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地熱発電ルネサンス  「蒸気が出ない」乱開発が窮地を招いた
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/639.html
投稿者 taked4700 日時 2012 年 2 月 01 日 00:11:47: 9XFNe/BiX575U
 

http://globe.asahi.com/feature/111002/02_1.html

[Part1] 「蒸気が出ない」乱開発が窮地を招いた

曲がりくねった道を車で1時間、行けども行けども、蒸気を運ぶパイプラインが山肌に続いている。山手線の内側面積の2倍近くの山中に18の発電所が点在する米国の地熱発電地帯「ガイザーズ」は、とにかくスケールが大きかった。

ガイザーズの地熱発電所を走るパイプライン。地下から噴き出る蒸気をタービンに送る。Photo:Yasuda Tomoki

地下2000〜4000メートルに横たわる巨大な熱のたまり場(地熱貯留層)から蒸気を取り出す井戸(生産井)は、15発電所を所有するカルパイン社の分だけで約340本ある。原発1基分にあたる約90万キロワットの発電能力は、世界最大規模だ。

米国は、約300万キロワットの地熱発電所を持つ世界最大の地熱利用大国。大半は環太平洋火山帯が貫くカリフォルニア州に位置する。サンフランシスコ北方のガイザーズは、その中でも最も早く、1960年に商業運転を始めた。

15発電所の一つ、ソクラテス発電所の建屋に入ると、東芝製のタービンがキーンという回転音をたてていた。地中から噴き出してくる6.8気圧の蒸気がタービンを回す設計だ。
だが、実際の蒸気は2.7気圧にとどまると、案内役の技術者が教えてくれた。「減衰」が深刻なのだ。

みんなが吸い取った

通常の地熱発電では、地下から噴き出る熱水や発電タービンを回した後の冷やした蒸気を、専用の井戸(還元井)で地中に戻す。マグマの熱はほぼ無尽蔵だが、熱を地表に運ぶ水分は、取りすぎると勢いが衰えてしまうからだ。

ガイザーズには、原油価格が高騰した70年代から掘削技術を持つ石油会社が続々と参入した。再生可能エネルギーの促進政策や火力発電所の排ガス規制強化も拍車をかけた。1980年代半ばの5年間で蒸気の産出量は倍増。ピーク時の発電能力は200万キロワットに達した。

その後に起きたのが、年に25%というすさまじい蒸気の減衰だ。「ひとつのミルクセーキに何本もストローをさし、みんなができるだけたくさん吸い取ろうとした」とガイザーズ地熱協会代表のロナルド・シース(68)。撤退が相次ぎ、いくつかの発電所はわずか数年の稼働で閉鎖に追い込まれた。

減衰はどの地熱発電所でも避けられない現象だ。地中への還元に気をつかう日本の発電所でも、井戸1本あたり年2%程度は蒸気が減り、新しい井戸を追加して発電能力を保っている。だが、ガイザーズほど極端な乱開発は世界でも珍しい。

対策として、生活排水の処理水を地熱貯留層に注入する「リチャージ」が1997年以降続けられている。


生活排水が救う

ガイザーズから南に30キロほど離れたサンタローザ市は、市郊外の下水処理場から約65キロのパイプラインを通じて毎日約4万5000トンの処理水をガイザーズに送っている。この水が、発電能力を10万キロワットほど押し上げているという。

リチャージは、農業用水や公園の散水に再利用しても大量に余る処理水の捨て場に困っていた市にとっても、渡りに船だった。パイプラインの建設費は2億5000万ドルと安くなかったが、カルパイン社から水の代金が年30万ドル入る。ポンプを動かす電気代の大半も同社が負担。市のリチャージ・プロジェクト事務局のマイク・シャーマン(48)は「長期的に、双方が満足する解決策だった」と語る。

リチャージは、マグニチュード3以下の微小地震を増やすことがわかっている。地熱発電所から2キロほどの人口約500人の集落アンダーソンスプリングスでは、ガツンという1秒ほどの揺れが1日に1、2回起こると住民が訴え、カルパイン社と北カリフォルニア電力公社側から年に計10万ドル受け取るようになったという。

集落に40年暮らすメリエル・メドラノ(77)は「地熱発電に反対はしない。ただ、まっとうにやってほしい」と、ひびの入った家の壁や壊れたコンクリート製プールの写真を見せた。

こうした様々なコストをかけても、燃料代不要で稼働率が高い地熱発電は、天然ガス火力より安上がりだという。先進的な環境政策で2020年までに再生可能エネルギーによる電力供給を33%以上にするよう義務づけるカリフォルニア州で、地熱へのニーズは高い。

15年後に蒸気が今より15〜20%減り、発電能力が約60万キロワットに落ち込むとカルパイン社は予測するが、効率の悪い発電所の閉鎖などによってあと50年は経営が成り立つ、とみている。

発電効率のいい新型タービンへの更新も2002年から東芝と進めている。カルパイン社の責任者ジョン・アヴェリー(41)は「大事なことは資源を採りすぎないことだ。減衰をできるだけ遅らせるのが今できる最善の道。その戦略はうまくいくと信じている」と話した。  

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コメント
 
01. taked4700 2012年2月01日 00:13:38 : 9XFNe/BiX575U : GAEKjTCJZE
http://globe.asahi.com/feature/111002/03_1.html

[Part1] 活路は海外に。打って出る日本企業

八丁原地熱発電所で研修中のインドネシア人技術者ら Photo:Yasuda Tomoki

九重連山のふもと、地熱発電所として国内最大の発電量を誇る九州電力八丁原(はっちょうばる)地熱発電所を8月8日、インドネシアのエネルギー鉱物資源省の専門職員6人が訪れた。国際協力機構(JICA)の支援による研修だった。

「運転員は何人いるのか」
「蒸気の減衰率は」
「新しい井戸を掘るペースは」


見学の間、6人は講師役の日本人に質問を矢継ぎ早に浴びせた。掘削や計測の機器を食い入るように見つめ、地下の熱のたまり場「地熱貯留層」の温度や圧力をきめ細かくチェックする日本流の管理手法を学んだ。


世界有数の火山国インドネシアは、地熱開発に意欲的だ。電力需要の急増にこたえるためで、発電量はすでに日本の倍以上の120万キロワット。2014年までにさらに300万キロワット増やす野心的な目標を掲げる。

だが、資源探査やデータ分析など開発の基礎を外国企業に頼ってきたため、人材育成が急務。地質資源センター協力課長のスハント・エディ(43)は「日本の地熱発電は歴史が長く、専門性が高い。力を貸して欲しい」と語った。


ノウハウを披露した日本人講師は、九電の子会社「西日本技術開発」(本社・福岡市)の技術者たち。玄海原発(佐賀県)の運転再開をめぐる「やらせメール」問題にかかわったとしてニュースで取り上げられた会社だが、地熱開発の実績は世界トップクラス。英名の「West JEC」(ウエストジェック)は、世界の地熱関係者の間で以前から有名だ。


同社の「地熱部」は地質、土木、機械などの技術者約40人で構成。うち11人は博士号を持つ。英語はもちろんインドネシア語やスペイン語を操る者も多い。


定評があるのは、蒸気を減衰させず地熱資源を長持ちさせるのに欠かせない「貯留層評価」の技術。1本数億円かかる井戸をどこに掘ればよいか、地下構造を把握して予測する。


全国18カ所の地熱発電所のうち、九州電力は5カ所を持つ。西日本地熱開発は当初、九電関連の仕事を中心としており、1978年には地熱部を設立して事業を広げた。だが、滝上発電所(大分県)が96年に運転を始めたのを最後に、九電の新規建設は止まった。石油危機の記憶が薄れるとともに地熱への関心も低下し、国の調査事業も縮小。全国の地熱関連企業は軒並み苦境に陥った。


生き残りをかけて活路を求めた先が海外だった。1970年代からインドネシアやフィリピンに進出してきた経験をもとに、中南米やアフリカ諸国、トルコ、ハンガリーなどへも活動の場を広げ、今では常時10件以上の事業を進める。2007年にはインドネシアの国の基本計画にあたる「地熱開発マスタープラン」の作成も担当した。


90年代前半まで2割程度だった海外業務の比率は6割になった。地熱部長の田篭功一(56)は「日本の地熱市場は非常に小さく、技術と人材を生かすには海外に出るしかなかった」と語る。


頭打ちの国内市場を尻目に海外で地熱ビジネスを拡大するのは、プラントメーカーも同じ。世界の地熱発電プラントの約8割は日本企業製が占める。三菱重工業、東芝、富士電機が3強だ。


蒸気に含まれる不純物が火力や原子力より100〜200倍多く、配管などに岩石の成分がこびりつくなど特有の問題がある地熱発電では、実績のある日本製品がユーザーに頼りにされる。


地熱発電プラントは原発などに比べると規模が小さいニッチ市場。GE(米)やシーメンス(独)などの欧米大手メーカーは及び腰だ。日本企業の優位性は揺るがず、ここ10年間のプラント納入シェアも8割程度。富士電機発電プラント事業部の担当部長山田茂登は「国を問わず、全力投球で受注拡大を目指す」と意気軒高だ。


02. taked4700 2012年2月01日 00:15:15 : 9XFNe/BiX575U : GAEKjTCJZE
http://globe.asahi.com/feature/111002/03_2.html

[Part2] 高温岩体発電の夢

実現すれば世界のエネルギー問題が解決――。

そんな夢のような地熱発電の次世代技術がある。「高温岩体発電」だ。提唱から40年たつ今も実用化していないが、「EGS(強化地熱システム)」と名を変えて実験が続けられている。


従来の技術では、蒸気や熱水が噴き出る天然の「地熱貯留層」がないと発電ができない。だが、地下深くにある熱い岩の塊に人工的に貯留層をつくれば、地上から水などを注入してどこでも地熱発電ができるようになる。既存の貯留層に水を補うだけの「リチャージ」とは異なる発想だ。


1970年代初めに米国で実験が始まり、日本も続いた。だが、思い通りに貯留層をつくることができず、地上から送り込んだ水の回収率は伸び悩んだ。米国は92年に実験を打ち切り、日本も2002年度で終了。当時を知る電力中央研究所上席研究員の海江田秀志は「技術をものにできれば、国産資源が手に入り、世界に事業展開もできる。すごく期待されていたが、コストが高すぎた」と語る。


ただ、豪州やドイツ、フランスなどはEGSとして実験を継続。ポンプで注入水の回収率を高める技術や天然の貯留層を拡大する技術を開発し、実用化に望みをつなぐ。米国もオバマ政権下で地熱の研究開発予算が増額され、実験が再開された。グーグルなどの出資を受けてEGSの実験を手がける地熱開発のベンチャー企業も現れている。


03. taked4700 2012年2月01日 00:17:26 : 9XFNe/BiX575U : GAEKjTCJZE
http://globe.asahi.com/feature/111002/03_3.html

[Part3] 電力会社が軽視、原発事故後に期待も

地熱発電の事業化を目指した噴気試験。2010年7月、秋田県湯沢市

日本の地熱資源量は米国、インドネシアに次ぐ世界3位を誇る。なのに、現状の発電能力は世界8位。せっかくの資源を十分利用できていない状態だ。

電力会社や政府は、原子力や火力など「大規模・一極集中型」の電源に力を入れ、地熱を含む「小規模・分散型」の開発には熱心とは言いがたかった。だが、福島第一原発の事故を受け、風向きに変化もみえる。


原発や火力発電所は、電力を大量かつ安定的に、しかも低コストで供給できることに利点がある、とされてきた。一方、太陽光や風力などの「再生可能エネルギー」は、環境への負荷が小さいといった利点はあるものの、小規模で不安定、しかもコストが高いとみられ、電力会社の投資先としても敬遠された。


だが、再生可能エネルギーの中で、24時間365日の稼働が可能な地熱は群を抜いて「安定的」な電源といえる。2009年に経済産業省がまとめた地熱に関する報告書によると、太陽光の設備利用率は12%、風力が20%なのに対し、地熱は70%だ。


発電コストはどうか。2010年のエネルギー白書によると、1キロワット時あたりの発電コストは、原子力が5〜6円なのに対し、太陽光は49円と確かに割高だが、地熱は8〜22円にとどまっている。
それでも「電力会社からみれば地熱は利益率が低く、事業の優先度が低いと判断された」と経産省幹部は語る。

地熱発電所の発電量は最大でも1基6万5000キロワットと、原発1基ぶんの10分の1以下。立地可能な熱源も、東北、九州にほぼ限られ、都市部からは遠い。開発までの調査・掘削に膨大な費用がかかるといった事情もある。元環境相の民主党衆院議員、小沢鋭仁は「原発に比べ、地熱は取っつきづらい、と思われたのではないか」と語る。


新規参入阻む地域独占

だが、福島での原発事故後、「大規模・一極集中型」に頼るこれまでの体制の危うさが意識されるようになった。地熱をはじめとする国内の資源を生かして電源の多様化を進める必要性を指摘する声が高まった。


そのためには、電力業界への新規参入を促し、競争を通じて技術開発やコストダウンが起きることが望ましい。これを阻んできた一つの要因が、10の電力会社が全国を10分割して地域独占的に営業する日本独特の体制だったと、しばしば言われてきた。


大阪大招聘(しょうへい)教授の八田達夫は、地熱発電への新規参入を促す必要性を強調したうえで、「これまでは新規の地熱発電事業者が望んでも、送電線の建設の権限をもっている電力会社が受け入れようとしないケースがあった。発電事業者が自らリスクをとって、送電線を建設して運用もできるようにすべきだ」と語る。


電力会社自身も競争を避けるのでなく、民間企業としての活力を発揮すべきときだ、との指摘もある。エネルギー産業に詳しい一橋大教授の橘川武郎は、現在は1%しかない再生可能エネルギーによる発電の割合を2030年までには30%に引き上げる目標を政府が設定すべきだとし、それを達成するには電力会社の積極的な関与が不可欠、という。

橘川は「地熱、バイオマス、小水力といった稼働率の高い発電方法は、今後、注目を集めるだろう。電力会社同士を競争させ、再生可能エネルギーのビジネスモデルを構築する必要がある」と話す。


「2050年に10%に」

では、日本の地熱発電はどこまで増やせるのか。独立行政法人・産業技術総合研究所の試算によると、国内には原発約20基分にあたる約2347万キロワットの資源量があるが、国立公園内の規制部分を除いて約425万キロワットが開発可能とみる。環境省が今春、優遇政策や技術革新を見込んだ「導入可能量」として算出した446万キロワットとほぼ一致する数値だ。


日本地熱学会はさらに野心的な数字を示す。国立公園でも開発が可能になり、温泉との共存も進む「ドリームシナリオ」の場合、2050年の発電能力は1027万キロワット。電力量では全体の1割を占めるに至ると見込んでいる。


地熱を再評価する動きはすでにあり、三菱マテリアルなどが秋田県内で新たな地熱開発のプロジェクトを進めている。


前日本地熱学会長の九州大教授、江原幸雄は「地熱の役割は、ベースロード電源として太陽光や風力などほかの再生可能エネルギーの弱点を補うこと。開発に時間がかかるので2020年までに新たに発電を始めるのは難しいが、2050年には地熱だけで全体の10%程度を占めたい。第一歩はとにかく新しい発電所をつくることだ」と話している。


04. 蓄電 2012年2月01日 18:19:15 : TR/B2VKXCoTU6 : CI7DGiDMT6
スマートグリッド:温泉に悪影響なく発電可能、福島で地熱利用の試み (1/2) - @IT MONOist http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1202/01/news019.html

05. taked4700 2012年2月03日 23:31:27 : 9XFNe/BiX575U : 9sPDj96s9E
>>04

蓄電さま、

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1202/01/news019.html を読ませていただきました。非常にいい記事でした。ありがとうございました。


06. 2012年3月06日 23:02:02 : EEPukz6NSM
世の中にうまい話などない。

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