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日銀総裁発言要旨:特別オペの延長は「中央銀行としての安全運転」 10月30日
(ブルームバーグ):
日本銀行の白川方明総裁は30日午後の定例会見で、経済・物価情勢について次のように述べた。
――本日の決定の背景について。
「今回の金融政策決定会合で、経済・物価情勢の展望(展望リポート)での経済情勢の点検、金融政策の運営、それから各種時限措置の取り扱い、これらを一括して決定し発表したのは、できるだけわれわれの考えることを正確にお伝えしたいためだ」
「時限措置については、CP、社債には典型的に表れているように、所期の目的を十分に達成した。金融市場の環境の変化に即応して最もふさわしい態勢を組んでいく。金融政策については展望リポートで繰り返し強調しているが、本格的な成長軌道に復帰していくにはもうしばらく時間がかかることを踏まえて、現在の極めて緩和的な金融環境を維持することを通じて、経済を粘り強く支えていく」
――展望リポートでは、2011年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比上昇率がマイナス0.4%という見通しが示された。日銀の物価安定の理解の下限を下回っている点をどう考えるか。
「政策当局として大事なことは、経済が中長期的にみて物価安定の下で持続的な成長経路に向かっているのかどうかという判断だ。わが国経済は持ち直しを続け、消費者物価の下落幅が徐々に縮小していく姿を想定している。こうした動きが持続していくことにより、日本経済はやや長い目でみれば、物価安定の下での持続的な成長経路に復していく展望が開けると考えている」
「金融政策については、現在の緩和的な環境を粘り強く続ける。昨年秋、今年春、それから今回と3つの時点を比較すると、同じ短期金利水準であっても、この間に成長率は少しずつ上がってきている。同じ金利であっても、それが持つ刺激効果は少しずつ高まっている」
「コマーシャルペーパー(CP)、社債の信用スプレッドをみても、確実に小さくなっている。いわゆる資金のアベイラビリティ(資金調達の容易さ)をみても、格段に高まっている。同じ金利水準の下でも、実は金融緩和の力は強まっている。いずれにせよ、粘り強く取り組んでいきたい」
――企業金融支援特別オペについて、なぜ3月末まで延長することを決定したのか。
「金融環境は厳しさが残ってはいるものの、改善の動きが広がっている。年度末を意識した場合、なお万全の態勢を組んだ方が良いということで今回延長を決めた。同時に、4月以降は企業金融支援特別オペを完了し、共通担保資金供給オペなど通常のオペで資金を潤沢に供給する態勢に移行することを今の時点で明らかにしておくことによって、市場でのさまざまな不確実性が高まることを防げる」
「そういう意味で、万全を期すこと、それから円滑な移行を考えると、今回の決定が最適だ」
――なぜ3月末にやめることを今の時点で公表するかをもう少し詳しく説明して欲しい。
「金融市場の参加者は、経済が将来どういうふうに動いていくのか、あるいは政策当局者がどういうふうに行動するかを常に予測しながら行動している。前者の経済自体の不確実性は中央銀行が直接コントロールできないが、後者は中央銀行自身によって決まってくる。ある日突然発表すると、市場参加者に混乱が生じる。ある程度の期間を置いて移行した方が市場は混乱しない」
「実はこの点は、海外の中央銀行が昨年秋以降にさまざまな異例の措置を導入して、今少しずつ元に戻しているが、同じようにやっている。米連邦準備制度理事会(FRB)は長期国債の買い入れを10月末に終了することを数カ月前に発表した。来年3月にABS(資産担保証券)あるいはMBS(住宅ローン担保証券)の買い入れを終了することを数カ月前に発表した」
「いずれもある程度の助走期間を置いた方が円滑に移行するという判断で、どの中央銀行も同じように行動している」
――共通担保資金供給オペの方が柔軟に資金供給できるのではないか。
「企業金融支援特別オペは0.1%に固定して無制限に資金を供給し、期間は3カ月に設定している。こういうやり方は、リーマン破たん後の金融が収縮しているときは非常に効果的だった。ただ、現在のように金融市場の混乱が解消した後は、中央銀行が資金を潤沢に供給する上で、担保にしても期間設定にしても、ある程度収縮的に選べる方が、一般的には対応力が高いと言える」
「そこまで申し上げた上で、企業金融支援特別オペの残高もまだあるし、ほとんど差がないとは思うが、通常のオペに円滑に移行するため、特に年度末を意識した場合に万全を期すということは、中央銀行として期待される安全運転だと思う」
――展望リポートでは「米欧におけるバランスシート調整の帰すう」を下振れ要因として挙げる一方で、「新興国等の経済動向は、わが国経済に対する上振れ要因となる」と指摘した。この両者を整合的に説明してほしい。
「新興国はもともとインフラ需要を中心として内需が強い。バランスシートがないにもかかわらず、先進国と同じ程度に大規模な刺激政策をとった。先進国の金融緩和で供給された資金、あるいはリスクテイクの能力が新興国に向かい、その面からも新興国の経済を押し上げている。従って、先進国と新興国と結ぶ1つの大きなリンクは、先進国における金融緩和が資本流入を通じて影響している」
――来年になって金融情勢に再び変調が見られた場合は、企業金融支援特別オペを続けることはあるのか。
「企業金融支援特別オペなど今回の時限措置に限らないが、中央銀行の目的は、金融市場、金融システムの安定を実現して、経済の持続的な成長を図っていくことだ。そのために、例えば最後の貸し手という役割もある。その時々の金融市場をみて、もし再び大きく動揺することが仮に将来起きたとき、今回われわれが導入した措置を再びやらないと言っているわけではない」
「それは中央銀行としては当然のことであって、危機が起きたときに適切に対応することは、いつの時代も中央銀行にとって最も大事なことだ。そういう意味で、われわれの基本的な構えと、今回の措置に至る考え方は整合的だと考えている」
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920020&sid=adyEJdDGTC6Y