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(回答先: 阿久根市長、人件費張り紙はがした職員を懲戒免職 投稿者 gikou89 日時 2009 年 7 月 31 日 14:49:26)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090727-00000001-voice-pol
◇「ここが底」は時期尚早◇
春になって、世界経済にも日本経済にも少し明るさが見えてきたように感じられる。
たしかに、日本の鉱工業生産指数は3月を境に反転している。また株価は3月10日の7054円を底として、一時は1万円台にまで回復した。街角景気で知られる景気ウォッチャー調査は、先行きの明るさを伝える。今年1―3月期の国内総生産(GDP)は、戦後最悪の数字である年率換算マイナス15%を記録したものの、4―6月期がプラスに転じるのは確実視されている。
これを受けて、早くも与謝野馨財務・金融・経済財政大臣は「最悪の時期を過ぎた」として、景気判断を上向きに修正し、底打ちを宣言した。
なるほど最悪期は過ぎたのかもしれない。ここまでの調整のスピードは異常であった。よく「100年に1度の経済危機」と呼ばれる。日本の指標を見るかぎり、これはまったく誇張ではない。ここ数カ月間、私たちは大恐慌・昭和恐慌以上の激しい経済の急降下を経験した。日本の鉱工業生産指数は、昭和恐慌時を上回る勢いで急降下した(Barry Eichengreen and Kevin O'rourke “A Tale of Two Depressions”)。
とはいえ、ここで底を打ったと考えるのは時期尚早だ。再び大恐慌に話を戻すと、大恐慌のさなかですら経済は一直線に下降していったわけではなく、何回かの上下波動を経験している。また仮に下げ止まったからといって、日本経済は危機前に回復しているわけでもない。ましてや景気ウォッチャー調査で多くの人々が述べるように、定額給付金や高速道路料金の休日1000円への引き下げで消費者の心理が改善したとしても、そうした効果がなくなったあとはどうなるかが問題である。要するに、今後の先行きはここで気を抜かないかどうかに依存する。
そこにきて、この与謝野発言である。ちょうど同じ時期の6月9日に経済財政諮問会議で2009年版「骨太の方針」の概要が発表された。それによると、06年版「骨太の方針」でうたわれてきた2011年度までのプライマリーバランス黒字化に代えて対GDP債務残高の安定化をめざし、そのためには消費税増税を考慮することも辞さないという。財政再建に向けて再び「地ならし」が始まったというべきであろう。
たいへん危ない。大きな不況が起きたときには、危機対応が続く。しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるのか、いったん最悪の時期が過ぎたと思うと安心感が蔓延し、政策の逆噴射が始まる。どうにも見慣れた光景ではないか。
◇「出口戦略」失敗の歴史◇
実際、大恐慌のときもアメリカは「出口戦略」に失敗した。安達誠司氏(ドイツ証券)がつとに強調するように、1936年の夏以降、インフレを懸念したアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は金融の引き締めを決意し、実行した(『恐慌脱出』)。
これが大失敗に終わり、再びアメリカはデフレ不況に戻る。よく第2次世界大戦があって初めてアメリカの大恐慌は終わったといわれるのは、途中で人為的な二次災害が起きていたからである。
日本にとっても他人事ではない。それどころか、90年代の日本は、景気が回復したと思っては「逆噴射」を続けてきた歴史である。人一倍の用心が必要なところである。
出口を見分けるための標識として、(10年物国債の市中金利に代表される)長期金利の上昇を挙げる人がいるかもしれない。しかし、長期金利の動向については注意が必要だ。長期金利が上昇する、あるいは正確には短期金利と長期金利の差(これをイールドカーブという)が広がるときには、いくつかの要因が働いていると考えられるからだ。
まず、将来の成長期待が上がると長期金利は上がる。また、将来のインフレ率が上がると長期金利は上がる。しかしまた、財政が悪化して国債の保有リスクが大きいと思われると、リスクプレミアムを反映して長期金利は上がることになる。
このうち最初の金利上昇は、いってみれば、よい金利上昇だ。2番目のそれはデフレ懸念を克服したという意味ではよいサインだ。3番目はよくないニュースである。もっとも、現状でこの3つをうまく識別する手段はないのが出口戦略を難しくする。
アメリカでも長期金利の上昇を受けて政策転換を求める声が高まっている。まるでかつての日本の議論を見るようで、既視感がある。だがおそらくいま政策を引き締め方向に転換したら、大恐慌の再現は仮定の話ではなくなるだろう。
この点、じつは日本はアメリカよりも有利な立場にある。上昇したとはいえ、金利は現時点で1.5%前後である。しかも日本はまだデフレが続いている。財政も純資産を含めればまだ悪くない。いっそうの緩和を追求すべきだろう。
だが、わが国には「逆噴射」の伝統がある。底打ちといって浮かれていられないゆえんである