ基板の切れ端を一枚はさみましたが、改善できていませんでした。ちなみに、石塚俊先生の一連の記事(過去記事「氏家式マランツ#7アンプにつき、トランスについて補足」参照)の「ラジオ技術」2011年3月p124にも理論的なことが触れられています。 そもそも、製作時には、アースループがなくなるように、相当な配慮をしていました。アース点はB電源の終端のマイナス側一点とし、入力端子では落とさないようにする(絶縁する)。サブ基板も一応、信号アースがされていますが、 メインの箱(シャーシー)とは、グロメットを介して絶縁し、アースループが生じないようにしていました。 ちなみに、ステレオアンプでは、入力端子でアース点を設けると、2点にアースするしかなくなり、アースループが出来上がります。入力端子でアース点を設けるには、おそらくモノラルアンプにするしかありません。特に左右の信号を分けて(左右対称構成で、電源トランス真ん中とするなどして)、入力端子を離すとそういうトラブルが生じます。だから、アース点はB電源の終端のマイナス側一点とするわけでして、氏家先生の記事で入出力端子がグロメットで絶縁されているのは、そのためにあるのではないかと理解しています。そしてアースループが出来上がると、単にハムノイズだけでなく、ピーンと鳴ったりして、ストレスのたまる高調波が、(耳に聞こえなくても)感じられたりします。確かに基準点は入力端子部分かもしれないが、高調波が聞こえると耳だれを起こすなど大変なので。。。今回も、V1側については、アースをかなり引きまわしているので(後の記事で後述)、ピーンというノイズが聞こえました。 ・・・・・・・ その後、気付いたことは、 (A)氏家先生のマランツ7アンプの製作記事には、上記グロメットのようなもので、入力端子、出力端子、信号サブ基板が絶縁されているようですが、 グロメットの絶縁抵抗は相当に低いのです。8つも端子を設けると、10kΩを切ってしまいます。これは結構盲点かもしれません。 製作時にアースループに警戒し、絶縁がされていることをテスターで確認したときに、電流が流れて驚いたのです。 PA0_0022.JPG 上のアンプの入力端子で、黒いのを巻いています。それは製作時にグロメットの抵抗値がかなり低いことに気付き、絶縁テープ(ビニルテープ)を巻いたからでした。ビニルテープの絶縁抵抗は、テスターで測定すると2MΩを超えますが、締め付けを強くすると、テスターでも抵抗値を測定できました。そしてそういう風に修理している間に、端子の1つが壊れたので、1つ異質の端子が左上についています。 この白い絶縁素子は絶縁抵抗が十分にありました。次から作るときは、グロメットは回避すべきです。 (B)それでもハムが聞こえるので、上記トランスの絶縁が怪しく、再確認することにしました。上記サブ基板の切れ端を、トランスとの間に差し込んだつもりでしたが、上記2つの文献によれば、絶縁部材において、4つの取り付け穴を違えており、合計8つの穴が開いていました。私のものは単に、トランスと箱との間で、絶縁基板を挟んで、ネジの穴を貫通していただけなので、 トランスのねじを介して、シャーシーへ接地された状態になっていることに気付きました。つまりトランスのねじ⇔シャーシー間の抵抗を測ると、1Ωを切っていたのです。これはまずいということで、絶縁テープを巻きました。ちなみに、右下のねじ穴は、テープを巻いたのですが、導通していることに気付き、ネジ止めが後手後手になっており、後の課題です。 以上で、ハムノイズは聞こえなくなりました。なお、(B)は、ノイズ対策の最後のほうで気づきましたので、実際の検討順序としては後のほうでした。 <後日談>トランスを固定するねじは、後で透明のプラスティックに変えました。 つぎは、問題の「Aジー」というノイズについて扱います。 https://www.audio-blog.jp/2015/08/27/fixing-noise-of-marantz7-by-uzike-method/ ▲△▽▼ 氏家式マランツ#7アンプのノイズ対策2(ジーというノイズについて) 投稿日:2015年8月28日 更新日:2019年5月4日 https://www.audio-blog.jp/2015/08/28/httpaudio-blog-jp20150827fixing-noise-of-marantz7-by-uzike-method-part2/ 前回(「氏家式マランツ#7アンプのノイズ対策1(ハムノイズについて)」)述べた「Aジー」というノイズは、インピーダンスの不整合なのかよくわからないが、入出力ラインから混入する可能性が高い。 そして、電源のノイズが2mVと小さいことから、50mVのノイズがどこで発生するかをオシロを見ながら探る。そうすると、入力段のノイズがアンプにより拡大しているのではないかと見当をつけた。 学生の頃、「ノイズ対策するには、電線にアルミフォイルを巻けばよい」というのを聞いたことがあるので、試してみると、ノイズが減少した。そのアルミフォイルの一端を、箱の無メッキの部分に添わせるとよりノイズが減少する。出力のラインもアルミフォイルを巻くとノイズが減少した。出力ラインは、もともとカソードフォロアでそれほどインピーダンスが高くないはずであるが、イコライザアンプということもあって、周波数調整する、47kΩの抵抗がアースと信号との間に架橋され、インビーダンスが高くなっている。氏家先生の記事では、パワーアンプの入力インピーダンスは、50kΩ以上が推奨され(そうしないと発振の危険があるそうである。「一杯の珈琲とクラシック音楽」というブログの「マランツ#7 [オーディオ]」のコメント欄参照。) しかし、アルミフォイルだと、意図しない部分が接触して導通しやすく危険であり、管理が大変である。 <対策1> そういうわけで、本質的対策のためには、シールド線を使うことになる。シールド線は、中芯線の周りに導線が配置されており、その導線をアースすると、中芯線のノイズをアースへ流すことが出来、ノイズが下がる。シールド線の処理は、外側の皮膜を剥いで、中芯線周囲の導線を集め、よじるとともに、中芯線も剥いでよじり、それぞれ、はんだめっきをしたら、周囲の導線と中心線とが別れる根本において、熱収縮チューブなり、エンパイヤチューブなりをかぶせて処理する。氏家先生の記事もそうなっている。 そもそも、今回のアンプでは、入力端子のセレクタ付近は、全部、中芯が1線のシールド端子で構成していたが、そのアースは、入力端子→セレクタ→信号ブロックのアース→電源のアースとかなり引きまわしているので、そういうノイズを流すアースが迂遠となっていたので、そのノイズを流す作用がいまいち効いておらず、アルミフォイルを巻いた場合にノイズが下がることとなったと思われる。 そして、(A)前回申したように、アースを入力端子でとると、ステレオアンプでは特に、2点でアースすることになり、ハムが生じる一方 (B)入力ラインのシールド線に飛びついたノイズは、入力端子付近でさっさとアースに流したいという要請は、 通常行われているような、中芯線が1本のシールド線では、矛盾する。 そこで、入力信号線の新しい流儀として、 @入力信号ラインとしては、単なるシールド線でなく、 中芯線が2本の2芯シールド線を使うのがよいのではないかと考える。 つまり、シールド線の周辺部分の導線は、迂回せずシャーシーなるべく近くにアースへ、 2芯のうち1本は、直流電源へ戻る側のグラウンドへ戻す。そうすれば、直流電源へ戻る側のグラウンドや信号線のグラウンド側は、入力端でアースされることはなく、電源のマイナス側で一点でアースすることができ、ハムを回避できる。かつ、入力信号ラインに飛びついたノイズは、上記アルミフォイルと同様の作用で、箱のアースへ流すことが出来、上記矛盾は生じない。というわけで、根本的対策は、入力信号は2芯シールドにするのがよいのではないかと考えている。近年のPCの電源を見ると、鎖状の金属線を編んだラインで巻いてある。GarrettaudioさんのTECHFLEXと同じような機能を発揮すると期待できる。 <9月2日追記> ・表皮のノイズは、シャーシーの任意のところではなく、やはり、一点アース、つまりアース母線へ接続する方が、ノイズも下がり、聴感上のストレスも下がるように思います (「氏家式マランツ#7アンプその後の補足1(ノイズ対策、オリジナルのアース方法など)」のモガミ電機のサイトの資料参照。)。 <9月6日追記> 「RCAケーブルの自作」を検索すると、 シールド線の接続方法として参考となる方法がたくさん見つかります。 <対策2> それから、アンプの出力線については、もとの氏家先生の記事では、普通の導線を最短距離で出力端子へ結んでいる。しかしそれでは、アンプの手入れをするのに、毎回その線を外す必要が生じるので、私のアンプでは、その2倍ぐらいの長さにして余裕を持たせている(この点は信号サブブロックと電源サブブロック間も同様)。そして、上記パワーアンプの入力インピーダンスが15kΩの入力トランスなので、仕方なく自作マランツ7アンプの出力線に、直列に直接手持ちの43kΩを追加していたところ、インピーダンスが更に高くなってしまい、ノイズが大きかった。それゆえ、アルミフォイルの対策が効いた。 しかし、アルミフォイルでは、他と接触して導通しやすく、トラブルが大きいので、 A根本的対策としては、 アンプの出力のホット側を単線でなく1芯シールド線とする改造を行った。 シールド線の芯線周りの線は、上記はんだめっきの後、単線をつなげ延長し、「ラグ端子GND」(秋月)、または「卵ラグ」を介して、箱(シャーシー)へつなげて接地し、飛びついたノイズをグラウンドへ流す。 ちなみに、43kΩを直列していたのは、出力インピーダンス(パワーアンプの入力インピーダンス)をいかなる場合でも、50kΩ確保するためである。上記「一杯の珈琲とクラシック音楽」のブログのコメント欄で、ボリュームを50k、100k並列にすると、合成33kとなって発振するとある。 <9月2日追記> 氏家先生の一連の記事で、このマランツ#7イコライザアンプの後段に好適なコントロールアンプが紹介されており、そこには、50kΩの固定抵抗と100kΩのボリュームが直列に入っています。つまり、プリアンプにおける50kΩの負荷抵抗というか、パワーアンプの入力インピーダンスを確保するためと思えます。 <対策3> さらに、43kΩの出力線は、抵抗などで接地されることなく、パワーアンプの入力段までひきまわしていたので、そのパワーアンプの入力ラインでもノイズを受けていた。 そこで、上記対策2で述べた43kΩを直列して接続した、出力線のホット側を、ノイズ的に接地すべく、 Bホット側と出力端子のグランウンド側を、手持ちの20kΩ(本当は、15kにしたかったが)で接続した。 <対策4> 真空管V1の信号ブロックのアースは、マランツオリジナル(ヤフオクなどで写真を記録しておく)を見ても、アース母線がわざわざ分離されており、浮島になっている。(下の写真左側のメッキ線。左から順に真空管がV1、V2、V3と並んでいる。ネジ穴を介してV2とV3は共通アース線となり、電源へ帰還する。) PA0_0021.JPG 直流アースについては、後々の記事で述べるが、記事にはアース処理についてはあまり触れられておらず、かなり悩んだ。交流的には信号サブブロックのアースへ接続されているが、直流的には、上記浮島となっている以上、電流が電源ブロックへ帰る路がなく、電流が流れようがないからである。 氏家先生の記事を解析したところ、その写真で出力端子でマイナス側がV2と共通していることから、 「直流的には、入力信号のシールド線を介して、V2の出力端子のアース側を通り、V2の入力信号のシールド線のアース側→信号ブロックのアース母線→電源へ、というかなり迂回した帰還をたどる」ように思える。 <次の日に追記> これは、少々間違いですね。出力端子でマイナス側がV2と共通しているからといって、 直ちに入力端子の位置で、V1、V2のアースが接続しているとはなりません。 氏家先生の記事を見ても、入力端子でアース母線のようなものは見えるけれども、 入力端子の位置で、V1、V2のアースが接続しているようには見えないですね。 「交流アース」と申していたのが、直流アースでもあって、 シャーシーに電流を帰還させているような気がしてきました。 なぜなら、V1のみが「交流アース」に接続され、V2、V3とはつながっていないからです。 V2、V3はアース母線を通じて、電源基板のアースへつながっているのです。 そこで、オリジナルの流儀に違反する可能性があるが、上の写真の通り、 CV1のアース側は、直接に電源の終端のコンデンサ側へ返す改造を行った(写真中央の黒い線)。 私のアンプでは以前のべたように、「アースループを防ぐため、入力信号側でなく、電源の終端のコンデンサ側へ一点アースすることにしている」から、その趣旨の徹底のためである。ここで直流アースを接続すべきコンデンサは、電圧分配された低電圧を安定化させるコンデンサとした。 この改造に伴い、アースループを防ぐため、 C−2 真空管V1入力の出力端子のマイナス側を、 V2と切り離し、V1の入力端子のマイナス側から取った。 氏家先生の記事では、徹底的にまねすべきと推奨されているが、係るCの改造をしても音質的には変わりないし(よりしっかりした傾向になる)、それだけでなく、V1側のみ生じていた「ピーン」という甲高い継続音のノイズ(発振音?)がかなり軽減された。 <対策5(将来)> その他、将来的には、マランツ7オリジナルのV2のアースは、V3と共通だが、 共通インピーダンスの消去の観点から、 DV2も、V3のアースラインと切断し、 直接、電源の終端のコンデンサ側へ返すのがよいのかもしれない。 @の対策は、2芯シールドの入手を待っているが、まだ入手しておらずやっていない。 ABCの対策で、ノイズはオシロで測ると2mVとなり(オシロのノイズは、プローブ込みで0.8mV)、 とりあえずこれでよいことにした。 @をしなくてもノイズが下がったのは、それをしなくても、シールド線の‐側がとりあえず、箱のアースにつながっており、シールド線として機能していたのではないかと思っている。 @をすれば、電源のアース側に、かかる飛びつきノイズが混入することなく、 音の性質が改善される可能性がある。 https://www.audio-blog.jp/2015/08/28/httpaudio-blog-jp20150827fixing-noise-of-marantz7-by-uzike-method-part2/ ▲△▽▼ 氏家式マランツ#7アンプのアースの取り方 投稿日:2015年8月29日 更新日:2019年5月4日 https://www.audio-blog.jp/2015/08/29/a-way-of-grounding-marantz7-amplifier-by-uzike-method/
氏家先生によりラジオ技術に紹介されたマランツ#7アンプは、 徹底コピーを推奨されているもののアースの取り方については、ほとんど記述がない。 特に真空管V1のアースがどのようになっているのか、 悩みこんでしまった。 前回申したように、交流的には信号サブブロックのアースへ接続されているが、 直流的には、上記浮島となっている以上、 電流が電源ブロックへ帰る路がなく、電流が流れようがないからである。 氏家先生の1998年12月号の記事を解析したところ、 そのp48右上の写真で、出力端子でマイナス側がV2と共通していることは疑いなく、 また、それが、銀色のアース母線?で入力端子のマイナス側へ接続されている。 したがって、前回申した通り、 「直流的には、入力信号のシールド線を介して、V2の出力端子のアース側を通り、V2の入力信号のシールド線のアース側→信号ブロックのアース母線→電源へ、というかなり迂回した帰還をたどる」ように思えた(後述Aの候補)。 まず説明のため、そもそも、マランツ#7のイコライザ部は、 1つの入力1が真空管V1に入り、他方の入力2がV2に入る。 入力1は、真空管V1の片割れで増幅され、 入力2は、真空管V2の片割れで増幅され、 V3で、それぞれ入力1、2の増幅したものを受け、 2の片割れがそれぞれ、カソードフォロアを形成する。 というわけで、V1、V2はそれぞれ左右の入力を担当することになる。 以下を前提に、記事を分析して、図を書くと、以下のようになる。 マランツ7アンプのアースの取り方.jpg <クリックすると拡大します。> <追記:ラジオ技術の古い記事は、20年たち、各図書館でも廃棄対象です。国会図書館でコピーして下さい。> (A)V1側は、 3つの入力端子→3つのシールド線 →(シールド線のマイナス側を束ねるラグ端子、プラス信号のみセレクタへ) →(束ねた当該マイナス側、セレクタの信号)→シールド線 →(信号サブ基板への交流アース、プラス側がV1の2番ピンへ) (B)V2側は、 3つの入力端子→3つのシールド線 →(シールド線のマイナス側を束ねるラグ端子、プラス信号のみセレクタへ) →(束ねた当該マイナス側、セレクタの信号)→シールド線 →(V2、V3共通アース母線、プラス側がV1の2番ピンへ) 出力端子側のマイナス側は、左右共通で、V2側の入力端子のマイナス側へ接続、 というのは、ラジオ技術1998/12月p48の写真から判明しています。 入力端子にアース母線のような銀色の線が、写真に見えますが、 どうつながっているのかは分かりません。 V1の直流電流がコンデンサに帰る方法として、考えられる候補としては、 @入力端子で左右入力のマイナス側が接続され、 V1の直流電源の帰還電流は、そこまで戻って初めて、V2のアースと接続し、 V2、V3の共通アース母線へ。 つまり、上記(A)(B)を両方通って、電源のマイナス側へ帰る。 AV1のみ接続される上記サブ基板への交流アースは、 実はシャーシーと接続され、シャーシーにB2電源の帰還電流が流れて、 B2のコンデンサマイナス側へ直流電流が帰る。 なぜなら、V1のみが信号サブ基板のアースに接続され、 わざわざ、アース母線をV2、V3と切断しているから。 <9月2日追記> マランツ#7のオリジナルのアースの取り方は、Aのように思えます。 グロメットなどは使っていません。サブシャーシーは直に(電気的に?)シャーシーに接続されています。 「氏家式マランツ#7アンプその後の補足1(ノイズ対策、オリジナルのアース方法など)」のモガミ電機のサイトの資料参照。)。 Bゴロピカリ様の方法 アース母線を独立して入力端子まで張り、そこでさらにシャーシーにアースする。 C私の方法 V1のアース母線から、直接コンデンサへ帰還させる(改造)。 ここで、Bは、ゴロピカリ様のサイト「風神ネットワーク 」の「イコライザーアンプとラインアンプ」を拝見して、直接メールで教えを乞うて、教えていただいた方法であり、その教えていただいたのち、サイトは更新され、現在は、そのサイトにアースの張り方につき、説明されている。 https://www.audio-blog.jp/2015/08/29/a-way-of-grounding-marantz7-amplifier-by-uzike-method/ ▲△▽▼ 氏家式マランツ#7アンプその後の補足1(ノイズ対策、オリジナルのアース方法など) 投稿日:2015年9月2日 更新日:2019年5月4日 https://www.audio-blog.jp/2015/09/02/story-after-making-marantz7-amplifier-by-uzike-method-part1/ まず、このカテゴリ「アンプの自作」の記事を、以下を反映しながら、あちこち編集して追記しましたので、ご確認いただければと思います。 1.ネガティブフィードバック配線を忘れていました。 そもそも、9月1日にようやく、とんでもないことに、 ネガティブフィードバック配線を忘れていたことに気付きました(汗汗;)。 150902_0027~01.jpg サブ基板上部の4つの抵抗に、ネガティブフィードバックの入出力を接続します。 ここではノイズ対策を考え、内部が2芯のツイストされたシールド線(「スタンダードコンソールケーブル 白No.2944–WH」)を使いました。 ツイストは、「私のアンプ設計マニュアル」)というサイトを拝見し、氏家先生の記事よりさらにノイズ対策を試みたものです。シールド線の片側は、アース母線に接続しています。もうちょっとまともな「シールド線」を使った方がいいかもしれません。 そのネガティブフィードバックを配線すると、 裸アンプでは、入力によっては、4mV〜12mVぐらいのノイズがあったのが、 入力によっては、0.2mVぐらいにノイズが減りました(ナショナルのノイズメータで測定、未校正)。 真ん中のデジタル入力の方がノイズが少ないです。これは10Ωでターミネートとし、直列に4.7kΩがホット側に接続されています。 入力線がシールド線を使っているかによっても変わります。 ネガティブフィードバック配線をすることにより、 耐入力を超えることによるサチったノイズが生じることがかなり緩和され、使い勝手がよくなりました。 その他、「氏家式マランツ#7(イコライザ部分)ほぼ完成!」 (←全然完成していなかった(汗汗;))にも視聴結果を追記しましたので、そちらもご覧ください。 2.マランツ7オリジナルのアース方法 昔、ヤフオクで出品されたオリジナルには、詳しい内部写真が載っており それをダウンロードして、解析に使っています。 昨日、再度確認したところ、オリジナルの信号サブ基板は、 グロメットなどを使わず、直接シャーシーに接続されている。 また、入力信号端子は、マイナス側が、シャーシーに直付けとなっており、 ホット側のみが、セレクタへ入力される構造で、 入力信号端子付近を見ると、信号線は、中芯のホット側しか、配線の引き回しがない。 ということは、微量(1mA未満)ではあるが、シャーシーにV1の帰還電流を流していることになるように思えます。 そう考えると、氏家先生の記事のマランツ#7の徹底コピーというのは、 信号回路と、両波整流後の電源部分だけであって、 フィラメントの22000μF(オリジナル3000μF)やアースの取り方は異なっているように思える。 入力ラインをいじるのは大変だから、追試はしていません。 3.その後のノイズ対策 (1)ノイズ対策をいろいろ調べると、 「モガミ電線」のサイトの「ワイヤー・ケーブルの遮蔽(シールド)」には、シールドの方法がいくつか比較されており、ツイスト線にシールドをかぶせ、ツイスト線のマイナス側とシールドを両側で接続し、一方側でアースするのがよいとされています。電流の帰還にその線を接続するときは、自動的にそのアースがされます。 聞いた感じでは、2芯シールドツイスト線の「スタンダードコンソールケーブル No.2944」よりは、1芯シールドとして、短いケーブルで接続した方がノイズも少なく、ストレスも少ないように感じました。ちなみに、当該ツイスト線のマイナス側をなにも接続せず宙ぶらりんにすると、ノイズが断然増えます。 なお、ツイストすると、磁力によるノイズ(特にハム)にも強くなるということです。 シャーというノイズの対策には、あまり効果的でないかもしれません。 (2)シールド線の周囲の線は束ねてアースするのですが、 これも、シャーシの任意の点にアースするのではなく、 一点アースへ、つまりアース母線へ接続した方がノイズが下がり、 かつ、聴感上のストレスも少ないように思えました。 (3)したがって、「氏家式マランツ#7アンプのノイズ対策2(ジーというノイズについて)」で述べた「新しい流儀」はあまりよくなく、 上記モガミ電線のサイトの方法を用いるか、従来通り一芯シールドを使うべきです。 (4)セレクタを使うと、かなり入力ラインを引きまわすことになるので、 イコライザ等の用途が決まっているなら、 ノイズ対策上、セレクタはないに越したことはありません。 4.電源について (1)氏家式マランツ#7アンプは、マランツ7アンプのオリジナルを見ると、 基本的にはそれを踏襲しているが、半波整流を両波整流に変えている。 ここで、電源はある程度デフォルメも許されるが、 石塚俊先生の一連の記事、特に「ラジオ技術」(「本格的オーディオシステムの構築へ向けて」(29)整流方法の設計法1)2014年12月p122によれば、 抵抗の直列による整流方式には、抵抗インプットといって、 電源のサプライインピーダンスを上げ、電流ノイズを下げるテクニックであるので、 みだりに変えない方がよいかと思います。 ちなみに、エミッションラボという真空管の海外のサイトでは、整流管直後のコンデンサの容量を制限しており、高い容量を使う場合には、抵抗を入れること(によりサプライインピーダンスを上げること)が推奨されており、突入電流の配慮を要求しています。 (2)私のアンプでは、石塚先生の記事に従い、 両波整流の両端電圧を、その一方を抵抗をかましてその電圧を揃えています。 その環境では、過去の経験や、その記事に反して、半波整流のほうがよいということはなく、 かえって、クリップ感やノイズ感が生じて、あまりよいとは思いませんでした。 (3)その記事では、コンデンサを増やすと、すかすかな音になるということでしたが、 フィラメント電源では、CEWというニチコンの22000μファラデーを入れた方が、 聴感上の安定感がありました。ただし、「氏家式マランツ#7(イコライザ部分)ほぼ完成!」で述べた鉛筆に銅線を巻きつけた、空芯式のチョークインプット(沼口式チョーク)と、18Vで70Ωほどの抵抗で、300mAのブリーダを流すという条件です。 ブリーダは、上記石塚先生の記事で、「91Bに従い必要量の50%流す」を実践したのです。 (4)普通に作れば、電源のノイズは2mVぐらいになります。 ただし、氏家先生の記事の電源の実体配線図には、難を感じるところがあり、 アースの接続も、高圧から低圧へ、順に接続しないとコンデンサのフィルタの効果が少ないということなので注意が必要です(文献としては、「私のアンプ設計マニュアル」)というサイトの「アース回路その2」の「電源のリターン回路:」という項目では「ハムが出たからといってC1の容量を増やしても効果はありません。効果がないどころかハムは増えてしまいます。」とあり、その他(「無線と実験」2013年3月p50、「音で判別するノイズ対策」安井章)には、アンプの信号回路で、ゲインの順に設置する旨の記載がある。) 5.発振の簡単なチェック方法 ・マランツ#7アンプは、高度な回路技術で、フィードバック回路を緊張状態にし、 即応性を改善しているようなので、発振しやすいことで有名である。 そこで以下の方法で、発振していないかを確認する。 ・上記「私のアンプ設計マニュアル」には、簡易な測定法が方が載っており、 サインウェーブのwavファイルをダウンロードできるサイトが紹介されている。 これをダウンロードして再生し、出力端子から、変な付加振動が加わっていないかを確認する。 ただし、そのwevファイルは、長さ有限で、すぐに止まってしまう。そこで、fooberなどに「sin」という新しいプレイリストを作り、そこに単一の当該wavファイルのみを置いて、繰り返し再生を行う。 その後、音を確認する。 https://www.audio-blog.jp/2015/09/02/story-after-making-marantz7-amplifier-by-uzike-method-part1/ ▲△▽▼ 氏家式マランツ#7アンプ、12AX7の定電流点火の検討 投稿日:2015年9月3日 更新日:2019年5月4日 https://www.audio-blog.jp/2015/09/03/making-marantz7s-equalizer-part-uzike-method-and-consideration-of-heating-12ax7-by-constant-current/
<後日談>以下は、結局採用していません。定電流のはずが、素子の定電流部分の傾斜が大きいので。 150mA、18.9Vを点火するのに、 フェアチャイルドのJ105で、定電流点火を検討したところ、 以下の通り、合計電圧26V前後、J105の部分が7V前後、 抵抗が(30Ωと、390Ω)の並列とするのがよいのではないかという結論に達した。 その定電流点火が、2系列必要となる(合計300mA)。 なお、このJ105は、放熱をしない場合、プレート損失が625mWなので、 これを超える場合には、焼損の危険があり、放熱板を付けるなど注意したい。
話は戻って、抵抗値の検討方法について説明する。 抵抗値を精密に決定するには、0.1Ω等の抵抗を直列するよりも、 基本となる抵抗(ここでは30Ω)に、 調整する抵抗(ここでは200Ω〜390Ω)を並列するのが、調整しやすい。 <追記:ただし、ノイズの面では、直列のほうが好ましいはず。> 12AX7のヒーターを模擬したダミー抵抗は、計算上42Ω×3であるが、 43ΩX3の直列に、6.2kΩを並列すると、約126Ωとなる。 ブレッドボードで、ダミー抵抗と、定電流回路を直列して実験した。 (なお、下の表は、定電流回路単独で検討した結果である。) 150903_0229~01.jpg フィラメントのコンデンサを、25V耐圧としていたが、 35V以上のものに変更する必要がある。 150903_0236~01.jpg トランスの電流が異なる巻線の直列は、いまいち自信がないが、 必要電流量が、いずれの巻線も越えていないから大丈夫だろう。 (直列すること自体は、「大人の自由空間 トランスという厄介で存在感のある部品」というサイト参照。) 許容電流は 1.05 0.95 0.1575 から 0.1425 まで。 下で、第2欄の数値が、定電圧回路の抵抗にかかる電圧、第3欄が計算した電流となる。 ただし、電圧を高くすると、FETの温度が上がり、 電流量が時間とともに下がってくるので、その点はおおざっぱな値になっている。 電圧で0となっているのは、目標とかい離が多く、不要と感じて測定しなかったところ。 「/」は、並列した抵抗、上欄の抵抗値は、テスターを使った実測値を表している。 (低抵抗は、テスターで測ると誤差が多いとされるが、それほどおかしい値でもない。 抵抗はKOAのMOSタイプ(1%級)の2ワットである。) 30.3 オーム 5v 4.01 0.132343234 6v 4.2 0.138613861 7V 4.24 0.139933993 8V 0 9V 0 10V 4.34 0.143234323 28.2 オーム 5v 3.98 0.141134752 6v 4.17 0.14787234 7V 4.17 0.14787234 8V 0 9V 0 10V 4.34 0.143234323 27.857 オーム 30/390 5v 4.03 0.144667409 6v 4.2 0.150770004 7V 4.22 0.151487956 8V 4.2 0.150770004 9V 4.18 0.150052052 10V 4.14 0.148616147 7V3分後 4.16 0.149334099 27.4 オーム 30/300 5v 3.92 0.143065693 6v 4.17 0.152189781 7V 4.18 0.152554745 8V 0 9V 0 10V 4.16 0.151824818 27 オーム 30/270 5v 3.94 0.145925926 6v 4.17 0.154444444 7V 4.13 0.152962963 8V 4.14 0.153333333 9V 4.13 0.152962963 10V 4.07 0.150740741 26.8 オーム 30/240 5v 3.8 0.141791045 6v 4.1 0.152985075 7V 4.08 0.152238806 8V 4.1 0.152985075 9V 4.07 0.151865672 10V 4.05 0.151119403 26.5 オーム 30/220 5v 3.91 0.14754717 6v 4.11 0.15509434 7V 4.15 0.156603774 8V 4.12 0.155471698 9V 4.08 0.153962264 https://www.audio-blog.jp/2015/09/03/making-marantz7s-equalizer-part-uzike-method-and-consideration-of-heating-12ax7-by-constant-current/ ▲△▽▼ 氏家式マランツ#7アンプ、12AX7の定電流点火2 投稿日:2015年9月14日 更新日:2019年5月4日 https://www.audio-blog.jp/2015/09/14/making-marantz7s-equalizer-part-uzike-method-and-consideration-of-heating-12ax7-by-constant-current-part2/
前回検討したフェアチャイルドのj105を使った定電流点火であるが、 jFETの場合、電流が多ければ多いほど、定常部分で動作するには高い電圧を必要とする。 例えば、定電流素子のE101などは電流が少ない品種ほど、定電流特性は高性能となる。 j105を使う場合、7Vぐらいの電圧降下は必要であるが、 6.3V巻線を追加しても、25Vぐらいにしかならず、 橋本トランスの場合5V巻線で、電圧が足りなくなる。 ちなみに、15V巻線に、6.3Vを追加して、交流21Vとする場合、 巻線を逆に接続すると、巻線が相殺されて10Vになってしまう。 その場合は、一方の接続逆にする。逆かどうかは接続してみないとわからない。 j105を使う場合、j105の電圧降下は6.5Vぐらいにするしかなく、 ノイズ低減量は、15mV→6mVと1/3なった。 これでは残念ながら、性能が足りない。 前回の記事を参考にされた方には申し訳ないが、 エミッションの振れを抑圧するという定電流のメリットがなくなるので、 以下のような、シャントレギュレータTL431を用いた定電流点火を考えた。 150916_0008~01.jpg 150916_0009~01.jpg 150mAが2系統必要である。 この方式によれば、制御ICによる電圧降下は、3〜5Vぐらいで済む。 <9月16日追記>上の2つの図を訂正しました。tl431周りに誤植がありました。 <9月18日追記>上記訂正した図で、0.05μFは、セラミックでして、音が固いのでスパイクノイズが生じている可能性があり付けたものでして、アイテンドウで、コンデンサのセット([SMC-SP23] や[MCC50V-500P]など、「パーツパック」)として入手したものです。セラミックのコンデンサは、高周波においてもノイズ削減効果があり、1μFの方が聴きやすいことが分かりました。ノイズが小さくなるようです。tl431のカソード側には、tl431のピンのなるべく付け根に、このコンデンサをつけますし、コンデンサの足もできる限り短くします。容量によっては発振するので、データシートを読んだ方がよいです。tl431のカソードアノード間で5vだと2μF程度までです。また、tl431のrefとアノード間につけると、発振するなど異常な動作をするようです。 TL431は、アノード(マイナス側)、レファレンス間を2.5Vにするよう制御する。 これにより、一般的には、 TL431のカソード(プラス側)の電圧を目標の値になるようにすることができ、 この電圧が2.5V程度だと、回路は正常に動いている。 それが0.1V程度だと、トランジスタなどの接続が逆になっているなど、 接続が間違っている可能性が高い。 また、TL431には電流をたくさん流した方が ノイズ/信号比はよくなるはずだが、 余りたくさん流すと、発熱が大きくなり、1.0Vぐらいに下がってしまう場合もある。 結局、TL431には、10mAぐらい流すのが適当であるように思われる。 カソードに接続する抵抗は、今回は(直流電源の電圧ー5)/10mA程度を流す。 レファレンス電圧がおかしい場合で、トランジスタ等の接続も間違っていない場合には、 この抵抗を訂正する。 それから、TL431には、NJM431などのメーカー違いや、 オペアンプ形式などのパッケージ違いがあり、 メーカーによっては音質が異なるようであるし(ミミズクというサイト)、 オペアンプ形式の場合、形が大きいので、 透過損失容量を大きくとれ、より大きな電流を流すことが出来る。 トランジスタ(NPN)の基本は、 トランジスタのエミッタに抵抗Rを付けて接地し、 ベースに一定電圧VBを与えると、エミッタにはVB−0.65V程度の電圧が生じ、 (VB−0.65)/Rの定電流Iが流れる、 したがって、トランジスタはVBを制御することで、電流量を制御できる、 という電流制御機器と考えることが出来るという点にある。 このとき、ベースからは、I/hfeの電流が引き込まれる。 (「トランジスタ技術」2014年8月の特集p51〜参照。) トランジスタのエミッタに抵抗をつなげている(コンデンサを並列しない)限り、 トランジスタの増幅率は、抵抗値のみで決まってしまい、 素子固有の直流増幅率hfeとは関係ないが I/hfeの電流が引き込まれる(上記文献参照)。 ただし、hfeが大きいほど、ベースから引き込まれる電流量は小さくなるから、 その分、基準となる定電圧回路への悪影響が小さくなるので、 ダーリントントランジスタなどは、引き込まれる電流が小さい点で有利になる。 以上の説明からわかる通り、 「トランジスタは、ベース電流のHFE倍の電流をコレクタに流す」と説明されるが、 実用上は、考え方が逆である。 つまり、コレクタ電流を制御するためには、 ベース電流I/hfeを、積極的に制御入力とするのではなく、 結果的に生じるされる副産物というような考えになり(上記文献参照)、 トランジスタの制御入力は、通常はベース電圧VBとなり、 VBを制御して、トランジスタに流れる電流を調整する。 というわけで、VBに一定電圧を加えることが定電流点火の基本となる。 VBにはTL431のカソード電圧が印加されるが、 アプリケーション例に基づき、TL431の端子間を抵抗で分圧していないので、 何ボルトになるかは私には、いまいちわからない。 他の回路との相関で決まる。 分圧している場合には、2.5V×分圧比でカソードに、目標電圧が生じるので おかしな電圧が出ることは少ないが、 この回路では、どこか一つでも接続を間違っていると、 TL431のレファレンスの電圧が0.1Vなど、でたらめな値となる。 フィラメントの設定電流値は、 レファレンス電圧(レファレンス、アノード間)/トランジスタのエミッタ抵抗値で決まる。 今回は、2.5V/16.6Ω≒150mAとなる。 ちなみに、TL431ではどういう加減か、2.41Vとなることもある。 カソードの抵抗選択が、まずいのかもしれない。 トランジスタの選択としては、NPNで0.15A以上流せるタイプで、 プレート損失が小さくないものが好ましい。 小さいものは放熱の点で不利であり、発熱が大きく、放熱板なくては焼損の危険がある。 ただし、ミミズクというサイトによると、 これらを満たしつつ、電流容量が小さいトランジスタの方が、音の点で有利だという。 これは、トランジスタの想定外に小さい電流を流す動作環境では、直線性が悪くなるのかもしれない。 それから、TL431でなく、その構成要素のオペアンプも検討してみたが、 レギュレータに使った場合でも、オペアンプの音の特徴が出てしまうらしい。 このことからすると、線形性が高い方が好ましいということだろう。 今回は、そのようなことは考えず、将来の300Bへの適用などを考え どーーんと大電流が流せる100V7Aの2SD1415Aを使った。 今回は、電圧降下は2.5V、電流0.15A程度だから 0.4W程度で、発熱はわずかである。 ちなみに、トランジスタの熱の計算については、 ロームのサイトの「トランジスタとは?」に詳しい。 外国のトランジスタで「Derate」というのは、(25度を超えると) その欄の数値の割合で、許容プレート損失が減少するという意味である。 また、気温(25度)+熱抵抗×ワット数が、 既定のジャンクション温度(通常125度、150度など)を超えないようにする。 熱抵抗は、パッケージの大きさにより異なる。 放熱板を付けた場合には、3度/Wなどに下がる。 以下は実装してみた図である。 150913_0048~01.jpg クッション式の強力両面テープで、ラグ端子を張り付けた。 トランジスタは、熱の観点から、アルミまでの距離が薄くなるよう、普通のフィルム式両面テープを使った。 その上の黒い22pFのコンデンサは、楊枝で固定すべきだがまだやっていない。 トランジスタは、そのコンデンサの支えの楊枝が入るよう、微妙に位置を調整している。 なお、信号サブ基板の裏面をアップしていなかったので、ここでアップロードする。 150913_0050~01.jpg トランジスタのコレクタ側(高電圧側)には、電源とほぼ同じリップル量の15mVが観測される。 つまり、フィラメントの印加電圧のリップルは1mV以下ということか。 聞いてみた。 泡立ちが良くなったというか、 周辺の空間情報、距離感が聞こえやすくなったというか、 きちんと制御されているというか、弾んでいるというか、 すっきりしたという感じである。 しかし、ソリッドになったというか、固いというか、 立ち上がり、立下りがより速くなったというか、 耳当たりがきつくなったという感じもする。。。 酸金のMOSの抵抗の音質かもしれないし、 エージングもしていないし、よくわからない。 元に戻れない感じは、確かにある。 https://www.audio-blog.jp/2015/09/14/making-marantz7s-equalizer-part-uzike-method-and-consideration-of-heating-12ax7-by-constant-current-part2/ ▲△▽▼ その後の氏家式マランツ7その1 投稿日:2019年5月4日 更新日:2019年5月5日 https://www.audio-blog.jp/2019/05/04/marantz7_clone_plan/
ある方に私の作ったマランツ7のイコライザ部分を紹介しているときに、marantz7のcloneを作られているサイト(「真空管アンプ作品集と趣味の部屋」)を発見し、久しぶりに興奮しました。 marantz7はモデル7kでキットを販売しており、その時の製作マニュアルが存在するとのことです。 ヤフオクで出回っているようなので、早速入手しました。 製作マニュアルを入手してみると、確かに実体配線図は詳しく書いてありますが、キットの部品が存在することを前提として書かれており、代替部品を0から調達して行うことはもちろんながら対応していません。特に、ロータリースイッチ6個と、レバースイッチのうち3つは、特殊な特注品が使われており、入手性を考慮すると、配線を変更せざるを得ない可能性があります。そこで、いろいろ調べることにしました。 なお、汎用のロータリースイッチで配線を構成する方法は、後日紹介。 <参考文献> 「marantz7k ASSEMBLY MANUAL」実体配線図、回路図が記載されています。ただし、当然ながら特注のロータリースイッチの使用が前提。また、回路図は、特注のロータリースイッチの使用が前提になっている。 「Marantz 7 File Sharing」 回路図が記載されている。 「ニューロ機工さんのMaranz#7 control amp (copy)」 このサイトにある、誠文堂新光社の「ステレオアンプ実体図集」、これもヤフオクで買いました。ここのサイトにある2ページのほかには、マッキントッシュのc22の実体図以外には名機をコピーしたページはありませんでした。このサイトに引用された2ページが特に重要でした。ロータリースイッチのうち、bassとtrebleについて、構成方法が書いてあります。bassについては、このサイトの図のように、5段5回路11接点のうち、2段、4段を削除し、3段はただの足場として使う(マランツ7kのマニュアル(特注部品のロータリースイッチを使った回路図)ではなくて、上記7cの回路図のほうが近い)。trebleについては、3段11回路のうち、2段目を削除する改造を行い、3段目をただの足場として使う。段を削除する改造をするのは、段間の距離を稼いで、パーツを付けやすくするため。 「マランツ7k プリアンプ」に記載の参考文献、特に「(1)無線と実験’79年3月号 森川氏の7k製作記(全13ページ)」、「(7)無線と実験’97年9月号 森川氏による#7と#7SEの比較記事(7ページ)。回路図あり。」が参考になるかと思い、図書館の書庫で入手しました。しかし入手してみると、上記ASSEMBLY MANUALを持っていれば、それ以上に、一通りのクローンを構成するだけのために手助けになることが記載されているようには思いませんでした。これらの文献によれば、配線材は、基本的には20番の単線(ベルデン#8528)、セレクタースイッチからピンJに至るまで、20番の撚線(ベルデン#8523、#8524)のようですが、入手はむつかしいように思います。私が作るなら、「単線の配線材を試す。ウェスタン電話線、銀メッキ1.0mm単線ジュンフロン、47研究所0.4mm 単線」のジュンフロン銀メッキ線にエンパイヤチューブをかぶせると思います。 「ヤフオク」:過去のヤフオク等で、オリジナルの実体配線図が紹介されていたり、レバースイッチが出品されているので、それを参考にする。 「マニアなら知っておきたいオーディオ雑誌のお宝記事6 ネガティブフィードバック(NF)を用いたアンプ」:弊サイトで紹介した氏家式マランツ7のページ。国会図書館で入手。その回路図や実体配線図については、氏家氏本人が執筆されているのではと思われるようなサイト(「マランツ#7 (EQのみ)製作」)があります。 <部品等> マランツ7サブパネルの端子ねじ: 海外では、正式名称は「turret terminal」と呼ばれます。 正式名称を散々探しました。「terminal screw」で探すと、端子ブロックのみがヒットして困惑することになります。 現行品では、貫通して導通しているタイプの、ネジ式のものは探しても見つからず(あればご教示いただければ幸いです)、keystoneの「1613-1」〜「1613-4」が代用できるのではないかと思います。 ラグ端子は、keystoneのようですが、11連は販売されていません。 ロータリースイッチ:オリジナルは特注ですが、以下の通り、汎用品で代用できます。回路については後日解説。 selecter switch:5接点2回路 1段 30度 (東測 RS300,RS400,RS500等) mode switch : 8接点10回路 5段 20度 (東測 RS300,RS400,RS500等) treble switch:11接点1回路 2段 2段目は足場として利用(上記「ステレオアンプ実体図集」の説明参照)(東測 RS300,RS400,RS500、aliexpressのuxcell 11接点1回路3段等) bass switch:11接点2回路 3段 2段目は足場として利用(上記「ステレオアンプ実体図集」の説明参照)(東測 RS300,RS400,RS500、aliexpressのuxcell 11接点4回路4段等) レバースイッチ:オリジナルは特注ですが、以下の通り、汎用品で代用できます。回路については後日解説。 7play or monitor:2段(両面)2接点(2段階上下) (ギターの修理パーツ) 7equrizer:6回路3接点 (30度3段階、2枚プレート) (東測 LS700(注文生産)) SL7R:6回路3接点 (30度3段階、2枚プレート) (東測 LS700(注文生産)) SL7H:6回路3接点 (30度3段階、2枚プレート) (東測 LS700(注文生産)) 裏面パネル:上記cloneを作られているサイトのクローン2作目(「2代目Marantz7 Clone」)に、図面とレタリングのpdfが掲載されています。正面パネル、背面パネル、内部のサブパネルについては、上記「ステレオアンプ実体図集」に図面の記載がありますが、汎用の箱を流用しており、完全にサイズをコピーしたものではありません。 https://www.audio-blog.jp/2019/05/04/marantz7_clone_plan/ ▲△▽▼
その後の氏家式マランツ7その2 投稿日:2019年5月5日 更新日:2019年5月18日 https://www.audio-blog.jp/2019/05/05/marantz7_2/
改めて、自作の氏家式マランツ7(イコライザ―部分をプリアンプとして使う)を聞いてみました。 後述の通り、片チャンネルが接触が悪く、あまり聞いていませんでした。
パワーアンプは、91Bタイプです。 このマランツ7を追加したところで、それほど変わるわけではないですが、克明さや説得力、旨味が増すような方向に思えました。すさまじい速度感、立ち上がりの速さ、これでもかという強いアタック。ある意味、ごつい音かもしれないし、聞き疲れする音かもしれません。JBLのブックシェルフで、大型スピーカーのように鳴っていました。ウェスタンの755パンケーキをエルタスで聞いたときは、大型のホーンと同じような分厚いサウンドでしたから、スピーカーとアンプが良ければ、必ずしも大型スピーカは不要です。 なお、若干アレンジしています。フィラメントを、定電流点火で、コンデンサを10000ufにしたりなど。 片側チャンネルだけが、音が出ないトラブルがことがあるトラブルが時々生じたので、調べてみると・・・ サブ基板のアース端子につながる2つの端子を、2枚の卵型端子で別々に絡げ、ねじで締めあげて導通していたので、ねじが緩むと、音が出ない状態でした。 ねじを締めると、あっけなく治りました。 https://www.audio-blog.jp/2019/05/05/marantz7_2/ ▲△▽▼ marantz7 クローン計画ーロータリースイッチの回路図の読み方 投稿日:2019年5月6日 更新日:2019年5月18日 https://www.audio-blog.jp/2019/05/06/marantz7-rotary_switch/
marantz7t ASSEMBLY MANUALをヤフオクで落札できたので、簡単にコピーできるのではないかと思っていたが、まずその回路図がマニュアルのどこに掲載されているのだ?(70頁に掲載)から始まって、回路図を見ても、ロータリースイッチの記号が意味が分からなくて困った。次にその記号の意味が分かったけれども、これらが特注品であるので、汎用品に落とし込まなければ。。。 順に説明する。 <ロータリースイッチの記号について> marantz7t ASSEMBLY MANUALのロータリースイッチの記号が意味が分からず、いろいろ調べても説明するサイトがない。 「Marantz 7 File Sharing」の「Marantz 7C • Schematic • Size Ledger or A3」からmode switchの部分を引用
いろいろ調べて、ロータリースイッチの画像などを検索すると、ようやく理解できた。この図はスイッチの構造そのものを模写していると分かった。 以下のロータリースイッチ通則17頁の図によれば、16導体板は、つまみの回転に伴って回転する12ローターに固定されている。回転しない11ステータ(ガラスエポキシ、ホウローなど)には、14大端子、13小端子、15中継端子が固定されている。 16導体板の内側の円まで伸びている14大端子は、16導体板が回転しても、16導体板と摺動しながら常に導通を保つ。通常は14大端子は、1回路に1つのみ。 13小端子は、複数個が設けられており(小端子の数が、通常は接点数になる。)、16導体板が所定の角度に至ったときだけ、16導体板のうち外側に突き出た突起(青い丸印の部分)が接触する。これにより青い丸印にある13小端子は、16導体板を介して、14大端子と導通する。 このようにして、複数の小端子 対 1つの大端子で接続を切り替えるようになっている。この例では、14大端子は2つあり、14大端子1つに対応してそれぞれ6つの13小端子があり(6つの接点の中から1つを選択)、12ローターの回転に伴って、同時に2つの回路が切り替わる(2回路6接点)。汎用のロータリースイッチは、2回路6接点を実現するため、1つの半円の導体板の中だけを摺動するようになっており、180度以上回転しないようにストッパーが設けられている。 ロータリースイッチ通則17頁 ロータリースイッチ通則18頁 「ロータリスイッチ通則 – 防衛省・自衛隊」(pdf)17頁、18頁から引用(ただし青い丸は加筆した) 上記を理解したうえで、ロータリスイッチ通則18頁を見てみると、円の内側まで伸びている矢印がある○12、○6が大端子で、通常は、常に導体板と導通がある部分であり、その他の短い矢印が小端子である。この図では、1,7の小端子が、導体板を介して大端子と導通する状態になっている。 矢印がない部分○5の中継端子は何も導通していないが、部品を固定するただの足場としてのラグ端子となっている。 ここで改めて、marantz7のmode switchを見てみよう。内側の円にまで突き刺さる矢印が上記のロータリスイッチ通則18頁の大端子に相当する。短い矢印が小端子である。大端子は、選択された入力を、出力バランスを調整する抵抗を経て増幅回路へつなぐ。 ところが、marantz7のロータリースイッチは導体板が特殊であり、汎用品なら導体板の突起は1回路のみを選択できるよう1接点分の幅しかないが、複数接点分の幅が設けられているものが多々あり、この特殊仕様により、小端子も導体板の回転時に導体板と摺動しながら一定の角度の間、接触を保ったり、直接に小端子同士接続したりするなど、複雑な接触状態を1つの回路で実現できるようになっている。また、このモードスイッチは特殊であるので、汎用品のように半月状の導体板内だけで摺動して接続を保つのと異なり、大端子は、半月状の導体板内を超えて、いったん接続を切り、他方の半月状の導体板へ移動して、ステレオの左右逆を実現するようになっている(図はステレオのポジションで、さらに時計回りに30度回転する。なお、この回路図は、正面パネルから見た図であり、実際の導体板は、左右逆のものが裏側に見える形で設けられている(marantz7t ASSEMBLY MANUAL p35)。)。 もちろんながら、メーカーがこのような特殊仕様に応じてくれるかは不明であり、択一的な接点選択のみが可能である汎用品で構成するなら、複数回路に分けてこの複雑な接触状態を再現するしかない。 ばうmasatdm900@gmail.com より: 2020年12月19日 6:38 AM 初めまして。 とっても参考になりました。 真空管ラジオをレストアしています。 余りにも埃やら接する金属表面の酸化が酷くて、分解しようと作業し始めてみたら、中のローター部が外れてしまい、何が何やら?になりました。裏と表は別の回路になっていて余計に困惑しました。 外す前に、配線写真、ローターの位置写真をこまめに撮っておく大切さを学びました。無事組み立て完了したら、今度は接触不良に見舞われまして、摺動板表面にハンダで盛り上げて成功しました。 長い時間活躍した真空管ラジオであればある程、手を加える必要がありました。 理解し易い図もありがとうございました。 yama より: 2020年12月19日 4:26 PM マランツ7のクローンを作っている方に伺ったら、市販品のトウソクのロータリースイッチで回路を再構成するということだったと思います。 (ここの頁を示しながら、教えを請いました。) 金属表面の酸化については、ピカールがよいという風に、youtubeで勧めていますね。 結構取れます。お勧めです。 ウェスタンサウンドインクの91bの製作記事(「300B book (別冊ステレオサウンド) 」参照)では、 酸化膜を取り除いて、予備半田をしたうえで、はんだ付けをするのが当然、と書いてありますね。ノイズ面では重要なところかもしれません。 以前、紙やすりでやろうとしましたが、大変すぎて挫折した覚えがあります。 https://www.audio-blog.jp/2019/05/06/marantz7-rotary_switch/
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