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(回答先: 「経済学」は「イデオロギー」であって、各学説間の対立はイデオロギー上の対立である。 投稿者 仁王像 日時 2009 年 12 月 09 日 20:05:22)
吉田祐二は副島隆彦の弟子だが、親分の呪縛から解き放たれている部分がある。それはリチャード・ヴェルナーを正しく評価・解釈していること(また小沢民主党に入れ込んでいない)。
下に抜粋した著作の内容は、ヴェルナーが切り開いた知見を踏襲するもので、別に新しいものを付け加えているとは思われない。ただ、ヴェルナーの知見を要領よく整理しているものと見る。
下の論点を踏まえると「経済理論」を盾にあれこれ論じることがいかに馬鹿馬鹿しいことかということがよく分かる。「経済学を信じない」ということのもう一つの重大な意味である。/仁王像
『日銀 円の王権』吉田祐二/学研‘09年から一部引用
・本当は、経済の話はおそろしく単純だ。銀行、とくに中央銀行がマネー(お金)の量を増やすか減らすか、そのどちらしかない。マネーを増やせば景気は良くなるし、マネーを減らせば不景気となる。複雑な計算式は不要なのだ。あるとすれば、銀行家たちの政治的な判断である。
・私は本書で二つのモデルを使用している。
「経済は中央銀行によってコントロールされており、中央銀行の支配者が本当の権力者である」
「日本は属国であり、世界覇権国からの指示で動いていること」
銀行を中心とする構造と、それを動かす人物がいる。日本のような属国では、その人物は覇権国の担当者から任命されることになる。この枠組みは当分崩れそうもない。
第一章 「中央銀行」という“超権力”の正体
<景気も不景気も日銀のさじ加減で演出されてきた!>
・「一国の経済をいかようにも左右できるのは銀行である」
「好景気も不景気も銀行が作り出す」
結論を言おう。実際に、日銀は“失策”を実行してきたのだ。バブルをあえて発生させ好景気を作り出し、さらにはバブルを突然崩壊させた。日本を食い物にしようとする外国勢力の指令どおりなのだ(後述)。事実は驚くほどシンプルなのだ。日銀こそが真犯人なのである。
<日銀のコントロール手段、「窓口指導」という名の命令>
・その方法は単純明快。日銀が設定した貸出額を民間銀行に直接「申しわたす」のである。断ることはできない。実質的な“命令”である。それは「窓口指導」と呼ばれているもの。経済学者ヴェルナーは、日銀が民間銀行に対して信用の量を「窓口指導」によりコントロールしていたことを(つきとめた)。
このように、一国の経済指標にとってもっとも重要なマネーの量が、人為的にコントロールされているのが現実なのである。通常の経済学ではそうしたことを想定していない。
実際にベースマネーを増やしたにもかかわらず、経済学者が考えたように景気が回復しなかったとすると、彼らは信用乗数が低いなど論じ始める。
だが、彼らは人目には触れない人為的な操作の結果であることは考えもしない。彼らが学んだ教科書には書かれていないから!
・中央銀行は、準備率を下げたのだから貸出額が自然に多くなるはずだと空々しく主張する。しかし裏では民間銀行に貸出額を縮小するように指示している。「量的規制緩和」政策は、批判をかわす煙幕であり、効果がないのは当然なのである。
日銀は、ある“計画”があったから、景気を回復させる意図など始めからなかったのだ…。
<日銀があえて景気を回復させないわけ>
・日銀はあえて景気を回復させないでおく。そして「日本の経済構造に原因があるから景気が悪いのだ」とうそぶく。「構造問題を解決せよ…、アメリカ企業が日本に参入しやすい構造に変革せよ」と迫る。官僚主導による日本の経済政策から、外国資本が自由に参入できる社会体制に変革させる意図があったのだ。
ヴェルナーは、「1980年代以降、全員が戦時経済体制の解体と日本の開放に積極的になっていった。(日銀の)プリンスたちは世界全体への日本開放を決意していたが、具体的な相手はアメリカだった」と述べている。
「格差社会」や「アメリカ型社会」への移行は、随分と前から仕組まれた政策・計画なのである。具体的には日銀総裁前川春雄による「前川レポート」(1985年、中曽根内閣に提出)に描かれている。
それが1996年からの「金雄ビッグバン」以降、いかに忠実に実現されたかは、株式投資や信託などの金融商品が巷にあふれたことを見れば明らかであろう。
日銀は、アメリカからの要求があって、日本を「構造改革」しようとしているのだ。
<本当の権力者は、マネーを支配する中央銀行総裁だ!>
・中央銀行に君臨する者こそ、本当の実力者なのである。この構造は、実は世界各国どこも似たようなものである。バラクオバマも、自身に本当の権力があるのかといえば、そうではない。財務長官に就任したティモシーガイトナー(ニューヨーク連邦銀行の総裁だった)やポール・ボルカー経済顧問らが、選挙で選ばれた人物よりも、明らかに格が上なのである。その顔ぶれは昔からあまり変わっていない。
第四章 日銀に翻弄される戦後の日本経済
<「構造改革」させるための壮大なペテン>
・「前川レポート」に代表されるように、「日本型経済システム」を変えてしまうこと、「構造改革」を実現することにあるとヴェルナーは論じている。
「日本型経済システム」とは、経済学者・野口悠紀雄によれば、戦時の国家総動員体制である「1940年体制が継続している今の経済体制である。しかし、いかなる体制であれ、経済が順調に推移しているあいだは体制を変える必要はまったくないではないか。
彼らは、人為的に不況をつくりだす。そして、「不況の原因は日本の経済システムそのものにありますよ」と喧伝するのである。「構造改革が必要だと思いませんか」とささやけば、目的達成である。そのためには、一度好況を演出し、その反動で不況にするのである。そうしたほうが、国民の納得も得やすいだろうと彼らは考えたわけだ。
第五章 日銀による“日本改造”の行方
<資本主義は生き延びるのか?>
・今回の不況を克服するにはどうすればよいのか。再びバブルを起こすことである。これは経済学的にまったく正論なのである。この議論は、今から15年前に、天才的な経済学者である。小室直樹が述べていることである。
<銀行を潰す!>
・バブルがはじけたあとの不況が長引くのは、とっとと潰すべき銀行が政府や中央銀行の指示により潰されないことである。このように小室は論じている。銀行を潰せば、銀行が持っている資産の投げ売りが始まり、土地や家などの最低価格が定まる。一度底が見えれば、あとは経済は上向くのである。
逆に言えば、銀行を潰さないことが不況が続く原因である。それは、本来生産的な目的に向かうべきマネーが、銀行自身の不良債権などの処理に充てられてしまい、市場に流れなくなるからだ。そこでは当然のように信用創造はなされない。経済の規模はいつまでも拡大しないのである。
<「人的要素」を見逃した経済論争は無意味である>
<世界の対立軸は「貧乏人対支配階級」のみ!>
・「信用創造」の鍵を握るもの(エスタブリッシュメント)と、支配されるもの−この対立軸以外は、すべて虚構であると筆者は考える。