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上記アピールの詳細【Business Media 誠:閉鎖的記者クラブはメディア不信の深化による行政の介入の弊害招く】
http://www.asyura2.com/09/hihyo10/msg/560.html
投稿者 転載バカボン 日時 2010 年 4 月 20 日 12:22:56: kkVgFyCLlyr/.
 

(回答先: メディアによる情報統制と戦う「記者会見・記者室の完全開放を求める会」が、4月19日記者会見を開催 投稿者 遠山の金さん 日時 2010 年 4 月 20 日 09:49:03)

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1004/20/news015.html
「行政主導の記者会見開放はメディアの危機」――フリー記者たちがアピール

雑誌やフリーの記者、大学教授など70人が呼び掛け人となっている「記者会見・記者室の完全開放を求める会」は4月19日、東京都千代田区の日本記者クラブで会見を開き、新聞社や通信社、テレビ局計231社に記者会見や記者室の開放を求めるアピール文を送付したと発表した。呼び掛け人たちが会見で主張した内容を詳しくお伝えする。
[堀内彰宏,Business Media 誠]


 雑誌やフリーの記者、大学教授など70人が呼び掛け人となっている「記者会見・記者室の完全開放を求める会」http://kaikennow.blog110.fc2.com/は4月 19日、東京都千代田区の日本記者クラブで会見を開き、新聞社や通信社、テレビ局計231社に記者会見や記者室の開放を求めるアピール文を送付したと発表した。

 日本では全国の官公庁に記者クラブが配置されており、記者会見や記者室の使用は記者クラブ加盟社にほぼ限られていた。2009年9月の政権交代以来、一部の官公庁では記者会見が開放されてはいるものの、まだその動きは全体には広がっていない。

 記者会見・記者室の完全開放を求める会では、2002年に日本新聞協会が示した「記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解」http://www.pressnet.or.jp/statement/060309_19.htmlでうたわれている「記者会見参加者をクラブの構成員に一律に限定するのは適当ではありません」「記者室を記者クラブ加盟社のみが使う理由はありません」といった内容を、現場で実行するようにアピール文で申し入れた。

 具体的には、「質問制限などを一切設けずに、記者会見への参加を開放すること」「記者室の利用を開放すること」「取材資料の提供、懇談や裁判取材における記者席確保などを保証すること」の3点を求めている。
既存メディアが実現すべきところを、権力側にやられてしまったのは残念

 記者会見・記者室の完全開放を求める会は4月から活動を始めた任意団体で、野中章弘アジアプレス・インターナショナル代表が代表世話人を務め、反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児氏、ジャーナリストの田原総一朗氏や上杉隆氏、津田大介氏ら70人が呼び掛け人として名前をつらねている。

 会見では呼び掛け人たちの一部が登壇、日本新聞労働組合連合委員長の豊秀一氏、フリージャーナリストの岩上安身氏、『週刊金曜日』編集長の北村肇氏、ビデオニュース・ドットコム代表の神保哲生氏、ジャーナリストの寺澤有氏、経済ジャーナリストの牧野義司氏が記者クラブ問題について語った内容を詳しくお伝えする。

豊秀一(日本新聞労働組合連合委員長) 新聞労連の中には新聞の研究活動を行う新聞研究部というものがあるのですが、そこで議論をして、みんなで全面開放していこうという「記者会見の全面開放宣言」http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/100304.htmを 3月4日に出しました。

 新聞労連で1994年、2002年に出した提言でも、「記者会見の全面開放や記者クラブ改革を進めていこう」とうたっていたのですが、なかなか現実では進みませんでした。そうした中、2009年9月に政権交代が起きて、閣僚会見の開放などが政治主導で行われてきました。本来、私たち既存メディアが自分たちの手で実現すべきところを、監視の対象であるべき権力の側にやられてしまったというのは極めて残念なことだと思っています。

 先を越されましたが、やはり私たちの手でそういう状況を少しでも変えていかないという思いから、「記者会見の全面開放宣言」を出させていただきました。記者会見にフリーの人やWebメディアの人を入れないことで、情報の多様性が失われています。それがこの国の民主主義にとって良いことなのかというと、決してそういうことはないと思います。多様な言論や情報の流通、多様な価値観があって初めて、世の中が民主的になっていくと思います。

 また、記者クラブの閉鎖性ゆえに、「既存メディアVS.それ以外のジャーナリスト」というあたかも対立するような形になっていることも、社会にとって不幸なことではないかと思います。私たちジャーナリストは組織に属するジャーナリストであろうと、フリーのジャーナリストであろうと、1人1人が権力を監視して、多様な情報を一般の人たちに提供するという点においては同じです。記者会見を開放しながら、それぞれが切磋琢磨して、お互い連帯し合いながら良い報道をして、少しでも健全な民主主義社会になっていけばと思っています。


官公庁での記者会見開放の流れ

岩上安身(フリージャーナリスト) 私はこの会の立ち上げにあまり力を尽くしていないので、こうして壇上に上がることに恐縮しています。ただ、2009年の政権交代以降に起こった記者会見の一部オープン化について最前線で取材をしているので、記者会見開放の現場をある程度知っている者の代表という形でお話しさせていただきます。

 最初に記者会見オープン化の動きがあったのは、亀井静香大臣のもとの金融庁、岡田克也大臣のもとの外務省でした。この2省庁が先行していたのは、それぞれの大臣の強いイニシアチブがあったとともに、他省庁にない特殊性があったことにも触れておかなければなりません。

 外務省は他省庁と違って、記者会見の主催権が外務省にあります。由来は誰に聞いても分からないのですが、伝統的に外務省側が主催権を持っていて、他省庁は各記者クラブ側が持っています。そこで岡田大臣が記者クラブ側に記者会見開放の申し入れをしたところ、返事が引き延ばされて、期限を区切っても回答がなかったので、開放に踏み切るということになり、私たちのようなフリーランス、Webメディアや日本外国特派員協会の記者などが参加できるようになりました(「大臣会見に関する基本的な方針について」)。

 金融庁は他省庁と同じく、金融庁の記者クラブが主催権を持っています。これに対して、亀井大臣は就任早々、「記者会見に今まで排除されてきたフリーの記者なども参加できるようにしてくれ」と申し入れをしたのですが、これを記者クラブ側が拒否しました。そこで、「フリーランスやWebメディアに平等な機会を与えるために、自分自身で開催しよう」ということで、週2回、閣議後に記者クラブ側の定例記者会見直後に大臣主催の記者会見を行っています。

 この2省庁が突出して進んできたのですが、今、金融庁で新しい動きが始まろうとしています。ずっと分裂開催の異例な状態が続いていたのですが、金融庁広報室の事務方と記者クラブ側が「1本化できないか」と話し合いをしたのです。「大臣は高齢であり、身体的な負担がかかっているということもあるので一緒にした方がいいのではないか」「大臣が交代して亀井さんでなくなった時に、オープン会見の方が閉ざされてしまうのではないか」ということもあって、「統合して真の意味でオープン化した方がいいのではないか」という話し合いが、私たち当事者は含まれず、記者クラブと事務方で行われました。

 この案を受けて、亀井大臣が「フリーランスの人たちやWebメディアの人たちの話を聞いて、その意向を尊重してくれ。一緒になるのもいいし、別々の開催のままでも私は構わないけど、当事者の意見をくむように」と事務方に再三指示したことから、4月13日にヒアリングが行われました。これは公開で行われて、参加していた20人ほどの記者たちがUstream中継を行ったり、私もビデオカメラで撮った映像をYouTubeでアップしているので、ぜひご覧になっていただければと思います。

 ヒアリングではいろいろと活発な意見が出ましたが、基本的には「示された統合案に不服」というものがほとんどでした。というのは、オープン化されても、主催権は記者クラブが握り、運営に関して記者クラブ外の人はまったくタッチできないんです。例えば、誰かが「記者クラブに加盟して、記者会見に参加したい」と言っても、それを決める権利や口を出す権利もありません。記者会見にオブザーバー参加して、質問権があるだけという非民主的なものだったのです。

 「これでは承服できない」ということで、そのヒアリングに参加した人たちに呼びかけて、10人くらいの有志の会をとりあえず作って、金融庁の記者クラブに「対話をしよう」と呼びかけることにしました。呼びかけの文章を作ったり、どういう形でやるかを決めたりするのはこれからですが、まずは対話の場を作りたいと思います。

 この動きはおそらく他省庁にも広がっていくでしょう。どこの場においても、当事者である私たちのようなポジションにいる人と、記者クラブ側が恒常的に対話をしていけるような場を設けていきたいと思います。そうでないと現場でさまざまなことが起こりうると思いますし、新しい参加者についての問題も生じてきます。例えば、フリーランスの人が「記者会見に出たい」と言ってきた時に、近い立場の人がその人の代弁者として便宜を図ったり、参加を認める方向で働きかけたりしていくということが必要ではないかと思います。

 ただ1点、「私たちのような集まりが第2記者クラブになりはしないか」という懸念の声が私たちの中からも挙がっています。それはもっともな話です。今まで記者クラブは閉鎖的、排他的で、情報利権を守るためのカルテルとして機能してきた側面は否定できないものがあります。

 私はこの会見が始まる直前に「これから始まります」とTwitterで書いたら、それに対するレスポンスがたちまち返ってきました。その中に、「こうやって話しているのは、結局記者クラブの記者会見に参加して、自分の領域を拡大するためなんじゃないのか」という痛烈な意見がありました。

 私は一記者として参加できればいいのであって、その中で利権を作りたいというわけではありませんし、私の仲間たちも同じような考えだと思います。私たちの集まりは権力化や利権化を目的にしているのではないので、オープンな状態で維持していきたいと思いますし、個々人が入れ替わってもそうした集まりが続き、記者クラブと話し合いの場を持ちながら、記者会見を記者クラブが専有して主催するのではなく、市民の代弁者たるジャーナリストみんなで共催するような形にできたらいいなと思っています。
記者クラブ廃止論には反対


北村肇(『週刊金曜日』編集長) (記者会見オープン化について)3点、お話ししようと思います。

 1つ目は、「既存メディアの記者がなぜ反対するのか」ということです。僕も30年ほど毎日新聞にいたのでよく分かりますが、要するに「既得権を手放したくない」ということ。独占状態にしておけばさまざまな既得権があるわけで、「それを手放したくない」という非常に単純なことがあると思います。

 また、「ジャーナリズムが何か」ということを考えない記者が数多くいる、というか増えてしまったということもあります。特権の裏には義務があるわけで、「ジャーナリズムの義務をきちんと果たしていれば、これほどまでに記者クラブ批判が起きただろうか」と思います。「ジャーナリズムとは何か」を考えないで記者クラブにいれば、既得権益を守ることしか考えないことになるでしょう。

 2つ目は「じゃあどうしたらいいか」です。(記者会見の)開放は当然です。「ジャーナリズムが何を目指すか」ということで一番大きいのは、権力の監視や批判です。民主主義の自由を守る目的のために働いている人たちの組織が、言論の自由を守らないなんてことはまったくばかげています。(記者会見は)すべてのメディアに開放するということを前提にして、後は「実務的にどうしたらいいか」ということを考えたらいいでしょう。

 ただ、僕は記者クラブ廃止論には反対しています。省庁の中に権力の監視や批判をする場を設けているわけですから、制度をしっかりしたものにすればいいのであって、そのものを廃止することは避けた方がいいと思っています。

 3つ目は「開放させるためにどうしたらいいか」です。企業ジャーナリストやフリーの人たち、あるいは市民記者の人たち、Webメディアの記者たち、さまざまな人がいるわけなので、それらの人すべてが加われる何らかの集まりを作って、1つのパワーを発揮して、既存メディアや省庁に圧力をかけて開放させていくことが必要な時に来ているのではないかなと思います。まあ、組織でやると、またおかしなことになるかもしれませんが。


自分たちの権益を伸ばすためにやっているわけではない

神保哲生(ビデオニュース・ドットコム代表) ここ(会見場の日本プレスセンタービル)は日本新聞協会が入っている日本記者クラブの施設で、そこで「記者クラブをぶっとばせ」みたいな会見をやるというセンスにまずみなさん反応していただければと思います(笑)。記者会見の開放問題でこれだけの場を作っていただいて、しかもこれだけの人が集まっていただけるという現状に非常に感慨深いものを感じています。

 私はこの問題とは、非常に長い付き合いです。私はAP通信の記者だったのですが、1989年に日本に特派員として派遣されてきた時、例えば、湾岸戦争の時に日本が世界に向けて支援策を発表するという記者会見に出ることができませんでした。AP通信として出られなかったということですね。

 また、AP通信では昭和天皇が崩御された時のニュースを亡くなられた直後に配信しましたが、「NHKによると」というクレジット付きでした。社内では「国営放送や公営放送を通じて、国家元首の死亡が伝えられるのは、おそらく北朝鮮と日本だけだろう」と揶揄(やゆ)されて、僕らが直接情報を取れなかったことを間接的に批判されました。ただ、当時、宮内庁から直接そういう情報をとることは不可能でした。

 それが1989年の出来事ですが、そこからずっと記者クラブ問題に付き合ってきました。それでここにきてようやく民主党政権がイニシアチブをとったことで、こういう大きな動きにつながったということは非常に歓迎しています。まあ本当は「開く」だったのが、なぜか「開く」「開かない」になっているところが問題なのですが。

 記者会見開放についてまず押さえておかないといけないのは、岩上さんがおっしゃられたように「自分たちの権益を伸ばすためにやっているわけではない」ということです。もちろん、そういう面がまったくないとは言いません。

 ただ、いろんな業界にいろんな不公正な商習慣があるわけですが、メディアにおける不公正な商習慣は次元が明らかに1次元違います。なぜなら、メディアで何らかの障壁があった場合、その障壁があったことが知らされることがなく、「何が知らされていないのかを知らされることがない」からです。一般の市民は何が知らされていないのかが分からないのがメディア問題の本質で、だからこそ記者クラブ問題がここまで温存されてしまいました。一般の人は記者クラブ問題の存在を知ることがなかったわけです。それは、記者クラブ問題の当事者が記者クラブ問題を報じていないからで、これはいまだにそういう状態です。

 鳩山首相が初めてオープンの記者会見をしたという事実さえ、ほとんど報じられていません。また、民主党が政権をとる前、マニフェスト発表会見で「記者会見の開放も自分たちの約束です」と言った。主要メディアの報道では、マニフェスト会見の議事録からそこだけ消されているんですね。「どうせならそこだけ黒く塗ってくれたらいいな」と僕は思いました。「黒く塗られている部分がありますよ」ということを世の中が知っていればまだ、「何か怪しいな」と思うのですが、何もなかったように消されているんです。だから、ほかの業界の不公正な慣習とは明らかに違う次元のものがメディア問題にはある、ということを認識していただく必要があると思います。

 それから記者クラブ問題についてもう1点、「記者会見に入れないと取材ができないので、入りたい」と言うと、主催が記者クラブだからという理由で「記者クラブに行ってくれ」と言われます。そこで記者クラブに行くと、「これは任意団体で、会見は自主的に行っているものなので、会見に入りたいなら、自分たちで独自に会見をやってもらったらいいのではないか」と言われるのです。これは逆に言うと、「記者会見ではなくて、懇談だ」と言っているに等しいのですが、「オープンな会見ではなくて、自分たちの私的な集まりに大臣を呼んでいるんだ」という言い方をするわけです。だから、「会見を別途やるならどうぞ、それは妨げません」という言い方をされて、そのままたらいまわしにあうことになります。ちょっと変化球的に言うと、記者クラブ問題は記者会見問題になるのですが、最終的にはまたそれが記者クラブ問題になるのです。

 また、先ほどから出ている主催問題に関わることなのですが、ここで主催というのは「誰が会見に参加する資格があるのか」を決定する権利のことを言っています。普通は主催と言うと、イベントのお金を出しているとか、場所を用意しているという意味なのですが、(役所の記者会見の場合は)場所は省庁の施設だし、お金も役所側が出しているので、そういう意味での主催は役所なんですね。ただ、記者クラブが主催というのは、参加権利を決める権利が記者クラブ側にあるということです。

 今、民主党が政権をとって、民主党は野党時代からすべての会見をオープンにしていたので、「そのままオープンにします」ということで、いろんな理由で一部まだとどこおっているのですが、オープン化の流れができました。ただ、そこで記者クラブの方々によく考えていただきたいのは、「行政がイニシアチブをとって開放する形で本当にいいんですか?」ということなんです。

 今はいい意味で大義名分が民主党側にあって、オープンにするためだと言って、記者会見の主催権に介入しているわけですが、民主党政権がいつまで続くか分かりません。また、今の大臣はいい意味で開放しようとしているかもしれませんが、次の大臣や次の次の大臣は主催権を持っていても、会見を今のようにオープンに、公明正大にやるとは限らないわけですね。自分たちで会見を主催する権利というのは、日本のメディアが長い歴史の中で勝ち取った権利のはずなんです。

 それなのに記者クラブが近視眼的に自分たちの損得みたいなことだけを考えて、記者クラブを開放しない。どんどんメディアが入ってくださいという形にしない。あるいは、「一緒に主催しましょう」とならない。そのため結局権力が介入して、主催権をとってしまっているわけなのです。「今は記者会見に出られるからいいということで、本当にいいのか」ということは、僕は真剣に考えるべきだと思います。

 「行政が主催した方がまだマシだよ」という人が多い理由は、メディアがそれほどまでに信用されていないからです。「メディアに主催させるぐらいなら、行政に主催させたほうがいいよ」と言われるようになってしまっているので、そうなってしまっている。「だけど、それではまずいんじゃないか」というのが私の提案です。

 今、この瞬間だったら行政が主催権を持つ方がマシに見えます。会見をオープンにしようとする政権があって、絶対開放しないという記者クラブがあってという視点で見ると、行政が主催権を持つ方がいいように見えます。でも、「これは将来にわたっても普遍的なものかどうか」ということは、メディアの人間なら当然考えるべきだと思うのです。その意味で、記者クラブの責任は重い。記者クラブが開放しないために、行政に主催権をとられていますよ、ということです。

 私たちは記者会見に出していただけるのはありがたいのですが、行政主催の記者会見に出ることになっているんですね。それは良い大臣ならいいですが、非常に不公正な運営をしたり、都合が悪ければ開かなかったり、自分に都合のいい記者にしか質疑応答で当てない、ということも主催権に関わる問題になってきます。ですので、僕は声を大にして、記者クラブの方々には「100年の計を誤らないように」とお願いしたいと思います。


警察庁が会見室まで入れてくれない

寺澤有(ジャーナリスト) 僕は先月、「中井洽(ひろし)国家公安委員長の記者会見に出させてほしい」という仮処分申請を東京地裁にしました。2005年にも同じように「漆間巌警察庁長官の記者会見に出席させてほしい、それを妨害するな」という仮処分申請を東京地裁にしました。2005年に申し立てた時は警察庁と警察庁記者クラブが一体となって、「漆間巌さんの記者会見は私たち記者クラブだけのために行われているものだから、お前なんか入れてやらない」と主張しました。しかし、こちらもいろいろ徹底的に戦って、普通、仮処分申請というのは1人の裁判官が1週間くらいで決めてしまうのですが、最初は1人の裁判官だったのが3人の裁判官の合議になって、何カ月も延々とやり続けることになったのですが、その時は警察庁と警察庁記者クラブが勝ったんですね。

 民主党政権になると、警察庁長官の記者会見はなくなって、中井洽国家公安委員長の記者会見の横で安藤隆春警察庁長官が立っているという話になったのですが、今回は「その中井洽国家公安委員長の記者会見に出席させてほしい」と申し入れたのです。

 警察庁は「セキュリティ上、庁舎管理権があるので、あなたは入れません」ということだったのですが、警察庁記者クラブは2005年の件で相当傷ついたと見えまして、今回はもう最初から戦いを放棄して「どうぞ出席してください。質問も自由です」と文書で回答をくれました。それで敵が警察庁だけに絞られました。

 今、中井洽国家公安委員長が警察庁の会議室で記者会見を開いているのですが、それは一応「警察庁記者クラブが主催する」となっています。でも、主催する警察庁記者クラブが「寺澤さん、どうぞ出席してください。質問も勝手にしてください」と言っているにも関わらず、警察庁が「セキュリティや庁舎管理権の問題で、会議室まで通してあげたくない」と主張しているのです。

 「それはおかしいでしょ」ということで、そういう妨害をやめるように仮処分申請をして、今回はかなり勝てるのではないかと思ったのですが、東京地裁民事9部の葛西功洋裁判官が、「表現の自由や取材の自由は憲法に保障されているが、それよりも通せんぼする庁舎管理権の方が優先する」という驚くべき決定を出したので、今、私は東京高裁に抗告しています。まだ、東京高裁の判断は出ていませんが、これはこちらが勝つまでやるので、徹底的に何回もやります。

 一応、記者会見は警察庁記者クラブが主催していて、「寺澤さんもどうぞ」ということなので、「(警察庁に)入れてあげろ」と(警察庁記者クラブが)言ってやれば、記者クラブはこれまであっていいことは1つもなかったと思うのですが、「最後に1ついいことしたね」ということになると思うんですね。しかし彼らは言わないので、「本当は自分たちで排除したいんだけど、警察庁に排除させている」とちょっとうがった見方をする人も出てくる始末です。

 逆に言うと、東京高裁の抗告や、最高裁でも勝ったら、警察庁がどうするかというと、記者会見自体やめるという可能性も高いんですよね。例えば、今の安藤隆春警察庁長官は『週刊文春』にも書きましたが、群馬県警本部長時代に群馬県警前橋署生活安全課員らが暴力団の犯罪を見逃すなど、便宜をはかる見返りとして、拳銃の提供を受け、捜査で押収したように偽装していた事件が発覚しましたhttp://incidentsoftoday.blogspot.com/2009/07/blog-post_02.html。彼は本来、警察庁長官になれる人ではなかったんですね。

 その時に取材もしましたが、多分僕が目の前に来て、昔のことを延々と質問されたら嫌でしょうから、「記者会見自体をやめましょう」ということを絶対言ってきます。それから記者室にも「あんな奴が出入りするのは嫌だよ」「記者室自体を閉鎖しますよ。庁舎管理権がありますから」と言い始めますよね。だから今、記者クラブが何かできるとしたら、最後のチャンスじゃないかなと思っている次第です。


記者クラブ制度が悪用される危険性も考慮すべき

牧野義司(経済ジャーナリスト) 私は毎日新聞で経済記者を20年、ロイター通信で15年、その後はフリーランスで生涯現役でジャーナリストをしています。

 これだけ多くの人が日本の記者クラブ開放の問題に関心を持っておられるというのは、とてもすばらしいことだと思っています。ただ先ほど、新聞労連の豊さんが言われたように、政権交代して民主党政権になって初めてこういう問題が動き出すというのは非常に残念なことです。政治主導でなければこういうことが動かないというのは、裏返せばメディアの現場から自主的に開放しようという動きを大きなメディアが自己規制をしてしまうということに問題があるのではないかという気がしています。

 僕が毎日新聞からロイター通信に移った時、ロイター通信もAP通信と同じように閉鎖的な記者クラブ制度の枠組みの中で排除されていたのですが、僕は毎日新聞にずっといたために、「記者クラブは積極的に門戸開放すべき」という立場でいろんなアクションをとりました。

 (ロイター通信にとって)外務省の記者クラブは比較的早く門戸開放されました。しかし、それ以外の記者クラブは、旧大蔵省や日銀の経済系記者クラブは経済メディアとしてのロイター通信の活動に理解を持っていたのですが、いざ最後の段階で記者クラブの総会が開かれると、3分の2や全員一致の賛成が原則であるということから、結局、総論賛成だけど各論反対ということで問題が先送りされてしまう。

 「“国際化”とみんなが口をそろえていろんな経済記事を書いているのに、いざ自分の記者クラブの問題で外国プレスから開放問題を出された時に、何で閉じこもるんだ、言っていることとやっていることが違うじゃないか」という形で各個撃破して、最後は日銀や財務省、経産省の記者クラブなど、ほとんどの門戸を開放させました。

 それでも、内閣記者会と旧自民党政権時代の平河クラブだけは、最後まで閉鎖的でなかなか開放しませんでした。結局、オブザーバーという形で入ったのですが、非常に制約があって、記者会見では質問ができないし、官房長官懇談にも出られない。「それはおかしいじゃないか」といろいろやって、何社かはかなりのシンパシーを持ってサポートしてくれたのですが、結局先ほど申し上げたように全会一致という制約みたいなところでダメになってしまった。

 今回、こういう形でフリーの方、あるいは僕らみたいに過去(記者クラブ内の)現場にいた人間の中から、志を高く持って「記者クラブの開放をやっていこう」と言うのは大きなことだと思っていて、僕はそういう面ではこの動きが新たな反転につながることを望んでいます。

 ただ、「これからどんな行動を起こしていくか」というところで言うのははばかられるのですが、1つだけ僕が問題提起したいのは、例えば経済記者の経験から言うと、ヤクザのようなブラックジャーナリズムなんかが記者クラブ制度を利用して、企業やいろんなところに風を吹かすというようなことは大きなリスクです。そういう面では今、外務省がやっているように、取材の実績を持っているジャーナリストの人たちを入れるというように、歯止めをかけながらやっていくことも大事かなという気はしています。  

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