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なぜニトリは他社の半額で売っても利益を出せるのか【ロイター】
http://president.jp.reuters.com/article/2009/11/04/D2C7ED48-C2A0-11DE-B9CC-69083F99CD51.php
「あなたの仕事・職場」と数字の秘密
プレジデント 2009年5.18号
「製造から小売りまで自社でリスクを負って手がけるので利益率は非常に高い」
川嶋 光=文 坂本道浩=撮影
ニトリは製造から物流、販売すべての過程でコストダウンが可能
最近テレビコマーシャルで目立つ会社の一つが「お値段以上」がキャッチフレーズのニトリである。
ライターとして四半世紀以上もあらゆるものの値段やその仕組みを探求する“値段探偵”を生業としてきた身としては興味を持たざるをえない。
聞けば「22期連続増収増益」というからますます好奇心は募る。
こんな場合の私の流儀はまず、現場に行くことだ。
イオン津田沼店内のニトリは、3階の奥にかなり広いスペースを持っていた。
14インチのテレビで、「お値段以上」のキャッチフレーズを流している入り口を通り抜けて店内を一巡する。
大型家具を扱っていない店なのでGMS(総合スーパー)の寝具売り場の雰囲気だ。
並んでいるものはどれも格安。
実際にニトリの製品を買った人の印象はどうなのか。
「キッチン用のラックや小物を利用していますが安くて使い勝手が良く、重宝しています」と話すのは30代前半のキャリアウーマンの女性だ。
彼女は、「デザインや色にこだわるときは無印良品やイケアのものを利用しています」とも話していたが。
もう一人、50代の男性。
「ソファベッドを1万2000円で買いましたが、使い心地も良いので満足しています。
他の店で同じくらいの出費で買えるのは中古ですね。接客も良かった」
彼は食品スーパーの店長である。
同業者の厳しい目で見ても品質も値段のわりには良い、と満足している。
「広い店の中に従業員は4、5人。販売管理費の低い効率の良い商売をしていますね」とも話していた。
さて、ニトリとはどんな会社なのだろうか。
「業態としてはSPA(製造小売業)に分類されます。
製造から小売りまで自社でリスクを負って手がけるので利益率は非常に高い」と話すのはプリモリサーチジャパンの鈴木孝之代表だ。
ダイエーをはじめとするスーパーのプライベートブランドがリスクをメーカーや商社などに負担させ、安さを実現したのに対して、ニトリはリスクをすべて自分で引き受ける代わりに安さを実現し、その負担したものに見合うだけの利幅を享受しようとの考え方が徹底しているのだ。
「お値段以上」が同社のコンセプトだが、中国やインドネシアをはじめとする東南アジアで製品をつくり、現地から日本への輸送、国内の物流、さらに小売りまで一貫して自前で行っている。
社長の似鳥昭雄氏は1944年樺太生まれの65歳。
「戦前に樺太に行くくらいだから似鳥さんのお父さんも『一旗上げよう』という気性だったのでしょう」と鈴木代表は話す。
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スパルタ教育が生んだ“完全自前精神”似鳥社長は父親のスパルタ教育に反発しながらも北海道の大学を卒業し、地元の小さな広告代理店に入る。
当初から独立志向はあった様子で、最も古い体質だった家具の業界で独立を果たす。
1972年のことだ。
流通業界では著名なコンサルタント渥美俊一氏の主宰するペガサスクラブに入会。
アメリカの小売業を勉強することによってSPAという現在の業態を築きあげた。
せいぜい粗利20%のGMSに比べ、2倍、3倍の粗利を確保する。
似鳥社長の若い頃を知るSJ流通研究所の和田光誉代表はこう話す。
「私が勤めていた長崎屋の岩田孝八の講演を聞きにきたときにお話ししましたが、随分若いときから『安くて品質の良い商品をつくる』ことにこだわっていました」
ニトリの快進撃は続く。