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(回答先: <ミツバチの沈黙>(3) 群れ一丸、完全分業 「中日新聞」 投稿者 怪傑 日時 2010 年 6 月 16 日 16:34:13)
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201005/CK2010052802000160.html
無数の羽音がビニールハウスの天井に当たり、振動音が響く。ぶつかっては落ちるミツバチたち。柱とビニールのすき間に必死で潜り込み、やがて身動きできなくなる。
「外へ出たいのだろうな」。ハウスでナスを栽培する愛知県西尾市、坂本康弘さん(45)はハチを思いやる。
ミツバチの活動に適した外気温は13〜30度だが、気密性が高いハウス内は5月でも35度前後に達する。蒸し風呂のような室内で、1日に数百〜千以上もの花を回り、自分の体と同じ重さの花粉や蜜(みつ)を集めるまで巣箱に戻ることはない。
多様な花と豊富な蜜がある屋外に比べ、ハウス内は1種類の花だけ。ナスやイチゴの花は蜜の量もわずかだ。巣箱に蓄える蜜は増えず、ハチ自らが食いつぶしてしまう。4〜5月の6週間で、巣箱は5キロも軽くなった。
坂本さんは「屋外とは環境があまりに違い、ハチにとってはかなり過酷な労働になっている」と思う。
ミツバチを農家に貸し出している同県半田市の養蜂(ようほう)家杉浦利和さん(51)は、巣箱が戻るたびに、群れの消耗を目にする。イチゴ農家に8000匹入りで貸した巣箱は、数十匹に減っていたことも。「人間の都合が中心で、ハチは単なる農業資材として扱われている」と残念がる。
ハウス栽培の授粉にミツバチが使われるようになったのは1970年代から。品種改良が著しいイチゴは栽培期間が10月〜翌年5月と、以前より3カ月も延び、年に4回も収穫するようになった。ミツバチは8カ月間もハウスに入れられ、屋外なら巣でじっとして過ごす冬場も、仕事に追い立てられる。
ミツバチの失踪(しっそう)や大量死を研究している名古屋大大学院生命農学研究科の門脇辰彦准教授(46)は、ハチが抱えるストレスを遺伝子レベルで調べた。
人間を含む動物や昆虫は、高温や多湿など生存に不都合な条件に反応する共通の遺伝子を持っている。門脇准教授は、この遺伝子が反応すると特定のタンパク質の合成量を変化させることに着目。ハウスに入れる前と後のミツバチからタンパク質を採取して比較し、ハウスに入れた後のハチが強いストレスにさらされていることが分かった。
門脇准教授は「ハチ自身はストレスと感じていないだろうが、体は高ストレス状態にある。働き詰めのサラリーマンのよう。群れを長持ちさせるために、ストレスを減らすことが必要」と訴える。
ナス農家の坂本さんはこの話を聞き、巣箱を時々、ハウス外の涼しい木陰に置くようにした。休憩後にハウスに戻すと、ミツバチが「なんとなく元気になった気がする」。
でも、しばらくするとハチはまた天井へぶつかっていく。休んでいた木陰の方向を目指して。「その姿が、なんともかわいそうで…」。坂本さんの中で、ミツバチへのいとおしさが増していく。
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