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(回答先: 「道徳という土なくして経済の花は咲かず〜日本の復活と米の没落」日下公人 投稿者 仁王像 日時 2009 年 11 月 30 日 20:13:30)
「そして日本が勝つ」日下公人/PHP研‘04年から抜粋
第1章 こんなにある「日本の低力」
<日本製自動車はクルマではなく芸術品>
・ロナルド・モースUCLA大学教授が、先日こんな話をしてくれた。「日本はハイテクの国だと言うが、それは違う。日本は芸術の国である。たとえばトヨタのレクサスは凄い。あれはクルマではなく芸術品である」と。日本では、そこまでやろうと思いつく人がいて、それを助ける技術力をもった中小企業があり、全員が心を合わせて芸術品のような自動車をつくる。日本にはその価値がわかって(値段は高いが)買ってくれるお客がいる。
その意味するところ(根本)は何か。日本人が持っている精神、いわゆる日本精神が5年、10年経つと低力となって経済を動かし、政治を動かし、国際関係も動かす。それだけの日本精神がある。超長期予測は、やはり民族精神とか国家精神――精神と言って悪ければ文化とか伝統とか歴史から考えた方が良く見える。
<韓国が日本を抜けない理由<>
・韓国人自身が、「われわれはいくら頑張っても、結局日本人には勝てません。これまでがやっとです。われわれは『手抜きの精神』というのが根本的に、民族精神のように遺伝子のように染み込んでいて、これは簡単に直りません…」と言う。
<「かわいい工作機械」でなければ売れない日本>
・福井の工作機械メーカーの社長は、こんなことを言った。
「工作機械といえども、かわいくなくては売れません」
それは工作機械を使う工員に、機械をかわいがる気持ちがあるからだ。かわいくない機械は、工員が「具合が悪い」と言うので結局売れない。「それで、スタイルがよくて、かわいくてという工作機械を…作っている」と言われて「なるほど」と思ったが、性能の良し悪しも含めたトータルを「かわいい」という言葉で表現しているのである。
そういうマーケットが日本にあるから、日本の製品はみんな芸術的でかわいくなる。日本人は非常に芸術的で、文化的で、上品で、心が優しい。その低力が、これからいろいろな面であらわれてくるだろう。
第2章 精神から見た日本の低力――なぜ芸術力が凄いのか
<「精神」という視点>
・超長期的日本の低力をいくつかに分けると、
第一に、日本には芸術の力がある。
第二に、精神の力がある。
第三に、日本語の力がある。
第四に、共同体社会の力がある。となる。
<ぞんざいな人に日本製品は作れない芸術、精神、日本語、共同体社会の力>
・「雅(みやび)」、「かわいい」や「そぐわない」という言葉は多分英語にはない。このような情感を共有できるとは不思議な日本である。情感が共有できるから、一般社員であれ、エンジニアであれ、中小の下請けであれ、「デザイン・イン」ができる。デザイン・インとはみんなで集まって、足並みがそろって、議論が盛り上がり一つの製品を仕上げていくということ。
だから、私は、アメリカは量の国で、日本は質の国。アメリカは科学の国で、日本は芸術の国。アメリカは力の国で、日本は精神の国という。
<子供がこんなにマンガを描く国はない>
・日本のマンガは世界一の水準で、しかも値段が安いから子供のころからたくさん読んでいる(マンガを描くのもうまい)。
日本人にはそのような芸術の才能があって、自然に足並みがそろう。メーカーもそうだし、買う客もそうである。その結果の製品をアメリカやアジアやヨーロッパが見て、びっくりして買うようになる。彼らは商品をみて、日本の文化に世界的普遍性があると認めるのである。
<飛鳥、奈良以来の高い芸術性>
・仏教はキリスト教とどう違うのか。神への感謝を描こうというのがキリスト画になる。仏教はそうではない。宇宙の根本原理や精神は何なのかが出発点で、それを分野に分けて、何々のためには何とか菩薩がいるとか、…そういう抽象的・神秘的な宇宙精神の根本構造を仏像とか仏画にする。したがって、そこへ出てくる像は、50億年考え尽くしたような顔をしていなければいけない。「宇宙の根本原理を具象化するとこんな顔だろう」と思いながら描いている。中にこもっている精神性がまったく違う。
<日本だからこその多様な文化と思想>
・日本は、聖徳太子のころから、インド、中国、ヨーロッパの聖典を全部勉強することができた。そしてそれを吟味する自由があった。外国からの聖典だからと祭り上げなくても良かった。日本人は主体性をもって吟味し、選択して採用するという行為を1400年以上も積み重ねてきた。そのため日本の思想は内容が豊富で、かつ質的にも最高に発達している(それなのに、最近は外国モノだというと祭り上げる人がいるから、話が逆になっている)。
第3章 精神から見た日本の低力――聖徳太子からマンガまで
<マンガ・アニメに見る日本精神>
<すでにある日本精神文化圏>
・「日本精神が広がっている」と書いたのは「ロンドン・エコノミスト」である。「…アジアの子供は全部、日本を見ている。日本に憧れ、日本を一日でも早く取り入れたいと思っている。心の中はもう日本人になっている」。その後が面白いが、日本は国境の外に日本精神文化圏をもう持っている。アジアがそうだ…と書いてある。
アメリカは産業利益だけを見ているが、イギリスは文化と精神を見ている「エコノミスト」は、アジアの若者は日本文化の品質をわかるようになったと言って、記事を終わる。
<日本人が共有するセンスの低力>
・日本精神の特徴を整理すればこうなる。
@1400年の歴史で身についたセンス。
A被侵略がないので全員共有
B共同体の論理もグローバル・スタンダードも両方わかる。
C以上を芸術から産業まで応用して磨きがかかっている。
第4章 21世紀、日本文化が世界に広がる
<日本語の力を見落とすなかれ>
<優れた表現なら日本語のほうが上>
・私の経験では、英語を使っていると知が劣化する。…本当にそう思う。日本語にはあっても英語にはない単語やニュアンスがたくさんあるからである。アメリカ人に講演をするとき、…話がなかなか伝わらなくてくたびれる。やはり根本的に文明が違う、文化が違う、思想が違う。その中でアメリカ人にわかることだけを言うとなると、ものすごく程度が下がってしまう。本当にそうなので、そうしないと話が進まない。
<日本よ。「意」を取り戻せ>
・戦前の教育は、知、情、意、三拍子そろった人間をつくることだと言っていたが、いつの間にか戦後は知だけになった。…このごろようやく、感性を磨けと言うようになったから、情も必要だと思われ始めたらしいが、しかし、まだ意が出てこない。今の日本人に一番かけているのは「意」である。
・意というのは…「よーし、やるぞ」と、こういう気持ちがお腹から湧いてくる意欲・意志である。『内臓が生み出す心』(西原克成、NHKブックス)によれば、意欲は内臓から湧いてくるのであって、むしろ頭はブレーキか、処理するだけのコンピュータに過ぎない。人間として一番大事な「やる気」は、胃袋とか腸とか、肺、心臓から湧いてくるのだと書かれている。
第5章 資本主義は、略奪主義へ戻るT
<特別お行儀がよかった冷戦時代の資本主義>
・ソ連という重石が取れてしまうと、「失業者や低所得者を20lも出すとソ連に負けてしまう、貧乏人をあまりつくってはいけない」という自制心が、アメリカから消えてしまった。その結果、アメリカには低所得者が増加し、ざっと数えて15lにも達している。修正資本義の時代は終わりである。
・言い換えれば、今まで支配階級はアメリカ人全体のことを「国民」と思っていた。…ところが、そのソ連が消えてしまうと、ニューヨークなどにいる人たちの頭から「国民」という考えが消えた。「人間はアメリカ人であろうと外国人であろうと、全部収奪の対象だ。何かを売りつけてやれ、何なら騙してやれ、がっぽりピンはねしてやれ」という人たちが現れて、この10年間はそれを実際に実行した。
・すると、なるほど金持ちになれる。まわりの人よりちょっと道徳レベルを下げると簡単に儲かるというのは、古今の真理である。それを見ると、みんなが真似をする。自粛している中産階級はバカに見えてくる時代がはじまった。
第6章 資本主義は、略奪主義へ戻る(U)
<未来予測は「インテリジェンス」で>
・このような悪知恵のことを、向こうの人は「インテリジェンス」と言う。日本人は「インフォメーション」を大事だと思っているが、これはデータと同じである。フォーム(form)というのは「型にはまっている」ということで、もう死骸になっていて、命が通っていない。そんなものをインターネットからたくさん取り出して何の役にたつのだろうか? いくら集めても自分の考えとはならない。
<アメリカは「共食い略奪資本主義」へ>
・そこで日本である。日本は1500年ぐらいかけて、一番豊かな経済水準とともに、共同体精神を残している国をつくった。…日本精神と呼ぶべきものも誕生した。これは素晴らしいことであり、それがもたらす低力はもの凄い。だから、もっと積極的に世界に発言しなければもったいない。侵略しない。略奪しない。全部自分で働いて、その上にODAを配るし、…そんな国民は世界で他にはいない…。
第9章 国とは何か、くにづくりとは何か
<情報や知識より、精神の独立のほうが先>
・強調しておきたい事は、「思想の独立」「精神の独立」が先だ、ということで、それがあればこそ、次の行動が生れる。情報や知識よりも、精神が独立するほうが先である。精神が独立していないと、いくら情報や知識をたくさん持っていても、何をいうべきかが思いつかない。何をすべきかの意欲が湧かない。
特に、国際関係の中で困った相手が増えている。最近はアメリカに留学して、すっかり洗脳されて帰ってきて、自分では無自覚のうちに「内通者」になっている人がいるという新たな問題も増えてきた。本人は一生懸命なのだが、頑張るほど日本の損になることに気がつかない。
第10章 日本単独で何でもできる
<たくさんある「日本の戦い方」>
・軍事力があれば、それに越したことはないだろう。しかし、軍事力がなくとも、経済力、金融力、貿易力もまたすごい武器である。これを使う戦意がないのがよくない。戦意さえあれば、方法はいくらでもある。その研究もいくらでもできる(そもそも現代においては、軍事力は滅多に使えない)。
例を言えば、アメリカの国債を一番たくさん持っているのが日本で、間もなく中国が追いついてくる。「これを売るぞ」と言えば、アメリカは驚く。実際、橋本龍太郎総理が半分冗談めかしてそれを言ったところ、大きな問題になった。「売ってはいけない。大事に持っていろ」と命令されて、「ハイハイ」と言ってしまったところが「意」の喪失である。「これは日本の稼いだ金です。国民が決めることです。しかし今は売らない」と言うべきだった。(中国は、米国債でもっとうまくやるだろう)
いろいろなシナリオを考えておくのがよい。