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http://www.news.janjan.jp/government/0908/0908178828/1.php
NHKの世論誘導目的の謀略に嵌められてはならない
山崎康彦2009/08/17
8月15日夜のNHKは「終戦記念日特集」で「安全保障と核」をめぐる討論番組を生中継していました。多くの方がご覧になったと思われますが問題の立て方に大いに疑問を感じました。
討論の中で今後日本がとるべき政策として、
1) 核を保有する
2) 米国の核の傘に依存する
3) 米国の核の傘に依存しない
の3つを挙げ、どの政策をとるべきかの意見を参加者1人1人に聞いておりました。
1)は今、田母神元航空幕僚長などの右翼ファシスト達が盛んに主張している「日本の核武装論」ですが、この論理は全くの机上の空論であり事実上成り立たない論理なのです。
なぜなら日本が核武装を宣言すれば、日本を含めて190カ国が批准している核拡散禁止条約(NTP)からの脱退を意味しますので、米国をはじめ全世界を敵に回すことになります。貿易立国の日本の経済は輸出入が制限され、その時点で立ちゆかなくなります。
ウランや石炭や鉱物資源の輸入が止まり、原子力発電や火力発電や製鉄生産ができなくなります。食料自給率39%の日本への食料輸出が制限されますので、物価高となり飢餓状態となります。
現在の日本の繁栄は「核武装しない、戦争を仕掛けない平和国家」という大前提で成り立っているのです。「核武装論」はこの大前提を完全に崩した論議なのです。
昨夜のNHKの討論を見ていますと、絶対にありえない「核武装論」をあたかも想定可能な1つの選択肢に最初から入れて議論し選択させていますので、世論誘導の意図を強く感じます。
多くの日本国民は北朝鮮が核実験し核保有国を宣言したことで北朝鮮の核とミサイルへの恐怖を潜在的に感じています。そのような恐怖の心理に付け込んで実現性皆無の「核武装論」を選択肢に入れて質問すること自体、世論を「核武装肯定」に誘導する目的があったと思わざるを得ないのです。
現実性のある選択肢は2)と3)しかあり得ませんので、そのうちのどちらを選ぶかを質問すべきなのです。
戦前の日本でも今回のNHKと同じような謀略的トリックが使われました。
当時米国との戦争をめぐって日本のとるべき方針は以下の3つでした。
1)米国と戦争して独自の経済圏を確立する
2)米国と戦争するが負けるのは分かっているので、早期に終結を図り日本の主張を通す
3)米国と戦争せずに妥協を図る
1)の選択肢は机上の空論でした。なぜなら日本と米国との国力の差を見れば米国と本格的な戦争に突入したら日本国が滅亡することくらい事前に分かっていたからです。
1)の選択肢は「日本の核武装論」と同じく机上の空論でしかなく、最初から選択肢に入れるべきではないのです。有効な選択肢は2)と3)だったのです。
戦前の昭和天皇と軍事官僚と財界と政治家と右翼は、机上の空論をあたかも実現性のある選択肢として掲げ、日本国民をだまして米国との戦争に突き進んだのです。その結果、国を破滅させアジア太平洋の人々に甚大な被害を与えたのです。
今回NHKは巧みな謀略的トリックで「核武装肯定」の世論形成をはかりました。我々はこのようなNHKの世論誘導目的の謀略に嵌められてはなりません。
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