★阿修羅♪ > マスコミ・電通批評10 > 209.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(回答先: 【NYタイムズが日本の記者クラブを報道、日本では共同通信だけが記事にするw】「亀井氏なれ合いに終止符模索」 記者クラブ対 投稿者 官からアメリカ人へ 日時 2009 年 12 月 01 日 08:05:17)
上杉隆×窪田順生「ここまでしゃべっていいですか」:
取材現場では何が起きているのか? 新聞記者と雑誌記者に違い(5) (1/3)
大きな事件が起きたとき、新聞記者はどのような取材をしているのだろうか。その一方、主要メディアと比べ記者の数が少ない雑誌はどのような取材活動を行っているのだろうか。新聞記者と雑誌記者、その取材方法の違いについて、ノンフィクションライターの窪田氏が語った。
[土肥義則,Business Media 誠]
全9回でお送りする、ジャーナリスト・上杉隆氏とノンフィクションライター・窪田順生氏の対談連載5回目。大きな事件が起きたとき、現場には各メディアが殺到するが、なぜかスクープを手にするのは雑誌記者であることが多い。取材現場では何が起きているのだろうか。新聞記者と雑誌記者の取材方法の違いについて、窪田氏が語った。
上杉隆×窪田順生「ここまでしゃべっていいですか」:バックナンバー→なぜこの国に、“モミ消しのプロ”は存在しないのか(1)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0911/17/news032.html
→週刊誌が記者クラブを批判しない理由(2)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0911/20/news007.html
→“ジャーナリズムごっこ”はまだ続く? 扉を開かないメディア界(3)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0911/24/news011.html
→記者クラブを批判したら……最大の抵抗勢力が出てきた(4)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0911/27/news011.html
若造記者でもスクープがとれたりする
上杉 手ごわいスピンドクター(情報操作の達人)がいれば、事前に「大臣、上杉がいますからこういった質問がきますよ」といった感じで、準備もするでしょう。しかし記者クラブ……つまり記者がプチスピンドクターと化しているので、本当の意味でのスピンドクターは不要ですよね。
窪田 逆に、記者側から「上杉が来ていますから、注意してください!」と告げ口する人もいる。お前はどっち側の人間なんだ、といった感じですよね(笑)。
土肥(編集部) 窪田さんは雑誌記者として、事件を追いかけることが多かったわけですが、警察の記者クラブには入れませんでした。どういった形で、取材活動をしていたのでしょうか?
窪田 よく新聞記者が行う夜討ち・朝駆けは、あまりしたことがありません。新聞記者と同じことをやって、同じ情報をつかんでも仕方がない。彼らよりも“上の情報”を手にしないと、週刊誌ではダメ。ある事件が起きても新聞記者の場合、まず記者クラブで会見が開かれるので、現場に到着するのが遅い。または来ないケースも多い。だから雑誌記者にとって、記者クラブという制度はありがたい(笑)。
土肥 新聞記者は記者クラブに行っているので、雑誌記者の方が1歩も2歩もリードしているということですね。
窪田 なので事件現場に行くと、他の雑誌記者の人たちとけんけんごうごうの騒ぎとなります。また大きな事件になると、新聞記者を含め、多くのメディアが殺到しますが、周囲から「あの記者、いい動きするなあ」と注目されるのは、たいてい雑誌記者。多くの新聞記者は事件現場の隣近所に声をかけ、サーッと帰ってしまう。
上杉 普通にちゃんと取材するのは、雑誌記者とフリーランスの方が多い。
窪田 現場百回ではないですが、僕の場合、他の雑誌記者が事件現場をあとにするまで、なかなか帰ることができませんでした。
上杉 じゃあ24時間、仕事しないと(笑)。
窪田 そうなんですよ。大きな事件が起きたときは、24時間働いている感じですね。でも現場で、新聞やテレビの記者からは悲壮感のようなものは感じられませんでした。彼らはすぐに現場を去ってしまうので、あとは雑誌記者の独壇場となってしまう。
まさに取材し放題になるので、僕のような経験のない若造記者でも、スクープがとれたりするんですよ。
上杉 それは雑誌記者がすごいのではなくて、記者クラブのぬるま湯に浸かっている記者があまりにもヒドイだけ(笑)。彼らの多くは記者クラブにいることが「仕事だ」と勘違いしているから。
窪田 そうなんですよね。
上杉 この記者クラブの体質は、日本の一般企業と同じ。例えば上司が家に帰るまで、部下は会社に残って仕事をしなくてはいけない――。それと同じで、デスクやキャップが家に帰らないと、記者クラブを離れることができないんですよ。
窪田 報道の世界は日本的であってはいけないのに、すごく日本的な社会で仕事をしていますよね。
新聞記者にとって一番怖いのは特オチ
土肥 窪田さんの場合、雑誌で記者や編集の仕事をしていて、その後、朝日新聞に就職されました。記者クラブがない世界から記者クラブがある世界に移ってみて、どのように感じましたか?
窪田 さきほども申し上げましたが、記者クラブは日本の一般企業と同じ体質で、県庁の人が帰るまで記者は帰れません。もちろん朝日新聞だけではなく、ほかの新聞社の記者も残っていますね。
上杉 要するに抜かれちゃいけないというマインドが強い。新聞記者にとって一番怖いのは特オチ※。スクープをとるよりも、減点主義なので特オチをすると評価が下がってしまう。
※特オチ:他社が一斉に報じているのに、1社だけ後れを取ったケース。
窪田 特オチをしたあとに、もしスクープをとったとしても“チャラ”にはできない。特オチをした時点で、「記者としての資質がなっていない」という評価をくだされてしまう。だから役所の職員が帰るまで、記者クラブに詰めていないといけません。夕方の5時までは記者クラブに詰めていて、その後「よーいドン!」といった感じで、それぞれの記者が独自取材を始めます。
上杉 記者クラブにいる人たちって、いろいろなことを自分たちで規制しているんですよね。例えば「そこに行ったらダメですよ」とか。
窪田 取材対象の幹部の人に言われているんでしょう。「あそこの家に行って、取材はしないように」とか。「ルールを守ってください」などと言われるんですが、ルールって言われてもなあ……みたいな。
上杉 なんのルールだよっ! お前たちのルールだろっ(笑)。
僕が記者会見に入っていると、「記者クラブのルールを守れ」と言われてしまう。しかし記者クラブから排除されている人間なのに、なぜ自分たちのルールを押し付けるのかが理解できない。じゃあ、いつも会見に入れろというと、「それはできない」という。入れないということは自分たちの世界とは関係のない人間なのに、会見の席にいると「ルールを守れ」と言ってくる。本当に狂っている。
窪田 僕の場合、雑誌で記者クラブの外側にいた。しかし朝日新聞で働くことによって、記者クラブの内側に入れることができました。内側に入ってみて、一番驚いたことは規則が多いこと。記者クラブの中にはボードがあって「この記事は○時に解禁」とか書いてあるんです。しかし不思議なことに、記者はそれにきちんと従っているんですよね。ある人からは「それは絶対に破っちゃダメだからね」と言われてしまった。
上杉 破っちゃいけないという規則に対して、記者は忠誠を誓いますよね。しかし「なぜこの規則はあるの?」とか「なぜ規則を破っちゃいけないの?」ということを考えようとしない。
土肥 記者クラブの中にいると、疑問に感じず、いわば洗脳されてしまうということですか?
上杉 記者クラブの中に5年以上もいると、もうダメになりますよ。
窪田 また日本の新聞社の場合、新卒で記者となり、そのまま記者クラブに放りこまれるケースが多い。なので記者クラブから放り出されて、「はい、自由に取材してください」と言われても、なかなかできない人が多いのではないでしょうか。
上杉 朝日新聞やNHKなどで記者を10年ほどやっていた人が、雑誌記者に転職したら、まったく使えないことが多い。例えば「広報が閉まっていたので、取材ができませんでした」といったことを平気で言いますから。そうした場合、広報を飛ばして、取材するのが記者の仕事なのに。
記者クラブにいる人たちを同業者と思うと腹が立つので、昔は「広報マン」だと思っていたんですよ。しかしそれも段々腹が立ってきたので、最近では「役人なんだ」と思っています。
窪田 ハハハ。
上杉 彼らのことを「役人」と思えば、きついことを言っても「ゴメンね。きついことを言って」といった感じで、心穏やかでいられる(笑)。
窪田 記者クラブに遅くまで詰めていても、「ご苦労さまです」と声をかけられるかも(笑)。
第6回へ続く。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0911/30/news008_3.html