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http://www.asahi.com/national/update/0312/TKY201103120521.html
経済産業省の原子力安全・保安院は12日、東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所1号機(福島県大熊町)で、午後3時30分ごろに大きな爆発音を伴う爆発が起きたことを明らかにした。枝野幸男官房長官は同日夜会見し、爆発は何らかの理由で建屋内にたまった水素によるもので、原子炉の安全性を保つ格納容器は損傷していないこと、今後の損傷を防ぐため、容器を海水で満たして冷やす措置を指示したことを明らかにした。福島県は同日、近くの病院の屋上に待機していた3人がこの爆発で被曝(ひばく)したと発表した。
冷却にあたって、核反応が連続する臨界に達しないようにするため、ホウ素も用いる。この措置は午後8時20分に着手したという。枝野氏はこうした手段について、原子力安全委員会など専門家などとも協議し、新たなリスクはないと判断したが、「念のために、万全を期すため」、避難を指示する対象を従来の半径10キロから半径20キロに拡大した。
東電は12日午後、原子炉格納容器の損傷を防ぐため、容器内の放射性物質を含む空気を外部に放出する作業に着手。同3時30分ごろに現場敷地境界で、1時間あたり1015マイクロシーベルトの放射線を確認した。
1015マイクロシーベルトは、一般人の年間被曝(ひばく)線量の限度(1ミリシーベルト=1000マイクロシーベルト)を、1時間で浴びる放射線量に該当する。日常生活で自然から浴びている放射線は平均で1時間あたり0.05マイクロシーベルト。放射線業務従事者は年間50ミリシーベルトかつ5年間で100ミリシーベルトが被曝限度とされている。
だが、その直後の午後3時36分ごろに爆発があった後、線量は70.5マイクロシーベルトまで落ちたという。こうしたことから、枝野氏は放射性物質の放出に大きな変化はなく、原子炉は制御下に置かれるとしている。
福島県によると、爆発で1号機の原子炉建屋の天井が崩落したことを確認したという。東電社員ら4人が負傷し、病院に搬送されたという。
東電の小森明生常務は12日夜の会見で、第一原発について「現在、原子炉の様子がつかめないが、時間ごとの(放射性物質の)放出の可能性は高い。厳しい状況」と述べた。
放射線医学総合研究所や東電が原発敷地内で、燃料中に含まれる核分裂生成物であるセシウムやヨウ素を確認した。いずれも、ウランが核分裂をした後にできる物質だ。
こうしたことから、保安院、東電とも、炉心溶融の可能性が高いとしている。想定されている原発事故の中で最悪の事態だ。これが進むと、爆発的な反応を引き起こして広く外部に放射能をまき散らす恐れもある。
原子炉圧力容器内の水位は下がり続けており、午後5時28分の段階で、燃料棒(長さ4メートル)の上端から1.7メートル低い位置にある。燃料棒の半分近くが露出した状態になっている。消防車などを使って冷却水を注入しているが追いついていない。このため、東電は海水も使うことを選択肢の一つとして検討していることを明らかにした。
政府は福島第二原発(同県楢葉町、富岡町)について、避難を指示する範囲を、半径3キロ圏から10キロ圏に拡大した。
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