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(回答先: クルーグマン教授:「世界の終わり先送り」、地図なき回復 投稿者 gikou89 日時 2009 年 9 月 22 日 02:56:38)
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200909180021a.nwc
もう一人の「ドクター・ドゥーム(悲観論の帝王)」、ヘンリー・カウフマン氏の意見に耳を傾けていれば、ベアー・スターンズはまだ存在したかもしれないし、ベン・バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長もドルをばらまくヘリコプターを格納庫に納めておくことができたかもしれない。
「ドクター・ドゥーム」のニックネームは、今では今回の金融危機を言い当て、なお景気の二番底を予測するニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授を指す言葉となった。だが、そのずっと前は、カウフマン氏を指すものだった。
元ソロモン・ブラザーズのマネジングディレクター兼エコノミストだったカウフマン氏は、債務の膨張や規制緩和、過剰なリスクテーク、シティグループのような金融コングロマリットの台頭に伴う危険について、長年にわたり警鐘を鳴らしてきたためだ。
◆容赦ない批判
そんなカウフマン氏が新著『ザ・ロード・トゥー・ファイナンシャル・リフォーメーション:ウォーニングズ・コンセクエンシズ・リフォームズ』で過去の予測を要約し、自由市場に及ぶ重大な影響を議論するとともに、米国のひび割れた規制の修復に向けた青写真を示した。米政府に支援された金融機関のバンカーが再び数千万ドルの報酬を手にしている現状では、耳の痛い部分もある。
カウフマン氏は「最近のお粗末な出来事で、金融界の人間が国民の厳しい監視の目から逃れることはできない事実が明らかになった」と指摘する。確かに凶事の預言者の声に耳を貸したがる人などいないし、特に昔の発言が「預言的だった」という人間から「だから言ったじゃないか」とは誰も言われたくはないだろう。
いらだちを覚える読者もいるはずだ。そもそも、カウフマン氏が今回の危機の2つの要因だと指摘する証券化と過度のリスクテークをソロモンが採用していたころ、同氏はその社員だったのだ。
ソロモンのルイス・ラニエリ氏がパイオニアとして住宅ローン債権の証券化を進め、後にロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)を創業したジョン・メリウェザー氏がソロモンでアービトラージ・グループを率いていた。また、金融市場を一気に大惨事に陥れたリーマン・ブラザーズ・ホールディングスでカウフマン氏が取締役だったことを思いだす読者もいるだろう。
とはいえ、カウフマン氏のインサイダーとしての経歴こそ、本書を読むべき理由だ。規制緩和の愚かさをウォール街のインサイダー自身が容赦なく批判している。
◆警告のセレクション
カウフマン氏の批判の中心は、われわれの不勉強と過去から学べなかった点だ。1966年以降、米国が少なくとも15回の金融危機に見舞われたことに、一体何人が気付いているだろうか。カウフマン氏はわれわれが目を固く閉じ、金融市場の大破壊と、バブルによるバブル、政府救済による救済の道を進んできたと説く。
カウフマン氏は「レバレッジの過剰な利用」を14世紀以降の「金融史を通じて続くテーマ」だとみる。数世紀にわたって信用バブルは「金融危機とパニックによってはじけ、それが破産や再編を通じて多額の債務の整理を誘導してきた」と分析する。
近年の危機では、預金保険や政府の救済、FRBの超低金利政策でその衝撃は和らぎ、投資家、ジョージ・ソロス氏の言う「スーパーバブル」にあえて針を突き刺す当局者はいなかった。「今回の危機とこれまでの危機で異なる一つの特徴は、債務が縮小せずに急速かつ急激に拡大した点だ」という。
その結果、われわれは金融機関を規制から自由にする一方で、経営破綻(はたん)から保護し、多くの金融活動に「公的なセーフティーネット」を広げてしまうという、筋の通らない危険な状況に陥ったと解説する。
カウフマン氏はアダム・スミスやミルトン・フリードマンといった著名エコノミストをあげ「規制緩和と、大き過ぎてつぶせないという理論を同時に主張する人はいない。2つの概念は論理的に両立しないからだ」と論じている。
本書は、カウフマン氏が数年にわたりFRBの年次経済対策シンポジウムなどの会合で発してきた警告のセレクションだ。中でも気に入ったのは、66年の信用収縮に始まる過去15回の主な金融危機を網羅したリスト。さまざまな銀行の失態、破綻、救済措置とわれわれを容赦なく混乱に陥れたバブルへの経緯が簡潔にまとめられている。
これからのバンカーやFRB理事らには、この時系列の記録をぜひ手元に置いてほしい。(James Pressley)