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英BP出資の石油会社、ロシア国営ロスネフチが買収へ
資源、強まる国家管理
【モスクワ=石川陽平】ロシアの石油業界で大型の企業再編が動き出す。最大手の国営ロスネフチが国内3位のTNK―BP買収へ向け、同社に折半出資する投資家集団と英BPから、両社の保有株を取得する交渉が最終段階を迎えた。石油・ガスの生産量で欧米メジャーを上回る規模となり、天然資源を国家基盤に据えるプーチン政権による石油の管理が進む。
ロスネフチ関係者によると、セチン社長(前副首相)が18日、ロンドンでBP側にTNK―BPの発行済み株式50%の取得へ正式な提案をした。取得額は250億ドル(約2兆円)または280億ドルに達すると報じられ、英フィナンシャル・タイムズは19日にBPが役員会を開くと伝えた。
一方、ドボルコビッチ副首相によると、ロスネフチは16日、新興財閥を率いるフリードマン氏ら3人のロシアの投資家がつくるAARとの間でも、50%のTNK―BP株を買い入れるとの覚書を交わした。買収額は約280億ドルとされるが、覚書に法的拘束力はなく、詰めの交渉が残る。
◆「ロシア版メジャー」に TNK―BPは2003年にAARとBPの折半出資で設立。欧米の国際石油資本(メジャー)による対ロ投資の象徴になった。だが経営の主導権を巡る両者の対立が絶えず、11年1月にBPとロスネフチが合意した資本・業務提携にAARが反対。提携は破談になり、ロスネフチとAARの関係も悪化した。
AARとの対立が続く中、BPは今年6月にTNK―BPとの合弁を解消する意向を明らかにした。保有株の売却へAARと交渉する一方、ロスネフチとも交渉を進めた。今月17日にAARとの優先的な交渉の期限を迎えるとロスネフチとの交渉を一気に加速させた。
ロスネフチがTNK―BPを完全子会社にすれば、サウジアラビアとトップを競うロシアの石油生産量(11年、日量1028万バレル)の約4割を握る。石油と天然ガスの生産量の合計では、世界の上場企業で最大の米エクソンモービルを超える「ロシア版メジャー」が誕生する。
◆ガスプロムと両輪 今回の石油業界の再編は、5月に発足したプーチン新政権の経済運営の行方を占う重要な意味を持つ。ロシアは原油生産量で世界の約12%、天然ガス埋蔵量で20%以上を占め、政権は石油業界への国家管理を強め、資源が生む巨額の富を経済発展の源泉として活用する方針だ。ただ、ロスネフチは180億ドルの債務を抱え、巨額の買収資金が経営の重荷になる。
政権には石油分野のロスネフチと天然ガスのガスプロムという国営の二大資源企業を武器に「資源大国」の地位を固め、国際的な影響力を強める思惑もある。懸案だったTNK―BP問題の解決を機に投資環境の改善を訴えて資源開発への欧米企業の参入にさらに弾みをつけ、高度な技術の獲得にもつなげる考えだ。
TNK―BP株の取得について、改革派閣僚は「国は経済への直接参加を広げるべきではない」と反対の意向を示唆するが、セチン社長によると、ロスネフチとBPはプーチン大統領の了承を取り付けている。
[日経新聞10月19日朝刊P.6]
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