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解雇を防ぐ制度【スウェーデンの今】・・ベルギーの制度が自宅待機を可能にしている
http://www.asyura2.com/09/hasan61/msg/618.html
投稿者 tk 日時 2009 年 2 月 21 日 08:54:55: fNs.vR2niMp1.
 

(回答先: 高負担福祉国家がなぜ元気なのか 変革モデル、スウェーデンの秘密 安原和雄 投稿者 tk 日時 2009 年 2 月 19 日 12:53:07)

自宅待機期間中の給料は、基本的に企業と国が分担して負担し、従業員に通常の給料の100%を払うという自宅待機支援制度がベルギー、ドイツ、フランス、フィンランドでは用意されているらしい。スウェーデンでも元々はあったのだが、中道右派政権(1991-1994)のときに廃止してしまって、そのツケが回っているらしい。

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http://blog.goo.ne.jp/yoshi_swe/e/5f3d5e741144bd7c7e9ceb6c3c03ec04


解雇を防ぐ制度

スウェーデンの経済 (ekonomi) / 2009-01-15 23:25:28

乗用車部門を除いたVolvo(主にトラック・バス。以下ではVolvo ABと書く。ABとは株式会社の意味)はスウェーデン資本で、本社がヨーテボリにあるが、この企業でも昨秋から解雇が相次いできた。11月までに4000人を超える従業員がヨーテボリ工場を中心に解雇されたが、今月13日にはさらに1620人の解雇が決まった。今回は主にウメオ工場が中心だ。

これまでの解雇を合計すると、Volvo ABのスウェーデン国内の従業員29000人のうち、5800人が解雇された。何と5人に1人だ。

しかし、非常に興味深いことに、Volvo ABがベルギーのゲント(Gent)に持つ工場では、昨秋から減産を行ってきたものの、解雇された従業員は、期限付きで雇用されていた600人に留まり、この工場の全従業員数から見ればわずかな割合でしかないという。どうして?

この理由は、ベルギーとスウェーデンとの労働市場の制度の違いだという。ベルギーでは、一時的な自宅待機が認められているという。つまり、減産体制が続く中、工場が稼動しない日は従業員が自宅に帰され、この間、彼らには給料が支払われるというシステムだ。企業は過剰人員を解雇せず、従業員として抱えたまま、景気が回復し、受注が再び増えるのを待つ。

この制度は、ベルギーの他にもドイツやフランス、フィンランドなどで導入されているようだ。国によって制度に若干の違いがあるようだが、自宅待機期間中の給料は、基本的に企業と国が分担して負担し、従業員に通常の給料の100%を払う。国によっては、それよりも少ない給料を支払うところもあるようだ。いずれにしろ、企業は100%の労働コストを負担する必要はない。

この制度の良い点は、まず働く側が路頭に迷う心配がない、という点だ。さらに、企業側にとっても、大きな利点がある。有能な従業員を手放す必要がないので、景気が上向きになれば直ちに増産を行うことができる。これに対し、もし解雇してしまえば、受注がいざ増えたときに新たに従業員を雇用し、訓練し、作業チームを再編成しなければならず、逆にコストがかかってしまう。企業の中で長年培ってきた技能が一度失われれば、それを取り戻すのは容易ではない。

実は、スウェーデンも1984年から1994年のあいだ、同様の自宅待機支援制度を持っていた。この時は「自宅待機支援基金」が創設されており、企業と政府が毎年一定額をこの基金に貯めていき、景気減退時に一時待機を行う企業が出てくれば、一時待機期間中の従業員の給料の一部をこの基金から拠出する、という制度だった。しかし、中道右派政権(1991-1994)のときに、政府の分担金の払い込みが滞り、その後、企業の側も払い込みをやめてしまったので、基金がそのうち底をついてしまい、消滅してしまった。

Volvoの話に戻せば、もしこの制度が今でも存続していれば、企業の側は従業員を解雇せずに、一時的な自宅待機を行って、企業内に留めておくことができた、という声が労使双方から上がっている。なぜ、ベルギー・ゲント工場でほとんど解雇していないのか?と質問された経営陣は「ベルギーの制度が自宅待機を可能にしているから」と答えている。

スウェーデンでも、国による自宅待機支援政策を導入しようという声が日増しに高まっているものの、スウェーデン政府はこれまで頑なに拒んできた。首相も「ここ数年、毎年150億クローナもの利益を上げていたVolvoに、従業員の自宅待機をするための資金がないとは考えられない。Volvoは従業員に対する責任を自分たちで果たすべきだ。」と語っている。首相と同じ保守党(穏健党)に所属する労働市場大臣も同様のことを言っている。

一方、産業省の政務次官で、中央党に所属するヨーラン・ヘッグルンドは、自宅待機支援制度の再導入に前向きな考えを示している。「企業の解雇を見過ごして、失業率を上昇させてしまうよりも、自宅待機の費用の一部を国が肩代わりしたほうが、国にとっても安上がりではないかと思う。」

私が思うに、スウェーデンが今から自宅待機支援制度を導入するにしても、遅きに失した感があるのではないだろうか。以前のような基金型の制度は、景気が低迷する前からの積み立てがなければならず、一朝一夕でお金が貯まるわけではない。

だから、今の窮状をしのぐためには、国が予算の中から直接、自宅待機を実施する企業に対してお金をつぎ込む必要がある。しかし、保守党(穏健党)が管轄する財務省は、財布の紐を緩めることにずいぶん慎重になっている。

他方、労働組合側は、従業員を自宅待機させることに国が経済的支援を行うよりも、もっと積極的な方法を期待している。それは、過剰人員をただ家に帰すのではなく、その期間に労働訓練や基礎教育などを受講させ、これに国がお金を充てる、というものだ。


 

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