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クライスラーの破綻は、アメリカ自動車文明の終焉であり、米国のメーカーがハイブリッドカーを作れないのは象徴的だ。
http://www.asyura2.com/09/hasan62/msg/507.html
投稿者 TORA 日時 2009 年 5 月 02 日 16:20:33: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu191.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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クライスラーの破綻は、アメリカ自動車文明の終焉であり、
米国のメーカーがハイブリッドカーを作れないのは象徴的だ。

2009年5月2日 土曜日

◆クライスラー破綻:/上(その2止) フィアット「火中の栗」 5月2日 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/world/news/20090502ddm008020010000c.html

「日本の自動車メーカーが手ごろな価格でデザインも優れたハイブリッドカーを作れるのに、どうして米国メーカーはできないのか」−−。

 クライスラーが米連邦破産法11条を申請し、経営破綻(はたん)する前日の4月29日のホワイトハウスでの会見で、オバマ米大統領は米国自動車産業のふがいなさにいら立ちを爆発させた。

 「自動車産業は米国の象徴であり、消滅させるわけにはいかない」と米自動車復活に意欲的なオバマ大統領だが、クライスラーに象徴されるように長年、研究開発投資を怠り、最先端の小型車やエコカー(環境対応車)の技術力に乏しくては、いくら公的資金をつぎ込んでもムダ金に終わるだけ。

 クライスラーは今年1月中旬にデトロイトで開かれた北米自動車ショーに「クライスラー」「ダッジ」「ジープ」の代表ブランドでそれぞれ1台ずつ電気自動車の試作車を出品。ジム・プレス社長は「我々にはエコカーの技術も人材もある。無いのは量産に向けた資金だけだ」と盛んにアピールした。しかし、バッテリーなど肝心の技術について「企業秘密」の一点張りでまともに説明できないクライスラー幹部の姿に、業界では「張りぼてではないか」との失笑さえ漏れた。

 そんなクライスラーの悲惨な状況を知ったオバマ政権の自動車問題作業チームにとって、ビッグ3(米自動車大手3社)の一角の完全消滅を避けるには、外資との提携に頼るほかなかった。小型車が主力で環境技術開発にも意欲的なイタリア大手、フィアットをクライスラーとの交渉につなぎ留めることは必須だった。

 フィアットのトップが世界で競争可能とされる「400万台クラブ」(年間生産台数400万台以上)入りを目指す再編論者のマルキオンネ氏だったことも好都合。ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車から、韓国・現代自動車、ロシアの自動車メーカーまでがクライスラーの体たらくぶりに「提携を深めても経営の重荷になるだけ」と二の足を踏む中、年間1000万台以上の需要を抱える北米市場への80年代以来の再参入を悲願とし、拡大志向の強いフィアットのマルキオンネ氏だけは「火中の栗(くり)」のクライスラー救済に意欲を示し続けた。

 「米自動車産業の復活」を目指すオバマ大統領と、海を越えた再編で日本や欧州の上位メーカーに追いつこうとするイタリアの猛烈経営者。破産法を申請したクライスラーが清算を逃れたのは、この2人の野望の合作だが、そこには本来の主役のはずのクライスラーの存在感は皆無だった。

 オバマ大統領はクライスラーはフィアットとの提携完了で「強く、効率的な企業に生まれ変わる」と強調。フィアットのマルキオンネ氏は「クライスラーだけでなく、自動車産業が抱える問題にも建設的な解答が示せる」と自信をみなぎらせたが、業界では経済合理性とはかけ離れた思惑で進むクライスラーの再生劇の前途を危ぶむ声が強い。

 ◇手続き、30〜60日で 全米自動車労組、株式55%保有
 クライスラーは今後、イタリア大手・フィアットから、新車開発など技術と役員も含めた人材の両面で支援を受けるほか、米国とカナダ両政府から総額100億ドル(約1兆円)余りの公的支援を得て、早期の経営再建を目指す。

 破産法手続きでは事業資産の大部分を新生クライスラーに移管。提携先のフィアットが20%の株式を持つほか、主要債権者である全米自動車労組(UAW)が55%、米政府が8%、カナダ連邦・州政府が2%をそれぞれ保有して、30〜60日間での法的手続きの終了を目指す。経営を指揮する新たな取締役会を9人で構成し、政府とUAWが合わせて6人、フィアットが3人を派遣する。フィアットは将来的に35%まで持ち株比率を引き上げることが可能。さらに、米政府から受けた公的資金を完済すれば、発行済み株式の最大51%を取得して子会社化できる条項も盛り込まれた。【坂井隆之】

◆日本の自動車産業は安泰か?「エレクトロニクスカー」で攻めるアメリカ  好川 一 [2007/11/15]
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071115/287258/?ST=biz_biz&P=1

先日、インディアナポリスへ出張する所用ができ、思い切ってニューヨークから車で行ってみました。ニューヨークからインディアナポリスまで、ざっと1600マイル(2560 キロメートル)を2日がかりで走破できました。車での遠出は6〜7年ぶりになります。正直言って、もう若くないので長距離のドライブはかなり疲れましたが、色々なことが分かり、その点では有意義でした。

 なぜ車で行ったかというと、アメリカにおける自動車事情をドライブを通じて実感したかったからです。実は11月の第3週目に、「自動車産業の動向」というテーマで、日系企業に向けてプレゼンテーションをすることになっており、ここ2カ月ほどは準備で世界の自動車産業に関する資料ばかり読み、あれこれ考えていました。

 完成車および部品を含め、最強と謳われている日本の自動車産業ですが、私はその将来を憂慮しています。自動車産業は今、大きく変化しており、日本の自動車産業はこの変化を読んで、慎重に行動していかないと危険ではないか、ということです。

アメリカの小型車が結構走っている
 ニューヨークからインディアナポリスに至るドライブで感じた事を列挙しておきます。ニューヨーク、特に高級住宅街であるウェストチェスターで見かける車は、圧倒的に日本車と欧州車が多いです。しかし、アメリカ中西部に入っていくと、様相は一変します。アメリカ車ばかりです。メルセデス、BMW、ジャガー、そしてレクサスなどはほとんど見ませんでした。

 そのアメリカ車の傾向として、小さい車が増えました。特にGMのCHEVYはよく見かけました。私は、CHEVY TRAIL BLAZERを借りて行ったのですが、想像していたより性能も質も高いことにちょっと驚きました。アメ車はダメ、とはとても言い切れない気がします。

 もう一つ印象に残ったのは、コンテナーを運ぶ長距離トラックの性能が上がったことです。とにかく速い。そしてその長距離トラックはなぜかボルボが多かった。アメリカ製のトラックはどこに行ったのでしょう。それから、一般乗用車にせよ、トラックにせよ、FORDが少ないことも気になりました。本当にFORDの車を見ないのです。

 では、日本の誇る自動車業界について考えていることをお伝えします。少し前の日本経済新聞に、日本の自動車産業の課題として、次の三点が上げられていました。一つは、二酸化炭素や窒素酸化物の排出、すなわち環境問題です。これに関係しますが、もう一つ大きな問題として、エネルギー問題があります。5年前に1ガロン$1.20くらいだったガソリンは今、$3.20 くらいに上がっています。枯渇するだろう石油を代替する燃料は何が主流になるのでしょうか。三番目は、少子高齢化及び若者の車離れです。つまり日本でこれ以上、車を売って行くことは大変だということです。

 日本がとる手としては、環境問題とエネルギー問題に対処した車を出し、アメリカをはじめ、世界各国で売っていくことになります。ヨーロッパの自動車メーカーも、この二つの問題に取り組んでいます。現在では、日本のハイブリッドカーと、ヨーロッパのクリーンディーゼルが短期的なソリューションの双璧です。トヨタとホンダはクリーンディーゼルエンジンの技術も持っています。

 日経の多くの記事を読むと、三つの課題を指摘しつつも、欧米の自動車メーカーにはハイブリッドカーのような高度な仕組みを持つ車は作れない、だから日本の優位は安泰、と読めました。精緻なモノ作りは日本人にしかできない、chinaやインドで作られた自動車は永遠に日本車に追いつけないだろう、と言う声も聞かれます。韓国のHYUNDAIの品質は15年かかってトヨタに追いついたそうですが、ブランドイメージは今一歩です。(後略)

(私のコメント)
アメリカの繁栄はT型フォードに始まるガソリン自動車がその象徴ですが、アメ車と言えば大排気量でハイパワーのガソリンバカ食いの車が特徴でした。アメリカが大石油産出国でありガソリンは水のように安かった。大型車なら大きなガソリンタンクを搭載すればいい訳であり、大型車ほど高級車というイメージをアメリカ人は持っていた。

アメリカのようなだだっ広い大陸を走るには、大型車で頑丈な車でないと心細くなるのは当然なのでしょうが、特に中西部などはその傾向が強いようだ。芳川氏の記事にもあるように最近ではアメリカ車も小型車が増えてきたのはガソリン価格が高騰してきたからであり、1リットル100円もするようになれば大排気量のアメ車には乗れない。

一時的に石油価格が下がりましたが、不景気にもかかわらずじりじりと上がり始めている。中国やインドなどの新興国の経済発展で石油消費の増大するのは必然であり、中国はアメリカを追い抜いて自動車大国になっている。世界から見ればもう一つアメリカが出来たようなものであり、中国の数千万台の自動車が走れば石油が足らなくなるのは必然だ。

アメリカでも自動車が撒き散らす排気ガスで、カリフォルニアでは排気ガス規制が厳しくなりましたが、性能的にも燃費のいい自動車が求められている。しかしアメリカの自動車メーカーは採算のいいSUVなどを作って売ってきましたが、SUVは装甲車のようなごつい車で燃費は戦車のようにガソリンをバカ食いする。

アメ車の燃費はリッター5キロぐらいで、日本車はリッター15キロぐらいの燃費だ。ところがハイブリッドカーになると30キロ以上もある。実際走ると23キロくらいなようですが、エコドライブで走れば40キロくらい走る事もあるようだ。電池の性能が上がればハイブリットカーの燃費はますます良くなるわけで、リチウムイオン電池が普及すればプラグインハイブリットカーになり、買い物程度なら電気自動車として使える。

一気に電気自動車が普及すると言う見方もありますが、リチウムイオン電池は高価であり航続距離を伸ばすには数百キロもの電池を積む必要があって、用途は限られるだろう。ハイブリッドカーはそれまでのつなぎと見られてきましたが、次世代車の本命となって来ました。GMなどが作っているボルトというハイブリッドカーはシリーズ型ハイブリッドであり、より多くの電池を積まないと走らない。

オバマ大統領が嘆くように、アメリカのメーカーはハイブリッドカーの開発に失敗している。トヨタのハイブリッドカーの開発も非常に困難な技術的問題を解決してきたから出来たものであり、改良に改良を重ねて作られてきたから外国のメーカーが真似して作ろうにも作ることが出来ない。

トヨタが始めてハイブリッドカーの試作車を作った時は全く走らなかったそうだ。電動モーターとガソリンエンジンが結合されているから、どこかに不具合があるとうんともすんともいわなくなる。無理に動かそうとしてエンジンのクランクシャフトが何本も折れたそうです。外国のエンジニアがプリウスを分解して調べたそうですが、仕組みは分かってもシステムはICチップに収められているから同じ物が作れない。

ヨーロッパではクリーンジーゼルが開発されていますが、開発には非常に時間とコストがかかり、排気ガス規制をクリアするには限界があると悟ってフォルクスワーゲンなどもハイブリッドカーを開発しているようです。電池の開発が進めばハイブリッドカーの燃費がさらに良くなりコストも安くなり普及が進むだろう。

日本ではトヨタとホンダがハイブリッドカーの価格の引き下げ競争が始まっていますが、技術的問題はクリアされて先に量産体制をとったところが勝つだろう。プリウスやインサイトも政府の景気対策で補助金が出るようになって他のガソリン車よりも安くなっているくらいだ。

ハイブリッド車の一番の特徴は燃費の良さですが、住宅街の細い道を電動モーターだけで走る時の静かさは従来の車には無いものだ。近未来的な車のデザインも購買意欲をそそらせるものであり、車内のメーターも液晶画面でガソリンの残量や燃費や動力の状況が見られるようになってエコドライブが目に見えるような工夫がなされている。

都内ではハイブリッドカーのタクシーも見られるようになりましたが、営業用の自動車にもハイブリッドカーが使われるようになったという事は燃費と静粛性が評価されたからだろう。クライスラーはフィアットとの提携で再建されるようですが、ベンツとの提携でも失敗している。結局は技術革新にアメリカの自動車メーカーは付いて行けなくなったのであり、アメリカの自動車文明の終わりの始まりなのだろう。


 

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