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http://mainichi.jp/life/money/news/20090413org00m020021000c.html
この不況から抜け出すには、これまでなかった規模の危機が起こる必要がある。【金融ジャーナリスト・首藤馨太郎】
「いま起こっているグローバルな経済危機は大恐慌よりも速いペースで進んでいる可能性がある。これは1930年代にもなかった、私の記憶にはない危機だ」
2月20日、オバマ米政権の経済再生諮問会議議長を務めるボルカー・元米連邦準備制度理事会(FRB)議長はコロンビア大学の会議で、世界が直面している経済危機の深刻さをそう表現した。昨年9月のリーマン・ショックから半年以上経つが、現下の世界同時不況は回復の兆しを見せるどころか、「100年に1度」ではなく「史上初めて」の危機の様相を示している。
各国の株価も30年代と同等、あるいはそれを上回る水準で下落している(図)。2008年のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均の年間下落率が33・8%と、大恐慌時の31年以来77年ぶりの落ち込みを記録。このまま大恐慌時と同じ下落傾向をたどれば、NYダウは3000ドル台まで落ち込む可能性もある。
3月23日、米財務省は民間投資家と共同で金融機関から不良資産を買い取る官民合同基金(バッドバンク)政策の概要を発表した。マーケットはその政策を好感し、一時株価は上昇した。確かにバッドバンク政策が不良資産問題解決の糸口になる可能性はある。しかし、実際に買い取り額を決めるプライシングの段階で、買い手側の民間投資ファンドと売り手側の金融機関の利害が対立して機能せず、問題が先送りされ、不良資産問題はより深刻さを増していくことになるのではないだろうか。
◇過去の教訓が使えない
今回の経済危機について、90年代の日本を参考にすべきだという意見がある。
しかし、振り返れば、90年代の日本は30年代の米国を手本にしていた。29〜33年までの5年間にも及んだ世界大恐慌で、3分の1もの銀行が破綻した米国では「復興金融公社」(RFC)を設立し、銀行への貸し出しや優先株による資本注入というスキームを採った。それ以前に、米国も不良資産の買い取りを行ったが、バンキングクライシスの収束には、銀行の自己資本拡充が必要だと悟り、資本注入を行ったのだ。
ただ、米国が30年代の恐慌や90年代の日本の経験を研究し直したとしても、参考になる点もあろうが、比較できない部分も多い。後者は主に、次の3点だ。
1点目は、今回の金融危機には、過去の危機にはなかった証券化商品というマーケットが存在することだ。主に米欧の投資銀行が機関投資家向けに販売してきた。リスクが分散されるため、高い格付けが与えられ、06年のピーク時には世界の証券化商品市場の発行額は3兆ドル(約298兆円)に達した。だが、米住宅バブルの崩壊で住宅ローンが大規模に焦げ付き、販売・購入していた金融機関が巨額の損失を抱え、危機を引き起こした。
2点目はデリバティブ(金融派生商品)が存在していること。とりわけ、企業倒産や支払いの不履行などから債権者を守る商品であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は、現在の危機を複雑化し、後述するように、金融機関の損失解明において、致命的な足かせとなっている。CDSの規模は国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)の調査では、08年9月時点で約54・6兆ドル(約5400兆円)で、02年末の約2・2兆ドル(約218兆円)から、5年半で約25倍に急拡大していた。
3点目としては、過去の不況に比して、グローバルなインパクトが特段に大きいことだ。30年代の米国発の大恐慌も世界へ波及したが、その規模と広がりの程度において、今回の方が圧倒的に大きい。90年代の日本の場合、不良債権は日本の金融機関だけが保有していた。一方、今回は、震源地こそ米国だが、米国の銀行や証券会社がサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)などを証券化し、世界の金融機関へ売った結果、欧州や中東などが不良資産の大半を保有している。
さらに問題なのは、オーストリア、ドイツ、スウェーデンなどの欧州の銀行がインターバンク市場(銀行間で行う短期の資金取引)でドルを調達して中東欧の銀行に貸し付けていたことだ。ただ、米銀自体も自己資本不足の状態に陥り、今度は逆に、情け容赦なく資金回収を行っている。それに伴う欧州における銀行の資金繰りの悪化が経済の阻害要因になっているのだ。
◇価格設定が困難な不良資産
この危機から抜け出すためには、次の過程を経る必要がある
それは、(1)今回の金融危機の原因究明を図ること、(2)金融機関の損失を特定すること、(3)資本注入を実行して、金融機関のバランスシートを正常化に向かわせ、金融システムの信認を回復すること、(4)将来に備えた制度改革を行うこと−−の4点だ。この4つはセットで行う必要があるのだが、まだ(1)の原因の究明すらできていない状態だ。
そして、このなかで最も重要で、かつ、困難なのが(2)の損失の特定だ。30年代の不況や、90年代の日本は、債務の担保となる土地や株があり、土地の評価額は周辺価格などを参考に、見積もりが立てられた。だが、今回の証券化商品はそのプライシング(価格設定)が絶望的に困難であるとともに、CDSがさらに問題を複雑にしている。
不良資産のプライシングがいかに困難かを示す事例として、過去2度の不良資産の買い取りに関する失敗が挙げられる。
1度目はブッシュ政権時代の07年末、米財務省などが仲介となり、大手金融機関によって打ち出された救済基金「M−LEC」だ。それまで金融機関は、本体とは切り離した投資ビークル(SIV)によって、金融市場から低金利の資金を調達し、債務担保証券(CDO)や住宅ローン担保証券(RMBS)などに投資して運用を行ってきた。しかし、サブプライム問題が明らかになるにつれ、これらSIVは市場からの資金調達が困難になった。
M−LECは大手金融機関の信用力によって資金を調達し、SIVの保有する証券化商品を買い取ろうとした。だが、この試みはプライシングが難しいとの理由から、買い取りができずに失敗したのだ。
2度目は08年9月、ブッシュ前政権下で行われた金融安定化法による「問題資産救済プログラム(TARP)」だ。最大7000億ドル(約69兆円)の公的資金を投じて、不良資産を金融機関から買い取るのが目的だったが、それも不良資産のプライシングが難しくて挫折し、その代替として資本注入策に切り替えたという経緯がある。
3月23日に発表されたバッドバンク構想は、まず民主導で失敗し、次に官主導でも失敗した不良資産の買い取りを、官民合同で実施しようとする3回目の試みと位置づけることができるかもしれない。
今回は公的資金の投入のほかに、FRBや米連邦預金保険公社(FDIC)の保証、民間投資ファンドの出資で、最大1兆ドル(約99兆円)の資金を確保するというものだ。しかし、ここでも依然として、プライシングの問題が残っているのだ。
プライシングをする場合、1次証券化商品では「倒産確率」「貸し倒れ率(1−回収率)」「当該商品の組み入れ資産間のデフォルト相度」という3つの変数を見る必要があるが、現状は、組み入れ資産が多ければ多いほど倒産の確率が高くなるという状態で、2次証券化商品になれば絶望的に困難だ。
また、証券化商品は、そもそもはプライムローンやサブプライムローンなどの原債権を集めて証券化していたが、次第に、“まず証券化商品ありき”へと変わっていった。もっとも、証券化商品を構成する原債権が都合よくあるわけではない。そこで、信用リスクを保証するCDSが無数にやりとりされるようになり、このCDSの存在がプライシングをさらに困難なものにしている。
このような問題商品を財政資金で買い取るといっても、安値であれば、銀行の損失が大きくなり、自己資本の毀損につながる。一方、高値で買い取れば、それは後の納税者の負担につながる。その線引きができない状態にあるわけだ。
米財務省はストレステスト(資産査定)を遅くとも4月末までに完了するとしている。90年代の日本でも資本注入の前に、金融庁が不良資産を検査し、3回目でようやく本格的処理に入ったのだが、今回の米国に関しても、複数回の査定を実施することになるのだろう。ただ、今回のような証券化商品市場の場合、資産査定がどれだけ有効なのか、疑問が残るところだ。
◇問題解決にはより大きなクライシスが必要
国際通貨基金(IMF)は、銀行、証券、保険などのサブプライム損失額は最終的に2・2兆ドル(約218兆円)に達すると予想している。一方で、07年の夏から09年初までに実施された損失処理は、ブルームバーグなどの試算では1兆ドル(約99兆円)程度だ。そのうち米国が7000億ドル、欧州が3000億ドル程度だ。
また、資本増強に関しては、トータルで1兆ドル程度実施された。そのうち、自力で調達したものが7000億ドルと見られるが、それも昨年のリーマン・ショックの前で限界に達し、昨年の秋以降は公的な支援に移っている。米国と欧州中心で、公的支援は3000億ドル程度。その公的な支援も第1ラウンドは限界に来ている。
不良資産の要処理コストに関しては米国において、「1兆ドルだ」「いや、最大4兆ドル必要だ」などとさまざまな議論があるが、現状ではそのような追加的な支援策を盛り込んだ法案が議会で通るはずがない。
公的資金を投入された保険大手AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)の幹部が巨額のボーナスを受け取っていたり、議会の公聴会に出席するのにビッグ3の最高経営責任者(CEO)が自家用ジェット機を使っていたことなどが発覚して、大手企業を公的資金で救済することに世論が強く反発しているからだ。
巨額の財政資金を投入しないと、この不況から抜け出すことはできないことはわかっているが、それが世論の反対などでできない場合、結局、第2次金融危機が起こるしかない。それが起きて初めて、世論を納得させることができるのだ。カーネギー国際平和財団客員研究員のデビッド・ロスコプ氏も、「重要な金融上の合意を可能にするためには、危機感が高まり、状況が現在より一段と悪化することが必要だ」と述べている(3月5日付英『フィナンシャル・タイムズ』)。
第1次の金融危機は08年7月の米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の国有化に始まり、リーマン・ショックまで。その余波が実体経済に及んで、一般企業の倒産リスクの悪化などにつながった。現状は、倒産確率の高まりによって、株価がさらに下がって、それが貸手側の金融機関に波及するという悪循環のサイクルのなかにある。
第1次金融危機は投資銀行がその主体だった。問題の核心は証券化商品市場にあり、その運用主体はヘッジファンドやプライベートエクイティ、そしてベア・スターンズやリーマン・ブラザーズといった投資銀行であった。結果、08年の秋に、投資銀行は消滅した。
では、第2の危機の震源はどこか。投資銀行が消滅したいま、問題を引き起こすのは、巨大銀行でしかありえない。財務面の悪化など、経営のリスクをそこかしこに抱えている。
90年代から00年前半にかけての日本の不良債権問題は、最終的には外需によって企業収益が復活するなかで解決していった。しかし、現在世界を見回しても、世界で同時に需要が大幅後退している。不況からの出口が全く見えない状態に、いま世界はある。
コメント
嫌なレポートが出されました。上記のような現象を起きないようにさせるために株価対策が必要なのであり、そのための景気対策を麻生政権はしっかりと検討してもらいたいというのが願いです。
信用売り残が多い状況、日経平均株価を10000円以上に持ち上げることができるかどうかでしょう。その為に公的資金による株価の買い支え、そして民意を持ち上げるような継続的効果がある景気対策が必要となります。
みのもんたさんのニュース番組で、中小企業というけれども中と小との間に大きな開きがあるとコメントしていました。中小企業と一緒にしてしまいがちですが、大、中、小、零細と分けるべきなのではないかと疑問を投げかけた。
大企業は、在庫調整がされ、光が見えてきたと経団連会長が語りましたが、小規模企業、零細企業からは、深刻な状況が伝えられている。しかし、あまりマスコミも報道はしない。
金融機関は、大企業を優先的に貸出、それ以外の所は、やはり貸し渋りに走っているようです。特に自営業者にとっては厳しい時期となるでしょう。
そのような日本でも金融資産が増える世代もあるのです。それは、定年を迎え、業績悪化でもしっかりと退職金をもらえる労働者もいるということです。公務員、大手企業などに勤務していれば最低でも2千万円の退職金はもらえ、日本の家計金融資産は、増え続けているのです。
このような国は、世界ではみあたりません。すばらしい、また、生産性が悪いといわれる正社員だけの恩恵です。
米国NY、LAでは、年収うん千万円もらっていた若いエリートの多くが解雇され、一方、日本の大企業に勤めているというだけで、結婚式などでは、招待された幹部が、新朗は将来の幹部候補生と持ち上げ、不況などとはどこ吹く風ともいえるような、大企業であれば一生安泰と信じている危機感のない正社員の世界もある日本であり、派遣などの非正社員においては、低待遇なうえに簡単に解雇され路頭に迷わさせ、後は税金による生活保護に頼れと見捨てている世界もあるのが日本です。
今の与党政権は、大企業が回復しなければ景気が回復しないということで既存組織に対してメリットをうつ対策が目白押しですが、本来は、大企業ほど解体させるようにしなければならないのではないでしょうか。
外食店でも賑やかに食事しているのは、主にサラリーマンといわれている層であり、小規模零細企業の経営者は、身を縮める思いで経営しているために、活力がありません。景気をよくするということは、このような層に活気をつけさせることではないでしょうか。
今日の東京市場は、日経平均30円程値下がりしましたが、日経ベェリタスで取り上げられた銘柄は、活況を浴びており、このような報道が頻繁にされると国民も前向きになるのかもしれません。
5月危機なるものがささやかれていますが、選挙が近い麻生政権のことですから、選挙が近いのに前もって予想される危機を見過ごすようなことはないと思いますが、4/末までに信用売り残が多い今の市場でどこまで踏み上がるかでしょう。
日経平均が10000円を超えるようなことになれば、不景気の株高が、好景気を生み出すかもしれません。
IMFは、10日にドイツ成長率予測を下方修正しており、政府が29日に出す予測と隔たりがあるのか注意しなければならないでしょう。
為替にしても今後円安になるかもしれないという噂もあり、来年の三月末に115円まで円安になれば、トヨタなどの輸出企業の業績もどうなるかわかりません。
ただ、ドル建て米国債を日本に購入してもらわなければならない米国にとっては、1ドル95-100円近辺の方がありがたいのかもしれません。
そろそろ金価格が安値を更新していくかもしれません。その時は買い場となるかもしれません。
外国人売りが続こうとも多くの個人投資家が参加しつつある市場に、上記記事のような状況に落ちいないよう政府は、株価に関心を持ってもらいたいです。もし、暴落すればたぶん自民党に勝利も芽がでなくなるかもしれません。