http://www.asyura2.com/09/buta02/msg/770.html
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非常に明確に鹿児島大学の岡本教授が、今回の口蹄疫騒動の原因を述べています。
1.「接触したおそれのある感受性動物の追跡」について県の責務が実に明確に記載されているが、これが実行されなかったのである。法に不備があったのではなく、法を執行しなかっただけである。どうしてサボタージュが行われたかを国は調査すべきであり、サボタージュの原因追及を棚上げして法の不備(?)を主張する知事に同調してはならない。
2.迷知事と迷大臣のコンビがあって起きた椿事であり、このような場合には首相が対処しなければならない筈だが、これも迷首相であったため、三重の不幸が重なったものである。決して法律が悪かった訳ではない。これらのことが総括されないままに法改正が話題になること自体が、日本の統治能力に係る迷走を物語っている。
以上のことを、きちんと法令を引用して実証されています。
以下、もともとの岡本教授の記事をそのホームページより引用します。
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/verification.htm よりコピー:
「家畜伝染病予防法」改正論議の前に必要な検証
鹿児島大学 岡本嘉六
農水省は、宮崎県で発生した口蹄疫について、発生前後からの国、県などの対応や殺処分・埋却などの防疫対応、口蹄疫対策特別措置法に基づく措置の運用等を検証し、今後の口蹄疫対策をはじめ、家畜伝染病に対する危機管理のあり方に資するため、第三者からなる「第1回口蹄疫対策検証委員会」の開催を公表した。その一方で、「口蹄疫 家畜伝染病予防法改正へ 国の権限強化、強制調査も」という報道がなされ、「口蹄疫問題で農林水産省は、感染予防などで国の権限を強めるため、家畜伝染病予防法の改正案を来年の通常国会に提出する方針を固めた」とされている。現行法で可能な措置が適切に実行されたかどうかの検証が行われる前に、現行法の不備を示唆するのは如何なものか? 「改正案には感染経路を調べるため、農場などを強制調査できる権限を国などが持つことも検討する」と報じられているので、調査権限について現行法を眺めてみよう。
「家畜伝染病予防法」では、第五条で知事が家畜防疫員による検査を命ずるとなっているが、それは「農林水産省令の定めるところ」とあるように、法令遵守を前提としている。そして、第五十一条の立入検査等では県の職員である「家畜防疫員」だけでなく国の「家畜防疫官」も検査に当たることになっている。法令に従って粛々と調査すべきところを知事がしなかった場合、現行法では、国は傍観するしかないのか?
「家畜伝染病予防法」
(監視伝染病の発生の状況等を把握するための検査等)
第五条 都道府県知事は、農林水産省令の定めるところにより、家畜又はその死体の所有者に対し、家畜又はその死体について、家畜伝染病又は届出伝染病の発生を予防し、又はその発生を予察するため必要があるときは、その発生の状況及び動向を把握するための家畜防疫員の検査を受けるべき旨を命ずることができる。
2 前項の規定による命令は、農林水産省令で定める手続に従い、その実施期日の十日前までに次に掲げる事項を公示して行う。ただし、緊急の場合には、その期間を三日まで短縮することができる。
一 実施の目的
二 実施する区域
三 実施の対象となる家畜又はその死体の種類及び範囲
四 実施の期日
五 検査の方法
3 都道府県知事は、第一項の検査の結果を、農林水産省令の定めるところにより、農林水産大臣に報告しなければならない。
4 農林水産大臣は、都道府県知事に対し、第四条第四項、前項又は第十三条第四項の規定による報告により得られた監視伝染病の発生の状況等についての情報を提供するとともに、監視伝染病の発生の予防のために必要な指導を行うものとする。
5 都道府県知事は、前項の規定による情報の提供又は指導を受けたときは、家畜の所有者又はその組織する団体に対し、監視伝染病の発生の予防のために必要な助言及び指導を行うものとする。
6 都道府県知事は、家畜の所有者又はその組織する団体が行う監視伝染病の発生の予防のための措置の効果が適切に確保されるようにするため特に必要があると認めるときは、農林水産大臣又は関係都道府県知事に対し、農林水産大臣又は関係都道府県知事が講ずべき措置について、必要な要請をすることができる。
(立入検査等)
第五十一条 家畜防疫官又は家畜防疫員は、家畜の伝染性疾病を予防するため必要があるときは、競馬場、家畜市場、家畜共進会場等家畜の集合する場所、畜舎、化製場若しくは死亡獣畜取扱場、と畜場、倉庫、船舶、車両、航空機又は家畜の伝染性疾病の病原体により汚染し、若しくは汚染したおそれがあるその他の場所に立ち入つて動物その他の物を検査し、関係者に質問し、又は検査のため必要な限度において、動物の血液、乳汁等を採取し、若しくは動物の死体その他の物を集取することができる。
2 前項の規定による立入検査、質問、採取又は集取の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
人間が罹る人畜共通伝染病については、医師および獣医師が関係するが、どのように規定されているのだろうか? 「感染症法」第十五条では、第1項で知事が調査させるとした上で、第2項に「緊急の必要があると認めるとき」は大臣が調査をさせることができるとしている。これは、知事が大臣に歯向かった場合を想定したものではなく、日本に発生がない重大な伝染病が侵入し、高い危険性を伴い地方自治体の診断能力を超えている場合を想定したものである。それは、調査の結果必要となる入院について第十九条で、知事が措置することとされており、大臣の措置について触れていないことから明らかである。 「感染症法」の規定も「家畜伝染病予防法」と大差ないのであり、法令に従って粛々と調査すべきところを知事がしなかった場合、現行法では、国は傍観するしかないのか?
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」
(感染症の発生の状況、動向及び原因の調査)
第十五条 都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又は感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者及び無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
2 厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者及び無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
3 一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者及び無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者は、前二項の規定による質問又は必要な調査に協力するよう努めなければならない。
4 第一項及び第二項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
5 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により実施された質問又は必要な調査の結果を厚生労働大臣に報告しなければならない。
6 都道府県知事は、第一項の規定を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に感染症の治療の方法の研究、病原体等の検査その他の感染症に関する試験研究又は検査を行っている機関の職員の派遣その他同項の規定による質問又は必要な調査を実施するため必要な協力を求めることができる。
(入院)
第十九条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告をする場合には、当該勧告に係る患者又はその保護者に対し適切な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関に入院させることができる。
4 第一項及び前項の規定に係る入院の期間は、七十二時間を超えてはならない。
第二十条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者であって前条の規定により入院しているものに対し十日以内の期間を定めて特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該入院に係る患者を入院させるべきことを勧告することができる。
そもそも「家畜伝染病予防法」や「感染症法」などで、知事が大臣に歯向かった場合を想定する必要があるのだろうか? 個別法でそのような事態を想定しなければならないとしたら、既存の法律の全てを改正しなければならないだろう。法律に基いて、市町村は県に、県は国に従わなければならないことは国民の常識であり、それが崩れたら国は崩壊してしまう。この常識を成文化したものが「地方自治法」であり、第二百四十五条に「是正の指示」や「代執行等」を含めて明記してある。民間種牛問題で知事が大臣に歯向かった際に、大臣が「地方自治法」に基く代執行を示唆したことは記憶に新しいが、このような異常事態を個別法に盛込むことは不必要であり、国としての基本骨格を定めた「地方自治法」などの包括的法令に準拠することが基本であろう。
「地方自治法」
第十一章 国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係
第一節 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等
第一款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等
(関与の意義)
第二百四十五条 本章において「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与」とは、普通地方公共団体の事務の処理に関し、国の行政機関又は都道府県の機関が行う次に掲げる行為をいう。
一 普通地方公共団体に対する次に掲げる行為
イ 助言又は勧告
ロ 資料の提出の要求
ハ 是正の要求(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害しているときに当該普通地方公共団体に対して行われる当該違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことの求めであつて、当該求めを受けた普通地方公共団体がその違反の是正又は改善のため必要な措置を講じなければならないものをいう。)
ニ 同意
ホ 許可、認可又は承認
ヘ 指示
ト 代執行(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は当該普通地方公共団体がその事務の処理を怠つているときに、その是正のための措置を当該普通地方公共団体に代わつて行うことをいう。)
二 普通地方公共団体との協議
三 前二号に掲げる行為のほか、一定の行政目的を実現するため普通地方公共団体に対して具体的かつ個別的に関わる行為(相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的としてされる裁定その他の行為(その双方を名あて人とするものに限る。)及び審査請求、異議申立てその他の不服申立てに対する裁決、決定その他の行為を除く。)
(是正の指示)
第二百四十五条の七 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
(代執行等)
第二百四十五条の八 各大臣は、その所管する法律若しくはこれに基づく政令に係る都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項から第八項までに規定する措置以外の方法によつてその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきことを勧告することができる。
地方で起きた事案についての調査権限が知事にあるのは当然であるが、知事がその権限を行使しないという異常事態が宮崎県で続いてきた。初動対応および県の畜産試験場で豚の発生があってからの対応が遅れたのは、適切な調査が行われなかったためであり、発生がどこに広がっているのか皆目判らない状態で、突然、「半径10km以内はワクチン接種した上で殺処分」という乱暴な政治判断が行われた。「臭いものには蓋」を貫く知事に対抗するには、大臣が「是正の指示」を行い、それでも従わない場合には速やかに「代執行等」をすべきであった。しかし、連休中に海外遊学した大臣にはその必要性が判断できなかったのであろう。迷知事と迷大臣のコンビがあって起きた椿事であり、このような場合には首相が対処しなければならない筈だが、これも迷首相であったため、三重の不幸が重なったものである。決して法律が悪かった訳ではない。これらのことが総括されないままに法改正が話題になること自体が、日本の統治能力に係る迷走を物語っている。
寸刻を争う緊急事態対処においては、それを想定してできている法律に従って執行することが原則であり、第三条の二には「都道府県知事及び市町村長は、特定家畜伝染病防疫指針に基づき、この法律の規定による家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずるものとする」と規定されている。そこではどのように県と国の責務が記載されているのだろうか?
「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」
平成16年12月1日、農林水産大臣公表
4 接触したおそれのある感受性動物の追跡
(1)追跡調査
ア 1の(2)により家畜防疫員が現地調査を行った結果、本病が否定できない場合には、家畜防疫員は過去21日間の家畜の移動(出入りを含む。)及び過去7日間の人の出入りその他の接触を調べ、1の(2)のカの(ア)の調書を連絡担当者を通じて都道府県畜産主務課に通報する。
イ 都道府県畜産主務課は、通報のあったすべての情報について、それぞれの所在する場所を管轄する家畜保健衛生所に追跡調査の準備をするよう指示し、発生農場の状況が1の(3)のアの(ア)のa又はbに該当する場合には直ちに、これ以外の場合には本病と決定された後に、調査を行わせる。調査に当たっての措置については、1の(2)に準ずる。
ウ 都道府県畜産主務課は、家畜の移動、人の出入り、集乳車・飼料輸送車関係等について、関係者の協力を得ながら状況を把握し、病性決定後、直ちに調査を開始する。
エ 都道府県畜産主務課は、関係場所が他都道府県にわたる場合には、動物衛生課に連絡の上、当該都道府県畜産主務課に連絡する。当該都道府県畜産主務課は、イと同様に家畜保健衛生所に追跡調査を行わせる。
(2)調査に基づく措置
6 立入検査、血清疫学調査等
関係都道府県は、移動制限区域内及び搬出制限区域内の偶蹄類の家畜の飼養場所、移動制限区域及び搬出制限区域から発生前21日以内に偶蹄類の家畜を導入した場所のほか、必要に応じ動物衛生課が指示した場所について、速やかに立入検査を行い、又は診療獣医師の協力を得て、臨床上の異常の有無の確認、家畜の移動の有無等の疫学的調査を行う。また、動物衛生研究所等の協力の下、必要に応じ動物衛生課が指示する方法により血清疫学調査を実施する。
「接触したおそれのある感受性動物の追跡」について県の責務が実に明確に記載されているが、これが実行されなかったのである。法に不備があったのではなく、法を執行しなかっただけである。どうしてサボタージュが行われたかを国は調査すべきであり、サボタージュの原因追及を棚上げして法の不備(?)を主張する知事に同調してはならない。
緊急事態対処の指揮系統のどこに問題があったのか? 農林水産省消費・安全局長通知に記載されている「防疫対策本部」の部分を抜書きする。
「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針に基づく発生予防及びまん延防止措置の実施にあたっての留意事項」
(平成16年12月1日付け16消安第6315号農林水産省消費・安全局長通知、
最新改正:平成17年9月29日付け17消安第6261号 農林水産省消費・安全局長通知)
6 防疫対策本部
防疫指針第2の2の(2)の防疫対策本部の設置及び運営については、以下について留意して行う。
(1) ロ蹄疫現地防疫対策本部(現地家畜保健衛生所等)
ア 組織及び任務
(ア)次に掲げる組織により防疫に当たることとする。
本部長の下に次の各班を置くとともに、管内の市町村、関係機関及び団体による管内連絡会議を逐次開催し、防疫の円滑な推連を図る。
総 務 班:関係機関との連絡調整、管内連絡会議の開催、管内の防疫活動の計画・調整、現地で必要な人員・資材の確保、文書管理、経理及び防疫資材の出納事務を行う。
病性鑑定班:届出、調査等により入手された情報により現地に急行し、検診する。また、病性鑑定のための採材、搬送等を行う。
発生地班:発生農場に常駐し、当面の防疫が一段落するまでの防疫措置(立入禁止、殺処分、消毒等)を指揮する。
評価班:殺処分家畜等の評価を行う。
検診班:発生地周辺地域の緊急検診及び摘発検査を実施する。
追跡班:発生家畜と関係のある家畜の疫学調査及び防疫上の指示を行う。
移動規制班:移動の規制、と畜場、家畜市場等の監視、移動許可書の発行等制限地域内の防疫措置に係る指導を行う。
(イ)組織の運営に当たっては、次の事項に留意する。
a 業務の分担、責任区分及び指揮命令系統を明確にしておく。
b 現地対策本部勤務時間は、原則として、平常どおりとするが、当分の間は、宿日直を置き、毎日24時間執務体制をとれるよう配慮する。
c 現地対策本部要員の健康管理に十分留意する。
d 病性鑑定班及び評価班の班員は、同一日に発生地班に移動できるが、その他の班の班員は、同一日に他の班への配置換えを行わないものとする。
・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)口蹄疫都道府県防疫対策本部(都道府県)
本部長の下に次の各班を置くとともに、関係部局を構成員とする庁内連絡会議を開催し、防疫の円滑な推進を図る。
総務班:防疫方針の策定、予算の編成及び執行、情勢分析、農林水産省、関係機関との連絡調整及び庁内連絡会議の開催を行う。
情報班:発生情報の防疫情報の授受及び収集、広報資料の作成、広報連絡及び問い合わせの対応を行う。
防疫指導班:発生現地の調査、防疫措置の企画及び指導並びに発生原因その他の疫学調査を行う。
病性鑑定班:病性鑑定用材料の採取、同材料の受入れ及び送付並びに病性鑑定を行う。
防疫支援班:焼埋却、消毒等防疫用の資・機材の調達及び配布、防疫要員の動員、関連事業の調整及び機動力の確保を行う。
流通調査班:家畜、畜産物、飼料等流通状況の調査及び調整を行う。
庶務班:所要経費の確保、手当金等の支出に関する事務を行う。
・・・・・・・・・・・・・・・・
(3) 口蹄疫中央防疫対策本部(農林水産省)
農林水産省は、国際機関、関係府省庁、関係都道府県及び関係機関等との連絡調整、防疫措置の企画及び決定、情報収集、防疫措置に関する指示及び専門家との連絡調整等の業務内容に応じた体制を構築し、円滑な防疫対応を図ることを目的として、本部長の下に、原則として次の各班を置くとともに、省内関係部局で構成する省内連絡会議の開催及び関係地方農政局との連携を図る。
また、動物衛生研究所に対しては、病性鑑定、疫学調査の実施、防疫措置に係る援助等を行うための対策本部の設置を要請する。
総務班:防疫措置の企画及び決定、予算の編成及び執行、会議の開催、情勢分析、関係機関との連絡調整、省内連絡会議の開催を行う。
情報班:情報の授受及び収集、国民への周知並びに問い合わせの対応を行う。
防疫指導班:発生現地の調査、防疫措置の指導、病性鑑定に関する都道府県及び動物衛生研究所との調整並びに疫学調査を行う。
防疫支援班:ワクチンの準備、消毒資材等の確保、家畜防疫員の動員及び関係事業の調整を行う。
庶務班:予算の措置、手当金等の支出に関する事務を行う。
動物検疫所:輸出入検疫の強化、防疫措置支援及び疫学調査の支援を行う。
動物医薬品検査所:ワクチンの検査及び防疫措置の支援を行う。
「(1) ロ蹄疫現地防疫対策本部(現地家畜保健衛生所等)」、「(2)口蹄疫都道府県防疫対策本部(都道府県)」、「(3) 口蹄疫中央防疫対策本部(農林水産省)」の三つの防疫対策本部を置くこととされているが、それぞれどのように活動したのか? 「現地防疫対策本部」に置かれた「検診班」や「追跡班」は機能したのか? 「県防疫対策本部」に置かれた「防疫指導班」は「発生現地の調査、防疫措置の企画及び指導並びに発生原因その他の疫学調査を行う」とされているが実際にどのように行ったのか? 実態調査を行わずに「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針には不備がある」と主張することは、サボタージュを正当化するだけである。「なぜできなかったのか?」を解き明かさない限り、改善策は生まれない。
緊急事態における責任と命令系統の重要性は、FAOが2002年に出した「口蹄疫緊急時対策の準備」の「第8章 口蹄疫の緊急事態対策行動期間中の組織配置」に記載されていることであり、上記の通知等はそれを踏まえて出されている筈である。それが実行できなかったとすれば、その最大の要因は、上記文書の冒頭部分が満たされていないためであろう。
「主席獣医官(CVO: chief veterinary officer、または獣医療組織長DVS: Director of Veterinary Servicesなどの同等者)は、口蹄疫緊急事態に対する事前準備および管理についての総合的な技術的責任を持たなければならない。所轄大臣には、勿論、最終責任がある。」
専門的立場からの助言があった筈だが、それが取上げられなかったものと推察され、獣医療の社会的立場が脆弱すぎる結果、素人同士の議論が延々と続けられることになったと私は判断している。
伝染病発生という緊急事態の最中に、それを想定してできている法律の不備(?)を持ち出して混乱させ、対処を遅らせるという異常事態において、知事と大臣のバトルを楽しむ報道陣が知事を応援した責任も重大であろう。
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