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(回答先: 為替相場の見方:積極的に円買う理由見当たらない、波乱要因は中国の金融引き締め策=新生銀行・政井氏 投稿者 gikou89 日時 2010 年 1 月 16 日 03:32:22)
http://jp.wsj.com/Economy/Global-Economy/node_22875
歴史を紐解くと2600年前、硬貨を世界で最初に作ったのはギリシャのリディア王国だ。それ以来現在に至るまで、紙幣の発行を担う者は貨幣価値の切り下げへの誘惑に抗いきれずにきた。いま、そのギリシャは貨幣の使途についての教訓をはからずも世界に示すことになった。
ギリシャ国債保証コストは過去最高に達したが、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は14日、ギリシャのユーロ圏脱退の可能性を否定した。ギリシャのほかにポルトガルやアイルランドなどでも財政危機が相次ぐなかで、16カ国から成るユーロ圏の崩壊や参加国再編の可能性が取りざたされている。ギリシャの財政破綻懸念から、ギリシャ国債の対ドイツ国債スプレッドは2.77%ポイントに拡大した。加盟国間の国債スプレッドがこれほど拡大したことは11年のユーロの歴史で前例がない。ドイツではメルケル首相が「ユーロの前途は多難」であると憂慮している。
ギリシャが窮地に陥っていることは疑う余地がない。公表されている財政赤字の国内総生産(GDP)比は12.7%と高いが、欧州連合(EU)は実際の数値はもっと高いとみている。ギリシャの経済政策はECBの管理下にあり、昨年米国や英国が行ったような事実上の「財政マネタイズ」(中央銀行が財政赤字を国債引き受けなどでファイナンスする)を実施できる立場にはない。
だがギリシャは本当に独立して国の運営ができるのだろうか。1980年代を通してギリシャのインフレ率は年20%前後で、金利もそれに見合って高かった。それに比べるとギリシャ国債利回りの6%はそれほど高いとはいえないかもしれない。ユーロに加盟していなかったら、自発的であろうとなかろうと、ギリシャが通貨切り下げを行っていたことはほぼ確実だろう。
切り下げをしていれば、ギリシャ政府の財政負担は軽減されたかもしれない。だがその過程で国全体が貧困化し、金利はユーロ導入以前の水準に迫る急騰が見込まれる。つまりユーロはギリシャの財政難の元凶ではなく、ギリシャの政権がそれを招いたのだ。
昨日、ギリシャのパパンドレウ首相は財政赤字のGDP比を2012年までに3%以下にすると約束した。だがこれはそう簡単に実現できるものではない。首相率いる社会主義政権はまず、今後切り捨てるとした公務員労組を説得せねばならないだろう。
だがギリシャに残された他の選択肢はさらに悪い。それは結局、ドラクマかユーロかを選ぶことだ。ユーロがギリシャ政府の足かせになっているという見方は間違いではない。だがギリシャ政府がユーロ導入前にいかに無謀な経済政策を行っていたかを忘れてはならない。ドラクマの歴史はインフレと切り下げにまみれていたが、ユーロが導入された現在のギリシャはそうした歴史からは解放されている。
そもそもユーロはヨーロッパの経済問題の一切を解決するものでは決してなかった。ユーロはいくつかの例外を除き、恒常的な財政赤字を抱える国に為替の安定と通貨価値の維持を可能にするという実績を残している。
これまで自国の経済統計を改ざんしてきたギリシャには、統一通貨に参加することに伴う義務を要求してしかるべきだ。ギリシャの公的債務はGDP比100%を優に超え、今後も増え続けるとみられる。これはユーロ加盟国の基準である60%をはるかに上回る数字だ。これは2001年にギリシャがユーロ圏に参加した時から分かっていたが、正常化に向かっているとの前提で容赦されていた。だがそれも間違っていたということだ。
2008年の金融危機でほぼすべてのヨーロッパの国々は財政赤字のGDP比が急増した。だがギリシャは金融危機発生時の状況が他国よりすでに悪かった。しかも経済統計が改ざんされていたため、実態はもっと悪かったといえる。
20世紀の各国政府は、放漫財政のツケもあり、不換紙幣への依存度を高めた。ユーロの矛盾は、理論上、大半の国の不換紙幣より脆弱な基盤の上に成り立っていることだ。だが実際は、リラやペセタ、ドラクマより利便性が高い。
現在のギリシャにとって、これまで繰り返されてきた貨幣価値の低下を避け、ユーロ圏に残るという選択も可能だ。だがクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)や金利スプレッドの状況は、ギリシャ政府に合理的な財政運営能力があることの証明を求めている。
原文: Greece and the Single Currency