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(回答先: 自治体 迫り来る危機(中)風頼みの税収は続かず 投稿者 あっしら 日時 2016 年 8 月 23 日 12:59:11)
自治体 迫り来る危機
(下) 地方創生、創意はどこへ
大津地裁が運転差し止めの仮処分を出した関西電力高浜原子力発電所3、4号機。2基がある福井県高浜町の財政は潤沢だ。2016年度税収は前の年度から11%増える見通し。関電が原発再稼働に向けて防潮堤や消火設備の設置などの安全対策を進めたことで、固定資産税収が増えた。
国策前提の自立
高浜町では原発関連収入が全体の4割程度を占める。税収増を受け、町は16年度、国から地方交付税を受け取らない不交付団体に転じた。北海道泊村に新潟県刈羽村、佐賀県玄海町。これらの原発立地自治体は総じて不交付団体だ。財政面の自立は国策の原発があればこそ。国依存のねじれた関係が浮かぶ。
「地方創生の交付金の内容や規模を地方の意見などを十分に踏まえて拡充すべき。地方により使い勝手のよいものにすべきだ」。全国知事会は7月、地方税財源の確保でこんな提言を作った。「国策だから国がしっかり支援すべきだ」(自治体関係者)。自由に使える財源を少しでも国から引き出したい地方に屈託はない。
国は16年度当初予算で、地方創生事業に充てる交付金を1千億円計上した。国が事業費の半分を賄い、残り半分は地方が負担する。地方はスタート当初から交付金の上積みを求めてきた。国は8月にまとめた経済対策で上積みに応じた。分権は影を潜め、そこにあるのは圧力団体の姿だ。
知恵絞る努力を
ある経済官庁の幹部は「自治体は自分たちで何とかしなければいけないという危機感が薄い」と苦い表情をみせる。独自課税で自前の財源を増やしたり、自由な起債で市場から資金調達したり、自分たちで地域にお金を呼び込む努力はもう一歩足りない。
北海道上士幌町や宮崎県綾町のように、国が作った「ふるさと納税」を活用し年間税収を超える寄付を集めだした町もある。長崎県平戸市はふるさと納税と連動し、地元業者にネット通販の経験を積ませた。9月には市産品を売る電子商取引(EC)を始める。地域の経済力を高め、外からお金を呼び込む。
国家戦略特区で農業の門戸を広げる兵庫県養父市、地方空港活性化の一環で仙台空港の民営化を後押しした宮城県。これらは全国一律の国策に風穴をあけ、地域の独自色を高める取り組みだ。国に頼り切るのでなく、国の協力を得ながら、地域に活力を与えつつある。
地方の財源不足は6兆円近くに達する。職員数削減など歳出を見直すだけでは限界だ。必要な歳入をいかに自力で増やすか。少子高齢化や景気の変調といった危機を前に思考停止しているヒマはない。自立へ向け、忘れかけた地方分権への熱意を呼び覚ますときだ。
杉本耕太郎が担当しました。
[日経新聞8月18日朝刊P.5]
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