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(回答先: もろくなる原子炉圧力容器/恐ろしいPTS(加圧熱衝撃)ー田中三彦 投稿者 短足鰐 日時 2011 年 8 月 31 日 20:24:18)
石橋克彦編「原発を終わらせる」岩波新書書‘11年より抜粋
T 福島第一原発事故
2 事故はいつまで続くのか/後藤政志
1号機の格納容器の圧力は、3月12日未明には設計上の二倍近い圧力まで増加しており、…こうした圧力、温度が加わり、格納容器にある多くの貫通部のシリコンゴムやエポキシ樹脂でシールしている部分から、放射性物質や水素を含んだガスが漏れ出ていた可能性が高い。1、3、4号機の原子炉建屋は水素爆発で吹き飛ばされ、大量の放射性物質が外部に放出された。圧力容器や格納容器内で大規模な爆発が起きなかったことは不幸中の幸いである。
<露出し続ける大量の放射性汚染水>
冷却用に注入した水は、破損した格納容器から、原子炉建屋やタービン建屋の下部に高濃度の放射性汚染水として漏出し続けている。
<応急対策で安全確保はできない>
本来、原子力プラントにおける安全設計は、プラント内部で冷却・閉じ込め機能を喪失しないように徹底した多重防護を行っている。多重防護を突破されて機能を喪失したときに、最後の頼みの綱として外部から応急措置する対策は、うまくいくとは限らない。多重防護が破れ炉心が溶融した場合には、有効な対策をとることがきわめて困難になる。
<首都圏が壊滅した可能性>
3月12日の夜、福一原発1号機の圧力は異常に上昇し、格納容器の破壊を防ぐため、格納容器のベントを実施した。二つある弁の内、ひとつは手動で動かしたが、もう一つは圧縮空気による動力を必要として、なかなか開くことができなかった。格納容器の圧力が設計上の限界の二倍近い圧力まで上がりさらに上昇していたので、必死でコンプレッサーを用いて圧縮空気で弁を開くことに成功した。
もし、この時点で格納容器のベントに失敗し、格納容器が圧力で爆発していたら、事態ははるかに厳しい状態になっていた。1号機が壊滅すると、放射能が強すぎて2号機、3号機にも近づけなくなり、二機ともやがて炉心溶融から格納容器破壊にいたり、さらに4号機を含む4機すべての使用済燃料が冷却不能になることまではほぼ一本道である。そうなれば、おそらくチェリノブイリ事故よりはるかに大規模な汚染になったと推測される。
<過酷事故は防げるか>
巨大なプラントシステムでは、地震や津波によって複数台の機器が多重事故を起こす可能性が高く、機器の故障も確実には避けられない。非常用の機器は立ち上げに失敗することが多く、また事故があったときにはじめて故障がわかる場合も多い。福島原発の事故で経験したように、…格納容器のベントや海水冷却の方針すら思うように実行できず、さまざまな対応ミスも出ていると思われる。それらのミスも後から解釈して言えることであって、危機的な状態で人間ミスを起こすのは当たり前である。
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