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追悼:「この人、この時」ロックシンガー・忌野清志郎さん ロックな神様(毎日新聞) − 「あいつの名前はGOD」
http://www.asyura2.com/09/news8/msg/137.html
投稿者 シジミ 日時 2009 年 5 月 04 日 22:19:03: eWn45SEFYZ1R.
 

(回答先: 坂本龍一、涙…忌野清志郎さん通夜(サンスポ) 投稿者 シジミ 日時 2009 年 5 月 04 日 21:56:58)

http://mainichi.jp/select/wadai/graph/RequiemImawano/
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/RequiemImawano/1.html
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/RequiemImawano/2.html
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/RequiemImawano/3.html

◇35周年−−音楽が面白くなってきた

 <デビュー35周年記念のアルバム「GOD」(ユニバーサルミュージック)。同名の新曲はポップなリズムで「あいつの名前はGOD(ジーオーディー)/人間どもを作りあげた/戦争と平和のいたちごっこ/チンケなゲームを続けてる」と歌う>

 前のアルバムが「KING」だったから、今度は「GOD」(笑い)。最初からメロディーは大体あった。曲作りには、とっかかりの言葉みたいなものがあるんです。「あいつの名前はGOD(ジーオーディー)」って歌詞が出てきた時、この曲はもう90%完成したなという感じだった。

 35年ってあっという間ですね。あっという間。18歳でデビューしましたけど、そのころは、まあ普通に考えて30歳ぐらいになったらもうちょっとロックはできないんじゃない、という感じだった。で、30歳ぐらいになると「まあ40歳ぐらいかな」と。でも「40でロックはないよなぁ」って感じでした。

 ところがね、どんどん、こう音楽が面白くなってきちゃったんですね、年とともに。何でも歌えるようになってきちゃったし。なかなかやめるとかそういう気持ちにならなくなっちゃった。

 <別名「キング・オブ・ライブ」。白地にバラを散らしたようなどぎついスーツに派手なメーク。大抵2時間半、汗だくで歌い続け、叫び続けて声量がまるで落ちない>

 割とね、体力的にはきつくないんです。なんかだんだん楽になっている。多分ムダなエネルギーを使わなくなっているんだと思うんですよ。力が抜けている感じですかね。

 01年から自転車に乗っていて、東京から鹿児島まで10日かけて走ったり、通勤も自転車でしてる。風が気持ちいいですよ、春先から今の季節。自転車で体力がついたというより、体力の使い方がうまくなったんだと思うんです。長距離を走ることとライブは似てる。要するに心肺機能が大事(笑い)。筋肉はあまり使いどころがなくて、水分の補給が大事だとかも。=つづく【聞き手・太田阿利佐】

=2005年5月毎日新聞に掲載


◇ライブ−−愛し合ってるか〜〜い

 <4月24日、東京・代々木公園での野外ライブ。終わり近く、息を切らせながら観客に呼びかけた。「みんな、いいか。ロックの基本は愛と平和なんだ。今日はアースデーだ、イェー。一番の環境破壊は戦争だと思う」>

 やっぱり「今だから言わないといけない」というのもあるんだけど、「言ってどうなる」とも思っているんですよね。でも、こう、なんて言うのかな。ここでオレが言わないと、ステージなんかではもうだれも言う人がいない。だから、どうなんでしょう、筑紫哲也さん(キャスター)とかそういうふうな人が言ってもだめでしょうし、ロックコンサートの場で言った方がいいんじゃないかな……と思うんですけど。ま、お客さんの反応もいろいろで分かんないですけど。

 <呼びかけは続く。「みんな、素晴らしい。日本の憲法は戦争をしないんだ、イェー。戦争に加担しないんだ、イェー。愛と平和なんだ、イェー。ジョン・レノンの歌みたいじゃないか、イェー」> 今の若い人は、あまり言わないですね。でも僕も、若いころからこういうことを言いたかったんですけど、なんか若いころって言えないんですよ。言っても説得力がないっていうか。その分を今言っている。

 僕らの時代は、政治的なことが結構身近にあったと思うんです。学生運動だとか、ビートルズだとか、ボブ・ディランだとか。ビートルズも何か分からないけれどすごい政治的なにおいがしてた。そんな歌詞はあんまりなかったんですけどね。そういうことも学んでいかないとちゃんとしたロックじゃない、というきらいがあった。とりあえず体制に反対するとか、政府に反対するとか(笑い)。それがロックだった。でもそういうのが、全くなくなったような気がする。

 <さらに呼びかける。「今日はみんなに聞きたいことがあるんだ。みんな、愛し合っているか〜〜い。イェー。ご機嫌だぜ。……ラブソング、やります」>=つづく【聞き手・太田阿利佐】

=2005年5月毎日新聞に掲載


◇覚悟−−世間を騒がすのが音楽

 <80年、29歳で「雨あがりの夜空に」「トランジスタ・ラジオ」が大ヒット。88年に反戦、反核をテーマにしたアルバム「カバーズ」が発売中止になる>

 がっかりしましたね。レコード業界にというか、当然のように発売中止になったことにね。自分が一生懸命やっている仕事はそんな軽いものなのか、男の仕事じゃないな、と思いました。「ま、でもどうでもいいよ。まじめにやってもしようがない」。そんな気もして歌をやめてやろうと思った。でも「あれっ」と思って。一体オレ、やめて何やるの? 次の職業は? 全然わかんない。

 <その後も「パパの歌」などのヒットの一方、“問題作”を発表。99年、アルバムに収録のロック調「君が代」が問題化。「君が代」を外せばアルバムの発売はできたが、拒む>

 君が代が国歌として法制化されても、どんなアレンジをしようが罰せられることはない。だから極端なアレンジにしただけであんな騒ぎになった。面白いですよね。世間を一種騒がすというか、時代の刺激剤というか、音楽っていうのはそうあるべきだと思う。なんかそういうサウンドじゃないとダメな気がする。

 政治的なメッセージが入った歌を歌うことが、歌手としてマイナスになるという考えは全くない。だって何がプラスで、何がマイナスになるかは分からない。発売中止はマイナスだけど、ま、でもね、そこで自分の歌いたいものを引っ込めちゃうと一生後悔しそうな気がするんですよ。カバーズも君が代も、謎のバンド「THE TIMERS」の時もそう。タイマーズでは何でも歌っちゃって、ダメだった時はお客に総スカン食って結局やめさせられる、そう思っていた。ところが逆にどんどん支持された。不思議なもんですよね。

 <03年、コンサートで突然「あこがれの北朝鮮」「君が代」を歌い、FM中継が中断。こうコメントした。「イモな奴(やつ)らがロックン・ロールを分かってないだけさ」>=つづく【聞き手・太田阿利佐】

=2005年5月毎日新聞に掲載


◇将来−−歌い続けるオヤジでいる
 

<まじめなのか、不まじめなのか、定かでない不思議な魅力。CMや映画の出演も多い。> この夏公開予定の「妖怪大戦争」(三池崇史監督)には、妖怪の総大将、ぬらりひょんの役で出ているんです。いや〜、楽しかった。本業が俳優じゃないんで、お気楽な感じで。自分がメーンで、自分の思うように好きなようにやるステージとはもう全然違う。エンディングテーマの作曲も担当しました。井上陽水が近所に引っ越してきたので「近所だからコーラスやってくれない」って言ったら「いいよ、いいよ」って。

 <ヒップホップ・グループのライムスターとラップに挑んだ最新シングル「雨あがりの夜空に35」では「リタイヤ寸前の中高年なんちゅうのはゴメンだ」と歌う。>

 最近は新しいムーブメントが、すぐにこう芸能界に利用され、消費されちゃう。それがすごい早い。ストリートから生まれたヒップホップもそう。挑戦的な部分がすごく分かりやすく、若い曲になっていく。

 今の音楽業界はやっぱりどう見ても、やっている方も聴く方も若者の音楽。いろんなことを考えない人が増えているんじゃないかな。で、そのうち気がつかないうちに憲法が改正されて、子どもたちがみんな戦場に行ったりしちゃうよね。そうなってから「しまった」では遅いんですけど、でもきっとそうなっちゃうと思う。だってピープルにさ、パワーがないもん。憲法改正に反対するよりどころがもうないもの。

 <ひょうひょうと語る。> 将来の目標は、ない。ただ、いつまででも歌う。若い人がオヤジになって「あのオヤジ、オレがガキのころからオヤジだったのにまだ歌ってるよ」って驚かれるようになりたい。マディ・ウォーターズとか、ルイ・アームストロングとか、村田英雄さんとか。だってオレが子どものころからオヤジで、オレがオヤジになってもまだ歌っていたもん。すごいよね。=おわり【聞き手・太田阿利佐】

=2005年5月毎日新聞に掲載  

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