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自治体 迫り来る危機
(上)社会保障だけで精一杯
地方自治体が少子高齢化や消費の低迷を前に立ちすくんでいる。社会保障対策に四苦八苦し、先を見据えた地域活性化は後回し。財政破綻が相次ぐ状況にはないが、地方分権の看板はかすみ、財源調達も相変わらず国頼みだ。危機が忍び寄る自治体財政を点検する。
都市部で支出増
都心のベッドタウン、東京都府中市は多摩地域で最多の待機児童を抱える。子育て世帯の要望にこたえようと苦慮している最中。私立保育所の運営補助などに充てる一般財源は24億円と3年で5億円増えた。子ども医療費の無料化もニーズは強い。既存の福祉メニューは削りにくい中でのやりくりとなり、市の担当者「健全財政を維持しながらの運営は大変だ」とため息をつく。
小池百合子都知事は待機児童対策を急ぐ構えだが、都に救いを求める市区町村が殺到しそうな情勢だ。都内自治体は人口の多さから豊かな税収を誇ったが、高齢者も急増している。総務省は「社会保障の支出は都市部で伸びている」とみる。
2010年に政令市に移行した相模原市。高齢者や子育て支援などに充てる民生費は16年度、一般歳出の46.7%を占める。3年前から6ポイント超上昇した。人件費など固定費は容易に削れず、市は「インフラ拡充を求める声は多いが、建設投資に回せる予算は年々縮小している」とこぼす。
毎日1万歩運動
待機児童解消など若年向けサービスに力を入れないと将来人口が増えない。増える高齢者への目配りも欠かせない。地方の14年度決算をみると、民生費が歳出全体の25%を占めて最大となった。教育費(17%)や借金を返す公債費(14%)を上回る。市町村に限ると、歳出の3分の1が民生費で、年々その比率は高まっている。
埼玉県東松山市は7月、市民約120人と「毎日1万歩運動」を始めた。健康な体づくりで少しでも社会保障にかかるお金を減らす取り組みだ。過去の参加者の年間医療費は1人約2.4万円減った。旗を振る県は「住民の健康寿命が延びれば病院に行かずに済み、医療費も減る」とみる。
18年度から国民健康保険の運営主体が市町村から都道府県に切り替わる。全国の市町村で年約3500億円の赤字を埋めるが、移行後は県が財政の責任を負う。国も財政支援する方針だが、自治体間のつけ回しでは根本的な解決にはならない。
老朽インフラの手直しにごみ処理能力の拡大、教育の充実。自治体には多くの需要があるが、この先は社会保障に優先的にお金が回る恐れがある。自治体ごとにメリハリをつけ、いかに効率化するか。地方の自主性が問われている。
[日経新聞8月16日朝刊P.5]
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