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世銀とIMFと米経済
2009年06月23日 4:29 pm JST
世界銀行が22日に発表した2009年と2010年の経済見通しで、09年の世界経済や米国はじめ主要国の成長率が下方修正され、同日の米株は大幅に下げた。
東京市場の取引時間中に発表されたにもかかわらず22日には反応せず、米株の下落を受けて23日午前の日経平均が300円以上も下げたのは「主体性のない東京株式市場の本質をさらけ出した」(国内証券の関係者)とも言えるが、米株市場も迷っているのではないか。
先週、国際通貨基金(IMF)が09年と10年の米経済見通しをそれぞれ4月時点から上昇修正し、リプスキー筆頭専務理事が10年の世界経済・成長見通しを上方修正する可能性があるとの見解を示していたからだ。
ギャップが生じている世銀とIMFの見通しのどちらが正しいか──。「神のみぞ知るですね」(外資系証券)との声がマーケットの本音だろうが、足元の生産減少の緩和に視点を置くIMFの見方が現実化するのか、それとも大きな陥没をみせている世界経済は、09年にはかえってマイナス幅が拡大していくのか。
ある邦銀関係者は「米株の期待先行度は、日本株に比べて高い。日本のGDPは4─6月に前期比・年率で2%台のプラス成長が期待できるが、米国のプラス転換は早くて10─12月期だろう。その基盤の弱さが、悪い材料への反応の大きさにつながっている」とみる。
米経済を予測する場合、もう1つ見逃せないのが金融システムの機能不全だ。19日の投稿へのasagao777さんのコメントの中に指摘されていたように、不良債権の最終処理には相当のコストがかかる。ところがどうも、米銀はそれを忌避しているようにみえる。
米銀動向に詳しい別の外資系証券関係者は、公的資金を返済した10の米銀の本音は「不良債権処理の先送りにある」と指摘する。公的資金さえ返済すれば、不良債権の処理で米当局からとやかく言われることはない。時価会計基準が棚上げされ、処理しなければ不良債権問題で、新たな損失は出ない。しかし、処理すれば処理損が発生し、自己資本をき損することになるため、景気が上向くまでこのまま不良債権を塩漬けにする──という戦術だというのだ。
しかし、これが本当なら、資金需要が盛り上がり始める景気回復時に金融面からサポートできないリスクが発生する。銀行が貸せないので企業は投資できず、景気が失速する、というシナリオはそれなりに現実味があると思うが、どうだろうか。
(写真/ロイター)