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大阪府吹田市が、一般公開を前提にJR西日本から無償で譲り受けた初代新幹線「0系」先頭車両を、ほぼ非公開のまま約7年にわたり放置していることが21日、分かった。明確な公開計画を立てないまま譲渡を受け、結果的に持て余したとみられる。車両は、最後まで運行した3編成のうちの1つで、歴史的価値が高いが、長期間、屋外に置かれ、一部劣化も見られる。
移送を報道公開、アピールになる?
吹田市によると、車両は平成20年12月の最終運行を終え、翌年にJR西から譲渡された。博多総合車両所(福岡県)から約2700万円かけ、JR吹田操車場跡地に運び込んだ。吹田市は移送の様子を報道公開するなど大々的に宣伝し、跡地の再開発に合わせて、鉄道博物館を建設し一般公開すると明らかにしていた。
だが、跡地の整備は構想段階で、明確な鉄道博物館の建設計画はなく、その後に市長が交代するなどし、結局、国立循環器病研究センターの移転が決定。車両は譲渡直後に2日間公開されただけで、その後はシートをかけられ、四方を柵で囲むなどされ、約7年にわたり屋外でほぼ野ざらしのまま放置されている。担当者は「開発予定地のため恒常的な一般公開はできない。柵越しに見てもらおうとも考えたがマニアらに部品などを盗まれる恐れがあり、シートをかけている」と説明している。
客を呼び込む起爆剤?
JR西によると、現存する「最後の0系」は2両だけで、吹田市のほかは、製造元の川崎重工業(神戸市)が兵庫工場で保存・展示。川崎重工業は、日本の高い技術力を示した歴史的に貴重な資料だとして有償で提供を受けた。一方の吹田市は、無償で譲り受けたもののJR西側に返却を打診したこともあったという。
吹田市は昨年、周辺に公園を整備し、現地で公開する方針を決定したが、実現まで数年かかる上に、劣化部分の修復などで多額の費用がかかる可能性がある。
新幹線初の車両「0系」は資料的価値が高く、引退後も国内だけでなく海外の博物館でも展示されるなど幅広く活用されている。客らを呼び込む“起爆剤”になったケースもあるが、明確な計画がなく譲り受け約7年も放置していたことが今回判明した大阪府の吹田市同様に維持管理に問題を抱える場合もある。
「大人から子供まで大人気」
0系を保有していたJR西日本やJR東海は、英国・ヨークの国立鉄道博物館や日本車両製造(名古屋市)、鉄道歴史公園(京都府亀岡市)などに車両を譲渡したほか、リニア・鉄道館(名古屋市)にも展示している。
四国鉄道文化館(愛媛県西条市)も平成19年にJR四国から貸与を受けた0系新幹線を展示の目玉に据えた。文化館を運営する西条市の担当者は「新幹線のない四国でも0系がみられると、大人から子供まで大人気だ」と説明する。新幹線が順調に来場者を呼び込み、26年度には同館の増設を実現。さらに来場者が倍増し、担当者は「好循環を生んでいる」としている。
だが、吹田市同様に問題を抱える場合もある。大阪府摂津市は昭和57年から市内の公園で初期型の0系の先頭車両を展示している。
塗り直し、塗り直し…今後の対策費3000万円
野外展示のため、これまでに数回、車体の塗り直しを実施。だが、新幹線の塗料は特殊で、実際とは違う色合いになり、鉄道ファンから「本物と違う」と落胆の声が相次いで寄せられたという。
このため、市は来年度に予算措置を講じ、本来の色に沿った塗り直しをするとしている。ただ、車体そのものの劣化対策を含め、かかる費用は約3千万円。市関係者は「正直こんなにかかるとは」と頭を抱える。
また、0系が評判となり地域以外からも大勢が訪れた結果、新たなトラブルを生むケースもある。
関東地方の自治体は0系を地域住民の集う施設として展示開放しているが、連日のように鉄道ファンが訪れ、一部が座席を損傷させるなどの行為もあったという。
担当者は「お願いだから静かな余生を送らせてほしい」と悲鳴を上げている。
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0系新幹線 東京五輪開会式を9日後に控えた昭和39年10月1日の東海道新幹線開業とともに運行された初の新幹線車両。最高時速200キロ超の「ひかり」は当時夢の超特急といわれた。定期運転は平成20年に終了。東海道・山陽新幹線で44年間にわたり活躍し、丸みを帯びた流線形のデザインで「団子鼻」の愛称で親しまれた。19年には日本機械学会が認定する「機械遺産」に選ばれた。
- 「いつ公開されるのか!」野ざらし=u最後の0系」に渦巻く批判 逆に「変な新幹線」人気の珍現象 ピノキ 2016/2/23 18:31:22
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