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雇用労働政策の根本的間違い。
労働者の地位の向上に尽力している方はこのことを知っているのだろうか。
明けましておめでとうございます。今年初めの投稿です。よろしく。
年越し派遣村などをこしらえ多くの困った人達を助ける運動に従事している方々に感動致します。
百尺竿頭一歩進む。潔く一歩進み谷底に落ちた人を直接助ける方々に敬意を表します。ああせえこうせえのと竿頭で議論を垂れている身には、頭が下がる思いです。
しかし私には私のやることがあります。間違った経済政策を変えることです。デフレを克服するための政策を執行させることです。そこに注服致します
このような労働運動に参加されている多くの方も、やはり経済的な認識を間違っていることは非常に残念に思います。その結果自分たちがやっている事が返って経済を縮小させ、失業を増やし雇用状況を悪くしているからです。
効用促進策として政府や、政策担当者、経済評論家や労働運動の専門家がいろいろなことを言っていますが、すべてありふれた今までやったことの延長に過ぎません。
正規社員にすれば、100万円の助成、新たに雇用者を増やせばウン十万の援助とかいっています。これに良く似たことは今まで既に十分取られているのです。
多くの労働運動に従事されている方も大旨このような政府の救済策を考えていらっしゃる方が大半でしょう。しかしこれでは救われることはありません。
ではなぜ失敗してきたのでしょう。
なぜならこれらは生産者への優遇策に過ぎないからです。補助金を出して無理やり労働量を確保しているに過ぎません。このようなやり方は正常な経済では有効かもしれないが、デフレ下においては全く意味がなく返って経済を悪くします。日本経済がデフレに陥ってからなんら回復しないのは、生産者への優遇策をとり過ぎ、消費者への優遇策をないがしろにしてきたからです。
デフレ下では、単に労働量を増やし労働人口を増やしても、賃金が上がらないどころか減少するのです。この間に売上の増加がなければ余計に労働者の平均賃金が下がって行くことになります。
賃金が下がると再び消費が減少し経済はさらに悪化して行きます。
このことを労働運動に従事する方は良く知っていなければなりません。
当座をしのぐにはいいでしょう。しかしこれだけでは根本的な解決になりません。より低賃金で過剰に働かなければならなくしているのです。
また一時的に役所が失業者を抱えても、民間の負担が増えるだけです。
今はデフレという特殊な状況下です。需要と供給の均衡により経済規模が決まる正常な状態ではありません。資金の不足から、消費不足を招き、低所得化が進んでいるデフレ経済です。
デフレ経済では資金を消費者側に投入し消費額を増やさない限り、労働量の増加は、返って一人辺りの賃金を減少させます。
これは統計的にも日本の名目GDPが世界で19番目に落ちたことからも明らかです。そして今なお沈んでいます。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/名目と実質のGDPが逆転している場合の成長神話はやめよう。または、名目GDPと実質GDPの逆転の意味 参照のこと)
日本の政府は愚かにも、デフレ下にもかかわらず、補助金政策や低金利政策、公共投資などの物を無理やり増強する政策を取ってきました。そしてそれに応じて労働量を増やしたのです。いわゆる雇用促進策です。しかしその結果さらに低所得化を招き、長時間労働を強いられています。
(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/小泉政権の経済失政)
このような現象が今なお起こっているのです。このことを民間の労働団体や労働運動家は知らなければなりません。
それ故政府の援助により無理やり雇用を増やすと、労働者一人辺りの賃金がさらに減少することになります。しかも政府の補助金は単なる借金となって我々の重しになります。しかも新しく雇用された労働者の賃金は今のレベルで支払われるため、正常な経済の状態での付加価値より下がったものになります。
それ故誰もが損をした状態になり、経済全体がマイナスになり縮小します。デフレはこれが常態なのです。
例として1億円の総賃金で1000人雇用していたのが2000人になると、一人辺り10万円が5万円に下がります。このことからデフレの雇用対策で大事なことは、先ず総賃金を増やす工夫が必要なことがわかります。
そのためには民間の売上が増える対策が必要なのです。この売上を増やす対策こそがデフレ解消につながって行きます。
このような売上が増える対策を怠ってきたことが今の惨状を招いたのです。特に小渕政権から今までずっと行ってきた経済政策の成れの果てなのです。
皆さんはこの6年間政府がいざ凪を越えた景気だと歌い上げていることをご存じでしょう。多くの経済学者もこぞって賛美しています。所得が減っているにもかかわらずです。馬鹿げたことではないでしょうか。
ものを赤字で売っているに過ぎないのです。そして物作った量を計算して成長していると言っているに過ぎません。日本の国の借金は1千兆円になろうとしています。借金が増えているのです。当たり前です。赤字でものを売っているのですから。
なんとアメリカの財政赤字が100兆円を越えるそうです。まだ日本の10分の1です。
(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/偽装の経済成長をあばけ 参照のこと)
現在の経済はデフレになっており、低賃金で過剰労働になっていることは政府は言いません。デフレでは生産量が増え労働量が増えると、賃金が減少します。生産曲線は右下がりです。
さらにデフレの重要な特徴の一つに過剰生産があります。需要に対して供給が過剰になるのではなく、生産能力に対して消費が大きく不足しているため、競争が激しくなり、低価格競争が起こり、販売量を増やすことによって売上を確保しようとする現象です。その結果同じ売上額に対してより多くの生産物が販売されることになります。http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/デフレに内在する生産量増強システム 参照のこと)
例を挙げると、正常な経済状態の時、1千万の売上に対して10万個を売っていたとすると、100円の単価になります。これがデフレになると競争激化から、単価が80円になり、12万5千個販売することになります。このような現象がすべての産業で生じているのがデフレなのです。
これがいわゆる付加価値を十分に乗せることができない現象です。生産量が増え労働量が増えているにもかかわらず低賃金になる理由です。
デフレにおいて生産性が低いのは、資金の不足からくる消費不足から来るものです。労働者や経営者に責任がある分けではありません。生産性が低いのはデフレの本質であり、付加価値に対する貨幣量が圧縮されるためです。
(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/日本の労働生産性は世界1である。 参照のこと)
現在の経済学者の多くはこのことが分かっていません。現在日本は生産効率が非常に良くわずかな資源でより効率の良い製品作りをしています。しかしそれから生み出される付加価値に対して、市場は十分に評価できないのです。それ故労働者は過剰に働かなければならなくなっています。
愚かなデフレが理解できない経済学者は、生産性をもっと上げろと言いますが、これは低賃金でさらに過剰な労働をせよということを意味します。労働者が既に苛酷な状態にあることが理解できないのです。
それ故労働団体や労働運動の指導者達が、政府と同じように、雇用促進のため、補助金等で雇用を確保するやり方は、労働者の立場をさらに悪くしていることになり自ら蟻地獄に入ろうとしていることになります。
安易な雇用促進策は、デフレでは通用しないどころか弊害に過ぎません。このことをようく理解してください。
このデフレの搾取は、経営者や資本家がやっているわけではありません。政府の高負担がそれをさせています。民間の稼ぎ以上の負担を掛けているのです。
これを解消するためには民間の負担を減らすことが大事です。デフレは生産量に比べて著しく消費量が不足している状態です。それは資金不足からくるものであり、所得線が45度以下に下がっています。
それを45度の所得線に戻すことがデフレの解消です。そのためには資金を消費者側に投入し消費を増やす必要があります。雇用問題の根本的解決は、デフレを解消しなければできません。
労働者の賃金を無理やり上げて企業の内部留保を取り崩したり、企業の赤字を増やしても根本的な解決にはなりません。
今の日本で最も良い政策は消費税を下げることでしょう。民間負担を減らし消費が確実に伸びます。
あるいは、ガソリン税の軽減や、高速代金の無料化です。あるいは公務員の雇用保険負担を増やし、生活保護水準以下の所帯にその差額を援助するようなことも良いでしょう。
このようなことを提案し実行して行くことが雇用促進につながります。しかも賃金が上昇して行くのです。賃金が上がれば過剰に働く必要がないのです。
ワークシェアリングについて
ワークシェアリング何と魅惑的な言葉でしょう。しかし気を付けなければなりません。
ワークシェアリングは、一見いいことのように思われますが、デフレ下において実施されると、単にデフレ促進策になるかもしれません。
みんなで貧乏になりましょう、という政策です。将来の豊かな展望は望めないでしょう。
なぜなら上記で述べたようにデフレは低賃金の過剰労働状態にあります。ワークシェアリングはまさに低賃金の過剰労働を増加させることにつながる政策に見えるからです。
労働運動をされている方はこの事を肝に銘じるべきです。
確かに一時的には急激な所得低下を防げますが、その分は企業の利益や内部留保を減少させます。デフレの急降下に対する粘り強い抵抗策にはなります。しかしこれ自体にデフレを解消する能力はなく、デフレ経済に順応した、さらなる低所得化を促すものです。
ワークシェアは、残念ながら、デフレ下で行われると、さらに低賃金化し労働量が増えることになります。
みんなが救われる、より多くの人が働けると考え、良い考えだと思われるかも知れませんが、その内実は、みんなで貧乏になろうという政策です。
ワークシェアリングは正確にワークプアリングを意味します。
これが広まっていくと広範な貧乏政策となります。みんなで蟻地獄に陥ることになります。デフレを侮ってはなりません。
今、日本がなすことは、内需拡大策です。デフレにおける、生産者優遇の低金利や生産者への補助金政策、公共投資策などの内需縮小策ではありません。
消費拡大策が必要なのです。消費対する補助金が必要なのです。
それが消費税の減額であり、ガソリン税の軽減、雇用保険の軽減、社会保険料の軽減、などです。
さらには年金の増額、生活保護所帯への優遇策です。さらには預金者優遇の高金利など、いくらでも考えれば出て来るでしょう。
(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/日本のウイニングショット)
デフレからの解消は逆の消費者への補助金が大事なのです。
労働運動はこれを提唱することから初めてください。
現在、政府や、民主党、さらには労働者の指導者がやろうとしている雇用促進策は、労働者の首をどんどん絞めていくものです。ワークシェアリングはデフレの思う壷です。根本的なデフレの元での正しい景気対策こそが、労働者だけでなく、経営者も、さらには日本全体を救うのです。
一言主。
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/