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(回答先: 民主主義がいかに成熟し機能しているかが根本問題ではないか 投稿者 有島実篤 日時 2009 年 7 月 13 日 09:29:38)
有島実篤さん。投稿に気付きませんでした。1週間遅れのレスになりますが、レスしておきます。
>共産主義社会、社会主義社会いずれも、必然的に一党独裁となる社会で、暴力装置(秘密警察など)が必要とされると断定していることには、無条件には同意しかねます。
これはおおざっぱな記述でした。正確には、階級が消滅した共産主義の世界では、反革命階級を取り締まる暴力装置は不要になる、ということになっています。
社会主義段階では、労働者階級が権力を掌握した社会ですが、反革命の資本家階級は消滅した訳ではなく、取り締まる暴力装置が必要ということだと思います。
余談ですが、議会制民主主義制度下で多数の議席を獲得し、議会から社会主義を実現しようとする試みは、幻想だと考えています。資本家階級はそれを傍観するほど寛容ではないからです。米国の支援を受けた反革命勢力によって崩壊したチリのアジェンデ政権の歴史がそれを証明しています。必然的に労働者階級の独裁を実現するためには暴力革命が必要となります。そして社会主義革命は一国だけでは存続することはできず、同時並行的に複数の国家での社会主義革命の実現という国際主義の原則が適用されなければなりません。一国だけでは国際的に孤立し、社会主義経済の継続は不可能だからです。
話を本筋に戻します。
民主主義がいかに成熟して機能しているかが、実現すべき社会にとって重要だという主張には異論はありません。その民主主義の成熟度を計る指標として、世界人権宣言の各条文がどの程度現実化されているか、が使えるのではないかと思います。
民主主義は、最高ではありませんが、現実的には最良の思想だと思います。よく問題とされる、個人の利益と公共の福祉が衝突する場合、公共の福祉の実現のために失われる個人の利益を行政などが十分に補償することで解決することが望ましいことでしょう。また民主主義の結果、社会的少数者が受ける不利益をできるだけ小さくするために、行政、国は立法などに努めなければならないことになります。
社会民主主義に特に詳しい訳ではありませんが、社会民主主義は、資本主義の枠内での改良によって、社会的公正を実現しようとする思想です。そのためには市場経済をすべて民間の自由に任せるのではなく、市場の規制緩和は抑制的なものになります。所得格差が広がることがないよう、所得の再配分を重視します。社会的少数者への差別解消に努め、福祉や医療、環境保護に価値をおきます。
日本の社会民主主義に特徴的な点は、平和憲法を擁護し、軍隊を持たない、平和主義に徹するということです。日本の政党で、社会民主主義を綱領としているのは社会民主党だけです。またかつての日本社会党が分裂したときに社会民主主義者の一部が民主党に加わっています。
こうした社会民主主義の特性は、民主主義を政治レベルで高度に実現しようとするものだといってもいいと思います。
>資本主義企業と国営企業が市場で競争するスウェーデン型の経済
これこそ社会民主主義経済の見本でしょう。日本社会では80年代半ばからの新自由主義経済政策により、国有企業およびそれに準ずる公社など、国有鉄道、電電公社、郵政公社などが次々と民営化されましたが、社会民主主義では、民営化すべき企業と、公共の福祉の観点から国有とする企業をはっきりと分けています。
日本の社会民主党は社会民主主義政党としてはまだまだ未熟ですが、今後のあるべき政治形態は社会民主主義を除いて他にはないと思います。