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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090724-00000001-voice-pol
日本の家計部門の貯蓄率が急速に低くなっていることを知っているだろうか。OECDのエコノミック・アウトルックの付属統計表の数字で見ると、1990年代の初めには15%もあった日本の家計部門の貯蓄率は、2007年には3%前後まで下がっている。大変な下がりようである。米国の家計部門の貯蓄率が低いということがよく話題になるが、場合によっては日本の貯蓄率のほうが米国よりも低くなる可能性もありうる、と指摘するエコノミストもいる。
日本の貯蓄率は国際的に見ても高いほうであると考えている人が意外と多いようだが、家計部門で見るかぎり、日本の水準は世界的に見ても非常に低い水準となっている。こうした動きは将来の日本経済の姿を考えるうえでも非常に重要なポイントとなるのだ。
そもそも、なぜ日本の貯蓄率はこんなにも急速に下がってきたのだろうか。その要因はいろいろあるだろうが、もっとも説得的な理由は少子高齢化の進行である。人口のなかに占める高齢者の割合が増えるほど、経済全体の家計部門の貯蓄率は低くなる傾向になる。一般的に、人びとは現役時代に貯蓄して老後の生活資金を蓄え、引退してからはそれを切り崩して生活資金に充てていく。その結果、現役世代の貯蓄率は高くなるが、高齢世帯の多くは貯蓄率がマイナスとなるのだ。
以上で述べたことは、いまの日本経済の一般的な認識とはかなり異なる。よく知られているように、日本国民が保有している金融資産の額はきわめて大きい。年間可処分所得との比で見ると、国民1人当たり約4倍の金融資産を保有している。ドイツやフランスの2倍、米国や英国の3倍に比べて群を抜いている。
金額で見ても、約1400兆円あるといわれる個人金融資産の70%前後が60歳以上の人によって保有されている。大金持ちは少ないが、小金を貯めている高齢者が多くいるのだ。
いま日本でいわれているのは、多くの高齢者が貯蓄に励みすぎ、消費が少ないことが日本の内需不振を招いているということだ。国民がもっと積極的に消費を行なえば、日本経済もこれだけ輸出に頼る必要がない、という思いをもっている人は多いはずだ。
こうした経済の見方は、これまでの日本経済の姿、あるいは現在の状況を理解するうえでは基本的に正しいだろう。しかし、足下で家計の貯蓄率が急速に下がっていることは、「過剰貯蓄国日本」の姿が急変していることを示唆している。日本も特殊な国ではない。ほかの多くの先進国と同じように、高齢化が進んでいけば貯蓄力は急速に衰えていくのだ。若いときにはたくさん稼いで貯蓄に回し、年をとったらその貯蓄を崩して消費に回していく。これは1人ひとりの個人についていえることだが、同時に国についてもいえることだろう。そうした意味では、日本の貯蓄率が下がっていくことに過剰に反応する必要はない。
ただ、この現象を、過度に積み上がった政府の債務とダブらせてみたとき、非常に厳しい将来の姿が浮かび上がってくる。いったい誰が日本政府の債務をファイナンスするのかという問題だ。
日本政府は国・地方合わせてGDPの150%前後という膨大な債務を負っている。その一方で財政赤字は縮小するどころか、この不況のなかでさらに拡大する傾向にある。税収が大幅に下がる一方で、経済対策で大胆な歳出拡大が行なわれているからだ。赤字が増えれば、政府の債務はさらに増えていくことになる。
これだけ厳しい財政状況であるにもかかわらず、国民も企業も政府債務膨張の歪みを直接感じることはない。通常は政府の財政状況が悪ければ、長期金利の急騰(国債の価格の暴落)が起こるか、悪性のインフレとなることが少なくない。日本の場合にそうしたことが起きていないのは、潤沢な国民の貯蓄資金が国債をファイナンスしているからだ。国民の多くが銀行などの金融機関に預けた貯蓄の相当部分は、政府の国債購入に回っているのだ。
問題はこうした政府債務のファイナンスがいつまで持続可能であるのか、ということだ。家計部門の貯蓄率が下がっているということは、個人の保有する金融資産が頭打ちになっていくということでもある。場合によっては、将来は貯蓄資金の切り崩しも起こるかもしれない。一方では、政府の借金は増えつづけている。増えつづける国公債を誰が所有してくれるのか。
不況の時代には、皆が安心して国公債を保有する。それがいちばん安心だからだ。株や不動産や資源へ回る投資も少ない。しかし景気が回復してくれば、資金も国公債から、よりリターンの高い株や不動産などへシフトしていくだろう。こうした動きが、国公債市場に大きな打撃を与える可能性も否定できない。経済が不況であるあいだはそうした厄介な動きが起きにくい、という意味で、いまはおかしな安定状況にあるともいえる。
いずれにしろ、経済の大きなトレンドは財政問題深刻化の方向に着実に針を進めている。家計部門の貯蓄率の低下、垂れ流されつづける財政赤字で膨れ上がる政府債務、こうした動きの先には何があるのだろうか。軽度な財政破綻による金利高騰なのか、より深刻な財政破綻としてのインフレなのか、それとも日本経済を見限った円の暴落なのか、悲観的な想像をしたらきりがない。
日本の家計部門の貯蓄が大量に国公債購入に回っているということは、日本国民が日本の将来に資金を出しているということである。財政問題が顕在化すれば、日本国民の多くの資産が毀損することになる。国債価格下落による資産価値低下か、インフレによる資産の購買力の低下か、それとも円安による円の購買力の弱体化か、その具体的な姿についてはわからないが、いずれにしてもあまり明るい未来像ではない。
こうした事態に陥らないためにも、一刻も早く、財政健全化に着手しなくてはならない。
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コメント
youtoube動画で朝生の録画がありました。政権選択選挙というテーマで流れていたのですが、ここの論議でももう自民党の議員に政権をまかせてきたのがやはり間違いだったのではないかと感じます。
民主党のマニュフェストの批判はするのですが、自民党としてどうする気があるのかというのが全く見えてきません。
変えるのか変えないのかさえはっきりしないというのが多くの国民が抱いている感情なのではないでしょうか。
その点、民主党の政策にはいろいろ不安があるかもしれませんが、変えようとする、或いは過去の政権の総括をしようとする気があることからある程度期待できるのかもしれません。
ともあれ民主党の支持団体にどれだけ考え方を修正させるかに政権維持がかかるのかもしれません。まだ、民主党が政権になるとはかぎりませんが。
ただ、ここで政権交代ができないという選択を国民がしたならば、日本を見る海外の目ががらりと変わるのかもしれません。
二十年後には沖縄は、中国領となるかのテーマでやしきたかじんの番組もしていましたが、すでに日本大手企業の生命でさえも中国経済にかかってきており、政治エネルギーをみいだせない政党が政権を取ることに対して危機感をもつことが大切なことかもしれません。
株式市場も現状底値がしっかりしているようにみえますが、基本的な投資スタンスとしては、日経平均4500円を下回る危険性をもつ日本経済とみたほうがいいのかもしれません。