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(回答先: ジム・ロジャーズ「米株は“よくない”」「米ドルは危機的」 投稿者 gikou89 日時 2009 年 5 月 14 日 07:35:16)
http://moneyzine.jp/article/detail/147974/
注目を集めたジョージ・ソロス氏のカムバック
FX会社最新順位と比較 アメリカ発の金融パニックが世界を不安の渦に巻き込んでいる。その一方で、したたかに莫大な利益を稼ぎ出している投資家たちも健在だ。
その代表的存在がヘッジファンド業界であろう。2008年、約1万社と言われるヘッジファンドの中には運用の失敗により倒産したり、吸収合併の対象になるケースも多かった。1000社近くのヘッジファンドは姿を消し、全体の3分の2近くのファンドも平均すると18%近くの損失を計上したという。
ところが、中には史上空前の利益を上げたファンドも存在していた。彼らはきびしい投資環境の中で2006年以降、毎年対前年比で大幅増の収益を上げているというから驚かされる。
ヘッジファンドの業界情報誌「アルファ・マガジン」が毎年発表する前年度の収益ランキングを見ると、2008年のトップ10社の中にはこのところ毎年記録を更新し続けているルネッサンス・テクノロジーズのジェームズ・シモンズ氏を筆頭にポールソン・アンド・カンパニーのジョン・ポールソン氏、センタウラス・エナジーのジョン・アーノルド氏などがランクインしている。
とはいえ最も注目を集めたの、はかつて「ヘッジファンドの帝王」と異名を取ったジョージ・ソロス氏のカムバックであった。なんと同氏は2008年、11億ドルの収益を上げ、「アルファ・マガジン」が選んだヘッジファンド・トップ10の第4位に返り咲いたのである。
ソロス氏はすでに数年前から世界的な金融収縮の動きを予測し、迫り来る危機の可能性について警告を発し続けていた。そして自らの予測の正しさを立証するかの如く、金融パニックの到来の先回りをし、得意の空売り戦略を駆使。昨年は「自らの投資家人生の中で最も実りの多かった1年だ」と述懐できるほど大きな利益を手にしたのである。
逆張り投資で11億ドルの利益
これまでにもソロス氏は世界的な金融危機の到来を2度にわたって予測していた。多くの投資家たちはこの天才投資家の見通しに耳は傾けたものの、実際に金融危機の対処法を実践するまでには至っていなかったようだ。
ソロス氏は自らが立ち上げたクゥオンタム・ファンドの中身を全面的に組み替えることで「世界的な大恐慌にたとえられる今回の荒波を巧みに乗り越えることができた」と自己評価している。
すでに現役からはリタイアし慈善事業であるオープン・ソサエティーの仕事に専念していたソロス氏であるが、2007年に突如、古巣のヘッジファンド・ビジネスにカムバック。息子に任せていた投資ファンドの運用を引き受けたのである。
その結果、2008年には29億ドルの運用資金を集めた上で、住宅バブルや金融危機の流れを読み、逆張り投資によって11億ドルの利益を生み出したという。78歳になるファンドマネージャーとしては異例の賭けに成功したといえそうだ。曰く「これまで生きてきた中で体験したすべての成功、失敗の教訓を総動員し、今回は大勝負に出た。若い連中にはまだまだ負けられない」。確かに35歳限界説が囁かれる業界において、78歳の活躍ぶりは驚異的だ。
冴え渡るシモンズ氏の分析
ヘッジファンドの世界ですでに「伝説的な最高プレーヤー」と崇められている元数学教授のジェームズ・シモンズ氏も相変わらず健在で、ルネサンス・テクノロジーを率いて2008年には25億ドルの利益を稼ぎ出した。
国防総省の暗号解読チームを統括した経験もあるシモンズ氏が得意とするのは市場の動きの精密な分析である。高等数学の理論とコンピュータを駆使したトレーディングの仕組みは実際に安定した利益を生み出しており、元ナスダック会長のマドフ氏の「ねずみ講」的ヘッジファンドとは大違いといえよう。危機や混乱が深まれば深まるほど、シモンズ氏の多元的な分析は冴え渡るようだ。
我々の存在は「砂漠の中のオアシス」
2008年、第2位に輝いたジョン・ポールソン氏は住宅バブルの崩壊を織り込み、不動産価格の急落を前提に空売り投資を繰り返した。大方の投資家の逆を行くことになったが、その結果かつてない利益を上げたという。
ポールソン氏に言わせれば「多くの投資家が莫大な損失を計上していることを思えば、我々の存在は『砂漠の中のオアシス』のようなものだ。マドフ氏の名声にだまされた投資家も多いようだが、我々に運用を任せてくれた投資家はいずれも大満足のはずだ」とコメントしている。ちなみにポールソン氏は20億ドルの利益を手にした。
こうした巧みな資金運用で皆がうらやむような高い利益を上げているヘッジファンドのマネージャーたちは、今また確実に儲かるチャンスを手にいれようとしている。オバマ大統領の指示を受け、ティモシー・ガイトナー財務長官が大手金融機関の救済計画を進めていることは承知の通りであろう。
オバマ政権はアメリカの金融機関が所有する不良債権を一括処理しようという計画に着手しはじめた。どのような形にせよ納税者の資金すなわち公的資金を投入し、金融機関の抱える不良債権や不良資産を肩代わりしようというアイデアであるが、その受け皿となるのが実はヘッジファンド業界なのである。
安値で売却された債権や不動産が後に値上がりすれば、莫大な利益を上げることができるだろう。万が一、逆に引き受けた資産が値下がりした場合には再び公的資金で損失補てんが行われる。受け皿になるファンドにとっては、実に虫のいい条件の救済計画である。言い換えれば、「濡れ手に粟」と言っても過言ではない。とりあえず、公的資金の注入で大手金融機関の出血を止め、その間、不良債権を買い取ってくれる投資家にはじっくりと品定めをしてもらうという話だが、すでに受け皿となるファンドのとの水面下でのすり合わせが進んでいるようだ。
現在、品定めに応じようとしている投資ファンドは大半が勝ち組ヘッジファンドである。中でもガイトナー財務長官が指名に傾いているのが、5大投資ファンドと言われている。これらはすべて2008年のトップ10のリストに入った有力ヘッジファンドばかりである。2008年の金融危機を勝ち抜き、中には「焼け太りをした」と批判を受けるようなケースもあるヘッジファンド業界の雄たちなのだが、さらなる飛躍を成し遂げる条件が整いつつあると言えるだろう。
2008年、第9位にランクインしたFXコンセプツと呼ばれるヘッジファンドの社長ジョン・テイラー氏は、「我々が成功できたのは政府による介入があったからだ。もし、公的資金の注入という追い風がなければ、これだけ有利な条件で投資案件の売り買いはできなかった。まさに政府のお陰」 と語っているほどである。ことほど左様に政府による救済計画の最大の恩恵を受けているのがヘッジファンド業界というわけだ。
サマーズ氏の気になる過去
思えば、オバマ大統領から指名を受け、ホワイトハウスの経済諮問会議の議長に就任したラリー・サマーズ氏もヘッジファンドの世界にどっぷり浸かっていた人物である。
ハーバード大学の学長であったサマーズ氏は女性差別発言によって大学を追われたが、その後オバマ政権に加わるまでの2年間、D・E・ショー・グループというヘッジファンドの取締役として活躍をしていた。
このD・E・ショーの社長デイビッド・ショー氏も2008年のヘッジファンド・トップ10には第7位にランクインしている。同氏の稼ぎは2億7500万ドルであった。サマーズ氏はD・E・ショーに週1回出社するだけで、実に520万ドルもの給与を得ていたという。
このサマーズ氏にせよガイトナー氏にせよ、「アメリカの金融機関を救済することがアメリカ経済の再生に欠かせない」 と口を揃えているのだが、これははたして本心だろうか。
彼らが最も関心を寄せているのはウォールストリートの復活と自らの懐具合だけではないか、と思わざるを得ないような行動がこのところ目立つようになった。どこまでアメリカ国民や経済全体の利益を考えているのか疑わしい限りである。
なぜなら、ガイトナー氏も財務長官に就任する前はニューヨーク連銀の総裁として金融危機の予防や経済の安定化に大きな責任を負うべき立場にあったはずだ。しかし、ウォールストリートの資金の流れを監視する立場にありながら、大手金融機関の連鎖的破綻や金融スキャンダルを防ぐことはまったくできなかった。いわば今回の金融危機発生に関しては責任の一端を負っていながら、オバマ大統領から新たに財務長官という重責を担わされることになったわけだ。果たして彼の進める金融再生計画がアメリカ経済全体のプラスになるのだろうか。
サマーズ氏の講演は1回2000万円〜3000万円
また、サマーズ氏もハーバード大学の学長時代にすでにD・E・ショーとは別のヘッジファンドの顧問を務めており、大学からもその金権体質には批判の声が上がっていたほどの人物である。
しかもサマーズ学長はハーバードの学生たちからサインを求められると学生たちの財布からドル紙幣を出させ、その紙幣に得意顔でサインをするのがいつものクセであった。「お札こそがアメリカの富の象徴だ」とばかり、学生たちをマネーゲームの世界へ駆り立てることに精魂を傾けていたと言われる。
実際、サマーズ氏はウォールストリートの金融機関で講演し、1年間で270万ドルもの報酬を得ていた。要は、1回の講演で2000万円から3000万円を受け取っているわけで、その金権体質はオバマ政権の中でも際立っている。しかし、それよりはるかに金券体質を誇っているのが首席補佐官のエマニュエル氏であろう。政権入りする前はヘッジファンドで才能を発揮し、2000万ドル(20億円)近い収入を得ていたという。
こうした強欲資本主義をこれまで実践してきた人物たちがオバマ政権の中枢において経済金融の立て直しに最大の責任を負っていることから、当然のことながら、今後のアメリカ経済はヘッジファンドが主導権を握る形で進むことになるだろう。言わば、ブッシュ政権時代とは比較にならないレベルで勝ち組ヘッジファンドが「わが世の春」を謳歌することになる状況が出現することになりそうなのである。
オバマ大統領の誕生を資金面で支えてきたと自負するヘッジファンド業界にとっては、まさに「実りの時期」が目前に迫ってきたといえよう。G8ではヘッジファンドに対する規制強化策が盛んに議論されているが、ヘッジファンドに頭の上がらないオバマ大統領の下では当面チェンジは起こらないに違いない