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CNN米軍秘密作戦報道はなぜ誤報になったか、田中宇(米国はベトナム戦争でサリンを使う準備をしていたようです)
http://www.asyura2.com/09/cult7/msg/770.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2011 年 1 月 06 日 13:40:56: 4sIKljvd9SgGs
 

(回答先: 3.20地下鉄サリン事件と 投稿者 小沢内閣待望論 日時 2011 年 1 月 06 日 11:02:29)

http://www.tanakanews.com/980717CNN.htm
CNN米軍秘密作戦報道はなぜ誤報になったか
98年7月17日  田中 宇

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 MSNニュース&ジャーナルへの読者からのメールには、マスコミを批判する内容のものが目立つ。特に、マスコミ批判のコラムがウエブサイトに掲載された後は、触発されて「新聞やテレビはものごとの表面しか伝えていない」「ワイドショー風の薄っぺらなセンセーショナリズムばかりだ」といったような気持ちを綴ったメールが届く。中には、MSNニュース&ジャーナルもマスコミの一部だと考えて「あんたらマスコミは・・・」と批判を展開する人もいる。
 確かに、日本のマスコミは、役所や大企業との癒着体質が指摘される記者クラブ制度など、旧態依然の「悪弊」をいくつか持っており、批判が高まっている。かつて国民に尊敬された官僚の評判もすでに崩壊しているが、いずれはマスコミも官僚と同じく、評判を失墜させる日がくるのかもしれない。

 だが、マスコミが国民からの攻撃にさらされているのは、日本だけではない。「ジャーナリズム」の輝ける総本山だったはずのアメリカでも、マスコミへの批判が高まっている。

 ここ2-3ヶ月の間に、「ボストン・グローブ」紙のコラムニストや、雑誌「ニューリパブリック」の記者が、記事を何回もねつ造したことが発覚した。他の新聞では、記者が取材先企業のボイスメール情報を盗み出す事件も起きている。

 そんな中で、アメリカのマスコミの誤報事件の象徴となっているのが、CNNによる「ベトナム戦争時に米軍がサリンをまいて自国の脱走兵を殺した」という報道に関する問題だろう。

●あいまいな証言を明確なものとして扱った?

 CNNは6月7日に、「死の谷 (Valley of Death)」と名づけられたこのニュース番組を放送した。そして、番組とほぼ同じ内容の記事が、CNNと同系列の会社が発行している週刊誌「タイム」の6月15日号に掲載された。

 筆者はCNNの番組は見なかったが、タイム誌の記事は読んだ。その内容は、次のようなものだった。

 米軍は1970年9月、「追い風作戦」(Tailwind Operation)というのを、ラオス奥地で敢行した。それは、敵の共産軍側に寝返ったアメリカ兵たちが集められている村を襲撃し、寝返った兵士たちを殺害する計画だった。寝返った米兵が敵にもたらす軍事情報に基づいて、米軍が攻撃を受ける可能性があるからだった。

 任務には「SOG」(Studies and Observations Group)と呼ばれる秘密部隊が当たり、攻撃の前夜には、投降兵が集められている村に、空からサリンをまいた上で、村を襲撃した。作戦を終えて帰る途中、敵軍の襲撃を受けたが、米軍のヘリコプターが再びサリンをまき、敵を殺した・・・

 このような内容の番組をCNNが放映した直後から、アメリカ国防省や米軍関係者から、抗議が殺到した。キッシンジャー元国務長官や、パウエル前米統合参謀本部議長から、CNN首脳に対して、番組を取り消すよう、要請(圧力?)がかかった。

 CNN側は、マスコミ問題を専門に扱うことで有名なフロイド・アブラムス(Floyd Abrams)という弁護士らに頼み、報道内容が正しかったかどうか、調べてもらった。

 その結果、報道は「重要な証言を無視して採用しなかったり、あいまいな証言を明確であるかのような扱いをしている」と断定し、報道された内容が事実だというには無理がある、との結論に達した。

 CNNは7月2日、正式に番組を取り消し、番組を作ったプロデューサー2人を解雇し、番組制作にかかわったピーター・アーネット(Peter Arnett)というスター記者を懲戒処分とした。タイム誌も記事を取り消し、謝罪文を掲載した。

●証言者のサインまでもらう念の入れ方だったが・・・

 これだけのいきさつからは、プロデューサーや記者が先入観で番組を作り、流したのではないか、と思いがちだ。だがこの事件を詳細にみていくと、そんな単純なものではないことが分かってくる。アメリカのマスコミで最近問題になっている、他の記事ねつ造事件などとは、かなり趣きが違う。CNNのプロデューサーは、8ヶ月間にわたる綿密な取材に基づいて番組を作ったにもかかわらず、「誤報」になってしまったのである。

 解雇された2人のプロデューサーのうち、リーダー格だったエイプリル・オリバー(April Oliver)女史は、解雇された後も、「自分たちが作った番組の内容は正しい」と主張。CNNが番組を取り消したのは、国防省などからの政治的圧力に屈したからだ、と言っている。

 またアブラムス弁護士らが作った報告書は、番組を取り消そうとするCNN経営陣の意に沿ったもので、公平なものではない、としている。オリバー女史は7月12日付けワシントンポストに上記のような主張を展開する記事「I Produced That Program -- And Was Fired」を書いている。

 オリバー女史の主張と、CNN側の調査報告書とで、食い違っている最大の点は、報道の根拠となった2人の米軍関係者の証言に対する信ぴょう性についてである。

 証言者の一人は、「追い風作戦」が行われた1970年に、アメリカ軍の統合参謀本部議長であったトーマス・ムアラー元大将(Thomas Moorer)だった。オリバー女史はタイム誌の記事で、ムアラー氏が「アメリカ兵の命を守るためには、私はどんな武器や作戦でも使うつもりがあった」と述べ、「追い風作戦」で、サリンが使われたことを認めたと書いている。

 だが、ムアラー氏はこの作戦に直接関わったわけではなく、サリンが使われたことは、人づてに聞いた話だった。この点をとらえ、CNNの調査報告書は、ムアラー証言の信ぴょう性を疑問視している。

 筆者が驚いたのは、プロデューサーだったオリバー女史が、ムアラー氏に放送前の原稿を見せ、確認のサインをもらっていたことである。日本の報道機関の取材では、取材先にサインをもらうことなど、まずありえない。記者会見の多くも、英語で記事を書く記者たちはテープを回すが、日本語の新聞の記者はテープを回さないことが多い。(日本での取材の曖昧さは、日本的人間関係に基づくものだろうが)

 にもかかわらず、ムアラー氏は放送後、各方面から確認を入れられた際、「追い風作戦」でサリンを使ったかどうか分からない、と証言を後退させた。なぜ証言を後退させたのか、オリバー女史が尋ねたところ、ムアラー氏は、放映後に友人や知人から、自分がサリンをまいた責任者であるかのように批判され、自分はやってない、聞いただけだ、と強調せざるを得なくなったのだ、と言ったという。

●証言者は記憶を失う病気だったのか?

 もう一人、CNNの番組内容を支えていた証言者は、「追い風作戦」の実働部隊のナンバー2だった、ロバート・ヴァン・バスキルク元中尉(Robert Van Buskirk)であった。

 同氏は、米軍のヘリコプターから敵に向けて毒ガスがまかれ、敵がのた打ち回りながら死んでいくのを見たという、唯一の実名入りの証言者である。また襲撃した村にいた、脱走兵とおぼしき白人めがけて手榴弾を投げた、と証言している。これに対して、CNNの報告書では、バスキルク氏は記憶が失われてしまう病気(repressed memory syndrome)を抱えているとして、証言の有効性を疑っている。

 確かに、オリバー女史によると、バスキルク氏は最初のインタビューでは「白人に手榴弾を投げたが、相手は(敵の軍事顧問である)ロシア人だった」と言っていた。だが次のインタビューでは「アメリカ兵を殺したと思ったが、後で上官に聞いたらロシア人だった」と証言が変わった。

 さらに次のインタビューでは「殺したのはアメリカ兵だった。作戦終了後の報告書にアメリカ兵を殺したと書いたが、その部分は上官によって削除され、お前が殺したのはロシア人だろう、と言われた」と、変わっていったという。オリバー女史は、こうした証言の変化は、忘れていた記憶を取り戻していく過程であり、最後の証言が真実のものだとしている。

 オリバー女史によると、ムアラー元大将もまた、インタビューするたびに証言が変化した。最初はサリン使用など知らない、と言っていたのが、3回目のインタビューでは、サリンが使われたことを認めたという。こうした変化は、CNNの取材に対する警戒心が解けていったからだ、とオリバー女史は指摘しているが、報告書は、そうした証言の変化が、信ぴょう性への疑いの元になっているとしている。

 いったいどちらが正しいのか。アメリカの世論は、CNNの報告書が正しいと判断したようだ。だが、筆者の答えは「分からない」というものだ。争われている内容が、とても政治的なものだからである。筆者と同様に、「この問題は、答えより多くの疑問を生じさせることになった」と書いているメディアもある。

 もしCNNの番組内容が事実であったなら、アメリカ合衆国の国家としての誇りが崩れることになる。アメリカ軍は、アメリカ人から見たかつての日本軍やサダム・フセインの軍隊のように、人権無視の汚い組織だ、ということになってしまう。だから、もし事実だとしても、その報道に対してさまざまな圧力がかかり、証言した人々の信ぴょう性に疑いをはさむ言説が多く出てくるのは当然のことだ。

 とはいえ、CNNの報告書の主張もまた、理にかなったもので、オリバー女史の番組は信ぴょう性について攻撃されやすい部分があったともいえる。

●隠される方向にある米軍の暗部

 CNNの番組は取り消されたが、それによってアメリカ軍がベトナムやラオスで汚い戦争をまったくやっていなかったことが証明された、というわけではない。

 アメリカ国防省は、敵方に寝返った兵士はベトナム戦争全体を通じて2人しかいなかったとしているが、それは少なすぎるだろう。もっと多くの兵士が北ベトナムやラオスの側に投降していたとしても、不思議はない。そうなると、投降者はどこへ行ったのか、という疑問が生じる。

 またベトナム戦争当時、米軍は沖縄の基地にサリンを貯蔵していたことを認めている。サリンは使われることなく、後に分解され、廃棄されたという。本当にそうなのか。

 今回の問題は、単に一つの誤報事件ということを超えて、今後この手のアメリカ軍の暗部に対する取材や報道がやりにくくなる、という問題を生んだ。このテーマに関する報道は、アメリカの国防省とマスコミとの戦争である、ともいえるが、CNNの誤報問題は、国防省側の大勝利になったのである。それは同時に、情報公開を望む人々の敗北でもある。

 しかも、7月15日付のニューヨークタイムスによると、アメリカCIAは、冷戦時代の11種類の秘密作戦についての情報を公開する、と5年前に約束しておきながら、最近になって、「情報公開にかかる金と人員が足りないので、今後も公開できない」と発表した。(秘密資料は公開する前に、専門家によって、公開できる部分とできない部分を分ける作業が行われるが、それに割ける人員と費用が足りないという)

 そして、CIAが公開を見送った秘密作戦の中には、ベトナム戦争当時のラオスでの作戦も含まれている。「追い風作戦」についての情報も、アメリカ政府側からの発表はないということである。

 見方によっては、CNNの誤報問題よりも、こっちの方が重大な問題であるといえる。「追い風作戦」については、そのような作戦があったことさえ、これまで公表されていなかった。アメリカ政府が情報公開の原則に基づいて、作戦についての情報を公開していれば、誤報も起きなかったのである。

 なお、CIAが情報公開を約束していた11の作戦の中には、このほかに次のようなものが含まれている。

・1940-50年代のフランスやイタリアにソ連の影響力が増すことを防ぐため、共産党以外の左翼活動を支援した作戦
・社会主義寄りだったスカルノ政権下の1950年代のインドネシアに対して行った宣伝活動やジャングルでの爆撃など
・朝鮮戦争時のゲリラ活動
・1960年代にコンゴやドミニカ共和国で行った暗殺計画
・1961年にキューバを攻撃して失敗した「ピッグス湾事件」
・1954年のグアテマラ政府転覆作戦

 このうち、ピッグス湾事件とグアテマラ政府転覆作戦については、情報の一部が公開されている。

●スター記者だけ首がつながった

 もう一つ、CNN誤報事件でやり玉にあがったのが、スター記者ピーター・アーネット氏が、取材や編集にほとんどかかわっていなかったにもかかわらず、番組制作者として名前を連ねていたことである。

 アーネット氏はベトナム戦争から湾岸戦争までを取材した、アメリカでは有名なジャーナリストで、ピューリッツァ賞も受賞している。CNNは、その有名さを使って、番組の視聴率を上げようと考え、実際の取材はオリバー女史ら2人のプロデューサーが行ったにもかかわらず、アーネット氏が主に取材したかのような作りの番組にしていた。タイム誌の記事も、アーネットとオリバーの共著という形で掲載されている。

 アーネット氏は、CNNが記事を取り消すやいなや、自分は番組制作には全く関わっておらず、完成した原稿を読み上げただけだ、と述べた。つまり、読者や視聴者からすると、アーネットの作品だと思っていたものが、実はそうではなかったということになる。

 こういった方法はアメリカではよくあることらしい。もちろん、日本のメディアでも日常茶飯事のことである。しかし、改めて考えてみると、人を馬鹿にした話である。もし、問題の番組が逆に大ヒットとなり、ピュリッツァー賞候補にでもなっていたとしても、アーネット氏は「私は取材に全く関わっていない。名前を貸しただけだ」などと言ったであろうか。

 とはいえ、こういったドタバタはありつつも、アメリカのジャーナリズムの旺盛な探求心は、立派なものだ。欧米のメディアには、世の中の動きの背景に何があるかを書き綴ったものが多くある。それに比べると、日本の新聞や雑誌、テレビ番組には、もともとそのような突っ込んだ内容のものは少なかったが、最近はいっそう減っているように感じる。

 さまざまな利権にしがみついているだけの状態になりつつある日本の新聞社や放送局も、閉塞を打破して、エネルギーを取り戻してほしいと思う。筆者も、昨年まで日本のマスコミ内部にいた者として、無関係とはいえないが、MSNニュース&ジャーナルでの記事執筆を通じて、少しは世の中に貢献できると考えているのだが、いかがなものだろうか。

 


 



 

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コメント
 
01. 2011年1月07日 10:22:49: hGLSnXaUNw

長いだけでつまんな〜い、唯も読めないよ〜

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