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史上最悪の原油流出事故で萎縮する 総合商社の深海開発|週刊ダイヤモンド編集部・山口圭介・脇田まや
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/239.html
投稿者 上葉 日時 2010 年 7 月 25 日 13:46:25: CclMy.VRtIjPk
 

(回答先: 英BP原油流出事故の余波|大西孝弘(日経ビジネス記者) 投稿者 上葉 日時 2010 年 6 月 30 日 19:25:19)

史上最悪の原油流出事故で萎縮する 総合商社の深海開発|Close Up|ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/8798


史上最悪の原油流出事故で萎縮する
総合商社の深海開発

史上最悪ともいわれるメキシコ湾の原油流出事故。開発を主導するBPの支払総額は400億ドルに達するとの見方もある。事故原因次第では、一部権益を持つ三井物産にも重い負担が課せられる。ただ、事故の影響は関係企業や地元住民にとどまらない。総合商社の資源投資のスタイルを転換させる可能性もあるという。

「メキシコ湾の原油流出事故で急落した三井物産株を、アジアの政府系ファンドが200億円規模で買った」。7月上旬、そう明かした商社関係者は、史上最悪ともいわれる流出事故に対する悲観論が、後退しつつあると指摘した。

 悪夢の始まりは4月20日夜、米ルイジアナ州沖のメキシコ湾で、英石油メジャーのBPがオペレーター(操業主体)を務める原油掘削リグ「ディープウオーター・ホライズン」が爆発。11人の犠牲者を出すとともに、水深1500メートルの深海から大量の原油が噴き出し始めた。リグとは海底油田掘削のための海上の巨大な構造物だ。

 事故を起こした鉱区の権益は、BPが65%、米独立系石油大手のアナダルコ社が25%、三井石油開発が10%を保有している。

 三井石油開発には三井物産が7割出資していることから、事故前に1600円を超えていた三井物産の株価は、7月に入って一時1000円を割る水準まで売り込まれた。その後、8月中に流出が止まる見通しとなり、また株価が流出事故の費用負担額をすでに織り込んだ水準であるとの見方が強まったことなどから、買い戻される動きが出ていた。

 しかし、大手商社幹部は、「日本へのインパクトが表面化してくるのはこれからかもしれない」と意外な言葉を口にした。

 油田開発の歴史は、生命の進化とは逆の道を歩むかのようだ。陸上で優良案件が掘り尽くされた油田開発は、海へと舞台を移し、さらに1990年代に入ると、石油会社は浅海域からディープウオーターと呼ばれる水深500フィート(約150メートル)を超す深海へ、われ先にと潜行した。

 深海開発は莫大なコストと宇宙開発に匹敵する高い技術力を要する。油井を1本掘るには100億円もかかる。浅海域の10倍以上だ。リスクも格段に増した。安全措置はより複雑化し、海底での作業には遠隔操作ロボットが投入された。





 メキシコ湾はこうした深海開発のメッカで、2000年代半ばから商社も相次ぎ参画した。しかし、財閥系商社のエネルギー部門トップが「メキシコ湾は日本の商社にとって鬼門」と自嘲するように、目立った成果は上がっていない。昨年には、伊藤忠商事がメキシコ湾の開発から完全撤退している。三井石油開発は数少ない成功事例といえた。

 今回、その成功例を消し去るかのような大事故が起きたのだった。

支払総額は1.8兆円も
米政府は規制を強化

 いまだ流出が止まらない原油は、米史上最大だった89年のアラスカ沖タンカー座礁事故の25.7万バレルを軽く超え、沿岸州の漁業や観光業に甚大な被害を与えた。7月12日時点でBPが支払った原油流出にかかわるコストは約35億ドル(約3150億円)。回収コストと賠償費用を合計すると、支払総額は400億ドル(約3兆6000億円)を超えるともいわれる。

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構の市原路子主任研究員は事故の影響として、(1)米国の沖合操業に関する安全規制強化、(2)補償額や油濁対策費の引き上げ、(3)保険料の上昇、(4)他の沖合開発への波及──を挙げた。

 実際、米政府は深海油田の掘削を6ヵ月間凍結したうえ、抜本的な規制強化に乗り出している。

 こうした開発規制の動きが、メキシコ湾だけでなく、深海開発が盛んなブラジル沖や北海にまで拡大する可能性も出てきた。カナダなど実際に規制の見直しを始めた資源国もある。そうなると、開発コストの増大は必至だ。

 事故の当事者である三井物産の飯島彰己社長も、「事故原因が判明すれば、改善策が講じられるなかで、規制が厳しくなり、コストが上がる可能性がある」と見ている。

 米政府は、原油流出による損害に対する石油会社の補償上限額を現行の7500万ドル(約68億円)から100億ドル(約9000億円)へと引き上げる方針だ。またBPとのあいだで、地域住民や企業に対する補償原資として200億ドル(約1兆8000億円)規模の基金を設立することで合意した。

 こうした巨額の追加コストに耐えられるのは、米エクソンモービルなど大手石油メジャーに限られる。それ以外の石油開発会社は、最後のフロンティアであった深海開発からの退場を迫られることになりかねない。

 大手商社社長は、「商社の油田開発自体がなくなることはありえない」と前置きしつつ、「商社が優良な開発案件に絡むことは、今後ますます難しくなる」と打ち明けた。





 大手商社のエネルギー部門幹部は、「200億ドルなんてスーパーメジャーのBPだからこそ捻出できる額で、他社なら“即死”でしょう」と皮肉った。コストの上昇幅が見えない状況では、新規投資は様子見せざるをえないという。

 日本の石油開発の一翼を担ってきた総合商社は、にわかに深海投資に萎縮し始めた。

 事故鉱区の開発に携わっていたのが、スーパーメジャーのBPをはじめ、海洋掘削で世界最大手のスイスのトランスオーシャン社、セメント作業を担当した米ハリバートン社、防噴装置を製造した米キャメロン社など、いずれも各分野で屈指の優良企業であった点も、事態を深刻にしている。


 大手商社のエネルギー部門幹部は、「このオールスターキャストですら事故が発生したとなれば、深海投資をする場合、安全性をどう株主に担保すればいいのか」と漏らす。

 爆発炎上したリグの名前にもなった「ホライズン」には、「地平線」のほか、「限界」という意味がある。近年の深海における開発能力の向上とは裏腹に、被害の拡大防止策や原油回収技術の“限界”をも事故は浮き彫りにしたといえる。

 今回の大事故は、ひとたび巨大プロジェクトが破綻の兆しを見せれば、国家を巻き込むほどの取り返しのつかない多様かつ巨大なリスクが発生することを白日の下にさらした。

深海開発のリスク再認識
脚光浴びるシェールガス

 幅広い業種に分散投資する商社としては、そのリスクを再認識させられた深海開発へのインセンティブは確実に低下する。

 深海油田の代替投資先として注目されるのが、非在来型ガスと呼ばれるシェールガスの開発だ。低リスクの割には地中にも大量に埋蔵されていることが確認されており、北米を中心に急速に開発が進んでいる。すでに住友商事と三井物産が開発に乗り出している。

 一方、7月11日にはエクソンによるBPの買収観測が世界を駆け巡った。BPは生き残り策として、100億ドル規模の資産売却を検討している。すでに中国の石油大手ペトロチャイナがBPの資産買収に意欲を示しているという。

 敵失は勝機を生む。日本の商社勢にとっても、BPの既存優良案件を奪取するまたとないチャンスでもある。この大事故は、商社にとっても分岐点となる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介、脇田まや)


 

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