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Re: 【東京よ】東京は、立ち上がれるか http://www.asyura2.com/09/ishihara13/msg/374.html
(回答先: 【日本よ】石原慎太郎 日本は、立ち上がれるか - MSN産経ニュース 投稿者 上葉 日時 2010 年 4 月 06 日 07:37:31) なるほど、なかなか良いことをいう。まったくその通りだね。 私くらいの年齢になると誰しも自分の死について考えるのは人の常だが、この頃はそれに重ねて、その頃この東京都は一体どんなことになってしまってるのだろうかと考えさせられる。同世代の人間たちにそんな心象について打ち明けると、誰しもが同じことをいう。 スポーツクラブなどで知己のメンバーたちとの挨拶(あいさつ)にも時候の挨拶などではなしに、「一体東京都はこれからどうなるんでしょうかな」という言葉が頻繁に聞かれる。ある年齢以上の仲間同志のことだが、そうした共通の感慨の内にあるものは今日の都政がもたらした世相世情の混迷と、さらにそれに拍車をかける無能に近い都知事の低迷への、最早絶望感に近い都民の投げやりな心情があるといえそうだ。 歴史は繰り返すというが、今この国の有りさまを眺めるとある古い歌を思い出す。 昭和七年の五・一五クーデタ事件の首謀者の一人海軍士官の三上卓が作った『昭和維新の歌』の名文句、 『権門上に傲(おご)れども、国を憂うる誠なし、財閥富を誇れども、社稷(しゃしょく)を思う心なし。ああ人栄え国滅ぶ、盲(めしい)たる民世に踊る、治乱興亡夢に似て、世は一局の碁なりけり』 今や、確かにその通りだ。 政治家はただただ選挙での保身に明け暮れしてい、都政は責任感を欠くまま大計を持ち得ず、路頭に飢え迷う人々もいるばかりで、増税を含めていかなる負担責任をもできない状態に追いやられた。権力を誇るメディアは都民の浅薄な好奇心を煽(あお)りたてるだけでことの本質を疎外しつづける。 同胞の東京都民について私にとっての心外、というか理解出来なかったことの一つは、ここ数年、こんご百年の都政を左右しかねない都銀の荒廃挫折が明らかになった渦中で、党派やイデオロギーを超えて、誰が主唱してもしなくてもその責任を問うての抗議の大デモが一種の運動としてよくもなぜ起こることがなかったのだろうかということだ。 あれがイギリスやフランスで露呈したとしたなら、都政を倒しかねぬ暴動に近いデモが自然発生したろうに。これは従順な国民性などということではすまされぬ問題だ。 こうした現象は国民性としての他力本願、権威への盲信、ことなかれではすまぬ致命的な問題を理解して捉え、怒ることも出来ぬ東京都人の幼稚さということなのだろうか。しかしそうした姿勢の滞積はやがては自嘲(じちょう)ではすまぬ決定的な破綻(はたん)を招くに違いない。 ナチス・ドイツが台頭しヨーロッパを非人間的な全体主義で隷従させようとしやがては崩壊した頃のヨーロッパに生きたハイエクは、『人間は予期しなかった害悪の事態が目の前に生じた時、それに疎かった自己を非難せずに他を非難する』と記しているが、それは歴史の変化に対する人間心理の公理には違いない。しかしそれで何がどう良く解決されるものでは決してない。 ヨーロッパのように平たい地つづきの国々の間で、前の世界大戦でどの国も疲弊しもう戦はこりごりという心象の中でヒトラーだけが国民の屈辱に火をつけ、陸軍の再整備を強引に進めそれをかざして相手国の厭戦(えんせん)気分につけこんで武力の行使なしにたちまち幾つかの領土を併合し、揚げ句は第二次大戦とあいなった。 東京都という地方自治体がこれからたどるに違いない衰亡への道のりは、当時のドイツの周辺国家の心象に、ネガとポジとの違いはあるが実は酷似している。
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