http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/676.html
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石油エネルギーの枯渇が迫っているから、次は核エネルギーが主役になると言って、日本中に原子力発電所を建設して来たことが、フクシマ原発の爆発による放射能汚染で破綻した。だが政府や財界は、相変わらずその見え透いた嘘をまき散らし、原発の再稼働をしようと御用学者たちを動員して,破綻したエネルギー政策を継続しようとしている。それに対して、核分裂や核融合など核エネルギーは太陽レベルの熱源であり、地球上に持ち込んではならないものだと論じ、原発に対して決定的な破産宣告をしただけでなく、新しい未来エネルギーとしてマグネシウムを取り上げ、それを実証的に証明した対談が経済誌に掲載された。
<貼り付け>
「ニューリーダー」2012年5月号
http://fujiwaraha01.web.fc2.com/fujiwara/article/newleader201205.html
生命体の共生を考える(下)
究極のエネルギー源は水にマグネシウムの驚異の力
スチュアート・アラン・ベッカー(「プノンペンポスト」紙特報記者)
藤原 肇(フリーランス・ジャーナリスト、構造地質学専攻)
核エネルギーは地球上で活用できない
ベッカー フクシマの原発事故によって、放射能が日本列島を汚染し、その危険性は全世界に及びかねません。対談の後半では、エネルギー問題の専門家である藤原さんに、核エネルギーが及ぼす影響からお聞きしたい。
藤原 核分裂や核融合など核エネルギーは太陽レベルの熱源です。プルトニウムは地上に存在しない原子で、ウラン238が中性子を吸収して生成します。太陽でなら熱源を供給する物質として重要な存在だ。しかし、生命の故郷である地球では、遺伝子操作穀物(GM)と同様に悪魔の発明で、生命を絶滅させかねない。核エネルギーは地球上で活用できるものではありません。
核開発の端緒は、もとはといえばヒトラーの侵略と殺戮に危機感を持った亡命ユダヤ人科学者が団結して、米国政府に原爆の開発を提言して始まったマンハッタン計画である。そして、広島と長崎で原爆が炸裂し、その後の米ソの冷戦によって、「パンドラの箱」が遂に開いてしまいました。
ベッカー 原発の始まりは原爆という兵器だった。だから、核エネルギーは兵器製造の副産物であり、原発は姿を変えた兵器です。その意味で爆発するのは当然でした。しかも原発は、原子力潜水艦の発電装置を地上に固定したものといえます。
藤原 その通りです。世界初の原子力潜水艦ノーチラス号に使うための装置が、地上で軽水炉型の原発として普及した。さらに大型化され、全世界に広まったものの、事故によって人類を放射能の汚染に曝している。その実例がチェルノブイリやフクシマです。放射能汚染のために生態環境が崩壊し、全生命が死滅する恐れさえある。
ベッカー 原発は石炭や石油より発電コストが安く、廃棄物が少ないと誤魔化していたが、本当の狙いは核兵器を作るためだった。プルトニウムの生産に原発が必要だったのです。だが、この廃棄物を処理する技術を、人類は未だ手に入れていない。
藤原 原発はトイレのない家と同じで、排出する放射性廃棄物を処理できない点では、人間が作った最悪の愚作に属している。
ベッカー チェルノブイリでは放射能汚染で、頭が二つとか足が五本の子供が生まれていて、それが何世代も続くという。MIT(マサチューセッツ工科大学)のノーム・チョムスキー博士は「カネと権力は疎外化(Marginalization)をもたらす」と言ったが、トイレのない家を作る原発の推進政策は、社会を破滅に追いやるだけです。
藤原 半減期に二万四〇〇〇年も要するプルトニウムを廃棄物として排出するのに、原発システムはその処理を意図的に無視している。プルトニウムは日本の保有量だけで何と四五トンにも達する。茶さじ一杯で一〇〇〇万人の殺傷力を持っているというのにです。
ベッカー 米国とロシアには日本の何十倍もある。「プルト」は冥界を司る地獄の魔王を指し、語源からしても不吉な存在だ。プルトニウムを永久に循環させることを狙った高速増殖炉も、事故続きで技術的に未完成です。だから、残存放射性物質を兵器に使おうと考えたのでしょう。イラクやアフガニスタン爆撃では劣化ウラニウム爆弾が利用された。
救いにならないトリウム溶融塩炉
藤原 劣化ウランはウラン濃縮で残る廃棄物で、原発の運転で生まれるプルトニウムとは違います。ただ、共に放射能を持つ核物質のゴミであることに違いはありません。いまプルトニウムを発生させないトリウム溶融塩炉が注目されているが、放射性廃棄物が出るという点では、ウランの軽水炉もトリウム炉も同じです。繰り返していいたいのは、核エネルギーは太陽レベルにおける熱源のシステムに属し、地球上では絶対に使ってはいけないものであるということです。
ベッカー ところが、中国がトリウム発電に取り組むと発表した。また、米国が北朝鮮と繋がろうとする背景には、北朝鮮に豊富なトリウム資源があるためだという。インドに米日が接近しているのも、インドがトリウム埋蔵量世界一だからとも。そこで米国は地政学的な利害で動いていると見られている。
藤原 米国の狙いは現在の原発を廃棄せずに、燃料のウランをトリウムに切り替え、原発市場を確保することにある。一方、中国の場合は軽水炉のほとんどが粗製乱造で、事故が起きて放射能汚染が拡散すれば、その被害は絶望的なものになる。だから、プルトニウムへの恐怖を抑えるために、トリウムに切り替えようとあわてている。
日本人は新技術に対して用心深く、爆発したフクシマ原発でさえ、作った時には防塵用の建物の中でパイプを溶接し、品質管理に細心の注意を払っている。だが、例えば中国の秦山原発では、野ざらしの空き地で溶接作業を行い、コンクリートには海水や海砂利を使っていたことは有名な話です。泰山原発の周辺一〇〇キロbの地域には、上海や杭州など人口数百万の大都市がいくつもあり、事故が起きたら数千万人が被曝死する。
ベッカー それでなくても工業化を急ぎ過ぎた中国は、公害や不良製品の生産で悪名が高い。私が調べた中国の電気事情でも、石炭火力の排気ガスがひどく、北京や重慶の公害は絶望的です。中国の近代化は物真似の技術だから、外見は立派でも品質は劣悪で、いざという時の信頼性が低い。道路をはじめダムや鉄道でも事故が起きているが、原発となると事故による災害の影響は計り知れない。
藤原 古いタイプの工業製品なら物真似はできる。同様にミサイルや衛星も中国は作れる。だが、原発が用いる核分裂は次元が違う。基礎科学の長い伝統を誇る先進国でも放射能事故には手を焼き、しかも解決策はない。
ベッカー スリーマイル島の原発事故を教訓にして、米国では世論が大きな力を持って監視を続けているので、中国のような滅茶苦茶は横行しません。
藤原 しかしながら、効率が良いという言葉を用い、原発や遺伝子操作の種(GM)を売りつけ、地球の生態系を狂わせているのが、アングロジュダクソン流の魔術です。経済学という狂った尺度を使って、エネルギー問題を考えると、とんでもない間違いを犯すことになる。
生産したエネルギーから投入する全エネルギーを差し引いて、プラスになればエクセルギー(有効エネルギー)です。要するに、一〇単位のエネルギーを得るのに六単位のエネルギーの投入ですめば、差し引きプラス四単位で、この差をエクセルギーと呼ぶのです。この計算にはカネを含めず、至って簡単なエネルギー次元でのネット計算です。放射能廃棄物の処理だけで見ても、原発は常にエクセルギーが巨大なマイナスですよ。
自然の秘密が教えるマグネシウムの効用
ベッカー それでは、エネルギー問題の核心に移りましょう。藤原さん的な巨視的観点で、現状と将来を展望しましょう。
藤原 四六億年ほど昔に誕生した地球ですが、生命の寿命はわずか数十年の単位で、文明も始まってから六〇〇〇年です。だから、半減期が二万四〇〇〇年も要するプルトニウムは、文明のシステムには取り込めないのです。また、三八億年前に生命のビッグバンが起き、鉱物から単細胞の生命が誕生し、爬虫類を経て哺乳類へと進化した。その死骸が堆積して石炭や石油になり、掘り出した炭化水素を活用した。それを炭化水素の時代と呼んで、石炭と石油をエネルギー源にしてきた。
ベッカー 一八世紀後半の英国で産業革命が始まり、蒸気機関車や工場など石炭を動力源にする産業社会が育ち、一九世紀から二〇世紀の社会を発展させた。
藤原 石油や天然ガスは炭化水素(Hydrocarbon)の仲間で、水素と炭素の組み合わせで成り立っている。だが、石油や天然ガスがピークを過ぎ、次に不純物がない水素の時代になるかはわからない。なにしろ、水素原子は微小ですぐに潜り込み、容器を脆弱化する力が大きいから、水素を保管する容器が大問題になります。
ベッカー 水素にあまり期待できないなら、原子力に代わるエネルギー源として何が解決策になると考えるのですか。
藤原 マグネシウムです。私は地質のプロとして世界中で仕事をして、水をはじめ石油資源などの開発を行い、「地球の医師」として人生を過ごしてきました。そして、自然界の秘密としてわかったのが、人間の生命活動に役に立つものは、必ず海水や体液の中に存在し、健康と生命を支配するという事実でした。その物質がマグネシウムだったのです。
すべての秘密の鍵は水の中にありました。三〇年前から私は地球上の温泉地を中心に、霊験あらたかだという水を求めて、聖水で知られた場所を訪れました。聖医のヒポクラテスが治療所を開いたコス島のアスクレピオンをはじめとして、バーデンバーデンや欧州の温泉地を訪ね、ロッキー山脈のバンフやアンデス山中の温泉とか、台湾が誇る台北の北投温泉など、湯治場を訪ねる旅行が道楽になりました。また、聖なる泉が湧き出るフランスのルルドは、毎年五〇〇万人が巡礼する聖地として、世界最大の奇跡の聖泉が存在します。
こうした霊験あらたかな泉水や温泉は、多くが苦灰岩や火山灰性白土に関係し、そこにマグネシウムの発生が結びついています。マグネシウムは生理を活性化させ、また、細胞内で金属の原子転換をすることで細胞が刺激され、生命力を高める力を発揮します。
その結果を『生命知の殿堂』という本に、マグネシウム循環として書きましたが、ドロマイト化に秘密があったのです。ドロマイト化とは石灰岩(CaCo3)が苦灰岩(MgCo3)に変質し、カルシウム(Ca)が原子転換することで、マグネシウム(Mg)原子になることです。いわば自然の錬金術が起きるのです。
ベッカー マグネシウムを燃やしてエネルギー源にしようというのですか。
藤原 アルカリ金属はいくらでも燃えますよ。昔は写真撮影にマグネシウムを使い、フラッシュの閃光として活用したが、あれは金属マグネシウムの粉でした。
ベッカー それを発電に使うには、どんな形で技術化するのでしょう。具体的な青写真はあるのですか。
藤原 太陽光をレーザー化して高温溶融法を使い、精錬した金属マグネシウムを燃やし、酸化マグネシウムにする発電装置が、エネルギーを作り出すメカニズムです。しかも、マグネシウムを苦灰岩化する燃焼プロセスにおいては、空気中の炭酸ガスを吸収します。地球の温暖化防止にとっても価値があるのです。
ベッカー それは素晴らしい。もう少し具体的に教えてください。
藤原 発電はレーザーで高温溶融法を使い、何百万度もの高温を発生させて、瞬間的に反応させるレーザー精錬で、鉄より優れた金属の精錬をする。また、海水はマグネシウムを一・三パーミル含むので、これを金属精錬して燃料として使い、金属マグネシウムを酸化することで、石炭と同じエネルギーが作れる。このマグネシウム・サイクルの魅力は、海水からマグネシウムを抽出することで、海水を淡水化して生活水が作れるところです。これから不足する水を確保できる。しかも、海水中にマグネシウムは無尽蔵にあるので、海水が含むマグネシウムを精錬することで得られる電力だけでも、現在のエネルギー消費水準の数十万年分は十分にあると言います。
ベッカー でも、発電によって電気を大量に作っても、自動車や飛行機の動力源にならなければ、マグネシウムは石油の代わりとして、エネルギーの主役にはなれないでしょう。
藤原 太陽光励起レーザーで精錬して作るマグネシウムの金属ペレットなら、酸素と反応する空気電池の形にして、自動車や船の動力源に使えます。また、マグネシウムと水の反応で水素を作り、それを酸化させた水蒸気を使えば、小型の火力発電所も作動させます。このモジュラー型の発電所は、大量生産で小型自動車くらいの値段で作れ、地域の電力の供給をまかなえる。また、海から運河で海水を引き込む水路網を作り、海水の淡水化で水を生産すれば、不足する水問題の解決に役立ちます。その研究を東京工業大学のグループが推進中で、指導者である矢部孝博士は、レーザー研究では三〇年の実績を持つ、非常にユニークな発想の持ち主です。
マグネシウム循環の未来像と実現性
ベッカー 確かにレーザー技術の進歩は目覚ましい。ただ、レーザー技術は核融合の研究の成果の落とし子ともいえますね。
藤原 そうですね。原子力の研究には二つの流れがあり、ソ連が主導するプラズマを超高温で閉じ込めるトカマク型の技術に対し、米国はレーザー技術の活用に集中しました。
ベッカー レーザー研究の花形はレーガン時代を飾った「スターウォーズ計画」で、この宇宙兵器競争に敗れてソ連体制は崩壊した。この大きなチャンスをアメリカが活用して、新しいエネルギーの開発に挑めば、凄いことが実現していたはずだったのに。それを生かせなかったのは、クリントンとブッシュが大統領になり、アメリカの政治を歪めたためだ。それにしてもどうして、せっかくのチャンスを生かせなかったのか。
藤原 利権を海外に求めたことと、軍事産業や金融など企業の金儲けに協力したからです。実は小規模で安全な米国製の原発の技術が、アルゴンヌ国立原子力研究所の手で、乾式処理法として開発されていたのに、クリントン大統領の手で潰されている。これは放射能廃棄物を処理する上で、実に画期的な研究だったのです。だが、米国が中止したのを日本が引き継ぎ、服部禎男博士が4S炉(Super-Safe, Simple, Small)の名前で実用化に挑み、規模が小さい安全な技術にした。でも、日本政府も財界や電力会社と結び、金儲けになる大型装置一本やりで、この技術を生かそうとしなかった。
ベッカー 9・11事件をテロへの報復の口実に、イラクやアフガニスタンで戦争を仕掛け、再び米国政府は軍産複合体のために奉仕した。その間に、経済は金融中心になり、米国が誇った鉄鋼や自動車産業は失速し、ビッグスリーは破産宣言をして、産業の空洞化で中産階級は没落した。
藤原 特にひどいのが鉄鋼産業です。アメリカにはもはやUSスチールしかないし、中国とインドが鉄鋼産業に進出して、質の悪い粗鋼の生産が増えている。近代を支えた鉄鋼産業のシステム自体、鉄鉱石と石炭を溶鉱炉で反応させる産業革命時代の低温化学反応です。二一世紀の精錬は超高温のプラズマ技術で、レーザーを使って有害物質を排出しないだけではなく、空気中の炭酸ガスを減らして、公害から地球を守ることが必要です。
ベッカー さきほどのマグネシウム発電を考えた場合、レーザー技術が不可欠のようですが、太陽光をレーザー化する技術に対して、太陽光をシリコン素子で電気転換して、発電する技術の開発も進んでいますね。
藤原 拡散した太陽光をシリコンの平板で受け、それで発電するような技術に較べれば、レンズで絞って超高温を作るほうが理論的にも技術的にも遥かに優れています。
ベッカー マグネシウムが鉄に置き換わる文明の主役になるのでしょうか。
藤原 マグネシウム合金は軽くて強いから、プラスチック製品と置き換えれば、公害の発生を大幅に軽減できます。しかも、燃料として燃やしたカスの酸化マグネシウムは、太陽光の励起レーザーで再精錬することで、再び原料の金属マグネシウムにすることができる。そうすれば、循環サイクルとして成り立つから、すべてが地球で完結するシステムになる。
日米共に巨大技術に熱中するのを止めて、日本人の小さな技術への指向性と、アメリカ人の企業家精神を結びつけ、ベンチャー・キャピタルを巻き込むことができれば、興味深い地平が開けると思うのですが……。
ベッカー 何かあまりに良くできた話に聞こえますが、いったいいつ頃実現しますか。
藤原 解決すべき問題はたくさんあるので、いつということを確答できません。でも、現在のように核爆発を目の前にして、放射能汚染の脅威に怯えるよりは、未来に希望が持てる。エネルギー問題で行き詰まり、不安に苛まれている現状から抜け出し、将来に期待を持つ必要がある以上は、一歩でも二歩でも踏み出すべきです。その点、今の日本政府は何事も決められない無能状態を露呈している。こんな状況が継続する限りは、経世済民の理想などは実現できないし、国民の幸せは損なわれるだけです。
ベッカー それはアメリカ人にとっても世界中の人にも共通する問題ですよ。
すべての生物の共生を考えて、「マグネシウム循環の未来」に大いに期待することにしましょう。
<貼り付け終わり>
この対談記事は革命的な内容を含んでおり、行き詰った世界のエネルギー政策に対して、決定的な影響力を及ぼすのは間違いないようだ。それだけでなく、その基礎技術が日本の研究者によって開発されており、日本がパイオニアの役目を演じうるという点で、日本人にとって非常に価値ある情報である。対談の中で具体的な現場における検討は、「生命知の殿堂」という本の中で行っているとあり、この本を特徴づけているカミトロニクスというシステムを開くと、世界各地における具体的なケースが、カラー写真入りの旅行記の形で読めるようになっている。ただ、この本には百冊分の情報が詰まっているので、何遍も繰り返して読まない限り浮き出さないから、興味深い他の情報に幻惑されてしまうと、たった半行しか書いてないマグネシウム循環という概念さえ見落とし、秘密の入り口の前で立ち往生してしまうことになる。その意味でこの本は腰帯に書いてあるように、宇宙の奥義を伝える極意の書であるといえる。
<貼り付け>
情報誌「ストレイ・ドッグ」番外編
http://straydog.way-nifty.com/bangaihen/2011/07/post-8d99.html
2011年8月23日 (火)
<書評>「生命知の殿堂 現代医学と日本政治の病理を抉る!」(ヒカルランド、2200円税別)
著者の藤原肇氏は、地質学を専門とする理学博士だが、多国籍石油会社に勤務した後、世界各地でコンサルタントとして活躍した経歴をもつ。これまでに石油問題、国際政治論、日本論、さらには医学、生命論に関して数十冊の著作を発行してきた方だ。
その著者が、がんを患い、アメリカで手術した。それを契機に、「地球を患者として扱ってきた私だが、ガイアの健康診断と生体異常を見る視点で、人間や社会の健康と生理異常を観察すれば、どんな解釈と診断が生まれるか」(まえがき)と着想して書かれたのが本書である。
著者のいう“生命知”の視点から見ると、日米の医療(近代医学)の問題点や、がんに対する考え方の間違いが浮かび上がってくる。
著者はがんについてこう述べる。がんは、とりわけ高齢者にとっては「撲滅の対象ではなく共存の相手」。「『がん』の腫瘍が原因で命が奪われるケースよりは、抗ガン剤や化学療法の副作用をはじめ、免疫力の衰えで『日和見感染』で死亡するケースの方が、はるかに多い」と。
手術後、日本に帰国した著者は、政情不安の日本の病理を「輪環思考」で読み解き、「ゾンビ政治の病理に対しての防疫処理」を考える。ここでは政治評論家の 顔である。著者に言わせれば菅首相は、「トロイの木馬として民主党に送り込まれた、松下政経塾で奴隷思想を刷り込まれ、隠れネオコンの悪臭を周囲に撒き散 らす、買弁政治家たち」に囲まれている。菅首相自身も「セロトニン神経に異常を持つ政治家であり、指導性とは程遠い出世主義者である」と辛辣に評価され る。また福島第一原発の事故についても、「中曽根首相が全力をあげて推進した、核武装のための原子力発電政策により、日本列島を生き地獄にしたものであ り、3.11地震の悲劇は『中曽根大震災』と呼ぶべきものだ」と喝破する。
著者のような、環境と人間生活を侵害する「政治」に大胆にメスを入れるドクターが、今こそ求められているだろう。
2011年8月23日 (火) 書評 |
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- Re: マグネシウム発電の構想が既に詐欺話に使われている 海野雄吉 2012/6/10 12:17:15
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