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(回答先: ジム・ロジャーズ「米国債なぞ、売ってしまいなさい」 投稿者 gikou89 日時 2009 年 10 月 29 日 14:08:11)
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200910290013a.nwc
竹中平蔵元総務相は28日までにブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、鳩山由紀夫政権の経済財政運営について「小さな前進、大きな後退」との評価を示した。予算や経済政策の根本となるマクロ経済管理の欠如を最大の懸念材料に挙げた上で、新政権の丼勘定の予算編成は将来の「重税国家」につながりかねず、1%未満の成長率しか見込めないと警鐘を鳴らした。
竹中氏は、新政権の「最大の懸念の一つはマクロ経済管理がないことだ」とし、「日本経済は今、何%の成長する力を持っているのか。例えば1.5%なのか1.8%なのか、それをさらに高める必要があると思っているのかいないのか、それが分からない」と指摘。成長戦略と規制緩和を進めた場合の成長率は「2%を超えて2.5%ぐらいまでいける」とする一方、「今のままで行くと1%もないだろう」と述べた。
新政権が先の衆院選のマニフェスト(政権公約)で掲げた子ども手当などの新規政策を反映させて見直しを行った2010年度予算の概算要求は、一般会計の要求総額が過去最大の95兆381億円に膨らんだ。竹中氏は新政権の予算編成について「1981年にミッテラン(元仏大統領)が社会主義政権を作り、経済がめちゃくちゃになり、1年たって方針転換した。そういうシナリオはあり得る」と述べた。
日本経済は4〜6月期に前期比年率2.3%成長と5四半期ぶりにプラス成長に復帰した。7〜9月期も同程度のプラス成長が見込まれており、鳩山政権は自民党政権が衆院選前に打ち出した経済対策効果による恩恵を受ける格好だ。
一方で、雇用環境の悪化、税収減などの負の遺産も引き継いでおり、09年度の国債発行額は過去最大の50兆円台に膨らむ可能性が出ている。
◆羽田空港政策は評価
一方、竹中氏は「一般論として、政権交代があることは間違いなくいいこと。政治の世界にも競争と淘汰(とうた)のメカニズムが働いている。その意味では自民党の長期の政権では、当たり前のことがなかなかできなかった」と今回の政権交代のメリットも指摘。具体例として、経済財政諮問会議で官僚や族議員の抵抗で実現できなかった航空自由化(オープンスカイ)や羽田空港の24時間化に前原誠司国交相が取り組んでいることを評価し、強い期待感を示した。
◆大き過ぎる政府に
竹中氏は新政権による来年度予算編成について「マニフェストにも、これをやるあれをやると書いたが、トータルとして予算の規模が全く分からない。これがまさに見事に今の概算要求に表れている」と指摘。「積み上げたら95兆円を超える。それを92兆円にすると言っているが、92兆円がどこから出てきた数字か分からない」と述べた。
その上で「今の経済運営はある程度財政を出さないと不況になる。しかし、ある程度歳出を絞らないと財政赤字が大変になる。その狭い道をどう歩むかがマクロ経済運営」とし、「92兆円というのは適切なのかどうなのか基準すらないし、ほとんど丼勘定だ」と批判した。
さらに、「家の設計で言えば、リビングやキッチンなど部分的にはすごく魅力的に見えるところがあるが、家全体の広さが分からないし、壁と屋根の形が分からない」と表現した。
竹中氏は「02年から予算の全体像を経済財政諮問会議で作り、来年度の経済の想定をして、予算の規模を全体として管理していた」と説明。鳩山政権が来年度予算の概算要求の見直しに際し、予算の全体像やマクロ経済運営の方針を示さなかったことに触れ、「このまま行くと、丼勘定で積み上げ型になり、必ず大き過ぎる政府となって、将来慌てて『重税国家』にせざるを得なくなる」と述べた。
◆成長戦略ない
財政悪化への懸念から生じる市場金利の上昇については「実質金利はデフレの進行でより上がっている」と指摘。さらに「高速道路の無料化、高校の無償化、ガソリン税の引き下げをやると、消費者物価は1%下がる。ものすごいデフレで実質金利が上がり、だから円高になる」と指摘。一方、民主党が白川方明(まさあき)総裁ら現在の日銀首脳の誕生に実質的に寄与した経緯もあり、新政権は「日銀には何も言えない」との見方を示した。
竹中氏はまた、鳩山政権が来年度からの導入を目指す子ども手当については「法人税率の引き下げと規制緩和がない成長戦略は理論的にはない」とした上で、「目の前に若干お金が回ることと、経済がその後持続的に成長していくことは全く別問題で、だから子ども手当が成長戦略だということは、恥ずかしいから言わない方がよいと思う」と語った。
新政権が今年度補正予算の見直しで捻出(ねんしゅつ)した約3兆円を子ども手当の財源に活用する姿勢を示していることに関しても、「今やっていることは、小さな無駄を削って大きな無駄を作ることかもしれない」と述べ、「これが今の政権の本質だ」と批判した。
◆財政投融資の復活
一方、竹中氏は鳩山政権に対するもう一つの大きな懸念として、郵政民営化の見直しに関する閣議決定と日本郵政の新社長人事を挙げた。竹中氏は郵政民営化の見直しについて「リナショナライゼーション(再国有化)することを決めたということだ」と指摘。閣議決定された「郵政改革の基本方針」に、郵便貯金が「銀行法の適用除外」になることや「中小企業と地域金融に特別な配慮をすること」が明記されていることに言及し「要するに財政投融資を復活させるということだ」と語った。
竹中氏は「世界最大の銀行が再び実質国有に戻り、財投機関になることなので、時計の針が20年ぐらい逆に戻った」と批判。また、自民党の小泉純一郎政権下での郵政民営化の決定は自身が関与し、経済財政諮問会議で議事録を公開しながら1年かけて行われたのに対し、鳩山政権による今回の見直しは「驚くことにそれをものすごく短い間に密室で決めた」と述べ、不透明な政策決定過程を批判した。
さらに、日本郵政新社長の元大蔵事務次官、斎藤次郎氏起用については「数日の間に再国有化することを亀井(静香金融・郵政担当相)さんが決めて、そこに『元ミスター大蔵省』という人が帰ってきたわけだから、これは『史上最強の天下り』だ。正確には天下り以上でこれは『渡り』だ」と強調した。
鳩山政権は一部前進も見られる一方で、マクロ経済政策の欠如や郵政民営化の見直しなどを総合すると大きく後退しているというのが竹中氏の現時点での評価。世界的に株価が回復傾向にある中で「日本の株だけが出遅れているが、最大の要因はここにあると思う」と述べた。
竹中氏は小泉政権で経済財政担当相、郵政民営化担当相、総務相を歴任し、現在は慶応義塾大学の教授兼グローバルセキュリティ研究所所長を務める。(Tatsuo Ito、Toru Fujioka)