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AIGの巨額ボーナス、財務長官は知っていた
オバマ大統領とガイトナー財務長官
巨額の公的資金注入を受けながら幹部社員へ高額ボーナスを支給していた米保険大手AIGに厳しい批判の声があがっている。
エドワード・リディ会長兼最高経営責任者(CEO)は18日、米議会でボーナスの一部返還を約束したが、議員たちの怒りは収まらない。政府の監督責任を問う声も広がり、オバマ政権が打撃を受ける可能性も出てきた。
◆返還要求◆
「いっそのこと破産させて裁判所に公的資金を回収してもらいたいぐらいだ」(民主党のミニック議員)
「AIGの3文字は、高慢(arrogance)、無能(incompetence)、強欲(greed)を表している」(民主党のホーデス議員)
午前11時に始まった米下院の公聴会はAIGへの痛烈な批判の場となり、夕方まで5時間近く続いた。
リディ会長は「優秀な人材が流出し、会社が無秩序に崩壊するのを食い止めるためだった」と弁明した。約2兆7000億ドル(約260兆円)もの複雑な金融派生商品を扱う専門知識を持った幹部社員が、外部に流出しないようにするための報酬との説明だ。
会長はこの日の朝、10万ドル以上を受け取った社員に「半分以上を返してもらいたい」と要請したことも明かし、理解を求めたが、民主党のフランク議員からは「ボーナスを受け取った社員の名前を公表しなさい」と詰め寄られた。会長が社員の安全面の理由で拒むと、「不当な支給だ」となじられる始末だった。
◆雇用契約調査へ◆
2008年9月に経営危機に陥ったAIGは、08年9月から今月2日までに計4回、計1733億ドル(約16兆6000億円)の資金を政府から受け取った。そのうち2億2000万ドル(約210億円)が幹部418人の高額ボーナスに流用されたことが問題の根幹だ。
リディ会長は「ボーナスをそのまま支給すれば批判を浴びる」と予想していたと言う。だが、「07〜08年に社員との間で結んだ雇用契約に伴う義務があり、支払わなければ法的問題が起きる」と説明した。
米メディアが報じた雇用契約に関する資料には、「08年分のボーナスは、07年分と100%同額とする」「時価評価に伴う資産の評価損はボーナス支給に影響しない」と記されている。いくら業績が悪くなっても、前年と同額が約束される“お手盛り”契約だったことが議論を呼んでいる。ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ司法長官は17日、「契約の経緯を調査し始めた」との声明を出した。
◆取り返せるか◆
米政府・議会は、AIGが支給したボーナスを回収する方針だ。前代未聞のケースで、新たな立法措置が必要となる。ガイトナー米財務長官は、AIGが支払った分を公的資金から差し引く案などを検討し、上院民主党は、ボーナスに100%近い高率で課税する法案を考えている。
ただ、AIG以外にも、今年1月に米金融大手バンク・オブ・アメリカに買収されたメリルリンチが、巨額損失の発表前に幹部社員696人に1人あたり100万ドル(約9600万円)を超すボーナスを支払った。政府支援を受ける企業の報酬規制を定めることが必要となっている。
◆張本人◆
リディ会長の証言で、米連邦準備制度理事会(FRB)は3か月前から、ガイトナー長官は2週間前からボーナスの存在を知らされていたことが明らかにされ、公聴会の面々が驚いた。
「AIGが経営危機に陥った時、ガイトナー氏はどこにいたのか?」
共和党議員が最近、議会で財務長官を攻撃する常とう句だ。ガイトナー長官は、ニューヨーク連邦準備銀行総裁だった08年9月、リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)の余波で破綻の瀬戸際に立たされたAIGへの政府支援策をまとめた張本人だ。“暴挙”と言われる巨額ボーナス支給を見過ごし、支援を重ねた監督責任を問う声が高まっている。
オバマ大統領は18日、「これほど忙しい財務長官はいない。すべての責任は私にある」と長官をかばったものの、財務長官の進退問題に発展すれば、政権に大きな打撃となるのは確実だ。(ニューヨーク 山本正実)
(2009年3月20日14時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090320-OYT1T00020.htm?from=navr