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やや日刊カルト新聞: 警視庁流出資料に見る、ムスリムと日本社会
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2010年11月5日金曜日
警視庁流出資料に見る、ムスリムと日本社会
流出資料とされる文書の一部
10月30日以降、警視庁の国際テロ情報のネット流出が発覚し、大騒ぎになっています。本紙でも、流出したものと思われる114個のファイルを入手しました。個人情報や捜査・警備情報等が多く含まれていますが、その中にひとつ、日本社会とムスリムの関係について考えさせられるリポートが含まれていました。
ネット上では、11月4日夜現在でも、流出したものと思われる114個のファイルが入手可能な状態です。ファイルの内容は主にイスラム系のテロリスト(として警視庁がマークしている)人物や、それに関わりがある(と警視庁が考えている)人物・団体に関する情報や、警視庁側の捜査方針・態勢に関する情報です。
こうしたものが流出すること自体が問題であることは、すでに多くのメディアや一般市民が語っているところなので、敢えて繰り返しません。本紙では、この資料の中から、宗教テロと社会との相関性について考えさせられる1本のリポートについて見てみたいと思います。
■来日後に生まれる“国産テロリスト”
流出したものとされる資料群の中に、『日本における国産テロリストの脅威について』というタイトルのPDFファイルがありました。日本におけるイスラム系テロリストが、信仰や思想だけではなく日本社会とのかかわりの中で生まれているとする内容の、A4サイズで6ページのリポートです。ここでいう「国産テロリスト」とは、オウム真理教のような国内でテロ活動を行った日本人のことではありません。リポートの冒頭部分です。
【日本における国産テロリスト(ホーム・グローン・テロリスト)の脅威について】
最近の各国のテロの傾向を見ると、イスラム過激派等のテロ組織に属さない普通のムスリムが、インターネット等によりアル・カーイダなどの過激思想に触発され、自ら過激化して、居住している国内でテロを起こす所謂「国産テロリスト(ホーム・グローン・テロリスト)」による犯行が顕著になっており、取り締まる側にとって、計画を事前に察知することがますます難しくなってきている。
■思想チェック、そして別件逮捕……
このリポートでは、2008年の北海道洞爺湖サミット直前に警視庁が摘発した2つの事例が紹介されています。
ひとつは、チャットシステム「パルトーク」を利用してジハード(聖戦)を扇動していたパキスタン人らしき人物の事例。この人物については、情報提供者を使ってパルトーク内でアプローチさせ、携帯電話の番号を警視庁がゲット。人物を特定した後、警視庁は、同居人のパキスタン人を不法残留の疑いで捜索したついでにパソコンを押収し、対象人物がジハードを扇動していた人物と同一人物であることを確認し、サミットまでの間24時間体制で監視していました。
もう一例は、同じくパルトーク内でヒズボラ(イスラーム教シーア派の政治組織)を称賛している人物に対する捜査。同じく洞爺湖サミット直前の2008年6月末、失業保険不正受給の容疑で逮捕し、その上で、ヒズボラとの関係や関連活動の状況を聴取したというものです。
悪く言えば“思想チェック”に“別件逮捕”。こうした手法があからさまに報告されているところがすごいですが、ここでの本題は、その聴取の結果に関するまとめ部分です。
■職に就けず、妻ともうまくいかず、孤立
リポートは、この2人の容疑者について、以下のような共通点があるとしています。
【日本における国産テロリスト(ホーム・グローン・テロリスト)の脅威について】
・反米的・反イスラエル的な感情が強い
・なかなか職に就けないこと等から日本社会に対する不平・不満を抱いている
・妻との生活がうまくいかないなど私生活における悩みがある
・周囲の者からあまり相手にされない
・インターネットのチャットルームに自分の居場所を見つけている
思想的な面では、パルトークを利用することでアフガニスタンやパキスタンなどのイスラム過激派等から直接感化されていたとされています。一方で、日本社会との関わりの部分については、こうまとめています。
【日本における国産テロリスト(ホーム・グローン・テロリスト)の脅威について】
両事例のように、社会や環境に対して不平・不満を抱いているムスリムがパルトーク等のチャットルーム内で互いに呼応し合い、過激思想に傾倒した場合、急激に過激化が進行し、特に、第2世代のムスリムの若者は、過激思想に感化されやすい状況にいるとも考えられ、ホーム・グローン・テロリストとなってテロを敢行する可能性も否定できない。
その可能性の度合いはともかくとして、注目したいのは、信仰・思想以外に、日本社会における彼らの生活が“国産テロリスト”化に影響していると、このリポートが捉えている点です。
■日本社会の側にも要因が
ムスリムに限ったことではありませんが、日本という国は外国人にとっていまいち生活しにくい国だという声をしばしば聞きます。
生活しにくい原因は、昨今の就職難、都市部での居住・生活費の高さ、日本人社会あるいは同国人コミュニティにおける本人のコミュニケーション能力など、様々なものが考えられます。当然、日本社会との習慣の違いもあるでしょう。特にムスリムについては、本紙が<社会が宗教に譲歩すべき場面もある=イスラム墓地不足問題>で紹介した読売新聞の記事にあるように、亡くなった後のお墓探しにまで難儀するありさまです。
上記の流出資料のリポートでも、容疑者が
「パキスタン人は日本社会で差別されている。他国の外国人は仕事に就くことができるのにパキスタン人というだけで、面接に行っても断られることがよくある」
「日本人妻と一緒に住みたいと思っているが、仕事もなくお金を稼げないこともあって自宅に帰れない。離婚して欲しいと言われている」
と語っていたと報告されています。
信仰や思想だけではなく、日本社会における彼らの疎外感もまた、「国産テロリスト」化の要因になっていそうです。であれば、日本社会がもう少し外国人に優しくなれれば、警察が「本来は外国籍の一般市民」であったはずのムスリムを思想チェックしたり別件逮捕したりしなくても、テロの危険は減らせるのではないか、という気がしてきます。警察の資料から、こんなことを考えさせられるというのも、なんだか皮肉的な話ですが。
これは、たとえば現在のオウム真理教(アレフとひかりの輪)などについて考える際にも、非常に重要な視点のように思います。
投稿者 藤倉善郎 時刻: 8:00:00
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投稿者コメント
ソースがカルト問題を扱うブログですが、日本に居住する在日外国人を主として扱う話題ですのでこちらの板へ投稿しました。
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