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(回答先: 完全失業率のミステリー(その1) 【兵庫県高等学校教職員組合】 投稿者 hou 日時 2010 年 1 月 19 日 06:21:16)
http://www.hyogo-kokyoso.com/infobox/messages/73.shtml
完全失業率のミステリー(その2)
2002年03月14日
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日本の完全失業率は、他国と比べると低めに出る?
総務省 労働力調査に関するQ&Aをみると、日本の完全失業率の計算方法は、国際的な基準に沿ったものであることを繰り返し強調している。
13 日本は,アメリカに比べ完全失業率が低め又は高めに出る傾向がありますか。
日本の労働力調査は,アメリカと同様に,ILOの国際基準に準拠して行われています。日本でもアメリカでも,完全失業者の定義は,(1)「仕事を持たず」,(2)「現に就業が可能で」,(3)「仕事を探していた」者となっており,相互比較は可能です。ただし,各国の就業事情に合わせて,完全失業者の細かい定義には若干の違いがあります。例えば,日本では,過去1週間以内に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた者のほか,過去の求職活動の結果を待っていた者も含めて「仕事を探していた」者と定義していますが,アメリカでは,過去4週間以内に仕事を探していた者のみとしており,一概にどちらの失業率が低め又は高めに出るというような傾向はありません。
しかし、日本の計算方法では、実態よりかなり低い数字になることは広く認められていることである。
「完全失業者」というのは、(1)「仕事を持たず」,(2)「現に就業が可能で」,(3)「仕事を探していた」者 という3条件を満たさなければならない。
そして、日本の基準では、(1)の「仕事を持たず」とは、月末1週間(調査期間)内に1時間以上仕事をしないこと。(2)の「現に就業が可能で」とは職がみつかったら直ちに出勤できること(3)の「仕事を探していた」とはその週内に求職活動をしていたこと とされている。。つまりこの条件に合う人というのは、まったくの無収入でも、エネルギッシュに求職活動をつづけることができる、恵まれた状態の人。そうした人だけが、政府のいう「完全失業者」になれるというわけだ。
月末1週間という調査期間を限定するのではなく、もっと日常的な「失業状態」を調べた調査がある。同じ総務庁統計局の就業構造基本調査だ。ただ、欠点は5年(以前は3年)ごとの調査だということ。前回の調査は1997年。このデータを調べてみた。
第14表 男女,就業状態,就業希望,求職活動の有無別15歳以上人口−全国,都道府県 によると、15歳以上の無職者は3965万人。うち、就業希望者は、1133万人。うち、求職者は527万人。うち、就業可能教職者は316万人。
「求職者」を失業者と見なせば527万人、「完全失業者」の3つの条件に当てはまるのは、316万人ということになる。
「労働力調査」では、1997年の完全失業者数は230万人と発表されており、実態よりかなり小さな数字になっていることがわかる。
政府文書も批判
“総務庁の労働力調査では小さな数字しか出ない”と手厳しく批判した政府文書がある。経企庁発行の経済白書(七五年版)である。
「イギリス、西ドイツ(当時)は(失業率を出す計算式の)分子、分母とも小さい。アメリカは分子が大きく分母が小さいから、失業率はもっとも大きくなる。これにたいし日本は、分子が小さく分母が大きいから、失業率はもっとも小さくなる」
なぜそうなるか、白書は大要、次のようにいっている。
「アメリカでは、就職先が決まって自宅待機中の者や一時解雇の者も(分子に)含むため、失業者数が大きく出る可能性がある。イギリス、西ドイツは、家族従業者、自営業主を(分母に)含まないが、日本は含む。アメリカでは軍隊を(分母に)含まない」
ちなみにILO基準は、就職内定者を失業者に入れているが、日本は入れない。また日本は自衛隊を分母にいれている。
主要国の失業者及び失業率について
(総務庁統計局『労働力調査年報』から)
失業者の定義(分子)
日本
(1)仕事がなくて(2)調査期間中少しも仕事をしなかった者のうち、(3)就業が可能で(4)これを希望し、(5)かつ仕事を探していた者(6)及び仕事があればすぐ就ける状態で(7)過去におこなった求職活動の結果を待っていた者
アメリカ
(1)調査期間中にまったく就業せず、(2)その週に就業が可能で、(3)過去4週間以内に求職活動をおこなった者
・レイオフ中の者を含む
カナダ
(1)調査期間中にまったく就業せず、(2)その週に就業が可能で、(3)過去4週間以内に求職活動をおこなった者
・レイオフ中の者を含む
・4週間以内の就業が内定している待機者を含む
イギリス
(1)調査日において仕事がなく、(2)かつ就業可能なもので、(3)失業給付事務所に手当を申請している者
ドイツ
(1)仕事がなくて(2)調査日に雇用事務所に求職登録している者で、(3)有給雇用を希望し、(4)就業可能な者
フランス
(1)仕事がない者のうち(2)就業が可能で、(3)かつ常用雇用を希望する者で、(4)国家雇用庁に求職登録した者
労働力人口の定義(分母)
日本
・就業者+失業者
アメリカ
・就業者+失業者(軍人を除くものも算出)
・就業時間が15時間未満の無給の家族従業者を除く
カナダ
・就業者+失業者
(軍人を除く)
イギリス
・雇用者+自営業主+軍人+職業訓練を受ける者+失業者
ドイツ
・就業者+失業者(軍人を除く)
(有給雇用者+失業者でも算出)
フランス
・就業者+推計失業者
実際は、もっとひどいのでは?
最近の傾向として、就職が厳しいので専門学校などに入り直す新卒者がずいぶんいるのではないかと考えられる。実際高校生でも、就職を希望しているが、就職先がないのでやむを得ず専門学校の進学という例はたくさんある。そういう人は完全失業者には算定されない。
そういう批判があることを意識して、総務省 労働力調査に関するQ&A では、
9 失業率の実態は10%を超えているといわれていますが、本当なのですか。
完全失業率は,客観的に雇用・失業の実態を把握するための定義として,他の主要先進国と同様,ILO(国際労働機関)の国際基準に準拠して求めた完全失業者数と労働力人口から計算しています。したがって,経済情勢などの要因によって求職活動をあきらめている,いわゆる求職意欲喪失者などについては,ILOの国際基準に準拠した統計を作成するいずれの国においても,失業者に含めるような取扱いはしていません。
なお,完全失業者に該当しない者のうち,求職意欲喪失者などについても,その実態を把握することは重要と言われており,これについては,労働力調査特別調査において把握できるようにしています。
(参考)
平成13年8月の労働力調査特別調査の結果では,非労働力人口の就業希望者のうち,非求職理由が「適当な仕事がありそうにない」とする人は216万人,そのうち「仕事があればすぐつける」人は88万人,そのうち「過去1年間に求職活動をした」人は58万人となっています
としており、実態としては、発表されている「完全失業率」を大きく上回る失業者が存在することを認めている。「失業率の実態は10%を超えている」という指摘を否定していないことは興味深い。
「完全」とは日本独特のいい方。「雇用政策などの基礎資料」なら、国民の日常生活に近づいた調査を、毎月の労働力調査でもおこなうべきではないだろうか。