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(GM傘下の)SAAB・サーブの暗い将来(2)−会社更生か倒産か解散か【スウェーデンの今】
http://www.asyura2.com/09/hasan61/msg/617.html
投稿者 tk 日時 2009 年 2 月 21 日 08:33:26: fNs.vR2niMp1.
 

(回答先: 高負担福祉国家がなぜ元気なのか 変革モデル、スウェーデンの秘密 安原和雄 投稿者 tk 日時 2009 年 2 月 19 日 12:53:07)

福祉路線のスウェーデンでは福祉経済が需要を維持する安定化装置として働いて、市場の変動の影響を受けにくいはずなのだが、世界的な市場の動向に影響を受けないわけではない。

また、外国会社(GM)の子会社であるような会社では重大な影響を受けざるをえない。

Volvoの乗用車部門はFordの傘下にあり、こちらも苦境らしい(Volvoトラック・バス部門いまだにスウェーデン資本)。

−−−−

http://blog.goo.ne.jp/yoshi_swe/e/47e933a4a964acb75f8ae04792033518

SAAB・サーブの暗い将来(2)−会社更生か倒産か解散か

スウェーデンの経済 (ekonomi) / 2009-02-20 08:26:24

親会社のGMからも、スウェーデン政府からも支援が期待できず、資金繰りを急速に悪化させていくSAAB(サーブ)。しかも、昨日の暗いニュースを聞いて、さぁこれからSAABを買おう、と思う消費者はほとんどいなくなってしまっただろう。ブランド名としても全く落ちてしまった。

しかし、すぐに倒産や会社解散に向かうわけではないようだ。希望の光も、わずかだが残されている。

それは、会社更生という手続きだ。SAABとしては、まずこの手続きを使って経営再建を試みた上で、それでもだめなら、破産申請や解散といった手続きに移る構えのようだ(ただし、これも現在、SAAB内で協議が続けられており、どうなるかまだ分からない。)

会社更生の申請は、債務の返済が不可能になった企業が地方裁判所に提出する。すると、裁判所は管財人を指名し、この管財人の仲介のもとで、債権者とSAABの間で債務削減のための交渉が行われることになる。債権者とは、この場合、銀行や下請け業者。下請け業者は納入した部品の代金をSAABから後払いで受け取っているため、その代金がちゃんと支払われるまでは「SAABに対して債権を持っている」ことになる。

たとえば、債権の50%を帳消しにしましょう、といった合意が結ばれることになる。債権者(銀行や下請け業者)は債権の一部を手放してしまうことになるが、それでも彼らにとっては有利となりうる。なぜなら、もしSAABが倒産してしまえば、債権を100%放棄せざるを得ないからだ。だから、適当なところで妥協を迫られることになる。

一方、SAABのほうも、企業の再建計画を提示しなければならない。どのようにして企業の収益性を回復させるつもりなのか。業務分野の統廃合、従業員のリストラ、組織の再編成…。SAABをスリムにしていかなければならない。そして、生まれる新生SAABは現在のSAABとは大きく様変わりすることになる。そして、買い手を見つけ売却されることになる。

しかし、これもうまく行けば、の話。新生SAABが誕生するまでに3〜12ヶ月かかる。そして、買い手が現れなければならない。それに、それ以前の段階で「収益性回復プラン」が示せず、結局は倒産、ということもありうる。専門家の中には「政府が全く手を貸してくれないのであれば、会社更生すら無理」と言う人もいる。

会社更生が失敗して倒産となれば、従業員はすべて解雇。債権者(銀行や下請け業者)は債権をすべて失う。そして、新たな倒産をドミノ倒しのように生み出しかねない。

もしくは、倒産ではなく、解散という手もある。しかし、解散だと膨大な費用がかかる。SAAB車を扱う販売業者や修理工場、下請け業者などとの契約を一つ一つ解消していかなければならないからだ。

――――――


SAABの工場があるトロルヘッタン(Trollhättan)やその周辺地域は、これまで数年にわたってスウェーデン政府が、自動車の「産業クラスター」を強化するために様々な投資をしてきた。特定の企業や産業にお金をつぎ込むとEUの原則に抵触するため、あくまでもインフラ整備や教育、研究開発への支援、という形をとってきた。

- 自動車産業に従事する労働者の能力水準の向上を目的とした教育投資
- トロルヘッタン(Trollhättan)とウッデヴァッラ(Uddevalla)間の国道の高速道路化
- トロルヘッタンとヨーテボリ間の国道の4車線化
- トロルヘッタンとヨーテボリ間の鉄道の複線化。貨物輸送力の拡大。
- トロルヘッタンにある地方大学「University West」と自動車産業との連携強化。研究開発における連携および、自動車産業の求めるエンジニアの育成。
- 環境に良い車「Gröna bil」プロジェクトの延長

これらの投資プログラムが発表されたのは、2004年の暮れ。当時は、SAAB車の生産をトロルヘッタン工場で行うのか、それともドイツにあるOpelの工場で行うのか、を巡って、GM内で議論が続いていた。政府としてはSAAB車の生産のために、是非ともトロルヘッタン工場を選んで欲しかった。だから、トロルヘッタンやヨーテボリを含む「スウェーデン西部地域」の「自動車産業クラスター」を強化し、魅力を向上させるために、このような投資プログラムを行ったきたのだった。

当時、2004年の新聞記事を読み返しながら「こんな時代もあったな」と、何だか懐かしくなってしまった。SAABがなくなってしまえば、高速道路とか4車線化とか、鉄道の複線化とか、どうなってしまうのかな……?

Utbildning ska rädda Trollhättan (Dagens Nyheter:2004-11-02)

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http://blog.goo.ne.jp/yoshi_swe/e/9e8a427318fb38bdbae4fc5d7c4cc7d7


VolvoとSAABの将来

スウェーデンの経済 (ekonomi) / 2009-01-13 08:11:48

スウェーデンの自動車メーカーであるVolvoとSAABの危機的な状況は続いている。Volvo乗用車部門とSAABは、それぞれアメリカのFordとGMの傘下にあるが、この2社は自分たちの再建に精一杯で、傘下に置く小さな自動車メーカーの救済などやっている暇がない。アメリカ政府が決定した自動車3社(Ford、GM、クライスラー)に対する救済策は、あくまでアメリカ国内の産業と雇用を守ることが目的なので、原則としてVolvoやSAABなどには救済金は充てられない。

そこで、Volvo乗用車部門とSAABをアメリカの親会社から切り離して売却する、という議論がこれまで続いてきた。しかし、世界的にみても自動車各社の経営は火の車で、買収の余裕のある企業はなさそうだ。Volvo乗用車部門の買収を検討していたドイツのダイムラーも今月初め、Noという返事を出した。Volvo以上に大変なのはSAABのほうだ。新モデルが登場せず、年間の販売台数が10万を下回るような小さな自動車メーカーは見向きもしてもらえないようだ。実のところ、SAABの主力である9-5モデルは生産が始まってから既に11年、9-3モデルは6年経つという。自動車業界では、モデルの平均年齢は6年ほどというから、SAABはいつまでも古いモデルを作っていることになる。

それならば、スウェーデン政府がこの2社を一時的にでも買い取ってはどうか、という議論が昨年の秋からスウェーデンでは続けられてきた。Volvoの地元ヨーテボリでは賛成だという声が盛んにあがっていた。ヨーテボリ大学ハンデルス(経済、経営、法学などからなる経済系学群)の学長もメディアに登場し、「暫定的な苦肉の策」として賛意を表明していた。

しかし、現実問題として、VolvoもSAABもそれぞれの親会社であるFordやGMの生産分業体制に深く組み込まれており「2社だけをそこから切り取って、自立して経営をやって行くのは困難だ」という声も上がってきた。

また、そもそもVolvo乗用車部門は、Fordに買い取られる以前はVolvoトラック・バス部門(こちらはいまだにスウェーデン資本)と一体であったのだから、このトラック・バス部門が乗用車部門を買い戻して、再び一体化すればいい、というような意見も聞かれたものの、この意見に対しては「乗用車とトラック・バスの生産工程は基本的に大きく異なっており、再び一体化することのメリットはあまりない」との反論もあった。

また一時は中国資本がVolvo乗用車部門を買い取る、というような話も持ち上がったものの、議論はその後、すぐに立ち消えになってしまったようで、今では(幸いにも)全く聞かれない。

――――――
現在、アメリカ・デトロイトで自動車の見本市が開かれている。それにあわせて、スウェーデン産業省の政務次官ヨーラン・ヘッグルンド(彼は中央党所属。キリスト教民主党の党首は同じ発音だが、綴りが違うことに注意)がデトロイトを訪ね、VolvoやSAABの将来についてFordやGMと協議している。

スウェーデン政府としては、VolvoとSAABの2社がひっくり返ってしまうのを防ぐために、融資保証などの救済策(280億クローナ)を講じる予定だが、アメリカ政府が自国の産業しか助けない以上、スウェーデン政府(および一部はEUからの拠出)のせっかくのお金がアメリカに流れてしまっては困る。そのため、FordやGMの経営陣と交渉して、スウェーデンのお金はあくまでVolvoとSAABの救済にのみ使われる、という確約を取り付けるつもりだ。

また、SAABに関していえば、近い将来の売却も見据えながら、SAABブランドの乗用車の生産をスウェーデン国内に戻すための準備を進めている。具体的には、9-3モデルの新バージョンの生産を、SAABの国内拠点であるトロッルヘッタン(Trollhättan)(←ハッタン、ではない!)に置くという。スウェーデン政府が数年前から、この町での生産能力拡張のためのインフラ整備(道路運輸・鉄道運輸)に支援を表明してきた。しかし、新バージョンの開発および生産設備投資にかかる費用には、政府として支援はしない、と表明しており、SAABの経営陣および労組と政府の間で対立している。

ちなみに、現在のスウェーデン政府の救済策は、消極的過ぎると各方向から批判を浴びているようだ。数千人に及ぶ従業員がVolvoやSAABなどから解雇されているが、経営陣も労組も「もし、政府がお金を支援してくれたならば、過剰人員は解雇でなく、労働訓練などの教育を受けさせるようにできた。解雇されて失業者になれば、国は失業給付・労働訓練などの形で費用を負担することに、同じことなのに・・・。」と苦言を述べている。

一方、Volvoのほうはデトロイトでの見本市で、S60という新モデルを発表した。歩行者警戒システムや、自動減速システム(Adaptive Cruise Controle)、ドライバーのために警告サインを示す装置がフロントガラスに埋め込む(フロントガラス・ディスプレイ)などの最新技術が施されているという。また、燃費も向上させ、1kmあたりCO2排出量119gという基準を満たすという。Volvoにとっては、この新モデルが一つの希望であるようだ。(ただし生産は2010年から。)

ちなみに、VolvoはこのS60をはじめC30、S40、V50、XC60などのセダンタイプは今後も、ベルギーのゲント(Gent)工場で生産していくが、同モデルのコンビタイプはヨーテボリのトーシュランダ(Torslanda)工場に全面的に生産を移行していくと見られている。(スウェーデン市場ではコンビタイプが人気のためらしい。)このニュースが流れた昨日は、ヨーテボリは少し明るい空気に包まれたものの、生産は2010年からなので、今年2009年をどう乗り切るかが今の課題だ。


 

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