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(回答先: 財政再建「ゲームオーバー」も視野、大増税は不可避―みずほ総研 投稿者 gikou89 日時 2009 年 12 月 27 日 14:29:15)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20091225-OYT8T01149.htm
日本航空(JAL)の静岡――福岡線に導入されている搭乗率保証制度の存廃や運航支援金の支払いを巡り、県とJALの対立が深まっている。少なくとも制度の趣旨としては、静岡空港を発展させ、県民の利便性の向上や地域の発展につなげる一助とすることが目指されていたはずなのに、同空港からJALが今年度限りで撤退することが決まったことも絡んで両者の対立は感情的なレベルに及び、訴訟になる可能性もある。これまではっきりしなかった制度導入の経緯をたどり、問題を見る視点を考える。
「そもそも搭乗率保証は2005年に静岡県から持ち出されたもの。当社から言い出したのではない」
今月17日、搭乗率保証制度を巡り、川勝知事とJALの西松遥社長が3回目のトップ会談を行ったが、決裂した。その直後にJAL広報部が記者団に出したコメントは、搭乗率保証導入の経緯について従来になく踏み込んで言及していた。制度の廃止や支援金の支払い拒否を振りかざす川勝知事への不信感や不快感がありありとうかがえた。
■県会3日前唐突な発表
制度の提案は唐突だった。石川嘉延知事(当時)が記者会見で制度の導入を発表したのは今年2月10日。関連予算を提出する県議会2月定例会が始まるわずか3日前だった。県議の1人は「通常ならある事前説明や根回しが一切なく、いきなり発表されたので驚いた。議会で反対されると思って直前に出したのだろう」と振り返る。
2月定例会が始まり、制度の導入の経緯を問われた国土交通省出身の岩崎俊一空港部長(現・海上保安庁企画課長)は「2005年5月に県とJALが包括的な協定を締結した際、JALから選択肢の一つとして提案があった」と述べてJAL側が話を持ち出したと強調。「今年2月に入ってからJALと協議が調い、県として搭乗率保証が必要と判断し、議会に諮った」とも述べ、導入の決定が直前になったことへの理解を求めた。
搭乗率保証の萌芽(ほうが)は、確かに県とJALが05年5月に取り交わした覚書に出てくる。この中では、JALが静岡空港の開港時に就航する代わりに、県が「就航路線の収支均衡を図るため運航支援を実施する」と約束している。
JALで国内線の事業計画担当として県と協議してきた経営企画本部事業計画部の大佐古将彦部長代理によると、この当時、JALの当時の担当者と県とのやりとりで、JAL側が「運航支援」の具体的な中身を尋ねたところ、県の担当者は「搭乗率保証や、(赤字分を穴埋めする)欠損補填(ほてん)の方法がある」と答え、選択肢の一つという形で搭乗率保証が登場している。
■ANA就航局面が一変
しかし、全日本空輸(ANA)が07年7月、静岡空港から札幌(新千歳)、沖縄(那覇)線に就航すると突然発表し、局面は一変する。それまでJALは、静岡空港路線を持つのはJALのみ――との前提で就航計画を進めていたが、「前提が変わった」として計画を白紙に戻した。
慌てた石川知事は07年10月16日、JAL本社に副社長を訪ねて就航を要請するが、就航するかどうか、確たる回答は得られなかった。大佐古部長代理によると、この前後に県から「収支均衡策として搭乗率保証を検討する」と、搭乗率保証の導入に踏み込んだ申し出があった。県は欠損補填の可能性も再び打診したが、県議会などで経営上の機密事項を公にしなければならない恐れがあるとしてJALが難色を示したため、県の担当者は「搭乗率保証が一番わかりいいでしょうね」などとJAL側に示唆した。
県とJALは直後の07年10月31日、JALが札幌、福岡線を運航し、県は「収支の均衡を図るため、総合的な運航支援策を実施する」とした覚書を改めて交わし、これが搭乗率保証の導入につながることになった。
■黒塗りの内部文書
読売新聞はJALの就航に関する公文書を県に開示請求し、複数の文書が開示された。JALとの協議内容の部分はほとんどが黒塗りだったが、08年12月26日には「目標搭乗率70%」「座席当たりの運航支援金1万5800円」など、現行の搭乗率保証の内容がすでに固まっていたことを示す文書が確認された。
ただ、制度導入の正式発表がその後1か月半も先の県議会開会直前になったのはなぜなのか。2010年1月に副知事に就任する岩瀬洋一郎企画部長は空港部長代理として制度の導入を進めた当事者だが、読売新聞の取材に対し、「空港というのは常に動いているもの。ギリギリまで決まらなかったと思う。どういうものが一番いいか、ずっといろいろな支援策を検討していたと思う」と推測交じりに振り返り、こう付け加えた。「いろいろな状況を踏まえながら、物事は決めるもの。隠したつもりはないと思う」
日詰一幸・静岡大人文学部教授(行政学)の話
「搭乗率保証制度を導入すると発表されたのが県議会開会の3日前というのは、信じられないほどの唐突さだ。県が事務方だけでJALと水面下で協議を進め、十分な審議の場を設けさせずに強行突破しようとしたことが、目標搭乗率を下回るなどの大きな誤算を始めとする現在の混乱につながっている。県民に新たな負担を強いるかもしれない制度なのだから、県民に情報を提供し、民主的な手続きを踏んで議論を尽くすべきだった。そうすれば違う収支均衡策になっていたかもしれない」
(2009年12月26日 読売新聞)